灯りの無い廃墟にて、一人の男性の悲鳴が響き渡る。
「い、いやだ!助けてくれ!もう悪さはしない!だから…!」
男の言葉を遮るかのように銃声が鳴り響いた。
同時に、男はどさりと横に倒れて動かなくなった。
「ふふ、蜂の巣みたいな顔になったわね」
革靴の音と女性の声が暗闇から聞こえた。
倒れた男の顔にはいくつもの穴が開いており、その穴から絶え間なく血が流れていた。
「んだよ、至近距離で仕留めるなら俺でも良かったんじゃねぇか」
別の方の暗闇から革靴の音と青年の声が聞こえた。
足音が止むと同時にガンッ!と金属が力強く地面を叩きつける音がした。
「…監視カメラで全部の部屋を見たよ…もう人はいないから使えなくしてきた…」
また別の方から弱々しい少年の声と、微かな足音が近づいてきた。
天井にぶらさがっているカメラは誰も写すことは無くなっている。
「じゃあ、仕事は終わったから帰ろうか」
銃を持った青年が明るい声で言う。
銃口はいくつもの穴が開いていて、一発打てば複数の玉が一度に出るようになっている。
「さてと、死体処理は任せたよ、カイ」
「あぁ?処理つったらミツリだろうが」
「残念だけど、この死体は傷ついてるから私は処理出来ないのよね」
「出来ないんじゃなくてしねぇんだろうが…クソが」
カイと呼ばれた青年は悪態をつきながら死体の服の襟を掴んで黒いビニール袋に入れ、ずるずると引きずって歩いた。
その後ろをミツリ、銃の青年、少年が歩いた。
少年が弱々しい声を発した。
「…ねぇ…もう終わりだから…このまま帰って…いいんだよね…」
「正確には、ヤグツさんに報告しに帰るんだけどね」
「…僕は関係ないし…部屋に帰るよ…」
「俺もだりーから行かねぇ。大体、けいしぶちょー?けいしかちょー?だったかそんな奴に報告する必要なんてねーだろ、俺らの立場は」
「ふふふ、ヤグツさんは警視総監よ、カイ君」
「うっせぇな!どっちにしろ関係ないだろうが!」
「まぁまぁ、確かにボクらのやることは内部では良く思われていないけど、建前としては…ね?」
「だったらお前一人で行けカシマ。報告なら全員じゃなくていいだろうが」
「あ、それなら私も今日は人形のメンテナンスと開発中の薬を完成させようかしら」
「…僕は…初めから行く気は…」
「やれやれ、また一人か」
肩を竦めながら、カシマは困ったように笑った。
カイは閉まっていた廃墟の扉を勢いよく蹴飛ばし、無理矢理こじ開けた。
外は月明かりで明るく、空は雲一つ無かった。
「綺麗だなー」
カシマは月を見ながらのんびりと言った。