天使の飲食店   作:茶ゴス

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第45話

 なんとかユーノ達はなのはの後ろに行けたみたい。これで気にすること無く動くことが出来る。

 外はヴィヴィオ達がどうにかしてくれるだろうし心配はない。私が今やるべきことは目の前の女の子を倒すことだけ。

 

 砕け得ぬ闇、違う世界のこととはいえ流石に見過ごす訳にはいかない存在。この世界に干渉しちゃったら砕け得ぬ闇に偽物を作られちゃうからって理由で典矢は来れなかった。流石に典矢の偽物が出ちゃったらどうしようもなくなるからって母さんが言っていた。

 でも、私としては嬉しかった。だって典矢が私を頼ってくれたんだから。典矢は大抵のことを一人でも出来ちゃう。だからいつも支えたいって思っても必要なかったりしていた。でも今回は別。私が典矢の力になることが出来る。

 

 それに典矢は心配してバルディッシュの性能を上げてくれたみたい。典矢の思いを感じるんだ。なんだか胸の奥がポカポカしてきて、満たされる気分。

 

 

 迫ってくる弾幕の雨を躱しつつ、私はバルディッシュに語りかける。

 

 

「じゃあ、初めてだけど頑張ろうか」

 

了解(Yes sir)

 

 

 バルディッシュに追加された新たな形態。典矢が施してくれたその機能はバルディッシュ曰くとんでもない代物らしい。

 手に持つバルディッシュの刀身が変化する。ライオット状態のように二本の剣となり、両手に収まる。

 

 

『Rising form』

 

 

 それだけではない。金色に輝く魔力の刃が私の周りに現れる。

 その数は8本。持ち手の部分までも魔力で形成されているそれは私へ迫る魔力弾を勝手に切り裂いている。

 私の動きについてくるように刃はついてくる。

 

 この魔力刃、ただ魔力弾を切り裂いているだけじゃないみたい。切った魔力弾の魔力を吸収して私に送ってるみたい。しかも私の魔力に変換もしてくれている。

 これなら斬りつけ続ければ私は戦い続けることが出来る。それにこの形態。感覚が鋭くなって、動きも速くなっている気がする。ソニックフォームでもないのに攻撃が当たる気がしない。

 

 

 これが典矢がくれた力。私を心配してくれている気持ち。

 負ける気がしない。今の私は間違いなく過去のどの私を考えても最強だ。典矢が信じてくれるのなら私は何処までも強くなれる。

 

 

 

 

「いこう、バルディッシュ」

 

 

 

 私の言葉に呼応するように周りの剣の輝きが増していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 ユーノ君達が合流した。

 私の障壁はまだ余裕がある。それでも相手の攻撃が止んでいるわけじゃなく、障壁を途切れさせる訳にはいかない。

 

 典矢君が追加してくれた新しいレイジングハートの姿は気になる所だけど今はそんな暇はない。

 遠目に見ればフェイトちゃんが魔力弾の嵐の中で飛び回っているのが見える。その腰のあたりにあるいくつかの光の剣。あれがフェイトちゃんの新しい力か。正直格好いいと思う。

 

 これは期待できる。レイジングハートも凄い進化をしているに違いない。

 

 だからこそ、使えないことが悔やまられる。せめてフェイトちゃんが砕け得ぬ闇の動きを止めてくれるのなら隙ができるのに……

 

 

 それよりもフェイトちゃんが倒しちゃうかもしれないか。

 

 まあ、今持ち場を放棄する訳にはいかないし、仕方ない……か。

 

 

 

 

 

 ん?

 

 

 

 あれ?障壁の前に見慣れた黒紫の物体が出現している。

 

 いや、物体というか空間というか。

 以前ヴィヴィオが使っていた時空間の穴。確かヴィヴィオは彼処に魔力弾を放って縦横無尽に弾幕を展開してたんだっけ。

 

 と、そうじゃない。今はそれが何なのかじゃなくて、どうして出てきたのかを考えないといけない。

 

 

 正直予想はついてるけどもしものときに備えておいたほうがいいともう。

 

 空いた空間に魔力弾が吸い込まれていくのが見える。その魔力弾を相手に向かって撃つのだろうか。いや、ヴィヴィオのことだから想像はできないけど、取り敢えずいることは解った。

 

 

 

「うおぉぉ、眩しぃぃ」

 

 

 

 うん、期待を裏切らないというか予想を外しに来るというか。取り敢えず言いたいことはあるけどヴィヴィオが穴から普通に出てきた。

 身にまとっている機械の色はさっきとは違って蒼くなっている。左右の手には前みたいに片方剣で片方銃というわけではなく、2本剣を持っている。一本は前と同じ、もう一本は緑色の刀身に青色の柄が目立つ大きな剣だった。

 

 それよりも気になるのはヴィヴィオ、普通に魔力弾当たってるけど動じてないことなんだよね。

 

 

 

「あ、なのはママ!」

 

 

 こちらに気づいたのだろう。ヴィヴィオはこちらを見てクルリと回転してこっちにやってくる。

 危ないから後ろにいて欲しいけど、様子を見る限りヴィヴィオを心配する必要はなさそうだ。

 あのヴィヴィオが使ってる機械って確かインフィニット・ストラトスっていう典矢君とハコは作った物なんだよね。改めて見ても意味がわからない性能してると思う。

 もしかしたら少し時間稼ぎできるかも……

 

 

「ヴィヴィオ、少しの間この攻撃から皆を守れる?」

 

「うー?わかった!!」

 

 

 出来るんだね。それなら準備ができる。

 

 

「アルちゃん!」

 

『ラムダドライバ、Version Field』

 

 

 ヴィヴィオが何かを使ったのだろう。私の障壁へと降り注いでいた魔力弾が跳ね返っている。一度見たことあるから解るけど、確か斥力?で防御してるんだっけ。

 まあ、大丈夫なことも解ったから、取り敢えず障壁を解除する。

 

 

「あ、あの。あなたは……」

 

 

 後ろから私……昔の私が話しかけてきた。まあ、いきなり自分に似た雰囲気の人が出てきたらびっくりするよね。

 でも、今はゆっくりと話している余裕なんて無いんだ。

 

 

「後で教えてあげるから、待ってて」

 

 

 フェイトちゃんが攻撃を仕掛けているのが見える。目で追うのがやっとのくらい速いや。

 私も負けてられないや。

 

 

「さあ、がんばろう。レイジングハート」

 

勿論です(Of course)

 

 

 魔力が高まっていくのが解る。レイジングハートの赤い宝石の部分が淡く光り、新しい姿になろうとしている。

 

 

『Genocide mode』

 

「ふぇ!?」

 

 

 今、聞き捨てならない言葉が聞こえた気がした。ちゃんとした意味は覚えてないけど、物騒な意味の単語だった気がする……

 

 そんな困惑する私をよそにレイジングハートの姿が変わっていく。

 これまでよりもゴツくなっていく砲身にブラスターモードのようなビットが射出されていく。いや、ビットの大きさもこっちの方が大きい。

 ビットの数は10個。私の近くをふよふよと浮いている。

 

 それで終わりかと思ったら今度は私を何かの膜が包み込んだ。

 

 

「……レイジングハート、このバリアみたいなものは?」

 

魔力無効吸収バリアです(This barrier is disabling and absorption magic)

 

「………」

 

 

 と、取り敢えず凄いものなんだって思えばいいよね。

 

 

 




【おまけ】
デバイス改造時の会話


典矢「二人はどんな力がいい?」

バル「かっこよくて速いの」

レイハ「敵を打ち倒す圧倒的な力を」

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