投げっぱなしでオチはないに等しいです。転生ものではありません。

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投げっぱなしでオチはないに等しいです。転生ものではありません。


巡洋戦艦天城、推して参ります

「司令官さーん、新しい娘を拾ってきたのです」

電がそう言って連れてきたのは、見たことがない艦娘だった。

「この鎮守府に新しく着任しました。巡洋戦艦の天城と申します」

鎮守府正面海域に出撃した電が拾ってきたのは、巡洋戦艦であった。

見た感じの印象は、1度だけ呉で見た赤城にそっくりなのだが、これまた呉で1度だけ見た長門のような服装をしている。

「佐世保第5鎮守府司令長官の丁督だ。小さい鎮守府だが、よろしく頼む」

「珍しい娘を持っているではないか?のう丁督よ」

海からずぶ濡れになりながら、現れたのは……

「誰なのです?」

「あなたは佐世保第4鎮守府司令長官の爺督!」

「私たち、金剛4姉妹率いる第一艦隊も一緒デース」

髭を生やした老人と陽気な高速戦艦4姉妹(金剛・比叡・榛名・霧島)ソロモンの悪夢と呼ばれた駆逐艦(夕立)地味ながらも改二な駆逐艦(吹雪)であった。

「タイミングぴったりだなぁ、おい」

「ホホッ、何せ金剛たちの多段索敵に引っ掛かってのう。面白そうじゃから見に来た訳じゃ」

「じゃあ帰れよ」

「と言うわけでじゃ、その娘をかけて演習じゃ」

「話を聞けよ」

「ちなみに、勝てば巡洋艦なり戦艦なり必要な艦種を4隻あげよう。そこの電と天城と合わせたら、一艦隊を編成できるじゃろ」

「よろしい、殺ってやろう」

「司令官さーん、やめてほしいのです」

「なんデスカー?びびりなんデスカー、それとも勝てないって諦めてるだけデスカー?」

金剛の安っぽい挑発に、簡単に乗っかるのが電だった。

「殺ってやるのです。

あっそうだ。天城さんこちらへ」

「役割分担ですか?では、金剛4姉妹と夕立なら私が担当します。電さんは吹雪をお願いします」

「分かったのです」

 

1時間後、鎮守府正面海域

「そっちは、たったの2隻デスカー?余裕ですネー」

「ビッグセブン以上の力、見せてあげるわ。驚かないことね」

41㎝連装砲5基10門の火力は、純粋にほとんどの戦艦を凌駕する。かのビッグセブンと呼ばれた長門を上回る火力を有しているのだ。

「演習始め!!」

「先手必勝。全艦ファイアー!!」

距離25000メートルで金剛艦隊は砲撃を開始した。連装砲4基8門が4隻、32発の砲弾が天城の周りに林立する。

「夾叉5、至近10、残りは近弾。精度は問題なし。次には命中弾が来る。各砲塔、指示の目標に対し、砲側照準にて砲撃を開始せよ。」

天城の5基の砲塔は、各々の方向に向くと、火を噴いた。重量1000㎏の砲弾は、金剛たちに命中するか夾叉する。

元から弱体な装甲防御でしかない金剛型にとってそれは地獄であった。1発当たるだけで、炎上するのだ。

「シィット、ここまでとは思わなかったネー」

「ここは私の出番っぽい」

「よろしく頼みますヨー」

一時的に後退する金剛に代わり夕立が前線に出る。

「夕立さんだったかしら?日本の駆逐艦の特徴は何かしら?」

「ぽい?」

「正解は、燃料に純酸素を使用した九三式魚雷の圧倒的な長射程と絶大な威力による対艦攻撃能力よ(電からの又聞きだけど)。さてその射程はどれだけだったかしら?」

「20000メートルっぽい」

「そう正解よ。で41㎝砲の射程はどのくらいかしら?」

「38000メートルっぽい」

「その通り、さすがね」

「誉められたっぽい?」

「一般的に、火砲の命中精度が高いのは、射程の6割から7割と言われているわね?」

「っぽい?」

「つまり、41㎝砲だと26000メートル程ね。今が大体25000メートルだから充分に当てられるわよ。大丈夫、痛いのは一瞬だから」

「ぽーいー」

顔色を悪くして、涙目になった夕立に三式弾の雨が降る。機動性が高くて装甲の薄い駆逐艦相手には、有効な攻撃だ。

「大破っぽい」

「仕方ないですネー。ここは私たちが、叩き潰すしかないようデース」

金剛たち4姉妹が戻ってきたようだ。

「各砲塔、測的をやり直せ。終了し次第、報告せよ」

「こうなれば、勢いに任せて全艦ファイアー」

32発の砲弾が天城を包む。

「これはヤバイぞ」

 

「う~ん、はっ。知らない天井だ。そこにいるのは電か?」

「どうしたのです、司令官さん?」

「かくかくしかじかな夢を見たんだが」

「ちょっと。司令官さん。天城さんは空母なのです。41㎝連装砲なんて振り回さないのです」

海軍大本営の配布した最新版の艦娘名鑑を見せながら、電は言う。

「ただ、昔の建艦計画で天城型巡洋戦艦が計画されたって言うのは聞いたことがあるのです。その天城さんなのです?」

「かもしれないな」

そう言って、提督は笑った。

「眠気覚ましに熱いコーヒーを淹れて来るのです」

 

こうして、小さい鎮守府の時間は過ぎていった。

 

おしまい


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