「紫藤 虎鉄《しどう こてつ》さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」
気がつくと白い部屋の中にいた女の子がそんな事を言ってきた。
自分は確か学校にいたはずなのだが突然の事でなにがなんだかわからない。
「えーと・・・あんた誰?」
俺に向かって突然訳の分からない事を言っていた青い髪の女の子に聞いてみた。
「私の名前はアクア。日本において若くして死んだ人間を導く女神よ!」
「・・・・」
どうやら頭をやられているらしい、確かに女神みたいに美人だが、女神は無いだろう
「え?どうしたのあなた?急にかわいそうなものを見る目で私を見て?」
「いや、何でもないです」
「あらそう?じゃ続けるわよ?あなたは学校の階段で足を滑らせて死にました、それはもう頭がザクロみたいになるぐらい盛大に」
「え?」
学校の階段で滑って死んだ、そう言われるとだんだん思い出してきた。
そう、あれは自習中に寝ていた禿げた担任の頭に油性マジックでお花畑を書いた後だった。怒って追いかけてきた担任から逃げ、スネーク気分で友人に連絡して遊んでいたとき、塗れてもいない階段で足を滑らせて・・・
「あ・・・」
「思い出したみたいね。そうあなたは何も無いところで何故か足を滑らせて死にました」
そう言う女の子・・・アクアの言うようにここは死後の世界で、そしてこのアクアは本物の女神なのかもしれない。
「えっと・・・女神さん?自分が死んだ事はわかりましたが、自分はこれからどうなるのですか?」
「女神さんではなくてアクア様って呼んでくれてもいいけど?・・・さて、あんたには二つの選択肢があります。一つは人間として生まれ変わり、新たな人生を歩か。そしてもう一つは、天国的な所に行くか」
おぉ、天国か転生か選べるのか、それじゃ天国にしようかな、転生してまた一からやり直すのは面倒だし。それに天国って言うくらいだから良いことありそう。
「ちなみに天国的な場所はあなた達人間が想像しているような素敵な場所じゃないわよ」
「は?」
「死んだら食べる必要もないし、死んでいるから物も当然生まれない。作ろうにも材料も何もないし。すでに死んだ先人達とひなたぼっこしながら世間話するぐらいしかやる事ないわ」
・・・それ天国じゃ無いだろ、ただの地獄だ。最初は話すことも有るだろうけどその内ネタ無くなって何もする事無くなるだろ。
「生まれ変わっても今の記憶は勿論無くなるし、そうなったらそれは今のあなたと言われれば違うと言ってもいいし」
「マジでか・・・」
それも嫌だでもどっちかを選ばないといけないし・・・
思っていたら女神さんがこういってきた。
「うんうん、天国に行くのも生まれ変わることも嫌だよね?そこで!ちょっといい話があるのよ!」
ババーン!っと効果音が付きそうな雰囲気で女神さんは続けた。
まぁ、要約すると魔王、ぶっころ、頑張れっと言うことらしい。しかも何でも一つ特典を付けてくれるそうだ。
「あー、面倒ですけどその世界に行きます」
「それじゃ、選びなさい。たった一つだけ。あなたに何者にも負けない力を授けてあげましょう!」
そうして女神さんは本を渡してきた。この中の物から選べとの事らしい。
しばらく見てみると〈武器精製〉っとあった。何でも伝説級の武器や核兵器以外なら現代兵器でも作れるらしい。
「すいません、この〈武器精製〉でお願いします」
「決まったみたいね、それじゃ、この魔法陣の中央から出ない様に」
そう言うと足元に光っている魔法陣が現れた。
「紫藤虎鉄さん。あなたをこれから、異世界へと送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を送りましょう」
女神さんがそう言うと明るい光に包まれた・・・
「あー疲れた・・・ってもう次の人くるの!?」
アクアはそう言い手元の資料を見た。
「な、なにこれ・・・ぷ・・・プークスクス!!なにこの面白い死に方!?」
こうして紫藤虎鉄は転移した