この素晴らしい世界に銃声を!(旧)   作:大根の刺身

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機動要塞 デストロイヤー編
この遭難者に祝福を!(上)


 気がつくとそこは洞穴の中だった。外は吹雪、装備は短剣と少量の食料。幸い水には困らないが、食べれるモンスターでも出ないと明日には食料が尽きる。

 そう、俺は冬の雪山で遭難したのだ。

 

「・・・・・さむ」

 

 さて、どうしてこんな事になっているか、説明をしよう。

 ベルディア討伐からしばらくたち、季節は冬になった。俺はカズマ達とは別に依頼を受け、雪山に来ていた。

 前にアクアが爆破させたリムパームの代用品の鉱石と、少しでも多くの報酬を貰い、ベルディア討伐の時の借金を早く返済するためだ。

 本当ならめぐみん達に宿を借りる予定だったのだが、そのための資金はギルドへの弁償に消え、宿は借りれなくなった。

 流石に女子達にこの冬に馬小屋で寝泊まりさせるわけにもいかず、俺の借りていた部屋に放り込み、俺はカズマと馬小屋で寝泊まりしていた。

 

 そんなわけで、早く宿に入りたい俺とカズマは話し合い、カズマ達は借金の返済と、冬を越す資金の調達をしに、俺は最低もう一部屋借りる為に一撃熊の討伐に来ていた。一撃熊はその名の通り当たれば一撃で死ねる攻撃をしてくる熊だ。

 だが、俺には強化した〈潜伏〉スキルと敵に見つかっていない時の攻撃に大幅なプラス補正を追加する〈暗殺〉スキルがある。

 〈暗殺〉スキルの本来の使用法は気配を消す〈潜伏〉スキルの上位スキルに該当する姿を消す〈ハイド〉を使用して相手を強襲する必殺スキルの威力を上げる為によく使われる。

 

「おし、いたな・・・」

 

〈潜伏〉スキルで身を隠し、スコープの中から熊を発見した。

 今使用しているのはM1C、大口径の自動スナイパーライフル命中精度はそれほど高くはないが連射ができるが、今回使うのはこれではない。

 俺は新しく武器を精製する。ベルディアの時は魔力が足りなく、倒れるぐらい魔力を消費したが、今はそうでもない。

 体から魔力が抜ける感覚がする。そして、この手にその武器が出現する。

 

「よし」

 

 カールグスタフM2、携帯型無反動砲。リロードに少々時間がかかるが砲弾の初速が早く命中精度も高い、威力も最高と言えるほどある。

 

「ふぅ・・・・」

 

 深呼吸をし、カールグスタフのスコープを覗く。

 

「おうおう、呑気にあくびしてるな」

 

 あくびをしている一撃熊の頭をスコープの中心におくもう一度深呼吸をし、スキルを発動させる。

 もう一度説明しておくと〈暗殺〉スキルは敵から見つかっていないときの攻撃全てを底上げする。

 罠だろうが剣による斬撃だろうが、例え能力で作ったこの武器でもだ。

 

「ふぅ・・・・ッ!」

 

 引き金を引く、発射音がし、弾は一撃熊の頭に命中し、爆発した。

 雪山に轟音が鳴り響き、頭を吹き飛ばされた一撃熊は力尽きる。

 

「おし!」

 

 俺は一撃熊に駆け寄り素早く解体、肉を少々取る。

 

「おし、鉱石は先にとっておいたし帰るか」

 

 その時、ゴゴゴゴッ!っと言う音が聞こえた。さてここで問題、雪山でかなりの威力のある武器、もしくは轟音をだしたらどうなるか、答えは・・・

 

「雪崩ですねはい!」

 

 そんな事を叫びながら走り出す。ヤバいこうなることを忘れてた。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

 叫びながら本気で走るが後ろにはもう雪崩がそこまできて・・・

 

「あ、死んだわ」

 

 そう呟いた途端、俺は雪崩に飲み込まれた。そうだ、何とか死ななかった俺は洞穴を見つけで、助かった荷物の中の寝袋で寝て・・・

 

 

「クソ!全部俺のせいじゃないか!!」

 

 全部思い出し頭を抱えて叫んでしまった。ヤバい、本当にヤバい、このまま吹雪が止まなかったら外にすら出れない、仮に出れたとしても、どこかわからない以上、ここにいる方が安全だ。

 

「・・・・ひとまず、寝るか」

 

 無駄に騒いで体力を消費するわけにはいかず、とりあえず寝ることにした・・・早く助けが来ることを祈って・・・

 

 

【遭難生活一日目】

 

 雪山で、遭難した。

 助けが来ることを祈り待つ事にする。もしも何かあったときのために荷物に入っていた、このノートに日記を書くとしよう。

 今は雪崩に巻き込まれて、約一日が立ったぐらいだろう、正確な日にちはわからない、そもそもどのくらい寝てたかすらわからないのだから・・・

 まぁいい、今日は自讃していた食料を食べた。腹一杯食べる事はせず、少しずつ食べるようにしよう。

 ここの洞穴にはアンデットモンスターが少しいたが、ボコホゴにして、埋めておいた。潔く成仏してほしいものだ・・・

 

 

【遭難生活二日目】

 

 遭難してから二日たった、雪崩があったことはギルドは把握しているだろう。だがら冷静に考えたらギルドは冒険者の為に捜索隊を組むことはないと思う。軽く絶望した。

 今日はもう寝よう・・・

 

【遭難生活三日目】

 

 ヤバい、食料が切れた。幸い周りには水が大量にある、まだ死にはしないだろう。せめてあの時剥ぎ取った一撃熊の肉があればなぁ・・・

 

【遭難生活四日目】

 

 運がいい、今日は吹雪がやんだから少し周りを探索したら俺の残りの荷物を見つけた、両手剣は無かったが一撃熊の肉はある。これでまたしばらく持つだろう。

 

【遭難生活五日目】

 

 カズマ達はどうしているのだろうか?ちゃんと借金は返したのか?もしもこのまま、誰も助けに来なかったらどうなるんだろうな・・・

 いや、誰も助けに来なかったら死ぬだろう。どうせ死ぬなら最後にあいつに会いたいな・・・

 

 

【遭難生活六日目】

 

 ヤバい、眠い、寒い。

 もう体力的に限界だ、食料は無いわけでは無いが体が冷えて仕方がない、今日はもう寝よう。いやどうせ誰も助けに来ないんだ。いろいろと楽しかったが、まだ未練がある・・・こりゃ死んだらアンデットになるだろうなぁ・・・そしたらアクアに怒鳴られながら浄化されるのが目に見える。

 日記ももういいや、そろそろ鉛筆の芯が無くなる。

・・・あの人ならこんな時にはどうするのだろう、いや、サバイバルの天才なんだ、普通に生還するだろうな。

 俺はあの人に憧れるだけで、何もしていない。あの人は自分の信念を突き通した、恩師を殺し、時には味方をも騙し裏切り、それでも自分の信じた物を掴み取るため、戦い。最後は息子に看取られて逝った。たく、あれだけ言ったのに死ぬなんて・・・あの後息子さんが会いに来たときはびっくりしたわ、そっくりだったもの。

 もういい、この世界で楽しく行きたかったが、もうダメみたいだ、あんたにもう一回あえるかな?あえるといいな。それより、やっぱりあいつに・・・一言言いたかった・・・

 

 

 

〈side カズマ〉

 

 最近、コテツをみない。三日前に別々で依頼を受けたっきりだ。

 その日は死んだりして、いろいろ大変だったが、直ぐに帰ってくるだろうと思っていたが、遅すぎる。

 めぐみんもそわそわして落ち着かないし、少し心配だ。

 

「カズマ、コテツを探しに行きませんか?いくら何でも三日も連絡ないのはおかしいです」

 

 めぐみんがそう言ってきた。そうだな、あいつも俺達の仲間だ。

 

「おし、ダクネス、アクア。雪山までコテツを探しに行くがいいな?」

「勿論だ、仲間が大変なのだ。助けに行かなくて何がクルセイダーだ」

「しょうがないわね!コテツのやつ!見つけたらスッカラカンになるまで奢らせてやるわ!」

 

 どうやら、ダクネスもアクアもなんだかんだでコテツを仲間だと思っているのか。

 

「よし、早速準備を・・・」

「あのぉ・・・」

 

 俺が言いかけた時に、声をかけられた。

 そっちの方を見てみるとコテツと仲がよかったリンっという受付嬢が何故か涙を流しながら話しかけてきた。

 

「ど、どうしたんですか?」

「さ、さとう・・・グスッ・・・かずま・・・ズビッ様ですね・・・」

「は、はい。そうですけど・・・」

 

 リンさんはカウンターの方を指差して

 

「ウウウ・・・少々・・・連絡事項が・・・ありますので・・・お越しください・・・」

 

 そう言うとリンさんはトボトボと受付まで戻っていき、他の受付嬢に慰められていた。

 

「カズマ、また何かやっとのですか?まったく、しょうがないですね」

「そうだぞ、カズマ。セクハラなら私にやれ」

「いや、何もやってないし、多分借金の事だろう、行くぞ」

 

 俺は皆を連れてカウンターまで行くと、リンさんではない受付嬢が出てきて説明を始めた。

 

「すいません、リンは少々席を外させました。ここからは私がご説明させていただきます」

「えぇ、お願いします」

「それではまずこちらをご覧ください」

 

 そう言い、受付嬢はどこかで見たことのある一本の剣を取り出した。

 

「こちらは先日雪崩が起こった雪山で発見された、両手剣ですが、サトウカズマさんのパーティーのシドウコテツさんの持ち物で間違いないでしょうか?」

「え、えぇ。多分間違いないです」

「そうですか・・・雪崩が起こる数時間前にシドウコテツさんが雪山に入るのを見かけている人がいまして・・・」

 

 まさか・・・

 

「状況から見て、シドウコテツさんは雪崩に巻き込まれて行方不明、もしくは・・・」

 

 やめろ、やめてくれ、続きを言わないでくれ・・・

 

「・・・死亡したと思われます」

 

 そう受付嬢は機械的に、淡々と言った。

 

「う、うそ・・・ですよね・・・こ、コテツが・・・し、死ぬわけ・・・い、イヤーーー!!!」

「め、めぐみん!落ち着いて!か、カズマ。めぐみんが!めぐみんが!!」

 

 錯乱するめぐみんをアクアがなだめる、ダクネスは下唇を噛んでグッと何かを我慢している。

 

「アクア、とりあえずめぐみんを連れて宿に戻れ。俺とダクネスは話を聞くから」

「えぇ、わかったわ。さっめぐみん行きましょう」

「い、いや!コテツ!!コテツ!!!」

 

 アクアがめぐみんを連れてギルドを出だのを確認し、改めて受付嬢に話を聞く。

 そして、聞けば聞くほどコテツが生きているのが絶望的だとわかった。

 

「・・・ギルドで捜索隊とかでないんですか?」

「でません。ギルドでは捜索隊はだしません、冒険者一人一人にそんな事をしていたらきりがありませんので」

「・・・そうですか」

 

 わかってた事だ、だが納得できない。こんな危険な仕事をしているんだ。仲間が死ぬ事もあるだろう、実際につい最近俺は首を跳ねられ死んでいるのだから。

 

「それでは、こちらの剣はどうしますか?引き取られますか?」

「えぇ・・・引き取ります・・・」

「それでは、こちらにご記入を」

 

 渡された書類にサインしていき、コテツの両手剣を受け取る。

 ずっしりしたその剣を持つと我慢していた何かが溢れてくる。

 

「・・・ちくしょう・・・ちくしょう」

「カズマ、今は遠慮せずに泣くといい。我慢するな」

「なにいってるんだよ・・・自分は泣いてないじゃないかよ」

 

 そう言いダクネスの顔を見ると・・・

 

「ッ!?」

 

 泣いていた、普段は物静かで趣味以外は感情をあまり表に出さないダクネスが泣いていた。

 

「私だって辛い。だが私は泣かない、皆が辛いときは私は、私だけは泣くものか。コテツはそう簡単に死にはしない。私達がコテツを信じなくてはどうするのだ。遺体が見つかってないのだ、だとしたらコテツは絶対に生きている。そう・・・信じてる・・・」

「・・・おい、目から何かでてるぞ」

「これはさっき飲んでいたネロイドだ」

「そうか、俺も・・・信じてる。コテツは生きているってな」

 

 そう言い、ダクネスを見るとダクネスは微笑んだ。

 

「さて、まずはめぐみんを落ち着かせて、準備をしよう。ダクネス、できれば人手が欲しい、集めてくれないか?」

「任せろ、めぐみんを頼んだぞ」

「おう」

 

 そう言い、俺たちは別れた。

 待ってろコテツ、今助けに行くからな

 




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