この素晴らしい世界に銃声を!(旧)   作:大根の刺身

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 すいません、お待たせしました。


この幽霊屋敷で生活を!

「いやーこれまでお世話になりました」

「いえいえ、良いのよコテツちゃん。また何かあったらうちにきなさい、歓迎するわよ」

 

 遭難してから数日、俺はほとんど寝ていた。別に怠けていたわけではない、風邪を引いただけだ。

 俺が風邪を引いている間にカズマはいい依頼を受けてきた。

 

「それでコテツちゃん。これからどこで寝泊まりするの?」

「仲間と暮らすんですよ女将さん。うちのリーダーが屋敷付の依頼受けてきたから皆でそこに住むことになったんです」

「そうなの?よかったじゃない」

 

 そう、カズマが何処からか豪邸付の依頼を受けてきた。達成条件は屋敷に集まる悪霊の浄化、うちのパーティーにはアークプリーストのアクアがいるし、クルセダーのダクネスはスキルを取れば簡単な聖魔法を使えるはずだ。

 俺は本格的な物は使えないが悪霊程度なら短剣や両手剣に魔力を流せば倒せない事もない・・・1体に何分かかるかわからんが・・・

 カズマもやろうと思えばできるだろうが最初から魔力を通す為に作られた魔剣や聖剣などの特殊な剣と違い無理やり魔力を武器に通すため、結構な量の魔力を消費するので、カズマにはあまり向かない。

 

「コテツちゃん?」

「おぉと、女将さんすいません」

「いいのよコテツちゃん。あ、そうだ!これ持って行きなさい」

 

 そう言うと女将さんは厨房から紙袋を持ってきて渡してきた。

 

「はい、これサンドイッチよ。沢山あるから皆で分けて食べてね」

「ありがとうございます!それじゃ、待たせているのでそろそろ行きます」

 

 女将さんに別れをいい、俺は宿をでると教えて貰っていた場所に向かった。

 

 

 街の郊外にある一件の屋敷、普通の一軒家の数倍はある屋敷。とある貴族の別荘だったらしいこの屋敷が手放し、売りに出そうとしたところ悪霊騒ぎがおき、買い手がつかなかったらしい。

 一度定着した評判はなかなか拭うことはできない、その事に困った不動産屋がウィズに相談しようとしたところ、たまたま居合わせたカズマとアクアが依頼を受けたのだ。

 

「待たせたなカズマ」

「あぁ、コテツか」

「んで、除霊はどんな感じだ?」

「進展なし、と言うかそもそも昼に悪霊がでるわけないだろ」

「それもそうか。あ、これ俺の泊まってた宿の女将さんからだ」

「お、マジで。ありがたいな」

「それじゃ、俺は荷物置いてくる」

「おー部屋割りはしてたからなー」

「おけーありがとう」

 

 俺は荷物を持ち割り振られた部屋に行き荷物の整理を始めた。

 

 

 深夜、俺は屋敷の中を歩いていた。別に何も目的が無く歩き回っている訳ではない、ちゃんと仕事をしている。

 アクアやダクネスのようにちゃんとした浄化魔法なんて使えないが、教会から聖水貰ってきたからまぁ大丈夫だろう。

 だいたい屋敷を一周したときだった、特に何も起こらないからそろそろ寝ようかと考えていたら

 

「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 突然カズマの叫び声が聞こえた。 

 

「アクア!アクア様ぁぁぁぁぁ!!!」

 

 アクアを呼んでいるっと言うことは悪霊にでも会ったのだろう、聖水すら持っていないだろうカズマは霊体の相手はできないしアクアに助けを求めに行くのは当然の事だろう。

 俺はアクアの部屋に向かっているとそれを見た、アクアの部屋のドアにガツガツとぶつかる西洋人形を・・・

 

「ギャァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 俺は気がつくと走り出し西洋人形を蹴り飛ばしアクアの部屋に入った、中にはカズマとなぜかいるめぐみんそして・・・・ベランダにびっしりと張り付いた大量の人形と目があった。

 

「「「ああああああああああ!!!!!!!」」」

 

 俺達は叫びながら部屋から走って出て行った。

 

 

 

「ううっ・・・二人ともいますか?離れないでくださいよ?」

「大丈夫、いるよ」

「もし人形が出ても置いていかないから早くしてくれ」

 

 部屋から逃げた俺達は近くのトイレにいた。カズマとめぐみんはトイレしたくて起きていたらしい。

 

「と言うかなにあれ?全部悪霊かよ?」

「たぶんな、コテツは聖水持っているんだろ?」

「まぁあるにはあるけどよ、あの量には無いのと同じだろ」

「そうだな」

 

 俺達が話しているとめぐみんが言う。

 

「・・・あの、コテツにカズマ。流石にちょっと恥ずかしいので、大きめの声で歌でも歌ってくれません?」

「いやめぐみんさんや、気持ちはわからんでもないが流石に夜中にしかもトイレの前で歌えとはキツいよ・・・」

「そうだよ!どうせこれから野外やダンジョンでこんな状況いくらでもあるだろ!」

 

 そう言いながらもカズマはアカペラで歌い始めた。

 そして、それを聞いて今まで少し思っていた事が確信に近づいてきた感じがした。

 

「・・・ふぅ。えっと、もういいですよカズマ。聞いたことも無い随分変わった歌ですね?前から思っていたのですがカズマやコテツってどこの国出身なんですか?」

「トイレの前で歌う風習のある日本って言う素敵な国だよ。ほら行くぞ。とっととアクア探して合流しようぜ」

「トイレの前で歌うのはカズマだけだけどな、まぁいいか、ほいカズマお前も聖水持ってろ」

 

 俺が持っていた聖水を半分渡して、俺とカズマが前を歩きながら進む。

 その後ろをめぐみんがペタペタっと付いて来るが俺のシャツを摘まむのはやめてほしい、恥ずかしくてたまらん。

 っとその時だった。

 俺達がトイレの手洗い場から廊下にでようとすると・・・。

 

 カタ─カタ─カタ─

 

 嫌な音が聞こえ、俺達は手洗い場のドアの前に身をかがめた。

 人形マジ怖い・・・が俺は別の意味で震えている。何故ならめぐみんが俺のシャツをギュッと掴み、震えながら身を寄せて来たからだ。

 普段は格好良く見せようとするめぐみんが今は体を小さくして震えている、その姿を見てしまった。

 

(あ、可愛い)

 

 俺は柄にもなくそんな事を思ったがそれも一瞬で吹き飛んだ。

 

「って、おい!めぐみんやめろ!この屋敷ごと吹き飛ばす気かっ!?しかも手が俺の方向いてるよ!?」

 

 めぐみんは恐怖のあまり爆裂魔法の詠唱を始めていた。

 慌ててめぐみんの口を塞ぎ暴れないように抱きしめて落ち着かせる。

 

「落ち着け、いやマジで・・・よし大丈夫か?」

「え、えぇ・・・」

 

 顔を真っ赤にして頷くめぐみんをカズマの方に連れて行き俺は真剣な顔でカズマに言う。

 

「カズマ、お前ドア開けたらめぐみん連れて走れ!俺は時間稼ぐ。なに心配するな聖水まくだけまいて最悪爆破して逃げてるからな死ぬ事は無いだろう!」

 

 頷くカズマにめぐみんを任せ、聖水の入った瓶を投げれるように持つ。

 

「っらぁ!かかってこいや!全員灰にしてやらぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 叫びながらドアを蹴り開けると、ごっ!っと言う音鳴ったが気にせず瓶を投げる。

 

「アクア!お、おいアクア大丈夫か!?・・・つめた!?」

 

 駆け抜けようとしたカズマ達が唖然としているのでよく見てみると、ドアの前に顔を押さえてうずくまるアクアと頭から聖水を被ったダクネスがいた・・・

 

 

 

「ふぅ、これでよし、と。結構いたわねー。結局朝までかかっちゃったじゃないの」

 

 アクアが最後の悪霊を浄化し、明るくなってきた窓の外を見て言った。

 流石にアークプリースト、大量の悪霊を一晩で退治してしまった。

 

「ふむ、一応ギルドに報告した方がいいだろう。クエストを受けた訳ではないが、本来なら冒険者ギルドがなんとかするべき仕事だ。街の悪霊屋敷の一つを浄化したことで、臨時の報酬が貰えるかもしれない」

 

 ダクネスの言葉に頷く、そして俺とダクネス、めぐみんが散らかった屋敷内の後始末をし、カズマとアクアがギルドへの報告に行くことになった。

 

 

「なぁコテツ」

「何だよダクネス」

 

 掃除をしているとダクネスが話しかけてきた。

 

「いやなに、コテツはめぐみんをどう思っているのか気になってな」

「おい、何だよどうって・・・そりゃ・・・仲間だよ・・・」

 

 ダクネスはニヤーっとして更に聞いてくる。

 

「ほう、本当にそれだけか?」

「何だよダクネス、んなことよりさっさと手を動かせよ」

「・・・まぁいい、今度また聞かせてもらうからな!」

 

 そう言ってダクネスは終身ニヤニヤしながら自分の作業に戻って言った。ったく、俺がめぐみんをどう思ってるって決まってるさ。

 

「そりゃ好きだよ」

 

 でも、まだこの気持ちは伝えない。もう少しだけ今の関係を・・・




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