「おい、あんた」
「ん?」
デストロイヤー討伐の作戦内容が決まり、デストロイヤーを迎え撃つ予定の平野で罠を仕掛けている時に、とんがり帽子を目元が隠れるまで深く被った紅魔族の少年、ちょいざぶろーが話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
「・・・ふぅーん、なるほどねぇ~」
「・・・おい、いきなり何なんだよ!」
「いや~別に~」
さっきも思ったが何なんだこいつは!
「俺も準備するかな」っと言いながら何処か行こうとするちょいざぶろーは最後に
「・・・まぁあっちでもよろしくなぁ~」
「?」
あっちってなんだよ・・・
─────
「でけぇ!それに速え!予想外に怖え!!」
「来たぞ!全員頭を低く!踏みつぶされないように、絶対にデストロイヤーの前にはでるんじゃないぞ!」
冒険者の檄が飛び、デストロイヤーの討伐が開始された。
だが、デストロイヤーのその巨体に冒険者達がパニックを起こしかけていた。
デストロイヤーはもの凄い勢いでアクセルへと突き進む・・・よし!予想通りのルートだ!
デストロイヤーが赤い線で印を付けた場所に入った瞬間、デストロイヤーの足元から轟音がなった。
「対戦車地雷だ!これなら少しは削れるだ・・・チクショーゼンゼンクラッテネー」
戦車ですら一時的に動けなくする対戦車地雷を何発も受けながらも、気にした様子すら見せずに突っ走るデストロイヤーを双眼鏡越しに見て軽く挫けそうになる。
「てか、お前大丈夫なのか?生半可な魔法じゃ効かないと思うんだが・・・」
「・・・何故俺が足止め何ぞをしなきゃ行けないんだ」
俺は隣にいるちょいざぶろーに話し掛けるが返事がない。
こいつと俺の役目はデストロイヤーの足止めだ。
あの後来たウィズが爆裂魔法を使える事がわかり、ギルド職員の指示で、アクアが結界を破り、ちょいざぶろーが爆裂魔法の命中しやすくなるように足止め、めぐみんとウィズが爆裂魔法で足を破壊する事になった。
だが、ちょいざぶろーは自分の役割に不満が有るらしい・・・まぁ、あれだけ言って足止め係りになったのだから同情する。
「えぇい、王都のギルドなら間違いなく俺が抜擢されるのだが、流石初心者集まる街のギルド・・・」
「くだくだ言ってないで準備しろ!もうそろそろだぞ!」
「『セイクリッド・スペルブレイク』ッ!」
俺がちょいざぶろーに怒鳴るとほぼ同時にアクアの手から白い光の玉が撃ち出された。
それはデストロイヤーに張られた薄い膜のような物が張られ抵抗したが、ガラスの割れるように、粉々に弾けた。
「おいぃぃぃ!!次お前の番だぞぉぉぉぉ!!ささとやれぇぇぇぇえ!!!」
「うるさい、あわてるな詠唱は終わっている」
結界が破られたにも関わらず動かないちょいざぶろーに怒鳴るが心底ウザそうな顔をして、紅い宝石のついた杖を取り出す。
「さぁ、沈め『ハイグラビディ』」
ちょいざぶろーが魔法を唱えた瞬間、爆音が鳴り響いた。
「「「「・・・爆裂魔法必要ねぇぇぇぇ!!!」」」」
ここにいた冒険者全員が叫んだ。
対戦車地雷ですら止まらなかった起動要塞デストロイヤーがちょいざぶろーの魔法一つで地面に叩きつけられたのだ。
デストロイヤーの回りは大きく陥没しており、デストロイヤーは潰れたクモのような姿になっていた。
「くぁぁ・・・ん?何やってるんだ?速く足破壊しろよ。効果は何時までも続かないぞ?」
呑気に欠伸をしながら、そう言うちょいざぶろーが言うようにデストロイヤーは少しづつだが、足を動かし始めていた。
『お、おう!ウィズ頼む!そちらの側の脚を吹き飛ばしてくれ!おい、めぐみん!お前の爆裂魔法への愛は本物なのか?いつも爆裂爆裂言っているお前が負けたらみっともないぞ?お前の爆裂魔法はあれも壊せないへなちょこ魔法か!?・・・てか、ちょいざぶろーに任せてよくね?』
「な、なにおうっ!?我が名をコケにするよりも一番言ってはならない事を・・・あれ?」
不意に辺りが暗くなり、空が曇り始めた。
「『雷光よ、雨のごとく降り注げ』」
ふと隣をみるとめぐみんが爆裂魔法を使う時のような雰囲気も纏ったちょいざぶろーがいた。
「『全てを破壊し、蹂躙し、最強と言う物を見せつけろ』」
ちょいざぶろーが一言言葉を発する度に膨れ上がる魔力。
そして、その姿を見たウィズが驚きの声を上げる。
「ふ、複合魔法!?」
「『ライトニング・レイン』」
デストロイヤーの片足に閃光が降り注いだ。
強烈な光とわずかに遅れてやっていく轟音。
一発だけではない、何発も何発も同じ場所に落ちる。
デストロイヤーの脚は最初の数発は耐えていたが、落雷の回数が増える事にその脚を赤くしていき、約20発目の落雷でとうとう砕け散った。
「フハハハハハハ!!見たか!!!これぞ我が雷魔法の極地!!!複合魔法で他属性の物とあえて混ぜず、一撃の威力が重いライトニングと、複数回落ちるサンダーレインを複合した魔法!!!威力と攻撃回数、そして何よりこの派手さ!!!これこそ魔法の到達点だ!!!!・・・まぁ、威力と使い勝手は得意の炎系の方が断然上だけど・・・」
─────
『この機体は、起動を停止致しました。この機体は、機動を停止致しました。排熱、及び機動エネルギーの消費ができなくなっています。搭乗員は速やかにこの機体から離れ、避難してください。この機体は・・・』
「「乗り込めー!!」」
今にも爆発しそうなデストロイヤーに次々と冒険者たちが乗り込んでいく。
めぐみんより先に、魔法で片方の脚を破壊したちょいざぶろーは満足気な表情で休んでいる。
そしてもう片方の脚もウィズの爆裂魔法で破壊され、デストロイヤーは完全に動けなくなったのは良かったが、場所が街に近すぎた。
このままデストロイヤーが爆発すれば少なからず街に被害がでるだろう、それを防ぐため冒険者達は突き進む。
─────
「どうするんだよこれ!?」
「どうしようか・・・」
ここはデストロイヤーの動力室、そしてこの機体の動力源になっていた、鉱石コロナタイトがあった。
永遠に燃え続けると言われるその鉱石は、エネルギーの消費ができなくなっており、直ぐにでもボン!っとなりそうだった。
だが、この今場所にこの鉱石を何の問題も無く処理できる者がいなかった。
「本当にヤバい!コテツどうしょう!」
「うるせぇ!だいたいカズマが何も考えずにスティールでこれ抜き出す方が悪いんだろうが!」
「何だと!コテツがスティールでとれるんじゃね?っとか言い出したからやっだけだろ!」
「本当にやる馬鹿だとは思って無かったんだよ!この馬鹿!」
「喧嘩してる場合ですかふたりとも!」
今ここにいるのは冒険者のカズマ、盗賊の俺、爆裂魔法しか使えないめぐみん、そしてあまり使えない自称女神のアクアだ。
ちなみにウィズはちょいざぶろーに連れられてどこかに行った。
「アクア!これできるだけ冷やして時間かせいでくれ!」
「ま、任せなさいな!」
俺はアクアにそう頼みながら壁に手をつく。
「コテツ何してんだ」
「いや、なに。こうするんだ!」
俺は壁に魔力を流しながら、最近新しい使い方が判った〈武器精製〉を使う。
精製する武器をイメージし終わった途端壁が姿を変え始めた。
新しい使い方とは物に魔力を流して、物を武器に変える事だ。
これ1から物体を創らなくてもいい分魔力の消費が少ないのだが、精製した武器の質は素材にした物の質によって変化するので、質の悪い物で創ったら最悪持っただけでも壊れる物ができるだろう。
そして、これのメリットは俺以外の人間でも使用できる事だ。
このデストロイヤーは魔法金属の塊だ質の悪い物はまずできないだろう。
「よし、カズマ!それこっちに渡せ!」
「投石機か!わかった!」
アクアができる限り冷やしていたコロナタイトを受け取り火傷しながらもセットしようとしたときだった。
「ふぅー疲れたわ。よっこらせっと」
アクアがそう言いながら投石機に寄りかかたのだ、発射のスイッチを押しながら・・・
「ブッ!?」
勢いよくコロナタイトと共に空に投擲された俺は遠ざかるデストロイヤーと地面を見て恐怖を覚えた・・・ってか怖えぇぇぇぇぇ!!!
「あぁぁぁくぅぅぅぅあぁぁぁぁ覚えておけよぉぉぉ!!!」
デストロイヤーの内部に残っていたエネルギーを使用てし打ち出したため、勢いはハンパない。
そして、こうしている間にもコロナタイトはその輝きを増して行っている。
「も、燃えるぅぅぅ!!!腕が燃えるぅぅぅ!!!」
クソ!どうせこんな事になるなら!
「何をやっているのですかコテツ!?」
「いや、確実に人のいないところにこれを飛ばすことできるのは俺だけみたいだからな」
「バカ!止めろコテツ!」
「じゃな皆・・・少しの間だったけど、楽しかったよ」
その日、俺は・・・
「っとか胸アツな事してからが良かったぁぁぁ!!!」
手の中にあるコロナタイトの輝きは赤いを通り越して白い光を放っている。
「ちくしょー!!ぶっ飛べ!!!」
俺は落下し始めると同時にコロナタイトを上に投げた。
そして・・・光と爆音が世界を包んだ。
─────
「いっ!?」
不意に目が覚めた、あの爆発で生きていたこと、そして、あの高さから落ちて無事だったことに我ながら驚いた。
そして、もう一つ・・・
「ここ・・・どこだよ・・・」
俺は薄暗い洞窟の中にいた・・・
感想、誤字脱字などお待ちしております。
誤字報告をしてくださった皆さんありがとうございました!
おまけ 由来
「なぁ」
俺はちょいざぶろーに気になった事が有ったので聞いてみる。
「紅魔族のかわった名前って由来とか有るのか?」
「紅魔族の名前が変わっているかどうか小一時間ほど話したいが・・・俺のにはあるぞ」
「お、そうなのか?良かったら聞かせてくれよ」
「いいだろう!心して聞け!」
ちょいざぶろーは帽子で見えづらい鋭い目をこちらに向けて話し始めた。
「まず俺の両親とめぐみんの両親の仲は良いんだ。気持ち悪いほどに」
「最後の必要か?」
「知らん、黙って聞け。それでな、俺が生まれる時どんな名前にするか迷ってだな、親父が親友のひょいざぶろーさんの名前からちょっと貰おうっとなったんだ」
「お、おう」
だいたい話しが読めてきた・・・
「んでな、ざぶろーを持ってくることだけは決まったんだが・・・その前に付けるものをどうしようかと悩んで・・・」
『あらーひょいざぶろーさんからちょっと貰ってきたのだからもうちょいざぶろーでいいんじゃないかしら?』
『それだ!』
「って感じだったらしい」
「それでいいのか紅魔族・・・」