この素晴らしい世界に銃声を!(旧)   作:大根の刺身

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この迷子に・・・

 

 コテツが空に吹き飛んで行く様子を見て、ちょいざぶろーは笑う。

 

「フハハ・・・計画道理だな、これで異界へ行く為のお膳立ては終了。クリスにかなり怒られそうだが・・・そこはしょうがないと割り切るか・・・さて、そこで見ている雑魚なリッチー、アイツの体諦めるならあんたの子供の所に連れて行ってもいいぞ」

 

 ちょいざぶろーが何も無い場所にそう言うと、突然それは現れた。

 この世界では特別な意味を持つ、黒い髪に紅い目、出るところは出て、ひっこむところはひっこんでいる体。

 腰まで届きそうな髪をなびかせて、彼女は現れた。

 

「・・・いつから気づいていた」

「最初から」

 

 問に即答するちょいざぶろーは続ける。

 

「この街のギルドもあんたも、リサーチが足らねぇーよ。俺知らねぇとかね」

「・・・あんた何者?」

「何者って見た通り、普通の紅魔族に決まってるじゃないか」

 

 そう言うちょいざぶろーを見て女性は声を低くし、言う。

 

「普通ですって?普通の紅魔族が難攻不落指定ダンジョン攻略数5つ、王国軍が討伐を失敗したドラゴンなどの超危険なモンスターを討伐17体、それを全てたった1人で行ったあなたがただの紅魔族ですって?」

「それでも僕は!ただの紅魔族です!」

「嘘をつくな!」

 

 そう怒鳴るリッチーの女性を見て「はぁー」っとため息をつき、ちょいざぶろーは言う。

 

「そんな事より、めぐみんの体狙ってたようだけどそれを諦めるなら、お前が向こうに行くのを手伝ってもいいぜ?」

「・・・無理よ。異世界に渡るには丈夫な実体がいる、だから私はあの紅魔族の体を狙ったのよ」

「そりゃ、人が使う前提で造られているあの神器を使うなら、体は必要だったろうな。あれは体と言う器を先に飛ばし、座標を安定させ、魂が体に引き寄せられる性質を使い異世界に渡る物。魂に相当な負担がかかるからな。リッチーじゃ下手すりゃ消えるな」

 

 「だが」っと続け、ちょいざぶろーは紅い瞳をリッチーの女性に向け、言う。

 

「神器を使って消えるなら、神器を使わなければいい。それこそ、紅魔族の得意な魔法を使ってな」

「魔法ですって?」

「そ、魔法だよ・・・もっとも、冒険者カードみたいな便利な物が無かった時の奴だけどな」

 

 そう言い、ニヤリと笑うちょいざぶろーにリッチーの女性は聞く、『何故、自分を手伝うのか』っとそれにちょいざぶろーは帽子で目元を隠し、答える。

 

「俺は好きだからさ・・・紅魔族がね」

 

 そう言いながら、こちらに向かってくる白髪の盗賊の女の子から逃げるように、その場から離れていった。

 

 

─────

 

「よし、把握。ここアクセル近くじゃ無いな」

 

 それどころか、あの国ですらない可能性が出てきた。

 それは、ちょっと前のことだが、このダンジョンだと思わしき所を攻略に来たと思う冒険者パーティーが通ったのだが・・・

 

「お、すいません!」

「ーーー。ーーーー、ーーー。」

「・・・なに言ってんだこいつ?」

 

 言葉が・・・通じなかったのだ。

 更に不幸な事に、どうにか意志疎通をはかろうとするも、冒険者達の後ろにモンスターがいて、今にも襲いかかって来そうだったので、ハッシュパピーで撃ち落としたら、俺が突然襲って来たと勘違いし、武器を抜き、飛びかかってきたのだ。

 動きを見るからに駆け出し・・・それもレベル10あるればいいかな?っ程度だった。

 相手の振ってきた剣を籠手で受け止め、そのまま左腕で片腕を掴み、懐に入りって、右手で相手の頭を掴んだ、そして・・・

 

「ジジイ直伝!CQC!」

 

 思わずそう叫びながら地面に冒険者を叩きつけてしまった・・・

 俺のlevelは最近31になり、たまに両手剣を使うようになったからか、筋力値ソードマンになれるほどが高くなっている。

 しかも、俺が習得しているスキルは殆どが対人系のスキルで、その中には勿論、素手での攻撃力を上げるスキルや、相手を気絶させやすくなるスキルなど持っている。

 その筋力値で地面に叩きつけられた、冒険者は派手な音を立て、地面と激突し、気を失った・・・

 それを見ていた他の冒険者は顔を青くし、我先にと逃げていく。

 

「ふぅ・・・よし!・・・ってよしっじゃねぇぇぇ!!!」

 

 因みにそう言いながら頭を抱えていた俺の隙を見て、気を失った冒険者も連れて行っているのが俺にとっては絶望的だった。

 

「ど、どうしよう・・・せっかく街に行くチャンスが・・・」

 

 まさかダンジョンの上に街があるわけないし、もしここから出れたとしても、街の方向がわからなかったら意味がない。

 だが、ここは見たかぎり、人がよく通っているみたいだ。

 本当に街から近い場所に有るのだろう、モンスターもでるが、それは『潜伏』スキルでどうにでもできるし、食料は・・・まぁ、ある。

 初級魔法は覚えているので水分にも困らない、いざとなったらモンスター狩ってから食えば良いだろう。

 

「さて、そうと決まれば罠を張るかな」

 

 俺は周りを見渡し、ちょうど良い岩場を見つけその周りにお手製の罠と、クレイモアを設置し寝床にする岩場の陰にポーチから薄暗いここの場所では見難い、藍色の布を取り出し、被せ設置した罠とまとめて『隠蔽』スキルを使い、『潜伏』スキルを使いながら横になり、少し休むことにした。

 

「大量にアンデットモンスターが出てこないことを祈ろう・・・ふぁ・・・」

 

 そうして俺は少し眠ることにした。

 

─────

 

「カズマ、めぐみんの様子はどうだ?」

「今は泣き疲れて寝てるよ・・・」

「しょうがないさ。あんな事が合ったんだからな・・・」

 

 コテツがコロナタイトを持ったまま、空に打ち上げられて、1日すぎた。

 生存は絶望的で、ギルドはデストロイヤー討伐が犠牲者がたった1人ですんだことは奇跡的だといい、明日、正式に死者1名で王都のギルドに報告するそうだ。

 流石にコテツが前、遭難した時に捜索を手伝ってくれたガーズ達やラドも、今回はもう生きていないだろうと言って捜索は俺達だけで行ったが、死体どころか体の破片すら見つけられなかった。

 

「アクアの方はどうなんだ?」

「アクアはアクアでキツそうだ、浴びるほど酒を飲んでいる」

「いつものこと・・・っと言いたいが、あれみたらそれも違うってわかるからな・・・」

 

 冒険者は危険な仕事だ、怪我は毎日のようにするし、死にそうな目にもあう。

 だが、どこかで俺や仲間達は死ぬ事なんて無いっと思っていた・・・あ、俺はこの世界に来てからも何回か死んでるか。

 死ぬはずがない。

 それは間違いだったと今思い知らされていた。

 確かに、まだコテツが生きている可能性はある。があの爆発の中を生き残り、そして、あの高さから落ちて生きていられるのだろうか?

 例え生きていても、酷い状態なのは確かな事だろう。

 そして、俺達は覚悟が足りなかった『いつ死んでもおかしくない』そんな事はわかっているつもりだった。

 だが、結局はわかっていなかった。

 コテツが死に、それがよくわかった、わかってしまった。

 

「・・・何で死んだんだよ・・・コテツ・・・!」

 

 言ってもしょうがない・・・だからせめて、アイツのためにやれることをしよう。

 例えば・・・葬式とか?

 そうだ、葬式をしよう、この世界のものではなく、日本の葬式を・・・

 

 

─────

 

 死んでもいないのに葬式を開かれそうになっているコテツの前に、狼人が近づいていた。

 それは確かに特別と言える3人の出会いの始まり。

 1人は『神』から力を与えられ、共に魔王の討伐を目指す者。

 1人は数々の『神』が多くの眷族を従え、争う中でたった1人で戦ってきた者。

 その2人が出会おうとしていた。

 そして・・・

 

「あ、マジで。もう送っちまったぞ?」

「君は何をやっているんだ!」

 

 残る1人がやらかした事で、割と洒落にならない事態になっていることはまだ、誰も知らなかった・・・




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