この素晴らしい世界に銃声を!(旧)   作:大根の刺身

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この紅魔族の目的を

 

 ここは元難攻不落指定のダンジョン『叡智の塔』近くに多くのドラゴンが生息している谷があり、その中には特別指定モンスターである『アジ・ダカーハ』を始め極めて危険なモンスターの生息している。

 そんな危険な場所の近くにあるこのダンジョンはその性質からこう呼ばれている。

 

『生ゴミの叡智』

 

 元々このダンジョンは大昔の賢者が建てたと言われており、地上の五階からなる書庫には失われた魔法や聖剣や魔剣の生成方法など現在誰も使えない・・・いや、世界で一人しか使えない知識納められている・・・がこの書庫に入るには一部例外を除き地下のダンジョンを攻略しなければならないが、そこは攻略されたと言っても元難攻不落指定ダンジョン、並みの冒険者はまずこのダンジョンに挑む前にドラゴンとの遭遇を恐れ近づかず、一流の冒険者も馬鹿みたいなモンスターの配置、卑劣なトラップなどで諦め、途中で引き返す事が多かった。

 

『ダンジョン攻略が厳しいなら、壁に穴あければいいんじゃね?』

 

 そう考えた者がいたが結果は失敗、爆裂魔法を塔に打ち込んだ瞬間、塔の魔力結界で威力は削がれ、傷ついた壁も一瞬で再生した。

 そして、その結果に唖然としている爆裂魔法使用者の頭上に大量の生ゴミが降り注いだのだ、絶妙に腐り変な汁がしたたり落ちている最高に臭い物が・・・

 そう、このダンジョン外からの攻撃に対して反撃するのである。

 地下のダンジョンに生息するモンスターから魔力を少しずつ奪い、転移魔法の応用で世界中からかき集めてきた生ゴミを襲撃者の頭上へ転移させ、そのまま落とす。

 たまにいい感じに腐ったゾンビも生ゴミと判断され転移してくるのだからたちが悪い。

 その塔全体が生ゴミ転移装置である事から『生ゴミの叡智』っと呼ばれるようになった。

 そんなダンジョンをソロで攻略した人物こそ、自室に改造した五階の一室で正座をさせられている紅魔族の少年、ちょいざぶろーである。

 

「すいません、もうしません、だからゆるしてー」

「棒読みじゃないか!ちょいざぶろー、君本当に反省してるのかい!?」

「いや、全然」

「そうだよね!みてわかるよこんちくしょう!」

 

 呆れる白髪の少女・・・クリスはちょいざぶろーよ全く反省していない様子を見て、ため息をつきながら続ける。

 

「はぁ・・・今回君がしたこともう一度言ってみてよ」

「めぐみんの体狙ってた元同族のリッチーからめぐみん守るため、めぐみんの近くにいたリッチーの計画の要の男をリッチーの行きたかった異世界に男の持ってた神器をわざと発動させ飛ばし、体乗っ取る手段無くしたリッチーに元同族のよしみで異世界に飛ばしました。あと、あっちの世界に俺の欲しい神器見つけたので取りに行く予定です」

「帰る手段は?」

「考え中」

「コテツが帰って来れる保証は?」

「無い」

「死ぬ可能性は?」

「めちゃくちゃ高い」

「帰って来れなかったら?」

「大爆笑」

「馬鹿じゃないの!?」

 

 あまりの計画性の無さに嘆くクリスを宥めながら、ちょいざぶろーは言う。

 

「まぁまぁ、クリス。そんな怒るなよ、だからいつになってもそんな胸なんだよ」

「それなら僕の胸が小さいのは全部ちょいざぶろーのせいなんだね」

「知らんがな」

 

 ちょいざぶろーは立ち上がり、机に置いてあった本をクリスに渡しながら続ける。

 

「とりあえず、これ読んで頑張れ」

「ん?」

 

 クリスはちょいざぶろーから受け取った本の題名をみて固まる。

 

『胸を大きくしよう!5~紐でわかる格差社会~』

 

「ねぇねぇ!今どんな気持ち?今どんな気持ち?」

「君に生まれたとこを後悔させてやりたい・・・」

「下着盗られた君にできるならやってみ」

「ぐぬぬ・・・」

 

 煽るちょいざぶろーとキレる寸前のクリス。

 これはちょいざぶろーとクリスが出会った頃から変わらない関係だったりする。

 そんな一触即発の空気の中、ちょいざぶろーの部屋の隅の小さな窓から小さなドラゴンが入ってきた。

 

「キュー」

 

 そのドラゴンは鳴きながらちょいざぶろーの頭の上を一回りし、そのままちょいざぶろーの肩にとまった。

 

「ん、ラナ戻ったか」

「キュー!」

 

 ラナと呼ばれた小さなドラゴンはちょいざぶろーに数回頬ずりをした後、咥えていた鱗の欠片をちょいざぶろーに渡し部屋の隅にある自分の巣に行き羽を休める。

 このドラゴンはちょいざぶろーとクリスが一時期、共に行動していた時に偶々拾った卵から孵ったハンドスケールドラゴンで2人によくなついている。

 ちなみにラナっという名前は当然ながらクリスがつけた、ちょいざぶろーがつけていたら『ラナ』ではなく『しょうきち』になっていた。

 

「それは?」

 

 クリスはちょいざぶろーにの手のひらに有る鱗の欠片を見ながらきく。

 

「真竜の鱗の破片」

「え?・・・えぇ!?」

 

 

─────

 

「他の異世界に正確に転移する場合、目印となる物が必要だ。あのめぐみんの仲間の時は神器に設定された世界に飛ばすだけだから別に必要は無かったが、こちらに戻ってくる時はそうには行かない。神器、もしくはそれに匹敵するほどの物を媒体にゲートを作り上げる。」

「魔力はどうするの?」

「この塔を使う」

 

 ちょいざぶろーは壁を叩きながら言う。

 

「この壁の模様は地下のダンジョンに生息しているモンスターから魔力を奪い、天井の魔法陣に魔力を送り魔法を発動させる機能があるみたいだ。そこに細工をして隣の部屋に作った魔法陣にも魔力を送れるようにした。多少地下のモンスターが弱るが特に問題は無い、危険だけ高く旨味がこの書庫への入出、及び本の観覧だけのここに冒険者はまず来ないだろうし、来たとしても2階層で逃げるだろうさ・・・これで今できるここに帰ってくる為の準備は終了。実験なんてできないから帰って来れるかは実際にしないとわからないが・・・」

「それはわかったけど・・・」

 

 ちょいざぶろーの言葉を頷きながら聞いていたクリスは頭に青筋を浮かべながら手に持った短剣をちょいざぶろーの頭に少し押し込みながら言う。

 

「ラナが何で真竜の鱗持ってきたかそろそろ言おうか!」

「ままま、待て!待てクリス!いやクリスさん!刺さってる!!短剣刺さってるよ!?このままだとちょいざぶろーさん逝ってしまうよ!?斬新なオブジェになっちゃうよ!?」

「大丈夫さ!誰も気にしないからね!」

「気にするよ!俺超気にするよ!」

「あ、なら問題ないね」

「あるよ!超あるよ!わかったから胸の事でいじって悪かったから!・・・あれ?クリスさーん?・・・痛い!痛い!話す!話すから!!や、やめ・・・アーーー!!!」

「変な声出さないでくれるかな!」

「じゃ、刺すの止めろ」

「・・・わかった」

 

 クリスが短剣をしまうとちょいざぶろーは続きを話し始めた。

 

「まず、この鱗だが。別に真竜の巣に直接取りに行かせた訳じゃないよ。これは俺とラナの半年にも及ぶ暇つぶしの成果だ」

「・・・一応聞いておくよ、何してたの?」

「いや、殺し合い(友情を深め)に・・・」

「馬鹿だね」

 

 『断言された!?』っと叫ぶちょいざぶろーをみて呆れながらクリスは言う。

 

「それでどうなったの?」

「えっとね・・・死にかけた」

「それはわかるよ」

「おけ、わかりやすく言うとだな。真竜寝てる、魔法撃てるだけ撃つ、真竜起きる、襲われる、仲良くなるだ」

「意味わかんないよ・・・」

「わからんでいいさ、それより俺は向こうに行くよ。ちと洒落にならん神器有るらしいからね、俺はまだ大丈夫だが、あのリッチーが万が一触れたりしたらあっちの世界マジでヤバいな・・・ぶっちゃけどうでもいいが・・・」

「おい!」

「いや、ちゃんとやることはやるよ。もしかしたらあの世界にいるかもしれないからな」

「・・・誰が?」

「昔また合おうと約束した奴ら」

 

 寂しそうにそして懐かしそうにそう言ったちょいざぶろーは身を翻し、装備を整え始めた・・・何時かの約束を果たすために・・・

 

 




詳細

元難攻不落指定ダンジョン『叡智の塔』

 『元』難攻不落指定されていたダンジョン。ちょいざぶろーが攻略し、難攻不落指定が解除されたが、まだちょいざぶろー以外の突破者はいない。
 全30層のこの地下ダンジョンだが、配置モンスターの内20%が『恐怖の大王』っという嫌がらせメインのダンジョン。
 だが、『恐怖の大王』以外のモンスターは高い魔力を持ち、戦闘能力の高いモンスターが配置されている。
 最下層にはコントロールパネルがあり、触れた者を新たな塔の管理者に登録する。その管理者がもつ権限は強く、地上の書庫に入出制限の解除や防衛機能の詳細変更、地下ダンジョンのモンスターから摂取する魔力量の調節や地下ダンジョン限定のモンスターへの命令権など様々である。
 ちなみにだが、このダンジョンは襲撃者に対しての防衛機能があり、襲撃者の頭上に大量の生ゴミなどを落とす事から『生ゴミの叡智』など呼ばれていたりする。
 ちょいざぶろーが攻略した為、大量の攻略成功報酬がなくなり、ハイリスクローリターンだと思い冒険者達がこのダンジョンに来ることは無くなった。
 『叡智』っと名の付くだけはあり、その書庫には今は失われた魔法などの様々な知識が眠っている。

モンスター

『ハンドスケールドラゴン』

 その名の通り、手のひらサイズのドラゴン。
 希少種で呪いなどの効果を弱める力を持っていたりする。

『真竜』

 正式名称『誰も真の姿を見たことの無い竜』
 常時自信に幻術をかけていて、見た者が心の中で思い描いているドラゴン像の姿を相手に見せる。
 実際の大きさは誰も知らないが、デストロイヤー並の大きさがあるとされ、下手に小型のドラゴン像を思い描いていたら、何も無い所から攻撃を受けたように感じる。
 また戦闘能力も高く『叡智の塔』周辺のモンスターの中では頂点にたっていたりする。
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