緋弾のアリア-果を目指す者たち-   作:十文字氷架

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あっれー、いつのまにか前回から一ヶ月たってる…(白目)
そして4話にして各話の題名に困ってきた作者です。


第4弾-いざ神奈川へ-

 始業式だったため昼前に学校が終わり、現在キンジと俺はクラスメイトたちから逃亡中だった。

と言っても、実際のところ追われているのはキンジだけなんだけどな。

 

「ったくあいつら他人事だと思いやがって…」

 

「誰でも他人のそういう話は気になるもんさ」

 

 アリアさんがあんなやり方で否定したとはいえ、過剰に反応するような何か、があったことは間違いない。そう踏んで、関係者であるキンジを質問責めにするべく、追ってきているのだろう。ちなみに、クラスメイトたちがこんなことをしているのは今日が暇な日だからだ。普段ならば単位などを取るための依頼に追われて、こんなことをしている暇はない。

ため息をつくキンジ。そんな時、俺の携帯電話がメールの受信を知らせた。

 

「こんな時に誰…って弓士さん?」

 

 そこには今朝、キンジのPCにメールを送ってきた人物の名が表示されていた。メールには、学校が終わったならすぐに連絡して欲しいという内容が記載されていた。

こんな時に、と心の中で悪態をつきながら俺はアドレス帳から弓士さんの名前を探し出し、通話のボタンを押す。数コールの後、弓士さんの声が聞こえ、繋がったのがわかった。

 

「もしもし、どうしましたか、弓士さん」

 

『夜一か、キンジは一緒かね?』

 

「ええ、今色々あって追われてますが」

 

 俺がそう言うと、電話口から大きなため息が聞こえる。…すごく申し訳ない気持ちになった。

 

『…やれやれ、また面倒事か。ならばすれ違わずに済んで良かったかもしれんな』

 

 こちらの内心を知ってか知らずか、弓士さんはこんな提案をしてきた。

 

『今諸用で東京武偵高に来ているんだ、良ければ乗っていかないか』

 

「……!ええ、ぜひお願いします」

 

『わかった、あと10分もすれば私の方の用事は終わるからな。15分後に第一駐車場に来てくれ。車は自衛隊の軍用ジープだからわかりやすいはずだ』

 

 そう言って、弓士さんの方から電話が切れる。俺はキンジに弓士さんからのうまを伝え、2人で第一駐車場へと向かった。

 

 

 

 第一駐車場につくと、先生たちの車の中に混じって迷彩柄のジープが止めてあった。俺たちが移動を開始してすぐ、弓士さんから『鍵は開けておいた』と、メールが来たので、主に追われているキンジを先に後部座席に乗せ、俺は追って来ているやつがいないか周囲を確認していた。すると、

 

「…何やってるの?」

 

と、誰かの声が聞こえてくる。声の方を向くと、そこには首を傾げた1人の少女が立っていた。

 

「ストーキングしてるやつがいないか確認してる所だ」

 

 よく見知ったその少女に、やっていることをそのまま伝えると、呆れたような声で、

 

「夜一は久しぶりに会うと、毎回厄介事に関わってるね」

 

と、言われた。この声をかけてきた少女は衛宮美遊。さっき電話で話した弓士さんの義妹で、俺の幼馴染の1人である。

 

「毎回とは失礼なことを言うな、美遊は。俺の所為なのは精々3割くらいだぞ」

 

「…それでも多すぎ、巻き込まれる人の身にもなって欲しい」

 

 ジトリとした目でこちらを睨んでくる。大なり小なり、俺が好奇心で首を突っ込んだ厄介事で時間を取られることが多いのがこの美遊だ。次点でキンジ。よって彼女の言う文句は最もなことなのだが、今回ばかりはそれに気づかないふりをして、俺は美遊に尋ねた。

 

「ところで美遊はなんでここに?もしかして弓士さんが言ってた用事と何か関係があるのか?」

 

「え?それはーー」

 

「ーー遅れてすまない、待たせてしまったかね」

 

 美遊が返答しようとしたタイミングで白髪に褐色の肌を持つ大男が顔を見せた。彼は衛宮弓士、ここにいる美遊の義兄であり主に海外を中心に活動している傭兵でもある。

 

「2人とも何の問答をしていたかは知らないが、こちらも予定が押している。早々に車に乗ってくれるとありがたい」

 

弓士さんの言い分に俺と美遊は揃って頷くと、車に乗り込んだ。それを確認した弓士さんが運転席に乗り、車を目的地に向かって走らせ始めた。

 

「お久しぶりです、遠山先輩」

 

「ああ、衛宮の方も元気そうだな」

 

 車に乗ったことで、初めて顔を合わせた美遊とキンジはお互いに挨拶する。

 ちなみに美遊は幼馴染メンバーも含め、基本的に年上には先輩を付けて呼び、敬語で話す。例外は俺と士郎くらいのものだろう。…士郎は兄だから分かるにしても、俺の呼称が呼び捨てなのは、つける必要性を感じないからなのだろうか。前に聞いたら『原因は自分で考えて』と言われた、何故だ…

 

「それで今回は何が原因で追われている?もし、夜一が余計なことに首を突っ込んだのが原因なら、その辺で捨てていくが」

 

 目的地に向かう車中で、弓士さんが今回の原因についてこちらに尋ねてきた。…もう少し自重するか、好奇心に任せて首突っ込むの。

 

「今回は登校中にとある事件に巻き込まれまして…その結果キンジがクラスメイトに追われています」

 

「…なるほど。今回はキンジのせいだということか」

 

と、弓士さんが言うと心外だとばかりにキンジが言葉を発した。

 

「…今回は巻き込まれただけです。別に俺は何もしてません」

 

「ほう、ではHSSにはならなかったのかね?」

 

 無実を主張するキンジに、弓士さんの訝し気な指摘が突き刺さる。

 

「え、いや、それは…」

 

「…やはり君は、その力を使いこなせるよう訓練を積んだ方がいいと思うのだが。使いこなせればトラブルを引き起こす確率も減るだろう」

 

 言い淀んだキンジに、弓士さんの最もな指摘が続く。…弓士さんの言うことは正論だが、まだキンジには酷だろう。中学時代のトラウマがまだキンジは抜け切っていないのだ。

 

「弓士さん、そこまでにしといてあげてください。キンジだってわかってないわけじゃないんです」

 

「…ふむ、そうか、ならばこれ以上は言うまい。この後の宴で辛気臭い顔されていても困るしな」

 

 弓士さんはそう言って運転に戻る。キンジの方はといえば、無言で考えこんでしまっていた。

 

「気にすんなよキンジ、ゆっくり克服してきゃいいんだ」

 

「…悪いな、着くまでには切り替える」

 

 そう言って、無言に戻るキンジ。さっきの会話が原因だろうか、車内は気まずい雰囲気に包まれてしまっていた。

 

「と、ところで事件って何に巻き込まれたの?」

 

 無言になってしまった車内の空気を気づかってか、美遊がこちらに話題を振って来た。

 

「ああ、チャリジャックだよ。武偵殺しの模倣犯の仕業だったらしいけど」

 

「え、だ、大丈夫だったの?」

 

「結果的には。ただ久しぶりに2人揃って命の危険を感じたな」

 

 内容をさらっと口にすると、美遊が不安気な声を漏らす。キンジは俺の言葉に黙ってうなずいた後、鋭い目線をこちらに向けてくる、…見捨てようとしたこと根に持ってやがるなコイツ。そんなに睨むな、後で埋め合わせしてやるから。

ふと美遊の方を見ると、こちらへと向けた顔がどんどん不安気に曇っていっている。…この話題は早々に切り上げた方が良さそうだ。

 

「この話はここで終わりな、どうせ偶々キンジが狙われただけだろ」

 

「偶々って…」

 

「前に捕まった武偵殺しも、ほぼ無差別犯だったんだ。偶然だ、偶然。だからそんなに心配しなくていいぞ」

 

 俺がそう言うと、途端美遊はムッとした表情になり

 

「別に夜一の心配はしてない、遠山先輩の心配をしてただけ」

 

「…さいですか」

 

 可愛げないな相変わらず、などと内心思っていると弓士さんがぼそりと、何かを呟く。美遊には聞こえたのか、キッと運転席の方を睨んでいたが、一体何を言ったのだろうか。それと弓士さん、運転中にハンドルから手を離してまで、やれやれのジェスチャーしないでください、危ないです。

 

「そういえば聞きそびれてたけど、美遊はなんで東京の武偵高に来てたんだ?」

 

「…神奈川の方じゃなくて、こっちに通うことになったの」

 

「なん…だと」

 

「理由に関しては、詳しく知らない。ただ凛さんとイリヤ姉さんが今日説明してくれるって」

 

 凛にイリヤという名前を聞いて、思わず顔が引きつる。

…あの2人が組んだ時はロクなことが無いからだ。神奈川やベルリンの武偵高では〈ミス・パーフェクト〉やら〈雪の妖精〉などと呼ばれ、憧れの的らしいのだが、親しい人達の間でのあの2人の呼び名は専ら、〈紅白の悪魔〉である。俺より厄介事を持ってくると言っても過言じゃない。

美遊の発言に、キンジはキョトンとしているが、弓士さんの方は頭を抱えていた。どうやら弓士さんも知らない案件らしい、キンジはただ単に、未だあの2人の本性を知らないだけである。

さらに、この予想は外れていて欲しいのだが、今日説明するということは少なからずこちらにも関係があるということだ。…何があってもいいよう、到着までに覚悟だけはしておこう。

 

 

 しばらくしてキンジも切り替え終わったようで、車内は4人のたわいも無い雑談で時間が過ぎてゆく。車が向かう先は神奈川にある洋館、衛宮邸である。

 

 

 

 この時クラスメイトたちとは別に、アリアにもつけられていたことを夜一たちは知らない。弓士の車に乗ったことにより、厄介事の種をひとまずは先送りに出来たのであった。




ようやく4話投稿です。いやほんと遅れてすいません…
試験が重なって忙しかったんです。

さて、今回はオリジナルの回でした。
…今回の話で難産だったのが、Fateキャラである美遊の口調です。
原作では小学生で、かつ同年代の男子との会話が全くと言っていいほど無いためほんとに大変でした…原作っぽいキャラになってれば幸いです。

アーチャーの方はいろんな2次に出てるのでいくらか楽でした。と言ってもクオリティは他の作者には遠く及ばないと思いますが…

それとキャラ紹介ですがあとがきが無駄に長くなるので、ページ作りました。毎話更新するたびにそちらもなにかしら更新します。
今回は初登場の弓士と美遊になります、夜一も少しだけ更新します。

オリジナル要素だけは、出てきたら後書きで説明しますね。


次の話ではさらに大量の新キャラたちが登場。ああ…また更新が遅くなりそう。


感想・評価・お気に入り・アドバイス等、どしどし待っておりますので、気が向いたらぜひよろしくお願いします。
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