やっと新天地に辿り着きました。
これより先は前作の彼らの冒険から4年後の世界となります
尚、前作にて主人公が消滅(もとい解雇)しておりその後任となる新たな仲間が加わっております( ̄▽ ̄;)
彼らが一体どのような道をどのように進んでいくのか本当に楽しみです(0゚・∀・) ワクテカ
前作の伏線もまだまだ残っていますしこれから貼る伏線もあると思うので楽しみに待っていただければなぁと思います(*´ω`*)
「それじゃあ行ってくるね」
そう言って肩くらいまでの髪を後ろで束ねた少女はランドセルを背負うと家を出て行く
彼女の名前は鉄 華音
かつてデジタルワールドを旅し、救った子供達の一人だった
時はあの戦いから4年近く経ち、今では小学5年生にまで進学したのだった
家を出てすぐに彼女は隣の家の居住者、八神ヒカリと合流し、中学生へと進学したその兄太一に挨拶をしてエレベーターに乗り込もうとする
「あ、おはようございます。
最近ここに引っ越してきた龍崎 明(リュウザキ アカリ)って言います。」
エレベーターの中には先客が乗っていたらしい
所々天然パーマか、寝癖かは分からないが髪がぼさぼさとはねており左手には何やら本を、右手には家で出たのであろうゴミ袋を持っていた
第一印象はあまりよくはないが礼儀正しい根はいい奴といった感じだった。
「おはよう、私は鉄 華音、こっちは友達の八神さん」
華音はそう言って自己紹介をすると明は少し目を見開くとクスクスと笑い出す
そしてエレベーターが1階に着くと同時にこう言って降りていった
「なるほど、『鉄』さんにヒカリさんですか。」
彼のその言葉に華音は首を傾げる
ヒカリは何かを疑うような眼差しをゴミ捨て場へ向かう彼の背中へと向けていた
ヒカリと華音は談笑をしつついつも歩く通学路を歩いていく
しばらくすれば目の前に校門が近づいてきてそこをくぐれば中、高学年ほどの子供達がわらわらとサッカーをしていた
そこで目に留まったのはボールを渡す金髪に帽子を被った少年とゴーグルを付けた少年だった
目に留まったとは言ってもその時その二人だけがサッカーをしていなかった上すぐ近くにいたからなのだが。
そうこうしているうちにいつの間にやら教室へ辿り着く
中では男子と女子が分かれて朝恒例の噂話をしていた
ー今日、転校生が来るらしいよ?
ーどっちも男なんだっけ?
ー美少女が来るのがお決まりだよな。
ー来ても悲しくなるだけだろ
そんな噂話を聞き流しつつ席につき机の中から最近読み始めた小説を取り出す
この小説にはなかなか好感が持てた
図書室で算数のテスト対策の為に参考書を探していた時にたまたま見つけたのだがどうやらはまり込んでしまったらしい
しかし読めるのもよくて10分程度すぐに先生が引き戸を開け入ってくる
「今日は転入生が2人来てるぞー
みんな仲良くしてやれよ?」
先生がとても爽やかな笑顔をしながらみんなに投げ掛ける
正直暑苦しいと思うのは内緒である
私のその心の言葉を聞き届けたかのように2人、新たなクラスメイトが入ってくる
2人とも朝見た顔で1人はエレベーターであった明・・・だったかな?
もう1人は朝見たどこか見覚えのある金髪の少年だった
「どうも、龍崎 明って言います
あれ、鉄さんと八神さんと同じクラスですか。」
絶妙な間抜け感である
すると彼はぼけーっとした顔で頬を掻きながらま、いいかと言い自己紹介を始める
「小学1年の夏頃に親の都合でここから離れて4年ほど外国へ行ってました
1年の時には龍とかアキとかって呼ばれてました。
まあ、戻ってきたってことでただいまって言いたいところですね」
女子がそれに対して質問を投げ掛けた
「明君はどこに住んでいたの?」
すると彼は予想外の行動を取った
「先生、それじゃあこっちの子の紹介してあげてください。」
まさかの質問をガンスルー
しかし女子は聞こえなかったのかなという表情でもう一度質問をする
「明君は・・・「さあどうぞ!俺なんかに構わず自己紹介をしようぜ?」
今度は質問を遮っていた
明らかに悪意のある行動である
そんな彼に対してもう1人の方は苦笑いをしながら自己紹介を始める
「高石タケルって言います。
よろしくお願いします。」
そこで華音は気付いたこの少年が誰なのかを
この名前と容姿からして間違いないと確信した
一緒に冒険した仲間の1人だ
後で話してみることにしよう
密かに彼女はそう思った
「そ、それじゃあ龍崎の席は鉄の隣
高石の席は八神の隣だな。
知り合いみたいだし席空いてるしな。」
先生がそう言うと彼は周りに目もくれず席へ歩き出し
一連の動作で素早く座り
その直後始業のチャイムが鳴り響く
「あ、授業始まっちまった・・・
まあいいか、じゃあ前回言った通り確認テストからやっていくぞー。」
1時間目は算数
ある意味先生も人が悪い
転校生が来るというのに1日目からテストなのである。
まあ、やるところは4年生の復習なのでわかるはずだが。
テストが始まって20分ほど経ったのだろうか?
どうやら隣人は既に終了したのか撃沈したのかは分からないが終了体制、つまりは睡眠状態に入っていた
横目で見てみると配られた計算用の藁半紙には一文字も書かれていなかった
やはり諦めたのだろうか
と、そんなことを気にしている暇はないと自身も問題に打ち込む
テストは全5問
1問目2問目と基礎計算
3問目でグラフ問題
4問目で筆算練習
5問目では面積の応用問題だった
面積の応用問題がさっと見た感じだと地味に面倒になっている
まずAを求め、次にBを求め、AとBを足し・・・という風な面倒なだけの典型的な時間削り問題だった
とは言っても面倒なだけで簡単といえば簡単なのだが。
しかし後一歩と言うところで先生から無慈悲にも終了の合図が出されてしまう
ふと気になって隣人を見れば答えだけが書かれた回答用紙を回収役の人に渡しているところだった
残りの国語、理科、社会に関しても同様で
彼は全て開始20分ほどで夢の世界へと入っていた
そして最後、全てのテストが返却される
テストは全て全5問、1問20点の高得点配分でケアレスミスの数で減点していく仕様らしい
私は所々で不必要な式を書いたり字が少し違っていたりで結果としては
国語、算数、理科、社会の順に
90 80 98 100だった
「さて、で・・・今回のテストだが・・・満点がいた。」
なるほど、大方私の隣の方ですかね。
「龍崎、よく頑張ったじゃないか。」
先生がそう言って龍崎君に声を掛けると突然彼の雰囲気は激変した
ピリピリとした威圧感のような何かを放ち出し、その直後ぼそりと呟いた
「失敗は許されない
彼の失敗を繰り返さない為に
ここへ戻ってきたのだから・・・」
先程までとは明らかに違う
人が変わったどころの話ではなかった。
ある種、恐怖を感じさせる目と気配だった
その気配はまるで・・・
「まるで・・・?」
何かに形容しようとしたのだが思い出せない。
まるで記憶が抜け落ちたかのようにそれは浮かんでこなかった
それと同時に終業のチャイムが鳴り響く
号令が掛けられ遅れ気味に慌てて立ち上がる
その時に私の頭から先程の疑問は抜け落ちてしまった
そしてそのままホームルームを終え放課となる
「ヒカリちゃん、帰ろ?」
「うん、タケル君も誘っていかない?」
そんな感じで話していると真横を龍崎君が通り過ぎていく
先程の嫌な気配はすっかり鳴りを潜め元のアホっぽい雰囲気に戻っていた
彼は教室を出ると近くの階段を上っていく
確かこの上はパソコン室があったような・・・
「久しぶり、鉄さん・・・?
どうかしたの?
龍崎君を食い入るように見てたけど・・・」
「いや、ちょっとね」
そう言って華音はタケルとヒカリの方に向き直る
するとヒカリは顔を背けぷるぷると震え出す
何やら笑いを堪えているらしい
「・・・ヒカリちゃん、大丈夫かな?」
そんな私の言葉にタケル君は苦笑いをして目をそらす
「最近、太一さんは元気?」
「うん、毎日部活で忙しいみたいだけど元気すぎてうるさいくらいだよ」
「華音ちゃんは・・・いや、ごめんなさい、なんでもないわ」
ヒカリは華音に何かを言おうとして踏み留まる
言うべきではないと判断したのではなく
『わからない』と判断した結果だった
「タケル君、あとで電話番号教えてもらえるかな?
話したいことがあるの」
ヒカリがタケルにそう言うとタケルは首を縦に振りランドセルからメモ用紙を二枚取り出し電話番号を書き出す
それと同時にバタバタと騒々しい足音が迫ってくる
「よう!ヒカリちゃん、華音ちゃん!」
本宮 大輔、うちのクラスの男子の1人だ。
サッカークラブに入っていて恐らく朝ボールを持ってた方の人だろう
ゴーグルが特徴的な太一さんに近いものを感じる少年だった
「転校生!お前、ヒカリちゃんのなんなんだよ!」
「え?何が?」
大輔の言葉にタケルはそれだけ返して書き終えた電話番号を華音とヒカリに手渡す
その光景を見て大輔は地団駄を踏み始める
「あはは、大輔くん、君さ、面白いね」
そう言ってタケルは再び火に油を注ぐ
残る2人はそれを無視して話を始める
「そういえば華音ちゃん、もう1人の転校生の・・・龍崎くん?
彼はどうだった?」
「んー、単純に頭の良いひねくれ者って感じだったけど」
そう言うとヒカリは苦笑いを浮かべる
それと同時に噂をすればなんとやら
当の本人が昇降口から欠伸をしながら降りてくる
「あ、奇遇だね、ちょうど龍崎くんの話をしてたところなんだ」
そう言って彼女は手をこまねき彼にこっちへ来いとアピールする
「あ、すいません。
今日はちょっと急ぎの用があるんで、失礼しますね」
そう言ってヒカリの横をするりと抜けとても静かに校舎から立ち去っていく
そんな彼を見て華音達も帰ることを決めたのか四人で固まりになって歩き出す
そして下駄箱のところへ着いたときだった
華音のつま先に何かがぶつかりふと彼女は足元を見た
それはブックカバーの付いた本で何やらメモが大量に書き込まれ挟まれている
「なんだろ、これ・・・鉄・・・龍・・・?」
意味は理解が出来ないが何やら人のような形の枠が描いてありそこへ向けて矢印が描かれていた
他のページでは人と人とが入れ替わる絵、人の体内で燃える2つの炎、13個の水晶玉などがあった
最後のページのメモにはよほど慌てていたのか殴り書きの字で『ごめんな』と記されていた
誰かが水でも零したのか最後のページだけにシミが付いており紙もぐしゃぐしゃだった
名前でもないかとブックカバーを外すとその中からまた新しくメモが落ちる
その紙には割れた仮面、折れた刀、炎の中にマルの入った模様が描かれていた
その絵にヒカリが即座に顔を青くする
ヒカリの異常に気付いたのか、タケルと大輔がそれを介抱する
「どうしたの?ヒカリちゃん、この絵が・・・」
すると彼女の本を持つ手を何者かが背後から掴む
「その本、返してもらえますかね。」
先程足早に立ち去った龍崎だった。
恐らく本を落としたことに気付いて戻ってきたのだろう
中身を見られていないか気にしているといった様子で、額に汗を浮かべ華音の手を握る手に心無しか力が籠っていた
「うん、いいよ。
それにしても随分と慌ててたみたいだね。」
「それはあなたには関係ない事ですね。」
そう言って彼は本を無理やり奪い取るとそれを片手に立ち去ろうとする
その時に華音が挑発を掛ける
「本の中身は何だったんだろうな〜。
奇妙な絵やら言葉やら不気味な程に書き込まれてたんだよなー。」
完全に棒読みだがその一言で彼は再びあの気配を放つ
「中身を見た・・・と、言いたいのですかね?」
彼はそう言って前を向いたままこめかみの辺りを爪で軽くかく
華音はそれに対して何も言わずただその背中を睨み続ける
「見たのか、見てないのか。
それを僕は聞いてるんですが・・・答える気はないのか?」
彼はそう言うと右回りに身を半分翻すといつの間にやら紅く染まった右目で華音を睨み据える
左側も同じ様になっているのかは知らないが威圧感は授業の時の比では無かった
「答 え ろ 。」
彼の言葉が途端に超スロー再生の様に遅くなり声が異常なほど低く聞こえる
それと同時に彼の腕が目や口、首に拘束具を掛けられたような悍ましい龍に変貌し物凄いスピードで飛び掛ってくる
華音はそれに驚き後ろへと尻餅をつく
しかし次に目の前を見た時龍どころか当の本人の龍崎すら姿を消しており狐につままれたようだった
「鉄さん?聞いてる?」
気付けば真横からタケルが顔を覗き込んでおり先程のショックで呆然としていたため少し驚く
そんな華音にタケルはやっぱり聞いてなかったのかという表情でこう言った
「何もいないのになんで下駄箱なんか見てるのさ。
とりあえずヒカリちゃんを保健室まで運ぼう。」
ヒカリは完全に意識を失っており大輔が肩を貸して担いでいると言った形だった
「ああ、うん、そうだね。」
華音はそう言ってヒカリを運ぼうとする大輔とタケルに手を貸す
しかしその間中ずっと先程までいた「ハズ」の彼の存在が頭の中から消えることは無かった
寧ろ、今まで忘れていた何かを思い出したような感じがした。
そしてヒカリを保健室へと運び込むと保険医の先生は恐らくはヒカリの家へと電話を掛けたのだろう
すぐに話は済んだようでもう帰っていいとのことで保健室から追い出されてしまう
「まあ、帰ろうか。
ヒカリちゃんの異常については明日以降にでも聞いてみよう」
それだけ言うとタケルは何やら用があるのか駆け足で走り去っていく
しかし大輔と2人だけで取り残された華音にとってはたまったものではない
華音が明日あの金髪を毟ってやるなどと物騒なことを考えていると突然隣を歩いている大輔が質問を掛けてくる
「なあ、あいつ・・・一体なんなんだ?」
華音はその言葉に一瞬反応を遅らせる
しかしすぐに取り繕う言葉を発する
「あいつ・・・?」
すると大輔はバカでも見るような呆れた目で華音を見る
「龍崎だよ、さっきいただろ?
なんかめちゃくちゃ嫌な気配出してたじゃねーかよ。
特に右腕の辺りなんか吐き気がするほど特に気持ち悪かったんだよな〜。」
その言葉に華音は少し驚きを見せる
タケルは恐らく
彼の存在に気付いていないもしくは彼の気配を感じ取れていなかった
恐らくは華音に向けられたモノだから華音に感じ取れた
それだけなのだろうがまさか右腕のことまで感じ取れていたとは思わなかった
「ふーん、大輔くん、面白いね?」
そう言って華音が笑うと階段を滑るように降りてきた光の玉が大輔の眉間に鮮やかな弧を描いて命中する
その様子に華音は何やってんだと言った表情で苦笑いを浮かべる
しかしその苦笑いもすぐに姿を消す
彼のそばに落ちていたのは明らかに空なんて飛ぶわけも無さそうな「トランシーバー」のような形をした何かだった
「これは・・・?」