「…何、危険すぎる物を押し付けてくれてるんだぁー!!!」
思わず叫んでしまったオレに罪はないと思う。
旅行中に、地震で崩れた瓦礫に潰されそうになった人達を助けてたら、自分が押し潰されて死んだら意味無いだろうな。
死んだと思った時、目の前に居たのはお兄さんと白い髪のお爺さんと謎の仮面の人(?)。なんでも、別の世界に転生させてくれるらしいけど…。
「「「何が不満なんだ?」」」
揃って言ってくれましたよ、この連中。
「ワシの持つ六色のスピリットのマジック、ネクサスのカードを現実で使える様にしてやったと言うのに。」
どうやったか非常に気になる所だ。……その中にブレイブやバーストが無いのはこいつが第二期のラスボスだからか…『異界王』!? これだけは言って置く、『幻羅星竜 ガイ・アスラ』は要らない!!! このスピリットは現実に呼べたら、世界滅ぼせるだろう、軽く!?
「まあ、彼等を押し付けてしまったのは申し訳なく思う」
ただ一人だけ申し訳なさそうにしてくれているのは、爆丸に登場する『古の六戦士』の一人『ファーブニル』。普通はドラゴ達(新旧どちらでも可)だろう、と思ったがやっぱり押し付けたかHEXが使っていた爆丸達…だけど、六属性の内の風と闇はメカ爆丸だけど良いのか?
「やれやれ、折角、オレは子孫達の力を全部付けてやったのにな」
……ある意味、アンタのが一番性質が悪いと思うぞ……東京魔人学園伝奇の幕末編の主人公『緋勇 龍斗』。
子孫達、世紀末の魔人達の戦闘技術に術……《力》までって……。ああ、世界の支配者にもなれるって言うのかよ、オレは。《黄龍の器》の《力》に《菩薩眼》までって……。
「いや、菩薩眼と四神覚醒は無いぞ。まあ、術や技は使えるし、器では有るがな」
…………そうですか。だけど、一歩間違えれば死者蘇生も出来そうなものを押し付けてくれたね、この人は。
「しかし、旅先で人助けして死ぬなんて、お前も相当なお人好しだな」
今更ながら自分でもそう思いますよ。結局、今までの他人のせいで今まで碌な事にならなかった。挙句の果てがこれだからな……。
「その意思に感心したから、二度目の人生を歩ませてやろうと思ってやってきたら……」
「自分と同じ事を考えていたのが他に二人も居たと?」
揃いも揃って頷く目の前の三人(?)の方々。
「最初は我々の内の誰かの世界に送ろうと言う事になったのだが」
「それだと、力を与えなければ間違いなく危険な世界が一つ有るからな」
「悪かったな、危険で」
そう言ってファーブニルと異界王が龍斗へと視線を向けると、不貞腐れた様にそう言って明後日の方向を向く。
まあ確かに……命が幾つあっても足りない魔人の世界と、結構安全な爆丸とバトスピの世界じゃ、危険度にも差があるか;
「うむ。それで、全員の世界の力を与えて関係のない世界に送ろうと言う事になった」
「まっ、お前が嫌なら元の世界で転生させてやるけど、前世の記憶は消させてもらうけどな」
「あー……その送られる世界って、力が無ければ危険って事ですか?」
無言のまま頷いてくれる御三方。
「まっ、どうするかはお前の自由って奴だ。何処の世界に行くかはオレ達にも決められないけどな」
「聞くまでも無いさ。折角の申し出、精々二度目の人生を楽しませて貰うよ」
オレの言葉に満足気に頷く御三方。そうだ。そもそも、オレは誰かを助けようとして死んだ。それだけじゃない、友達と呼んだ相手も、親と言う遺伝子提供者も、他の奴等だって……オレを裏切った。だったら、今度の人生は自分の為だけに、好き勝手に良きたって良い筈だ。……少なくとも、誰かの為に命を賭けるなんて馬鹿な事はしないで、長生きする為に!!!
「そうか。ならば、私の方は準備が有るので遅れて送る事になるが、他の二人の力が有れば暫くは大丈夫だろう」
いや、確かにあの人類の規格外集団の集大成の様な《力》が有れば、個人レベルで核兵器所持しているような物だし、そこにバトスピのスピリットまで有るんだから、寧ろ……爆丸達は過剰戦力じゃ…。ぶっちゃけ魔人学園シリーズの登場人物全員の能力って点で十分過ぎる気が……
「いや、《力》もバトスピの力を現実に引き起こすのも、所詮はお前個人の力だ。個々の意思を持っている連中なら、お前が動けない時でも動いてくれるだろう」
「例外は有るがな」
うん、風と闇はね。姿を消していくファーブニルを他所に異界王がカードの束を渡してくれる。
「《力》と前世の記憶に目覚める条件はお前が物心付く頃だ。じゃあ、そう言う訳で第二の人生を楽しんで来い、《天凪 総麻》」
龍斗がそう言うとオレの視界を光が包んでいく。
主人公……改め、総麻SIDE OUT
「さあ、奴はどんな道を選ぶかな?」
そう呟き笑みを浮かべながら異界王もまた姿を消していく。そんな異界王の姿を一瞥しながら、龍斗は総麻の消え去った方を見つめる。
(最悪は異界王(あいつ)と同じ、全人類への憎しみを撒き散らしながら、全てを滅びへと進む《陰》とも《陽》とも違う《邪》の道へと進む未来しかなかった)
龍斗が総麻へと告げた言葉の中には一つだけ嘘が有る。総麻は転生前から先天的に間違いなく自分と同じ《黄龍の器》だった。だが悪い事に、彼の心は間違いなく全てを滅ぼしかねない、陰でも陽でもない《邪の器》と言うべき道へと進んでいた。
異界王は総麻の中の憎しみを感じ取り、自分の後継者として選んだのだろう。ファーフニルはそれでも最後まで誰かを助けようとした心に可能性を覚えたのだろう。そして、龍斗は……
「今度こそ本当に信じられるモノを手に入れられると良いな、総麻」
自分を始まりとして四代に渡り戦った宿敵に近いものへと堕ちる未来を感じ取りながら、宿敵とは違い最後まで誰かを助けようとした彼の未来に希望を持った。
だからこそ、彼が与えた力は彼が得る事の出来なかった、自分や子孫達が得た最高の仲間達の力だった。次の生でこそ彼が本当に信じられるモノを手に入れる事を願いながら。