龍の転生者と魔物達の転生記・龍龍(とう)   作:龍牙

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無印編
第一話1


龍斗SIDE

 

 

どうも、『天凪(あまなぎ) 総麻(そうま)』、転生者です。結局、自分の前世の記憶が目覚めたのは物心ついた時でした。ええ、何と言うか今世でのオレの両親って『天凪 京梧』と『天凪 小鈴』と言うそうです。

 

………………どう考えても両親の外見は、東京魔人学園伝奇の『蓬莱寺京一』と『桜井小蒔』にそっくりです……。まあ、名前から言って正しくは幕末の頃のご先祖様の方なんだろうけど…似てるのは。

取り合えず、魔人学園伝奇の登場人物かそのそっくりさんが居そうで怖くて両親の友人について詳しく聞けませんが……。

 

まあ、深くは気にしないで置こう。少なくとも、仮にこの人達が本人達だとしてもそれはそれで東京魔人学園伝奇の事件は起こらないとは確信できたし、今住んでいる場所は海鳴市と言う名前らしく、東京じゃないから、怪事件には巻き込まれないだろう。……既に1999年は過ぎてるし。

 

……うん、友人に忍者な骨董品店の店主とか、関西弁を喋る仙術使う中国人とか居ないよね……? 親友に菩薩眼の御方や、白虎のレスラーまたはお坊さんや、魔人シリーズの主人公は居ないよね……? 炎を操るパイロキネシスを使う女の子も、陽気なラテン系の銃使い(ガンナー)も。ホント、居たら居たで怖いから調べたくないけど……。

 

まあ、それはそれとして、今世では良い両親に出会えた事を幸運に思いながらも、小学生になった時………………クラスメイトの顔を見て、この町が別の事件の舞台である事を知って絶望した。

 

そう、此処は『魔法少女リリカルなのは』とその続編である『魔法少女リリカルなのはA‘s』の舞台となる場所だ。思いっきり、物語の中心人物で有る将来の“管理局の白い悪魔”こと『高町なのは』がクラスメイトの中に居た。

 

これって、この時点でかなり深刻なレベルで危険なのではと疑問に思ってしまうほどだ。

 

(まあ、なるようになるだろう)

 

少なくとも、今考えたとしても実際に起こらなければ推測するだけムダだろうと考えて考えを切り止めた。

 

だが、最低限の対策として、その日までに少しでも戦えるだけの力を身に付けておくだけだ。

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰か……。僕に力を……貸してください。魔法の力を……』

 

「……うるさい……」

 

布団から体を起こしながら寝惚け眼で総麻はそう呟く。

頭の中に響いてくる声、その声の正体を総麻は知っている。これが魔法少女の物語の始まりとなる異世界からの漂流者『ユーノ・スクライア』の助けを求める声だろう。

 

そして、一人の少女の全ての運命の始まりの時に立って改めて思う。『自分が好き好んでこの事件に関わる必要は無い』と。

物心ついてから《力》を扱う訓練はして来たが、ユーノの念話が聞こえて来たという事は自分にもランクは分からないが魔力が…………もっと言えばリンカーコアが有るのだろう。

確かに和洋中の魔術は使えるが、それは氣を利用した物なので魔力の有無については今まで分からなかった。

だが、今回の無差別な助けを求めるユーノの念話で自分がリンカーコアが有る事を確信した。今回の事件を回避しても次の事件には確実に巻き込まれる。

 

ボーっとそんな事を考えながら、総麻は頭に響いてくるユーノの声が聞こえなくなった事を幸いに、そのまま布団に横になって眠る。

考えてみれば、何気にそれかなり危険な事だと言う事に気付いていなかったし、《原作知識》と言う名の“九割がた当たる未来予知”によれば、少なくとも此処でユーノの命が危険に晒される事は無いだろうとも思っていた。

 

(……今度は、今度こそは絶対に関わらない……)

 

思えば小学校への入学時になのは達と同じクラスになったのは良いだろう。単なるクラスメイト程度の関係ならば問題は無い。だが、運悪くなのはと『アリサ・バニングス』が喧嘩している場面に通り掛ってしまった。

喧嘩している二人に気付かれない様にこっそりとその場から逃げ出そうとした時に、オロオロとしてた『月村すずか』に見付かり掴まってしまったのが、ある意味では運の尽きだった。

 

(……まあ、それだけなら単なる友達未満な関係だ……。その程度の関係なんだが……)

 

少なくとも、なるべく気配を読みながら自然な形でなのは達を避けている総麻との関係はそれ以上は進んでいない。精々が知り合いから友達の間の『友達未満』と言う呼び名が正しいだろう。

 

だが、今回の事件の解決には関わらないとしても、ユーノの発掘したジュエルシードが町中に散ってしまったこの事件は、下手をすれば町自体が危険に晒されてしまう。

少なくとも、なのはが無事事件を解決できるかどうかまでは影ながら見届ける必要が有るだろう。

万が一、彼女が失敗したら、自分が動く必要が有り、事件の矢面に立つしかないのだし。

 

(……最悪は気付かれない様に助けるしかないか……)

 

なるべくそうならない事を祈りながら、最悪の事態を想定しつつ総麻の意識は睡眠の中へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

翌日の放課後、総麻は鞄を適当な場所に置いて何時も通り人目の無い森の中で古武術《徒手空拳技・陽》の基礎訓練を行っていた。

総麻に与えられている才能が魔人学園伝奇の主人公の一人《緋勇 龍麻》と同等だとすれば、武術を学んでいない状態で不意打ちでは同年代の不良に負けて、正攻法ならば苦戦はするが“暗殺者”や“鬼”にも勝てると言う色んな意味で謎なレベルだ。

どちらにしても攻防のバランスの取れた万能型の武術である《徒手空拳技・陽》の訓練は必須だろう。

 

実戦の経験には劣るが少なくとも基礎を高める事で扱える技も出てくる。

これから起こるであろう最初の事件、それを影ながら手助けするか、自分の安全の為になのはに変わって直接解決するかはまだ解らないが、少なくとも此処で徒手空拳技・陽の技の練度を高めておくのは悪くない。

 

 

 

―ガサッ―

 

 

 

ふと、茂みの中で何かが動いた音を聞き取る。

 

(……助けて……)

 

頭の中に響いた声に思わず足を止めてしまう。

 

「……しまった……。そう言えばこの辺だったか……ユーノが拾われた場所は」

 

それに気が付き、思わず顔色を悪くする。間違いなく此処で下手に長居し続けたらなのは達三人と遭遇してしまう。慌てて鞄を取って其処から離れ様としたとき、

 

近くの茂みの中から一匹のイタチ? ……オコジョ? ……もとい、フェレットが倒れてくる。

 

(拙っ!?)

 

気を失っているとは言えユーノと遭遇してしまった事に慌てながら総麻は其処から逃げ出そうとするが、

 

「この辺から……あっ」

 

「あっ」

 

思いっきりユーノの声に導かれて此処に来たであろう『高町 なのは』と遭遇してしまった。

 

「どうしたのよなのは急に走り出して……あっ」

 

続いてなのはを追いかけてきたであろう『アリサ・バニングス』と『月村 すずか』の二人とも遭遇してしまう。

 

「見て、怪我してるみたい」

 

「この近くに動物病院があるはずだから、急いでいきましょう!」

 

……それ以上係わり合いにならないようにゆっくりと……それも気配を消しつつ……放れようとしたのだが、服の裾を『ガシッ』と掴まれる。

 

「えっと、総麻君も手伝って!」

 

「いや、オレに何をしろと」

 

何時の間にかなのはに捕まって逃げられない状況に陥っていた。

 

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