この男、只今修行中   作:misuta

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こちらはオリ主による幻想入り小説になります。

苦手な方はブラウザバックを推奨いたします。

それでも大丈夫な方は是非楽しんでもらえればと思います。


序章
第一話「この男、只今幻想へ旅立たん」


 

人は何かを信じるとそれに縋るように生きる傾向がある。

 

神様とか、人物とかは何を信じるかは人それぞれあるだろう。

 

だが問わせてもらう…そんな他人任せでいいのか?

 

少なくとも俺には、そんな気持ちは少しも理解できなかった。

 

神…そんなのこの現実にいる訳がない。

 

人間…同じ人間を崇めて何の意味があるのか。

 

尊敬ならまだしも崇拝なんて馬鹿げている。

 

 

【自分のみを信じ、自分のみに従え】

 

 

これが俺の持論、誰にも覆させない…あの日までは。

 

 

 

 

「おーい!」

 

 

自分の部屋で趣味の雑誌を読んでいると扉から親父の呼ぶ声が聞こえる。

 

どうせ出掛けるから俺に留守番を頼むんだろう。

 

既に読み終えた雑誌をベッドに投げ捨てると立ち上がり扉へ向う。

 

扉を開けると仕事着に着替えた親父が立っていた。

 

 

「親父、どうした?」

 

 

「出掛けるから祠の掃除を頼む」

 

 

「はっ? 何で俺があんな所―」

 

 

「じゃあ頼んだぞ?」

 

 

断ろうにも親父はさっさと出掛けてしまい、

 

一人残された俺は舌打ちしながら靴を履いて外へ出る。

 

俺の家は先祖代々、神を奉っている祠を守っているが何の神かは知らない。

 

これっぽっちも興味ないし、俺は神仏嫌いだからな。

 

とりあえず適当にやって昼飯でも作るか…全く面倒な事この上ない。

 

物置に置いてある雑巾と箒、井戸からバケツに水を入れて俺は家の裏山にある洞窟へ入る。

 

洞窟は暗いが、今の時代は便利だ。スイッチ入れると照明が付くように工事してある。

 

これから掃除する祠はこの洞窟を入った一番奥にあり、そこには酒などの供え物や絶対触れてはならないという神像がある。

 

俺は祠の周りにあるゴミを箒で掃いて、雑巾をバケツの水で濡らして硬く絞ってから汚い祠を拭く。

 

適当…という割には真面目にやってしまう自分の性格が嫌になってしまう。

 

全く何で親父やご先祖達はこんな訳のわからない神を奉る?

 

こんなのが一体全体何の得になるんだ?

 

そんな事を考えてると無意識にイライラしてきた俺はうっかりバランスを崩して体が祠にぶつかる。

 

洞窟内に何かが落ちる音と割れる音が響いた時には既に遅かった。

 

中に入ってある供え物や神像が地面に叩きつけられて全部壊れてしまった。

 

 

「やばっ! 親父に怒られる…」

 

 

事の重大さを理解し、俺は顔を青くして頭を抱える。

 

親父は神仏嫌いな俺と違って、先祖の言い伝え通りに本気でこの神を崇めている。

 

この事が親父に知られたら俺は怒られるだけでは済まされないな…。

 

 

「くそっ! こんなガラクタの為に怒られるのかよ!」

 

 

俺が悪いのはわかっている。でもこの八つ当たりしたい気持ちは抑えられなかった。

 

壊れた神像を思いっきり蹴り飛ばしながら叫ぶと突然、洞窟内の雰囲気が変わった気がした。

 

明らかに異変な気配…姿は見えないが今ここに俺以外に言葉では言い表せない何かがいる。

 

やばいと思うも、頭の中を強く縛りつけるかのような感覚に陥れる。

 

早く逃げ帰ろうと出口へ向かって走ろうとするが、体が金縛りにあったかのように動けなかった。

 

頭が痛い…吐き気が酷くなってきた…呼吸するのも苦しい…そして幻聴が聞こえてきた。

 

怒気を含んだ重圧感のある声が脳内に直接響き渡る。

 

 

『この愚か者が…』

 

 

「誰―…」

 

 

それから俺の意識はなかった…。

 

 

 

 

「う…ん…?」

 

 

目が覚めると俺は洞窟で倒れていた。頭は少し痛いが、どうやらそれどころではない。

 

よく見ると目の前の祠が無いのだ。地面に落ちて壊れた筈の神像や割れた酒瓶なども。

 

奇妙に思った俺は狐に化かされたのかと思い、洞窟を出て親父に正直に全て話そうとした…。

 

洞窟から出て目に入った景色は俺の知る外など、まるで皆無だった。

 

 

「ここは…俺の家は? 洞窟の前にこんな森なんてなかった筈だぞ!?」

 

 

どこを見ても辺りは木々に囲まれ、人の気配など一切無かった。

 

道も舗装されていない…所謂、獣道だ。

 

空を見上げれば今まで見たことも無い綺麗な満月が浮かんでいる。

 

そして夜の所為か、空気が少し冷たく身が震える。

 

携帯電話も圏外で役に立たない…いよいよここが日本かどうかも怪しくなってきた。

 

 

「とりあえず…森を抜けよう」

 

 

本来、道も知らない夜の森を歩くのは非常に危険だが気が動転している俺は辺りを歩く。

 

万が一、熊や野犬が出た時の対処法は覚えているから咄嗟に役立ってくれるだろう。

 

当てもなくただ獣道に沿って歩いていると何処からか水が流れる音が聞こえる。

 

川の音だと判断した俺は足元に気をつけながら急ぎ足で向かう。

 

草の茂みを越えると少し先に川が見えて少し安心した。

 

 

「水だ! …とりあえず今日はここで野宿か」

 

 

一晩くらいなら水だけで生きていられる。

 

とにかく朝にならないと下手に行動はできない。

 

だが…その時、またあの声が聞こえた。

 

 

『●●●●●●●●●●●●●●●』

 

 

「くそ! …また…頭が…!」

 

 

全く知らない言語、聞き覚えの無い言葉が延々と頭に流れると激しい頭痛が起き、

 

俺はその場で膝が崩れそうになるもどうにか耐える。

 

 

「俺が…こんな所で…くたばるの、かよ…!」

 

 

だが何とかふらつきながらも俺は両手で頭を抱えながら歩く。

 

そして、川の土手まで何とか辿りつくが…ここでまた頭痛が酷くなって意識が薄くなる。

 

その時左手に違和感があったような気がしたが、それどころではない。

 

茂みから誰かが来たと思った瞬間には意識が無くなった。

 

 

「あれ? 何でここに人間がいるの? …とりあえずここだと危ないから神社に運ぼう」

 

 




閲覧ありがとうございます。

以前も上げましたが少し内容を変えて再投稿という形でやらせて頂きました。

少しずつ更新できるように頑張りますのでよろしくお願いします!
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