超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
それでは予告通り、この停戦講和後の話しです。しかも日本はもちろん、ハドソン大統領がとある人物『ディープ・スロート』の正体を知るべくとある人物との会話をする最中に誰もが予想外の事件が起こります。

灰田「因みに元ネタは以前も申した通り、『超空の艦隊』です。この世界ではいったい誰が『ディープ・スロート』なのかが分かります」

今回は少しだけですが、気分を害する表現が含まれます。
この警告に伴い、読まれる際にはご注意ください。
それでは改めて……

作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』


第百二話:『ディープ・スロート』現る!

ハワイ占領後に突然、アメリカと連邦残党軍から講和を申し出られた日本は驚いた。

一面予期するものであった。

この作戦はかつてMI作戦後に開始される予定だったハワイ攻略作戦……ハワイを人質に取ることにより、和平を引き出そうとしたのである。

 

つまり日本の奇想が、和平への道を生み出したのである。

日本政府は元帥たちとの連絡会議を開き、各軍の戦争継続について議論した。

全員異存はなかった。元帥や秀真たちはきな臭いと思いつつも承諾した。

元々やりたくて始めた戦争ではない、原因を作った連邦国が発端だった。

講和の仲介はスウェーデンで、両外務大臣(アメリカはマーカス国務長官)は日本が占領したハワイで会合した。

細目について話し合うこと、元より日本が出した条件に付いて話し合った。

もちろん自衛隊がハワイを占領しているので、砲火は止んでいる。

日本が出した条件については、一部は遅れるとアメリカ側の主張を通した。

何しろ巨額な大金は、これに関しては仕方ないと寛大的処置をした。

ともあれ、これを機に自衛隊はハワイから全軍撤退すると言うかたちとなった。

 

日米両国の国民は歓喜した。

双方とも戦争に、かつての同盟国と戦うことにウンザリしていた。

しかし自衛隊が撤退後、元よりこの会議が終了後に、事態は誰しもが想像つかなかったという急展開を迎えたとも知らずに……

 

 

 

後日。

ワシントン・ホワイトハウス

講和成立後、ハドソンはとある人物をホワイトハウスに呼び込んだ。

上院の院内総務と言えば、隠然たる権力を誇る。

とある人物は、テキサス出身で南部出身議員の大御所のドールだ。

ドールは190cmほどもある大男で、赤ら顔の白髪、見るからに押し出しの良い風采である。

その長身を仕立ての良いロンドン製のスーツに包んでいる。

彼の祖先は、南北戦争時代では1、2位を争う大農園の持ち主であり、数万人の黒人を奴隷として扱ってきた。

 

「大統領、お呼びでしたか?」

 

「ああ、キミにちょっと話がある。まあ、座りたまえ」

 

ハドソンは自分のデスク前の椅子を勧め、ドールはゆったりと座った。

 

「吸うかね?」

 

ハドソンは葉巻の箱を開けたが、ドールはかぶりを振ると、自分の葉巻ケースをスーツの内懐から取り出した。

 

ふたりはめいめい葉巻に火をつけると、しばらく無言でその紫煙を楽しんだ。

アメリカでは、しばらく禁煙ムードが盛んだったが、ここに来て振り子が揺れ戻り、喫煙者がまた増え始めた。

ストレスを取るには、タバコがもっとも手頃な手段だからだろう。

 

「……で、お話と言うのは何です、大統領?」

 

ハドソンが黙っているのを見て、堪り兼ねたドールは質問を促せた。

ハドソンは何かを決心したかのように葉巻を灰皿にこすり付けて消すと、ドールに面と向かい合った。

 

このような出来事が起こる前に遡ること、以前の会議のことである。

 

ハリソンFBI長官が口にしたのがきっかけである。

 

「重要な問題として、国務長官は南部で秘かに復古的な不穏な動きが行われているのはご存知でしょうか?」

 

「復古的な問題とは?」

 

マーカスは眉をひそめた。

 

「どうもテキサス出身の上院の院内総務のドール議員が音頭を取っているようです。

南部諸州の議員たちを秘かに集め、定期的会合を持っていると言う情報を……私の部下たちが掴みました」

 

「ふむ、その目的は?」

 

ハドソンは愕然興味を引かれたらしく、身を乗り出した。

 

「それがどうも……謎の人物『ディープ・スロート』と共にドール議員は新南部連合と言うものを作り、南部独立を果たしたいと言う考えらしいのです」

 

「なに、南部独立だと!?」

 

ハドソンは、さすがに奇声を発した。

他の者たちも顔を見合わせた。

 

「そんな馬鹿なことが信じられるか。ドール議員は150年以上前の歴史に逆戻りさせるつもりか!?」

 

ケリー国防長官が吐き捨てるように言った。

 

「いや必ずしも馬鹿げたことと決めつけるわけにはいかないでしょう」

 

グレイ首席補佐官は冷静な口調で言った。

補佐官と言うのは、常に冷静でないと大統領を補佐できない。

ハドソンやこの場にいないが中岡のような感情的な大統領では、尚更である。

 

「テキサスのダラスで、かつて何が起きたか思い出してください…… アメリカ大統領が暗殺されました。

あの暗殺は予告されたものですが、若いケネディーは敢えて火中の栗を拾いに行きました。

その結果、暗殺されたのです。

あれはリベラルな大統領を嫌った石油資本が背後にいました。

ジョンソン大統領も絡んでいたと言う話がありますが、それはないでしょう。

しかし、極右の連中が、ケネディーを殺したのは確かです。

そしてテキサスと言うのは、極右の連中の巣窟なのです。

彼らは自分たちこそがアメリカの代表であり、一州で独立しても構わないと、未だに思っているはずです」

 

テキサス州のローンスター、つまりひとつ星である。

ただ一州で独立し得るという気概を込めてある。

 

「キミに教えてもらわんでも、そんなことは承知している」

 

マーカスが不機嫌に言った。

 

「確かにドールは典型的南部男だ。しかし、まさか本気で、今更アメリカを二つに割ろうとしているわけではあるまい」

 

「それはどうでしょうか、大統領ご自身で、一度確かめる必要があると思いますが……」

 

FBI長官が言うと、ハドソンは顎を撫でて答えた。

 

「……分かった。私はドールを呼びつけて話をつけてやる。その『ディープ・スロート』の正体も突き止めて、こんな馬鹿げた陰謀を放っておくわけにはいかん」

 

ハドソンはしわがれ声で言った。

 

「あくまでも慎重に、冷静に御行動お願いします」

 

現状に戻る。

グレイの言葉を思い出すように、行動したかったが……

 

「実は…… キミについてはなはだ興味がある噂を聞いたが、キミは謎の人物『ディープ・スロート』と共に、なんと南部連合の復活を目論んでいるそうだな?」

 

ハドソンはずばり切り出した。

さすがに大統領になったのは、伊達ではない。

いざとなれば、大胆不敵に攻めてくる。

 

「ほう、大統領閣下はだいぶ良い耳をお持ちのようですな」

 

ドールは全く慌てず、葉巻を吹かし続けた。

 

「キミは否定しないのかね?」

 

「否定しません。仰る通り、『ディープ・スロート』と共に新南部連合を立ち上げることを考えていることは確かです。そしてその計画は大統領閣下、あなたが考えおられるよりも早く進んでいます」

 

「何と言う事だ。キミはアメリカを二つに割るつもりかね。150年以上前の南北戦争の頃に戻すつもりか?」

 

「好き好んで、分裂を求めるのではありません。

できるならば、無意味な軋轢は避けたいと思いますが……現政府がこれを認めなければ、南北戦争の再来となるでしょうな」

 

ハドソンは顔色を変えた。

 

「とんでもない、発狂的なことを。そんなことになればアメリカは国力を失い、覇権国家どころか二流国家に転落してしまうぞ」

 

「恐らくそうなるでしょうな。しかし、すでに我が国はかつてのカリスマ性を失い、世界唯一の覇権国家から没落しつつあります。

それと、ドルの暴落と日本軍に負けたことをどうお考えですか?

もはやこの崩壊の責任は大統領、全てあなたにあるのです……私は南部諸州の力を結集して、いまこそ強いアメリカを取り戻すつもりなのです」

 

「キミの言いたいことは分かったが、しかし議会はキミの意向を承知せんだろう。

むろん、私も承知しない」

 

ハドソンは言った。

 

「それどころか、キミを国家反逆罪で逮捕させるつもりだ」

 

ハドソンはデスク上に置いてある電話の受話器を取り上げると、ホワイトハウス警備隊詰所を呼んだ。

ホワイトハウスは、海兵隊によって警備されている。

余談だが『ドアマン』と呼ばれる海兵隊歩哨は海兵隊の中でも選り抜きの人材が就き、大統領がホワイトハウスの西棟にいる間、入口に立ってドアの開閉を行なわれている。

槍が降ろうと微動はせず、常に直立不動である。

なお大統領個人の警備は、財務省のシークレット・サービスの役目で、常時部屋で待機している。

 

「海兵隊分隊を寄こしてくれ。即刻、逮捕して貰いたい人物がいる」

 

しかし、ドールは落ち着き払った態度をしていた。

 

「いや、大統領。逮捕されるのは……罷免されるのはあなたの方ではないでしょうか?」

 

「何だと!」

 

その時、ドアがノックもされずにM16A4を構えた海兵隊とともに、95式自動歩槍を携えた連邦親衛隊“サルムサ” も入って来た。

遅れてコンドン副大統領とグレイ首席補佐官、そして中岡元連邦大統領たちが一緒だった。

ハドソンは、その顔触れに見張った。

グレイが現われても不思議ではないが、コンドン副大統領、副大統領と中岡たちがいったい何の用なのだ。

しかし、ドールを逮捕させるのが先決だ。

 

「伍長、この男を逮捕してくれ。罪名は国家反逆罪だ!」

 

ハドソンは、その中で上級者に命じた。

しかし、海兵隊は銃を構えたまま動かなかった。

その銃口はあろうことかドールではなく、大統領自身を指しているようだ。

 

「中岡大統領、すまないが彼らを逮捕して欲しい!」

 

しかし、中岡たちはせせら笑った。

彼らの連邦親衛隊隊員たちは、戸惑うハドソンを見て不毛な笑いをしながら銃口を向けた。

 

「役立たずのハドソン大統領に祝福のお言葉があります」

 

「いったい、この状況がどう祝福なの、ふざけているのか!?」

 

ハドソンは感情的になったが……

 

「トマス・ハドソン大統領。あなたを我が憲法の……大統領罷免条項により、罷免します」

 

コンドン副大統領が言った。

 

「キミこそ何を言っているのだ。キミにはそんな権限はないぞ!?」

 

ハドソンは叫ぶように言った。

 

「いや、副大統領には憲法の罷免条項にのっとり、大統領を罷免する権限があります。

それはすなわち、現大統領が職務を全う出来なくなったときです。

我々はあなたの行動をこのところつぶさに見てきましたが、ついにその結論に達しました」

 

グレイが言った。

 

「何だと、貴様まで背くのか、この裏切り者が!」

 

ハドソンは叫ぶと、忠秀は不毛な口調で反論した。

 

「全てを裏切ったのはあなた自身ではないでしょうか、レームダックのハドソンさんのせいですよ~。グレイ首席補佐官は国益に沿って行動しているんですよ、バカですか?」

 

「貴様、何を言っているのだ!」

 

「忠秀連邦主席の言う通りです。私は国益に沿って行動しているまでです。マーカス国務長官も賛成しています」

 

グレイも反論した。

 

「残念ですが、大統領閣下…… あなたにはもうアメリカを指導する能力はありません。

議会もそう決めました」

 

「ふん、そして後釜には、このコンドンが座る訳か。キミはこの男が無能ぶりをよく知っているだろう、グレイ首席補佐官。

そんなことをすれば、我が国は余計に混乱を増すどころか、下手をすれば二つに分裂になるか、連邦国のように崩壊し兼ねないんだぞ!」

 

「すでに混乱の極みを達しています。この窮地を治めるには強力な指導者が必要です。

私はコンドン新大統領を補佐して、中岡連邦大統領と新南部連合の強力な結束のもとにアメリカを建て直してみます、ここにいる『ディープ・スロート』ことコンドン新大統領と共に……」

 

ドール議員は言った。

 

「もしかして、お前が『ディープ・スロート』だったとは……」

 

立ち上がっていたハドソンは、ついに椅子にへたり込んでしまった。

つまりあの会議後に『ディープ・スロート』がいたのだ、しかも副大統領のコンドンという人物こそ残党連邦軍と共にこの機をきっかけに反乱を決行したのだ。

つまり、クーデターである。

 

「しかし、軍部の方はどうなのだ。軍部がキミを支持するとは思うかね。『ディープ・スロート』……いいや、ビル?」

 

「すでにヨーク参謀総長には話を付けているよ、トム」

 

ハドソンが自分の愛称を呼んだので、コンドンもハドソンの愛称を馴れ馴れしく呼んだ。

 

「このワシントンDCも、すでに我々に味方する我が陸軍と盟友の連邦軍が固めている。

他の州も従わざるを得ないだろう」

 

ハドソンは考えた。

確かに憲法には、現大統領が職務を遂行できなくなったとき…… 例えば急病ないし事故により判断能力が欠ける、行方不明などいくつかの緊急の場合には、副大統領がその職を継ぐとある。

 

彼らは拡大解釈した。

 

「国務長官まで賛成と言うのであれば、是非もないな」

 

ハドソンは嘆息した。

 

「それでは、キミが大統領にやってみるが良い…… 参考までに聞くが、最初に何をするつもりだ?」

 

「まず、戦時戒厳令を全米に敷く。今まで敷かなかったのは遅かったのだ。我々に反対する者は全て武力で潰す。そして日本を連邦とともにゆっくり料理する」

 

「ふむ。忙しいことだが、お手並み拝見と言うところだな」

 

ハドソンは今や冷静になっていた。

 

「しかし、核戦争になったらどうするつもりだ?」

 

コンドンは肩をすくめた。

 

「敵が核を使ってくれば、むろん我々も核で報復する。だが、核保有は圧倒的に我々だ」

 

「何と言うことだ…… 下手をすれば他国は黙っておらず我々は世界の孤児になりかねないぞ!」

 

ハドソンは反論した。

 

「はいはい、元大統領の言葉は耳障りですから黙りましょうね!」

 

忠秀はそう叫び、一発のパンチをハドソンの腹に見舞った。

ハドソンは苦痛のあえぎを洩らし、たまらず前のめりになった。

 

「き…貴様らを…亡命を受け入れず…日本と艦娘たちと協力して…殲滅すれば…良かった……」

 

「レイシスト(人種差別主義者)大統領の戯言か! やれ!」

 

「日本に味方するレイシストは、人殺しのヘイトジャップと兵器女どもとともに地獄に落ちろ!」

 

中岡の命令を受けて美女秘書官が前に出ると、次にシャツを掴んでハドソンを引き起こし、思いっ切り頬を殴りつけ、床に倒れさせた。

 

ハドソンは自分を憎み、日本を敵対視したことを後悔した。

 

「最後は引退お祝いに、俺様直々の祝福のパンチです!」

 

忠秀と秘書官に無理やり起こされたハドソンに、中岡は思いっきり拳で殴った。

 

「このゴミはホワイトハウスの外に捨てろ、ただし殺すな。生き恥を晒しておけ!」

 

中岡の命令で、二人の兵士に連れて行かれた意識濛々のハドソンは小さく呟いた。

 

「アメリカよ……この国に神のご加護があらんことを……」




突如と停戦講和が成り立つと同時に、連邦残党軍と共に、『ディープ・スロート』ことコンドン副大統領たちのクーデターにより、再び無に帰ると言うことになりました。

灰田「今回は、少しオリジナリティを加えました」

原作ではこの話し合いはありますが、漫画版では大幅に省略されており、ハドソン大統領が部屋で発狂して、それから罷免されて最後の台詞『アメリカよ……』を言うところで退場します。
今回はオリジナル展開を付け加え、中岡たち連邦残党軍がいかにもクズであることを、より知ることもできれば、それ以上に同情もできない連中でもありますが。

秀真「まだドブネズミ相手とは、まったくやれやれだぜ……」

古鷹・加古・青葉・衣笠(今度は承太郎ふうかな……)ニガワライ

灰田「まあ、そうなりますね」

郡司「僕もさすがに頭が痛くなるよ、木曾」ギュッ

木曾「大丈夫だ、俺がついているからな」ナデナデ

元帥「また胃薬と栄養ドリンクが欲しくなるよ」

と言いつつ、次回予告に移りますね。

秀真「今回は久しぶりに俺たちが担当する、次回はコンドン大統領・連邦残党軍がアメリカ新政権を発足すると同時に、とある作戦を発令する」

郡司「狂気とも言える新アメリカ政権と連邦は、ついに決行する!」

元帥「またこの作戦名も次回に明らかになるから、注目すると良い」

予告編に伴い、余談ですが新作も今執筆中です。
気ままに書いており、のんびりと書いていますのでお楽しみを。
何かありましたら、活動報告に報告します。

灰田「それでは切りの良いところになりましたので、次回もまた、第百三話までダスビダーニャ(さよならだ)」

元帥・秀真・郡司『ダスビダーニャ!!』

古鷹・加古・青葉・衣笠『ダスビダーニャ!!』

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに
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