超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
今回は同時連載『第六戦隊と!』の更新は休載ですが、本作のみの更新です。
それでは気を改めて予告通り、ハワイ消滅後に行われる奇襲攻撃です。

灰田「タイトル通り、ネタバレですがどのような奇想天外な兵器で奇襲攻撃、その兵器の正体が少しだけ分かります」

それでは改めて……

作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』


第百六話:海底からの脅威、”自由の女神”死す!

ハワイが原爆によってショックを受けていたアメリカ・連邦亡命政府軍に対して、さらにそれを追い詰めるかのように新たな脅威が襲い掛かって来た。

 

 

 

ニューヨークは早朝0600時、まだ朝の静けさの中にあった。

ここロングアイランド南東沖合の海上では様々な船舶が行き交っている。

ロングアイランドの漁港に帰る漁船、マンハッタン南端にいくつかある埠頭に入港する客船《クイーン・メリーⅡ号》のような世界最大級の客船もいる。

深海棲艦が突如としても現れたものの、米軍のおかげで港は戦前と変わらず賑わっていた。

北西の方角にはスタッテン島が見え、この島の北東にはリバティ・アイランドがある。

ここはアメリカの象徴である、自由の女神が立っているので有名な島でもある。

ここはニューヨーク港の玄関とも言える。

元々フランス革命の象徴でもあった自由の女神は、アメリカに移され、この国のパワーの源泉たる移民たちを出迎える象徴となっていた。

また悪趣味にアメリカのクーデター、元よりハドソン元大統領を追い出した中岡たちは自由の女神の隣に、某北の将軍たちよろしく自身の立像を置いて掲げていた。

しかも本国からわざわざ脱出時に、コンテナ船を改良した大型仮装巡洋艦《平壌》に載せてまで持って来たものだ。

コンドン大統領の友愛の証しとして置くことを歓迎し、今では新たな観光名物として注目されている。

 

そのスタッテン島から南東15キロの海面から、突然なにかが浮上した。

近くを航行中だった船の船長たちは目を見張った。

そいつは黒光りする怪物だが、生き物ではない。

人間の手で造られた人工的な曲線に伴い、艦橋と思しき構造を持つものだ。

彼らが見たものは潜水艦だが、しかし明らかに原潜すらも大きい巡洋艦並みの大きさを誇る潜水艦だった。

しかも艦橋の後部には砲塔が付いており、その砲塔からは2本の砲身が突き出ていた。

人間、元より同じ顔をした乗組員たちが二つのハッチからどっと繰り出てきた。

彼らが素早く、人間よりも早く動き回り、砲身の先端からカバーを取り除いた。

海水が入らないようにするためのカバーである。

それが済むと、またハッチの中に消えた。

それから3キロほど南に、スタッテン島にある中岡連邦大統領の立像に忠誠心を行なうため、米・連邦亡命政府軍籍に所属する定期船《ステートフェア丸》がスタッテン島に向かって進んでいた。

船長の名前は、ボク・スチウェルである。

スチルウェル船長もこの奇妙な潜水艦の出没に気づいたひとりである。

彼は韓国系アメリカ人で連邦支持者でもあり、また元海軍所属の軍人出身者だから、各艦船の艦砲サイズには熟知していた。

そいつの口径はどう見ても20.3cm連装砲以上の大きさはある。

それよりも上回り、金剛型高速戦艦や伊勢姉妹、そして扶桑姉妹が持つ36cm連装砲並みを誇るかもしれないと悟った。

そいつが2本の砲身を振り立てて、スタッテン島に照準を合わせた。

 

次の瞬間、ドオォォォン!と耳の鼓膜が破れるような轟然たる砲撃が開始された。

殷々たる砲声が海を渡って船長の耳まで届いた。

 

「いったい目標はどこなんだ?」

 

船長は双眼鏡越しで、実際には目には見えないその砲弾の行方を追っていた。

数秒後…… リバティ・アイランドにある自由の女神と中岡連邦大統領の立像が茶色い煙に包まれた。

 

「着弾した…… 奴らの狙いは自由の女神と中岡連邦大統領様の立像だ!」

 

この狙いに気づいたが、まだ至近弾を喰らっただけに過ぎず、双方は無事である。

しかし第二斉射が行われ、ライフルリングによりジャイロ効果を生み出され放たれた徹甲弾は躊躇することなく、双方の立像に命中した。

まず自由の女神が木っ端微塵に打ち砕かれ、破片となって崩れ落ちた。

そして隣にあった中岡立像も同じく影も形もなく、自由の女神と同じ運命を辿るかのように破壊されたのだ。

 

「畜生! よくも神聖たる中岡連邦大統領様の立像を!」

 

ボクは叫んだ。

自由の女神が掲げる自由の象徴たる松明と、その彼女の隣にいる中岡が掲げている連邦国旗がクルクルと宙に舞って、海面に落ちるのが見えたからだ。

 

「クソ、なんてこった。慈悲深い中岡大統領様直々のお褒めの言葉を頂いた立像を破壊したレイシストは何者なのだ!?」

 

「船長、どうするのですか?」

 

第一航海士のトムソンは叫んだ。

 

「あの怪物に捨て身の特攻作戦を掛ける!」

 

「船長、本気ですか!?」

 

「本気だ、商船でも体当たりぐらいはできる!」

 

しかし混沌している間にも、その正体不明の潜水艦の砲塔がぐるりと旋回してこっちに向かうのが見えた瞬間、船長たちは悪寒を感じた。

 

「うわ、来るな!」

 

「やっぱり命令を取り消す、全力で逃げる! 針路180!」

 

命令を変更し、船長は逃げることを選んだ。

商船《ステートフェア丸》は針路を真南に取り、一目散に逃げようとする。

しかし商船の悲しさで、いかに機関を回しても逃げ切れるわけがない。

ボクは歯を食いしばりながら、なおも双眼鏡で砲身の動きを追っていた。

そいつは仰角を取り、こちらを狙っていた。

それを見たときには、容赦なく砲撃がまたしても開始された。

ヒューン!と空を切りながら飛翔する徹甲弾が聞こえた瞬間だった。

徹甲弾はブリッジに命中して凄まじい轟音を上げて炸裂し、《ステートフェア丸》を真っ二つに折り曲げた。

ボクと乗組員たちは哀れにも撃沈された《ステートフェア丸》と運命を共にした。

正体不明の巨大な潜水艦は浮上したまま、悠々と針路を北に取り、ロングアイランド島に近づいた。

 

これはマンハッタン島の東に延々と100キロにも渡って伸びている島である。

先端にはモントーク岬があり、島の南岸には観光地で有名なロングビーチを始め、幾つもの町がある。

潜水艦はロングビーチまでの有効射程距離に近づくと、再び砲門を開いた。

何しろ邪魔者たちはおらず、好きに砲撃ができる。

美・連邦亡命政府軍所属コースガード(沿岸警備隊)の巡視船がニューヨーク港から駆け付けるまでにはまだ時間が掛かるし、巡視船が積んでいるのはせいぜい機銃だけであり、こちらはアウトレンジで撃沈できる。

監視ヘリがやって来ても搭載しているCIWSや対空ミサイルなどで対応できる。

徹甲弾の嵐がまたもやロングビーチに向かって来襲する。

海岸沿いのホテルやレストラン、遊園地で炸裂音が鳴り響いた。

 

まだ早朝だから人数は少ないが、人員を殺すのが目的ではない。

ともかく米本土を砲撃された恐怖心を利用し、アメリカ国民の厭戦気分を高まらせるのが最重要目的である。

 

「各員、砲身に塞栓せよ!」

 

たっぷり50発ほど撃ち込み、目的を充分に果たしたと判断した。

艦長の命令を聞いたクルーたちは出てきて、砲身を塞栓すると、素早くハッチから姿を消した。

潜航警報のブザーが艦内に鳴り渡り、巨大な潜水艦は潜航を開始した。

その巨体には似合わず、海自の誇る《そうりゅう》型潜水艦と同じく潜るのが素早かった。

1分も経たないうちにその巨体は姿を消して、あとは渦が残るばかりだった。

 

 

 

ホワイトハウス・会議室

時刻 0630時

 

『潜水艦に自由の女神と、中岡連邦大統領の立像が同時に砲撃されただと!?』

 

コンドン新大統領と、ホワイトハウスを我が物顔で占拠をして“我が家”同然で謳歌している中岡は声を揃えて答えた。

因みにこの会議室は、対日作戦会議室《チェリー・ルーム》である。

ホワイトハウスの会議室には、全て色彩の名前が付けられている。

かつて米軍は仮想敵国との作戦名にも色彩の名前を付けており、奇しくも対日作戦でもコードネーム“オレンジ・プラン”だった。

日露戦争後は日本がロシアに勝利した直後に立てた計画も“レインボー・プラン”だった。

同席しているのは、サイモン副大統領。

グレイ首席補佐官、ケリー国防長官、マーカス国務長官、ギャラガー参謀総長、各軍トップたちが招集した。

同じく連邦亡命政府軍は中岡連邦大統領をはじめ、湯浅主席、忠秀副主席、ほか各軍トップたちも緊急に召集した。

 

「どういう事なのだ、ギュラガー参謀総長?」

 

コンドンは、ギャラガー参謀総長に尋ねた。

 

「この攻撃が日本のまた新たな兵器によるものではないかと思うか?」

 

「はい、その通りだと思います」

 

さすがのギャラガー参謀総長もそう答えざるを得なかった。

コンドンはハワイが消滅しても痛くも痒くもなかった、よほど本土攻撃をされない限りは考え方も変えない無能大統領なのだから

 

「パナマ運河は通過できませんから、少なくともハワイ消滅後と同時に日本のどの鎮守府かは不明ですが、同時に出撃しないといけません。

航路はホーン岬ないし喜望峰回り以外にはありえないのですから。

これが例のステルス原潜のようならばステルス機能も持ち、未知の原子炉を持っていたならば捕捉できません、我々はコイツを《クラーケン》と名付けました」

 

ギャラガーが言う《クラーケン》とは、あの異形の潜水艦のコードネームである。

日本の《ミラクル・ジョージ》と言い、米軍はコードネームを付けるのが好きである。

クラーケンとは古代から中世・近世を通じて海に生きる船乗りや漁師に恐れられている海の魔物である。

その多くはタコやイカといった頭足類の姿で描かれることが多いが、ほかにも、シーサーペント(怪物としての大海蛇)やドラゴンの一種、エビ、ザリガニなどの甲殻類、クラゲやヒトデ等々と、様々に描かれている。

なおヨーロッパやアフリカにおいては、タコやイカをデビル・フィッシュ(悪魔の魚)と呼び、食べることも嫌う地域が多いからそのように描かれているのかもしれない。

 

「やられたのは自由の女神と、カリスマ溢れるイケメンの俺様の神像だけか?」

 

中岡は怒りを抑えながらもドスの利いた声で尋ねた。

 

「いいえ、敵はそのあとロングアイランド沿岸に向かい、ロングビーチほか3カ所を砲撃しました。そのほか商船を3隻撃沈しました」

 

「なんということだ、我々の鼻先でそんな事が起きたのか!?」

 

コンドンは呻いたが、中岡はそんな事などどうでも良いと言う態度を取った。

自分のカリスマある立像が破壊した日本が憎くて堪らなかったからだ。

 

「しかも問題はそれだけではありません」

 

ギャラガーは一瞬躊躇った。

 

「報告によると、その潜水艦は重巡洋艦クラス並みで、主砲を2門搭載、2000トンクラスの商船を一斉射で撃沈したところからすると、主砲の口径は20.3cmまたはそれ以上ともいわれます」

 

「重巡洋艦並みで、主砲は20.3cm以上だと……」

 

ケリー国防長官が怒鳴った。

 

「そんな馬鹿なことがあるはずない。その情報は確かなのか? ジャップがそんな怪物潜水艦を作れるはずがない」

 

「しかし複数の証言があるのです。デッキに姿を現したクルーたちは、明らかに東洋人だったという証言があります」

 

ギャラガーは躊躇いながら言った。

 

「何と言うことだ…… ともかくレイシストジャップどもに報復攻撃をせよ!」

 

忠秀副主席は、感情的に怒鳴った。

相変わらずその発言を聞くだけでも、同じ日本人とは思えないほど好戦的な発言である。

 

「そうだ。見つけ次第に《クラーケン》を鹵獲して、乗組員たち全員を引き摺り下ろして細切れにした公開処刑動画を見せしめに日本政府に公表すれば、さぞかし薄汚いレイシストどもは震えるだろう!」

 

アンミョンペク総参謀長も同じく感情的に怒鳴った。

 

「落ち着きたまえ、まずはコースガードや警戒部隊を総動員させて沿岸を警備することが第一優先的なことだ」

 

「湯浅主席の言う通り、航空隊と共に警戒させることが優先だ」

 

比較的良識な湯浅主席と、マーカス国務長官の意見にコンドンは頷いた。

サンディエゴなどに避難していた艦船は無事だが、ハワイに停泊した艦隊はもう使えない。

艦隊保有主義ではないが、敵潜の脅威ならば致し方ない。

 

「パナマ運河の方はどうなのだ?」

 

コンドンはぽつりと言った。

 

「ここは我々の生命線だ。ここをやられると大変なことになる。こちらの警戒も抜かりないだろうな?」

 

「はい、我が連邦軍の陸海空の派遣軍ががっちり警戒しています」

 

中岡が答えた。

 

「必ずパナマに敵潜は辿り着くことはありません」

 

「うむ、我が同盟として大いに期待しているぞ」

 

「ジャップの潜水艦など捻り潰してごらんに入れます!」

 

コンドンの言葉に、自信満々に答えた中岡だが、この予想を裏切るような事態が起こると言うことをまだ誰も知らなかったのである。




今回はこの奇妙な潜水艦による砲撃攻撃により、アメリカの象徴である”自由の女神”が木端微塵の如く破壊されました。
対処できなかったアメリカ・連邦亡命政府軍にも落ち度がありますが。

灰田「おまけ程度ですが、ブタゴリラの立像とともに、ろくでなしの連邦の商船も撃破と言う凄まじい威力を見せましたが」

あんな立像を象徴もですが、友好の証しとして観光地に置くなんて滑稽も良いところですから。

灰田「海にゴミをまいたようなものですよ、本当に」

まあ、そうなるな(日向ふうに)ニガワライ

灰田「今回は本作と同時に、同連載『第六戦隊と!』の投稿予定でしたが、少しお待ちください」

かと言って、すぐにあっちの世界に行かないで下さいよ。

灰田「はい、もちろんしばらくは待機しますよ」←絶対に待機するとは言っていない。

大丈夫かな、ともあれ次回は同時更新はできるかどうかは分かりかねませんが、両作品の更新お楽しみください!

灰田「では気分を切り替え、予告篇です。次回は今回の続きである奇襲攻撃後にまた同じく新たな展開が起こります。
そしてこの奇妙な潜水艦の正体も分かります故に、この潜水艦ならではの新たな装備も御見せいたします」

気がつけば、本作品もあとどのくらい続くかは分かりませんが、最終回まで自分のペースで執筆していきますので、お楽しみください。

灰田「それでは切りの良いところになりましたので、次回もまた、第百七話までダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに
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