超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
今回は同時連載『第六戦隊と!』の更新に集中したので、本作のみの更新です。
それでは気を改めて予告通り、続きである奇襲攻撃後にまた同じく新たな展開が起こります。
灰田「そしてこの奇妙な潜水艦の正体も分かりますと同時に、艦長と乗組員たちの正体も分かります」
それでは改めて……
作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』
大西洋と太平洋を北緯8度地形に結ぶパナマ運河は狭い地峡である。
その長さは50キロメートルに過ぎないが、パナマ運河そのものは80キロメートルもある。
これは高低差があるために途中で、2カ所の人工湖と3カ所の閘門を作り、船舶を湖に入れたあと、閘門によって順番に送らなければならないためである。
この工事は最初、スエズ運河を10年前に完成させたフランス人”フェルディナン・ド・レセップス”によって始められたが、スエズ運河とは比較にならない難工事となった。
スエズは自然のまま、ほぼ平坦な地峡を掘り広げるだけで済み、途中まで自然に存在する湖を利用することができた。
しかしパナマ地峡は高低差が大きく、最高点は168メートルもある。
加えて乾燥した砂漠地域のスエズとは比較にならないほど過酷な自然に守れていた。
熱帯雨林地帯もあり、黄熱病とマラリアの猖獗地《しょうけつち》でもあった。
レセップスが雇った労働者たちはばたばたと倒れ、結局レセップスは建設を断念した。
その後はアメリカ政府が引き継いだ。
元々パナマはコロンビアの一部だったのだが、アメリカが手を貸して独立させたと言う経路である。
キューバと同じく、アメリカの準州みたいなものだった。
アメリカにとっては、この運河はふたつの大洋を結ぶ生命体である。
工兵隊を大量に動員して強行工事を行なった。
それでもレセップスが手を染めてから、完成するまで実に34年間も掛かった。
その総経費は約4億ドル(約455億円)である。
現在運河を中心とする地峡一帯を、アメリカがパナマ共和国から租借し、租借料を払っている。
かつて日本軍もこのパナマ運河を攻撃すると言う極秘作戦の一つとして『パナマ運河爆破計画』を立てていた。
極秘裏に特殊攻撃機《晴嵐》を3機搭載した海底空母《伊400》型潜水艦からなる潜水艦隊の建造を進めた。
しかし2隻が完成した頃の日本は沖縄戦が始まり、そして敗戦濃厚と言われた時期である。
結局この作戦は破棄され、伊400号型潜水艦は南洋のウルシー環礁へ攻撃目標を変更した。最終的には《伊400》型潜水艦も同諸島沖合で終戦を迎え、その後米軍により標的処分および自沈・解体され姿を消した。
もし日本軍が真珠湾攻撃時にここを攻撃していたら、経済麻痺はもちろん、戦略的勝利が出来たかもしれない。
深海棲艦出現後はもちろん、今日までカリブ海側のコロン、太平洋のパナマシティに米・連邦駆逐艦主体の艦隊が駐屯し、少数だが空軍や陸軍もいる。
しかし正直なところ、日本軍がここまで攻めて来ることを、米軍・連邦残党軍首脳は想定していなかった。
ハワイは消滅したものの、新たな攻撃目標がサンディエゴだと見た。
ここならば攻撃する艦艇は豊富であるからだと言う理由で、ここに哨戒線を張った。
それでもパナマ湾一帯では連日、P-8A《ポセイドン》対潜哨戒機が哨戒任務を繰り返し行い、《アーレイ・バーク》級駆逐艦も太平洋まで出て哨戒を行なっていた。
ニューヨークが正体不明の潜水艦によって攻撃されたと言う知らせが入ったため、パナマ運河守備艦隊司令官であるチャールズ少将は、警戒レベルを上げるように命令を出していた。
例え対地ミサイル《トマホーク》が来襲して来ても、対空ミサイルや対空砲部隊がいる。
それに砲撃しようが対潜哨戒機や駆逐艦、連邦派深海棲艦で迎撃可能である。
航空機ならば別だが、敵はそんな潜水艦を持っているわけがないと連邦残党軍同様に考えていた。
人間が自分の持つ常識で敵情を判断する。
ときにはその常識が通用しないことを、チャールズ少将は気づくべきだったのである。
翌日――
時刻 0600時。
パナマ湾沖合・マラ岬の南西50キロの海面に、巨大な怪物が姿を現した。
途方もない巨大な潜水艦である。
全長150メートル、特徴的なのはデッキ上に大きな容積を占める筒状の構造物である。
その前部が艦橋で、艦首に向かってカタパルトが装備されているのである。
後部デッキには主砲が2門並ぶ砲塔である。
昨日ニューヨーク沖合に現われた巨大潜水艦と同じであるが、むろん同じ艦ではない。
1日でホーン岬を回ることはできない。
浮上すると同時にデッキにクルーたちが飛び出し、機関砲および主砲配置に就いた。
特徴のある30cm主砲の射程距離は2500メートル、艦橋に3メートルの射撃測距儀を持っている。
しかもレーダー射撃装置なため、その照準は正確である。
さらに対空機関砲と対空ミサイルもあり、敵機やミサイルが来てもこちらも撃墜できる自信がある。
駆逐艦や深海棲艦が来ても、鉄壁の壁に守られているので堂々と航行できる。
またこの強力な主砲で対処できるということもある。
その筒状の構造物・前部ハッチが開くと、レールに沿って航空機が引き出された。
これは航空機格納庫である。
引き出された艦載機は両翼が折り畳まれていたが、たちまち広げると固定された。
この艦載機は《晴嵐改》と言う、かつて《伊400》号潜水艦に搭載された特殊攻撃機と同じ名前を、血筋を引いている後継機でもある。
外観はジェットステルス攻撃機《アヴェンジャー》に酷似しており、この怪物潜水艦に搭載できるように小型に改良されている。
だから射出後は帰還を待たなくても良い、この機体自体が武器なのだから。
1番機がカタパルトに載せられると、轟音とともに撃ち出された。
飛び立った《晴嵐改》は宙を舞い上がり、高度を上げ、北東の空へと消えた。
格納庫から次々と《晴嵐改》が引き出され、発艦して行く。
全機合わせて4機の《晴嵐改》が、敵の妨害もなく無事に舞い上がった。
パナマ湾では敵駆逐艦が警戒し、P-8A《ポセイドン》対潜哨戒機が哨戒任務をしているはずだが、それほど熱心ではなかったのだろう。
まさか日本潜水艦がここまでやって来るとは、例え警報が出ているとしても信じがたいと言わざるを得なかった。
無人機を射出し終えると、怪物潜水艦は全てハッチを閉じて潜航を始めた。
無人機なのでこの場に水中待機する必要はなく、離脱することができる。
任務を終えた怪物潜水艦は、誰にも気づかれることなくこの場からせっせと離れた。
4機の《晴嵐改》は高度2000でパナマ湾を北上し、パナマシティを目指した。
市街地に対空部隊があるとは考えにくいので、敢えて市街地を目指した。
あるとすれば郊外に配備しているはずであり、恐らく運河に沿って据えてあるだろう。
目標は、太平洋側の最初の閘門……ミラフロレス閘門の破壊である。
これはミラフロレス湖の入り口にある。
パナマ運河には3つの閘門があり、ひとつでも破壊されたら運河としての機能は失われる。
これは奇襲だが、完全な奇襲にならないことを艦長たちは承知している。
昨日は僚艦がニューヨークを砲撃したので、守備軍が警戒配備についているだろう。
必ず敵の対空部隊と伴い、迎撃機が出てくるかもしれない。
何度も言うように射出されたのは無人機である、これがただの無人機ならばたちまち撃墜されているが……
パナマシティ対岸・バルボアを構える海軍司令官・ウッド大佐は、沿岸監視隊からの報告を聞いて起きた。
「我が軍のジェットステルス攻撃機《アヴェンジャー》らしきもの数機、運河に沿って北上しつつありますが……」
「そいつらは我が軍の《アヴェンジャー》に似ているだと……」
ウッドは一瞬混乱したが、もしやと思い吠えた。
「全軍に警報を出せ! 敵の狙いは閘門だ、閘門を破壊されてはならない!」
バルボア後方には、小規模ながらだが連邦亡命政府の空軍を新たに設立した。
だからと言って高価な機体は貸与されず、アメリカ合衆国のノースロップ社が1950年代に開発した小型戦闘機F-5《タイガー》だ。
小型軽量で取得や運用も容易であったため、近代化改修されているほど扱いやすい。
司令部からの通報で、F-5E《タイガーⅡ》が押っ取り刀で舞い上がった。
しかし、このときすでに4機の日本機は運河内部・コロサルを超えて、ミラフロレス湖に接近していた。
飛び越えていく4機に対して、運河沿いに配備された米・連邦合同対空砲部隊がようやく撃ち始めたが追い撃ちになり、撃墜できなかった。
すると1機の無人機が、何かを見つけたように突っ込んで行くのが見られた。
この時、ちょうど1キロ南に2000トン級の商船が北上したのである。
無人機が針路を変えることなく、商船に突っ込んだ。
すると同時に、商船は凄まじい爆発を起こした瞬間に爆沈し、着底したのである。
運河の幅は33メートルしかないのが、アメリカの泣き所である。
かつて海軍でも同じく、これ以上の幅を持つ戦艦を建造不可能はもちろん、砲塔サイズも幅に左右されるからである。
だから40.6cm以上の主砲を搭載する戦艦は持てなかったのである。
この狭い水路が沈んでしまったと言うことは、閘門を破壊する前に運河をロックしたことを意味する。
閘門の破壊はダメ押しと言うことになった。
突っ込んだのは最後に発進した4番機である。
残りの3機はなおも進撃を続け、ミラフロレス閘門が視界に入って来たとき、ようやく緊急発進した連邦空軍が追いすがって来た。
たちまち追いつくと、ミサイルでの撃墜はもったいないと言うこともあるが、中岡大統領の忠誠に伴い、千里馬精神《一晩で千里を走ると言う意味》で撃墜したいと言う気持ちが強かった。
M39A2 20mm《リヴォルヴァーカノン》を発射したが、全機は全て蝶が舞うように華麗に避けた。
この野郎と思い、今度はAIM-9《サイドワインダー》を発射した。
しかしこれまた無人機とは思えぬ回避……例の非線形で回避したあのステルス艦載機の如くミサイルを回避した。
それどころかパナマシティに被害を増やすだけのことをしてしまう始末である。
これに気付いて2番機と3番機が反転し、敵機に立ち向かった。
閘門の破壊は機体内に爆弾が内蔵されたこの自爆機1機で足りるからである。
追いすがった連邦空軍機は10機で、《晴嵐改》2機が突っ込んだ。
敵機パイロット全員が『気でも狂ったのか』と思った瞬間だった。
彼らの視界を遮るような閃光がF-5E《タイガーⅡ》部隊に襲い掛かった。
気がついた頃には、全機はきりもみしながら市街地に落ちてゆく。
またしても防空どころか、その周辺に被害甚大を犯すばかりだった。
単独になった1番機は閘門上空に接近、充分な照準を付けると母艦に打電を打った。
“リュウハネムッタ…… 0710”
龍は眠った…… これこそ運河が封鎖されたことを意味し、数字は時刻である。
任務完了の成功を知らせると終わると同時に、無人機は凄まじい轟音とともに突っ込んだ。
その威力は計り知れなく、爆発とともに主水管が吹っ飛び、猛烈な水柱が噴き上がった。
謎の艦載機はパナマ運河上空で散ったが、任務は全て成功した。
遅くも駆け寄った米軍機が来たときは、すでに遅かった。
上空からパナマ運河が破壊されたことに唖然としていたからだ。
連邦亡命政府は汚名を返上するどころか、更なる汚名を着た瞬間でもあったことは避けられなかったのである……
某海域
「提督、作戦は成功しました!」
この異形の潜水艦に乗艦していたクローン乗組員は、秀真に報告をした。
「そうか、これで奴らの首元に致命傷を与えた」
加古が『行きはよいよい、帰りは恐い』とよく言うから帰投するまでが任務だ。
気が抜けないなと言い聞かせ、秀真が一服しようと、コーヒーを飲んだ時だ。
「ご満足いただけましたかな、秀真提督」
灰田が現われた。
「ああ。この海底戦艦イ800は申し分ない性能だ、ありがとう」
「いいえ、新富嶽ことZ機のように現代に対応できるように改良しただけです」
この異形の潜水艦は、海底戦艦イ800と呼ばれており、用意したのは灰田である。
現代の潜水艦を基準に、さらに《海龍》と同じ性能を兼ね備えている。
艦載機は少数だが、全て《アカギ》が搭載しているステルス艦載機と同じ非線形飛行が可能な自爆機《ハンターキラー・ドローン》である。
標的となるものを入力すれば、あとはミサイルのように標的に向かって破壊する。
通常のミサイルではできないことを、灰田はこれをやってのけるほどの技術力を持っている。
この潜水艦は別次元の日本にも大量に保有しているが、秀真は2隻までと決めた。
万が一の時に備えて、支援はできるだけ少なくした方が良いとの判断だった。
後先のことを考えた戦略を、元帥たちも同じように考えているからだ。
全力を成す場合は、連邦亡命政府の隠れ家でもある地上の楽園である。
一部では太平洋のど真ん中に自然できた島を、人工島としてカモフラージュしているのではないかと元帥は推測した。
戦艦水鬼たちも同じように考え、調査に協力している。
この戦争を終わらせるには、アメリカの重要拠点を潰して干上がらせるしかない。
しかし事実、アメリカはハワイを失い、秀真たちによってパナマ運河も破壊された。
これ以上、日本に報復するのであれば、もはや自滅の道を歩んでいることも当然である。
「この戦争終息は、そろそろかもしれないな」
秀真はそう考えていたときだ。
『同志。パナマ運河破壊作戦、お疲れ様』
「郡司か、そっちもニューヨーク攻撃お疲れ様」
郡司が通信で報告をした。
『アメリカと、連邦のドブネズミどもが大慌てしているそうだ』
「まあ、そうなるだろうな」
『これで考え直すと良いが、果たしてどうなるだろうね?』
「内ゲバでもしてくれたらいいが、そうならないだろうな」
『なるとしてもCIAなどが真っ先にやりそうだな、または不満が堪っている米軍特殊部隊かもしれない』
曖昧な推測かなと郡司は、モニター越しで首を傾げた。
秀真もそうなるかなと、自分なりの推測をした。
「今頃、アメリカ政府は激怒しているか、責任の擦り付け合いでもしているかもしれないな」
秀真はそう言うと、郡司も頷いた。
『原潜とニミッツ級空母級じゃない限り、この海はもうかつての米海軍の制海権ではない。
もう各島に駐在している米軍ももはや降伏することもあり得る、こちらから降伏するかもしれないか、追い詰められた連邦のドブネズミどもが勝手に離反して、そのうち見つかるかもしれない隠れ要塞に逃げるかもしれない。
その時はアメリカ政府もどう動くか、それとも連邦亡命政府が動くか……』
「もしかしたらホワイトハウスごと破壊するか、同時にコンドン大統領たちを殺して逃亡するかもしれないな」
『あり得るかもしれないな、ともあれ僕たちのこの重要任務でどう動くか今後次第だな……』
「そうだな、郡司」
『これ以上、交信したら傍受される可能性も高いから通信終了する』
「ああ、鎮守府で落ち合おう」
『了解、同志もな』
お互いの交信を終え、ひと息ついた秀真たちは我が家で待っている古鷹・木曾たちがいる鎮守府へと帰投するのだった。
という事で、今回はハワイ島壊滅後の作戦である報復作戦が終了しました。
またこの奇妙な潜水艦こと2隻の《イ800》海底戦艦は、本来ならば旧式でしたがオリジナルにZ機同様に現代に対応できるようにカスタムしています。
なお自爆機はCoD:Bo2のマルチプレイに登場する《ハンターキラードローン》と共に、
艦載機は無人攻撃機《アヴェンジャー》をヒントにして生まれたものです。
余談ですが、田中光二先生のお気に入り作品だと言うことを後書きで知りました。
灰田「もしも実装したら、大変でしょうね」
もし艦娘化したら、伊13ことひとみちゃんと、伊14こといよちゃんに近いと思います。
30cm連装砲と晴嵐改、対空機銃、そして酸素魚雷を装備した海底戦艦ですからね。
覚えている限りでは《伊812》号までいたと思います……
生き残った艦は少数でしたし、因みに1隻のみ米軍に鹵獲されています。
秀真「語呂合わせとか大変そうだな」
郡司「弾薬と燃料、資材は長門並みだと思うな、ボーキサイトは軽空母並みかな……」
同時に敵の駆逐艦なんて先制爆雷攻撃して来そうで怖いです……
しかも敵のプレデター級駆逐艦は、ヘッジホッグ装備だったら……
灰田「ともあれ、長くなり兼ねませんので予告に移りますね」
お願いいたします。
灰田「次回はこの報復作戦後、アメリカ・連邦視点に移ります」
秀真「もうあいつらの相手は疲れる」
郡司「本当だよ」
取りあえず、それは置いといて……
灰田「またしても日本に報復しようと作戦を立てます。果たしてその作戦はどんな作戦かは次回で明らかになります」
本作品と共に、同時連載『第六戦隊と!』の更新で遅れることもありますがご了承ください。
最終回まで自分のペースで執筆していきますので、お楽しみください。
灰田「それでは切りの良いところになりましたので、次回もまた、第百八話までダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真・郡司『ダスビダーニャ』
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに