超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
少し予告を変更の形になりますが、今回は前編・後編となります。

灰田「なお今回の海戦は、やや驚きの展開がありますので注目するのも良いでしょう」

それでは改めて……

作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』


第百十六話:偽りの勝利 前編

古鷹たちが秀真率いる連合艦隊に合流する間にも、艦隊同士の戦いは続いていた。

大和と武蔵、アイオワ、そして高千穂・白山・十勝率いる戦艦部隊も同じく―――

 

『目標、敵二番艦。撃てぇーーー!』

 

秀真の号令を聞いた大和たちは、電探が位置を特定した目標に向かって砲塔が動き、砲身を上下して、やがてぴたりと静止した。

その瞬間、艤装内に張り巡らせていた電流が主砲発射回路に飛び込み、装薬に点火した。

装填された発射薬が一気に燃焼し、各連装砲から徹甲弾が、轟然と放たれた。

周囲を揺るがす振動に、荒波に打たれたかのように秀真たちが乗艦する《ズムウォルト》級巡洋艦や、《みょうこう》率いる海自護衛艦などの艦体から、艦内部全体に響き伝わる。

もしも興味範囲で甲板上に見に行くと、生き残ることはできない。

根こそぎ引き剥がれ、海中に叩き込まれることは間違いなく、内臓が押し潰されて、冥界に旅立つことになるはずだ。

大和たちが装備している破壊力抜群の46cm三連装砲などの爆風は、計り知れないのだ。

秀真たちが乗艦する各艦の内部でさえも、鳴り響いた。

 

同じく連邦艦隊も負けていない。

連邦艦隊の《アーレイ・バーク》級駆逐艦群の周囲に弾着を報せ、艦全体を覆い被さるほど水柱がリズムよく立ち上がる。

しかし激戦の末に、VLSに内蔵された全ミサイルを使い果たし、秀真率いる連合艦隊相手に気休め程度に1基のMk.45 5インチ単装砲を撃っていると言う有様である。

だが、連邦の切り札でもある戦艦空母型人造棲艦《ギガントス》が装備している連装砲は富士たち戦艦空母と、長門たちと同じ41cm連装砲である。

《ギガントス》の巨体をぼうと照らし出すと、連邦護衛艦よりもひと回り大きなオレンジ色の火矢が噴出した。

膨大な衝撃波を打ち続けられた直下の海面は、途方もなく大槌の一撃を喰らったかのように大きく窪み、次いで激しく波立った。

 

「全艦、砲撃を絶やすな。敵艦隊を殲滅せよ!」

 

「この攻撃など、まだ気休めに過ぎんな!」

 

「さぁ、私たちの火力、存分に見せてあげるわ!」

 

大和の号令に、武蔵・アイオワも同じく闘志を燃やして轟然たる砲声を鳴り響かせた。

 

「富士姉さん率いる―――」

 

「私たち特型戦艦こと―――」

 

「戦艦空母の力を見ろ!」

 

高千穂・白山・十勝は綴りを合せるように後退した富士の名に懸けて、暗闇の海上を並進しつつ、各連装砲を投げつけ合うように砲戦を続行する。

 

大気を鳴り響かせて飛翔する互いの徹甲弾は空中ですれ違い、弾道の頂点に達した直後は、急速に突入角度を深めつつ、突入して来た。

徹甲弾は大気との摩擦により紅く燃え、両者が叩きつける砲火は、暗夜の海上をも綺麗に染め上げていく。

 

「取舵一杯、急げ!」

 

《ズムウォルト》級ステルス巡洋艦と、大和たちの周囲に上がる水柱は、天空から投げ落とされた神々の牢獄とも思える。

秀真たちなどが乗艦している各護衛艦のCICからリアルタイムで確認できる。

海を振り動かしての砲撃戦を続ける大和たちが守護神軍団であれば、連邦海軍の人造棲艦《ギガントス》は『現代の大海魔《リヴァイアサン》』と聖書に記された神々たちの大海戦を表現していると、言った方が相応しい。

 

戦艦同士の砲撃戦は、両者とも一歩も退くことなく続いていた。

圧倒的な数にも屈することなく、女性の悲鳴に似た声を上げながら《ギガントス》が持つ41cm連装砲から、長いオレンジ色の火矢を模した徹甲弾を撃ち放つ。

灼熱した12発の徹甲弾が、距離も詰めたこともあって低弾道の放物線を描いて飛び渡り、大和たちに目掛けて殺到した。

無数の水柱が奔騰し、その中に真っ赤な爆焔が煌めいた。

 

『大和(大和さん)!!!』

 

《ギガントス》の撃ち放った徹甲弾を喰らった大和は、左艤装に装備した46cm三連装砲塔が被弾し、折れ砕けた砲身が高々と舞い上がって、水飛沫を上げて落下した。

 

「大丈夫……です、これくらいで大和は沈みません……!」

 

多少の攻撃力を失えど、健在な46cm三連装砲塔から、徹甲弾装填完了。

先ほどの損傷を与えたお返しとばかりに、全身を震わせて、大和は撃ち放った。

その瞬間感じた手応えに、彼女は拳を握り締めた。

 

「……直撃ですね!」

 

その思いが形となり、砲撃中の《ギガントス》に徹甲弾が突き刺さった。

衝撃音が轟き、深い暗闇の中に鮮やかな爆焔が舞った。

富士たち戦艦空母を模した《ギガントス》と言え、大和の一式徹甲弾を受け止める装甲は施されていない。

直撃を受けた左舷――― 41cm連装砲とともに、航空爆弾にも耐え得る重装甲飛行甲板が無惨にも原形を留めることなく破壊された。

次の瞬間、憤怒の形相を刻み込み、耳鳴りがするような奇声を上げた。

 

「キエェェェェェェ!」

 

『連邦艦隊に勝利あれ!!!』

 

6門の砲口と、各連邦護衛艦のMk.45 5インチ単装砲が、これまでにない怒りを孕んで咆哮する。

音速を超えて叩き出された砲弾が、いまや切らんばかりにまで近づいた大和と武蔵に目掛けて閃き飛んで、彼女たちに打ち据えた。

同じく怒りの込めた砲弾が、大和たちに襲い掛かり、傷をひとつふたつと増やしていく。

並みの戦艦娘ならば、たちまち大破しているところだ。

 

しかし――― 堪えない。

大和や武蔵は、その強靭な防御力を備えており、これに見合うだけの砲弾を受けながらもふたりは撃ち続けている。

 

『全艦、大和たちを援護せよ!』

 

『同志たち、

 

『了解!!!』

 

秀真と郡司が乗艦する《ズムウォルト》級巡洋艦や、彼らを支援するナガタ一佐が乗艦する《みょうこう》率いる海自護衛艦から《ハープーン》による支援攻撃が開始された。

連邦艦隊はもはや多くの兵装を使い果たしたため、これを迎撃する能力は乏しかった。

Mk.45 5インチ単装砲も連射するが、隼の如く俊敏な動きを誇る《ハープーン》の前では無力に等しい。

ただし、マケイン中将が乗艦する旗艦《ルーズベルト》だけは敵の動きを読み、常に考えながら使用していたため、迎撃する力は残っていた。

連邦艦隊は多くは航行をすることがやっとの艦が多く、ダメコンも限界を超えていた。

大破状態のままで奇跡的な航行していた《ハルゼー》は、ついに火柱を上げて、その場に停止した。

先ほどの攻撃で、艦は艦底までぶち抜かれ、大量の海水が、沸き出すように入ってきた。

間もなく限界を超えた《ハルゼー》は、喫水を深めつつ横倒しになり、海中に引き込まれていった。

連邦護衛艦・先頭艦《ルーズベルト》と、各連邦護衛艦群も数箇所で火災を起こし、火焔をなびかせている。

しかし闘志は衰えを見せず、勢いづいたように各艦船の全砲門が咆え盛る。

 

「次は直撃が来るぞ!」

 

秀真が呟く。

砲弾の飛翔時間が経過し、魔女が集団で飛翔してくるような轟音を上げて、敵艦が放った各砲弾が落下する。

次の瞬間、周囲に突き刺さった砲弾が、水中衝撃波を叩きつける。

秀真・郡司が乗艦する《ズムウォルト》級ステルス巡洋艦はもちろん、大和たちなどにもこの強烈な衝撃波が平等に襲い掛かる。

 

「……くっ、こちらも負けてたまるか!」

 

郡司が叫ぶ。艦隊同士の殴り合いだ。

それぞれ砲弾を投げつけ合い、水柱がリズムを合せるように煌めく。

 

「私たちも負けずに、大和さんたちを支援するわよ!」

 

「はい、分かっています!」

 

「負けはしないぞ! 撃てぇーーー!」

 

「Name Shipの名に懸けて、行くわよ!」

 

高千穂・白山・十勝に、そしてアイオワたちも支援砲撃に加わる。

彼女たちは各々主砲9門を全て合わせて12門に対して、《ギガントス》のそれは6門。

三割三分も多い門数と、戦意の差が、確率を超える命中弾を生み出した。

一時に五つの花が、中破状態の各連邦護衛艦群の艦上に咲き乱れた。

死と破壊を糧として、咲き誇る紅蓮の花は、その苗床となった各艦船の艦内深くに根を差し込んで、弾薬庫に蓄えた少数の主砲弾などを誘爆させた。

砲撃の火焔が、霞んでしまうほどの閃光が煌めいた。

マケイン中将が乗艦する《ルーズベルト》と、各護衛艦もその流麗な艦体が裂け、内側から押し開くようにして、膨大な火焔の塊が、天まで届けと言わんばかりに吹き上がった。

人よりも大きい砲塔が台座から外れ、砲身を好き勝手な方向に向けながら回転して、水柱を上げて海に沈没した。

マケイン中将と全乗組員たちは死亡したが、戦果は少しだけ上げる事も出来た。

またこの作戦で形勢逆転も狙えると思えば、それで満足だったと笑みを浮かべて戦死した。

 

連邦護衛艦群や深海棲艦たちが殲滅してもなお、未だに砲撃戦は繰り返される。

《ギガントス》を倒さんと大和たちの轟いた砲声は、その足元を、直下の海面を大きく窪ませ、吹き千切れた波頭が、細かな霧となってオレンジ色の火矢に染め上げられる光景は凄まじいものだ。

大和たちの砲火は止むことなく、斉射し続けた。

中破した《ギガントス》は、ついに堪り兼ねたのか、果ては40cm連装砲などの弾が切れたのか抵抗する様子もないと思いきや―――

 

『なにっ!?』

 

《ギガントス》は取り付けていた艤装を自ら外したところまでは以前と変わらない。

その無傷だった右舷の重装甲飛行甲板は盾代わりに使用するのではなく、こちらは十勝たちに目掛けて思いっ切りプロ野球選手の如く、剛腕まかせに投擲した。

 

「その手は通じん!」

 

十勝は41cm連装砲で回転しながら飛翔する重装甲飛行甲板に対して、冷静な表情で向かってくるこれを狙い定めて、全門を開いて咆え猛る。

周囲に轟く砲声と伴い、空気摩擦をして飛翔する徹甲弾はこちらに向かって回転飛行する重装甲飛行甲板に命中した。

この砲劇に耐えることが出来なかった飛行甲板は内部から亀裂が走り、やがて空中爆発を起こし、黒煙とともに破片となって散り散りとなったが―――

 

「なにっ!?」

 

しかし、その黒煙の中から現れたのは《ギガントス》ではなく、先ほど富士を大破させた滑空爆弾《アローヘッド》がその黒煙から不気味な姿を見せて、十勝に目掛けてまっしぐらに突入した。

 

「ちっ!」

 

短い舌打ち。十勝は咄嗟の判断で各対空機銃をがむしゃらに撃ち込んだ。

その火線の奔流が、白煙の尾を曳いて襲来する破壊の凶鳥もしくは小さな火龍を包み込む。

幸いにも《アローヘッド》の弾頭を貫き、炸薬が引火したのだろう。

空中に、いくつかの爆発の花が咲いた。

 

ホッと短い呼吸も間もない時、黒煙が落ち着きを払ったように消えた。

圧倒的な戦力差を見たのか、不思議なことに《ギガントス》は戦意喪失のような仕草を取った。

海上で間抜けにも踊っている姿を見た大和たちは、首を傾げながら近づいた。

警戒しながらゆっくりと近づいたものの、未だに背中を見せて踊っている《ギガントス》は、その場で座り込んだと思いきや―――

 

『きゃあ!!!』

 

直立した状態から上体を後方に反らせた《ギガントス》は、探照灯を照射した。

この閃光により、大和たちは突発的な目の眩みにより、かすみ目の前が暗くなる。

非致死性兵器として分類される探照灯だが、一時的な失明、めまい効果などを生み出し、それらに伴うパニックや見当識失調を発生させたのだ。

 

「しまった、目がっ!」

 

「Shit!この卑怯者!」

 

連邦譲りの卑劣なとも言える、不意打ち攻撃を喰らい、一時的な失明になった大和たちに構わずに、《ギガントス》は剛腕に任せたストレートパンチと、蹴り攻撃を見舞った。

アイオワはストレートパンチを喰らわせようとしたが、簡単に避けられてしまう。

余裕の笑みを見せながら、さらに同じ攻撃を繰り返した。

双方の攻撃を喰らった大和たちは、思わず苦痛の喘ぎを漏らした。

しかし、《ギガントス》は罪悪感の欠片もない蟻を潰しながら遊ぶ子どものように大和たちをいたぶり続けていたが―――

 

「この武蔵と……」

 

「十勝を……」

 

『舐めるなーーーーーー!!!』

 

しかし、この状況を打ち破ったのは武蔵と十勝だった。

ふたりは拳を思いっ切り握り締めて、そして《ギガントス》の顔に目掛けて、上半身全体を回転させると伴い、勢いよく、そして体重を右手に乗せ、速度・重量ともに申し分のないストレートパンチをお見舞いした。

彼女たちの攻撃により、《ギガントス》の顔に、互いの拳が、グシャッと相手の両頬にめり込む感触が伝わった。

あまりの攻撃に、《ギガントス》は両者の拳を防ぐこともできず、最大速力で走行する特急列車に跳ねられたかのように吹き飛ばされた。

 

『ふんっ…… 他愛もない!』

 

武蔵・十勝は、ようやく一時的な失明から解放されて、元に戻った大和・アイオワ・高千穂・白山に『みんな大丈夫か?』と問いかけた。

 

「私は大丈夫です」

 

「Meも大丈夫ね」

 

「私も大丈夫よ、心配しないで」

 

「私もまだ戦えます!」

 

大和たちの無事確認。

しかし、二人の拳を見舞った《ギガントス》は、ゆっくりと起き上がった。

大和たちが各砲塔を動かして照準を合わせ、起き上がった《ギガントス》に狙いを付けた。

だが、ここでもまた予想外の出来事が起きたのだった……




前回とは違い今回は、やや少なめ5000文字以上がもう平均文字でもあります。
ようやくPC不調から直りましたので、暫くは大丈夫だと思います。

灰田「ともあれ、時間が掛かりましたことに関して申し訳ありません」

こればかりは仕方ないことですけどね、本当に。
なお今回の《ギガントス》は、、かなりずる賢い戦術を得意とする個体にしました。
以前までは簡単にやられましたが、今回ばかりは本気モードになっているかなと思います。

灰田「なおマニアックですが、《ギガントス》がした目くらまし戦術は、ウルトラセブン第41話『水中からの挑戦』に登場するカッパ怪獣テペトの戦術を参考にしています」

同じ水棲生物みたいなものですから、しても違和感がないと思います。
探照灯で目くらましも史実でも対空射撃の際には効果抜群と言われましたから。
基本的に連邦亡命政府軍は、だまし討ちや不意打ちなど卑怯戦法を好みますので、この《ギガントス》もその遺伝を受け継いだと言っても良いでしょう。
今回の補足をここまでとして、次回予告に移りますね。

加古「今日はあたしが、次回予告するね!」

なお今日は加古の誕生日であります、加古おめでとう。

加古「次回はこの海戦の続きに伴い、漸く終止符を迎えたとき、恐るべき真実が明らかになるからね、お楽しみに〜」

同時連載『第六戦隊と!』の更新で遅れることもありますがご了承ください。
最終回まで自分のペースで執筆していきますので、お楽しみください。

灰田「それでは切りの良いところになりましたので、次回もまた、第百十七話までダスビダーニャ(さよならだ)」

加古「ダスビダーニャ!」

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに
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