超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
予告通り、連邦軍による北海道進行作戦『サンタクロース作戦』に伴い、例の秘密兵器『プロジェクト621』の正体、その正体も明らかになります。

灰田「なお私も久々の登場ですので、お楽しみくださいませ」

今回のサブタイトルの元ネタは、『荒鷲の大戦』です。
北海道戦車戦に伴い、ロシアと同盟を結んでいる日本もユニークな作戦名であります。

では、改めて……

作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』



第百三十四話:蝦夷の釣鐘作戦、発令ス!

北海道海域上空

時刻 0300

 

サイパン諸島激戦から、15時間経過―――

 

夜空を舞い上がるフクロウのように、この上空を飛行する1機の水上偵察機―――零式水上観測機(通称『零観』)が哨戒任務を行っていた。

その機内で、操縦桿を握る零式水上観測機妖精(以下『零観妖精』)は、不満げな顔で一人ごちた。

 

「昔は水上偵察機などは、不要だとか、誰か言ってなかったか。それが今では必要不可欠なのだから、世の中なんていい加減なもんだ」

 

一部搭載出来ない娘は仕方ないが、なんだかんだ言っても索敵及び、偵察、着弾観測から通信などは、電探同様に必要不可欠である。

そして稀に敵機との格闘戦まで加わると、一人でこなさなければならない。

連邦派深海棲艦の艦載機が向かって来ても固定武装の7.7mm機銃と、両翼内に搭載された20mm機関砲で、2機までならば充分、渡り合える自信がある。

 

「仕方ない。もう少し、高度を落としてみよう」

 

搭乗員は自分だけだ。

どうしても、哨戒任務中は独り言が多くなる。

彼女は速度を落として、高度を1000メートルから600メートルまで下げ、風防を開けて周囲を見渡した。

 

「いつもと変わらないか……ん?」

 

零観妖精は、小首を傾げた。

右手下方の海に、何かが光ったように見えたのだ。

一瞬、夜光虫かと思った。が、夜光虫は南方の産物で、夏でも北海道海域にも棲息しているとは思いがたい。海自の護衛艦、または友軍のTJS社所属の護衛艦かと思った。が、ここで両軍が哨戒任務を行うとは聞いていない。

 

不安を感じた零観妖精は、そちらに機体を向けた。

そのまま飛行すると暫し、そろそろ真上と思った零観妖精は、爆弾投下索を引いて、抱えてきた吊光弾を投下した。

ガクン、と機体が突き上げられるような感触が伝わり、吊光弾が主翼を離れた。

 

待つほどもなく、眼下に眩い輝きが出現した。

満月ほどの明るさが見えた。もう1発投下だ。もう一度満月の輝きを、暗夜の洋上にもたらした。

機体を傾け、光源を発した未確認物体を確認しようとして、彼女は言葉を失った。

 

眼下には、巨大な潜水艦2隻が浮上していた。

外観は、かつてソ連が開発して建造した世界最大級の戦略潜水艦―――タイフーン級潜水艦に酷似していた。

あまりに巨大であったため、運用に窮したソ連海軍では、一時的、鉱石を大量輸送するための輸送潜水艦として使用していた秘話がある。

 

しかし、タイフーン級潜水艦とは似て非なる巨大な潜水艦であることに気づいた。

発令所たる艦橋構造物と一体化した上甲板には、伊号400型潜水艦と同じく円筒形格納庫と、艦首部分には上陸部隊が上陸するための上陸用ランプが兼ね備えており、そして後部には防衛火器が配置されている。

海上要塞でもあれば、巨大ザメ・メガロドンとも思わせる容姿だった。

メガロドンは約1800万年前から約150万年前に存在していた太古のサメである。

世界最大のサメ、ジンベイザメ以上の大きさを誇っているとも言われている。

メガロドンは絶滅したと言われているが、現在でも目撃情報が残っており、事実、恐竜よりも遥か昔に誕生した古代魚―――シーラカンスは、深海に適応することで現代まで生き残ることが出来た。

このような例もあることから、メガロドンなどの古代生物が、深海に生息している可能性も否定出来ない。

 

「いかん!連邦の奴ら、巨大輸送潜水艦で北海道に上陸する気だな!」

 

思わず驚愕の声を漏らした零観妖精は、思いっきり操縦桿を引いた。

 

その瞬間、眼下が真っ赤に燃えた。

巨大輸送潜水艦が配置している防衛火器の100mm砲と、対空機関銃が撃ち出して来たのだ。

撃ち上げられた曳光弾が、輝きの尾を曳いて、猛烈な勢いで迫って来る。

全ての砲弾が自分を目指しているように思えて、零観妖精は歯を食いしばり、スロットルを全開にして上昇する。

電探連動の対空砲火とは言え、なかなか命中するものではなく、炸裂を始めた砲弾も閃光の華を咲かせているのみでいる。

 

しかし、零観の機体近くに炸裂する砲弾の衝撃で機体が風に揺れる木の葉さながらに揺れ動く。

 

「死んでたまるか!この情報を必ず持って帰らなきゃいけないんだから!」

 

肝を奪われた思いで、彼女は振り返った。

その頃、ようやく射程内から離脱したのか、対空砲火は止んでいた。

海上に出現した対空砲火は唐突に火箭を収め、吊光弾も燃え尽きて、再び静寂な闇に戻った。

 

しかし、彼女には、その姿は忘れなかった。

闇のなかに静まる、メガロドンのような巨大輸送潜水艦が今まさに北海道本土に襲い掛からんと航進している。

 

「よし。この情報を元帥や郡司提督たちに打電しなければ!」

 

その姿を思い浮かべつつ、零観妖精は緊急打電を送ったのだった……

 

 

 

「零観より入電。北海道海域に《タイフーン》級輸送潜水艦に似た連邦軍の巨大輸送潜水艦2隻見ゆ。北海道の釧路目指して進行中!とのことです」

 

零観妖精からの緊急打電に、司令部にいた杉浦統合幕僚たちは唇を噛み締めた。

 

「連邦軍の巨大輸送潜水艦となれば、手薄な北海道に上陸する部隊規模が1個師団以上になると、本格的な侵攻作戦だな。警戒の厳重な択捉方面を避け、北太平洋方面から来たのかもしれない」

 

元帥が言った。

思案に沈んだ杉浦たちよりも、元帥と同席していた郡司が答えた。

 

「偶然、零観妖精の教えてくれた座標に、無人攻撃機MQ-1《プレデター》を送り、その場所で撮影したものが来た。零観妖精が言っていた《タイフーン》級輸送潜水艦に似たこの巨大輸送潜水艦の正体は、恐らくは《プロジェクト621》だ」

 

「なんだ、《プロジェクト621》とは……?」

 

杉浦が訊いた。

 

「かつて冷戦時代に旧ソ連が、アメリカ筆頭の西側諸国に対抗するために様々な巨大且つ、奇妙な兵器を数々開発しました。社会主義体制な所以に、コストや人件費を全く考慮することなく、自分たちの党や軍を思うまま、或いは政治的な駆け引きのための道具として生まれた巨大兵器《プロジェクト621》も、そのひとつとも言われています。

全長は不明ですが、排水量が約15950トン。上陸専用輸送潜水艦ですから、兵員745名とともに、戦車10輌、輸送トラック12輌、牽引式火砲12門、そして当時の戦闘機3機を搭載可能です。艦内は各車輌や乗組員たちなどを搭載するため、三層に分かれています。

幸いにも無用の長物となって、1隻も建造されていませんが……連邦軍がこの資料を見つけて、さらに現代技術を加えているなると、恐らくは《タイフーン》級輸送潜水艦になっている可能性も高くなっています」

 

郡司の答えに、杉浦たちは身震いした。

この巨大輸送潜水艦は、旧ソ連がかつて開発したものだが、それを現代技術を加えて完成させたのが連邦軍は、正気の沙汰ではなかった。

かつてスターリンも北方領土や朝鮮半島だけでは収まらず、北海道から、果ては日本まで占領しようとしていたほどの狂暴な独裁者でもあった。

北海道に侵攻したのは、もしかしてZ機を鹵獲することが第一目的かもしれない。

中岡大統領もだが、スターリンの亡霊が今でも日本を占領せん、と言う思いで甦ったのかもしれないと……

 

「現地部隊には、援軍編成まで頑張って貰わないとな……」

 

杉浦が重く答えたのも無理はない。

北海道駐屯部隊は、野村陸将率いる第7師団1個とともに、偶然に共同慣熟訓練兼演習を行っているTJS軍所属の戦車小隊(T-72-120戦車4輌)が駐屯している。

司令部は旭川にあり、2個旅団からなり、その内の1個連隊は札幌に駐屯している。

 

「北海道にいる現地部隊に打電しましたので安心してください。迎撃命令も、住民の避難勧告も送りました。

東北地方にある空自の三沢基地及び、能代基地に配備している基地航空隊の援護も要請しました。

可能な限り、輸送機部隊で現地に兵力を送っています」

 

郡司が答えた。

 

「そうか。しかし、北海道救出艦隊編成は準備万端なのか?」

 

杉浦が訊いた。

 

「今からでも出撃可能です。ただし到着は昼間になります」

 

「それでは間に合わず、敵が上陸してしまうぞ。第一戦車小隊だけでは敵の戦車大隊相手では防ぎきれないぞ!」

 

杉浦の補佐を務める、宮崎補佐官が吠えたときだった。

部屋の隅に白い霧が湧き、部屋の温度が下がった。灰田が現われる前触れである。

次元の壁を越えて来るときに、こちら側の熱エネルギーが奪われるらしい。

霧のなかから、灰色服の男こと、灰田が現われた。

 

「どうも、皆様のご心配は分かりますが、この問題に関しては大丈夫です」

 

灰田は、ことなく言った。

 

「やはり、また新たな兵器でも配備したのかね?」

 

元帥は穏やかな口調で言った。

もはや彼女にとって、彼とのやり取りは慣れており、友人と対話するようなことである。

 

「もちろん対策を取っております。我々の超人部隊とともに、彼らが操縦する戦車部隊を北海道に配備いたします。もちろん作戦行動可能な充分な物資を含めて、そちらに送りますのでご安心ください」

 

灰田は、手のひらに収まる小さなブリーフケースのようなものを携えていると、これを操作すると、デスク上にホログラム映像が現われた。

 

映像に移ったのは、10式戦車以上の大きさを持つ戦車だ。

外観は現代戦車と変わりないが、とてつもない巨大な重戦車だった。

郡司は、この戦車をひと目見ただけでも分かった。

 

「これは試製超重戦車《オイ》じゃないか!?」

 

彼の答えに、灰田は、にっと微笑した。

 

「その通りです。郡司提督の言われるとおり、かつて日本が秘かに開発した試製超重戦車です。11人の搭乗を可能とし、砲塔3基を備えて、重量は120トン。

しかし、非常に高価であったことから1輌しか製造されておらず、満州に分解して輸送した際に終戦を迎えました。

当時の日本陸軍の戦車のなかでは最大且つ、充分な数と補給などが整えていれば、ドイツのティーガーやパンター戦車並みの力を発揮していたでしょう」

 

「ふむ。確かにこれを送れば、連邦軍は泡を喰うでしょう」

 

杉浦が言った。

 

「もちろん我々の未来技術を加えて、105mm砲と火炎放射器を砲塔に据え、どんな重戦車や歩兵部隊も殲滅可能であります。ロケットランチャーのランプも備えており、精度は低いものの一斉射撃で大打撃を与えられます。

当時のドイツ軍のティーガーIと同等の装甲を施されており、重量級ながら機動性も良く、この重戦車はクローン兵士が乗り込んで自己修復機能及び、我々独自の砲弾生成能力技術も可能です。

さらにいくつかの発展性のもの、アタッチメントを取り付けた《オイ》もご用意しておきます。これを1000輌と伴い、1個師団の超人部隊などもご用意いたしましょう」

 

「うむ、分かった。全てキミに任せよう。作戦名は『蝦夷の釣鐘』作戦だ!我々で秀真提督たちのように日本の未来を護るために進むのだ!」

 

元帥が答えた。

史実の海軍作戦名『翔号』作戦などのように、漢字一文字を好む海軍に対して、陸自との共同作戦の意味合いも込めて、どこか文字の香り漂う、元帥独特、彼女らしい作戦でもあった。

日本本土防衛作戦のためには北海道第二の都市、旭川と伴い、Z機基地を敵手に委ねるわけには行かない。

 

「郡司提督。もちろん……彼女たちも加わるからまかせたぞ」

 

「了解です、元帥」

 

 

 

早朝。

北海道・釧路周辺の海岸に上陸した連邦軍は、着々と進撃準備に掛かった。

歩兵や戦車のみならず、火力を誇る重砲、そして輸送トラック部隊なども準備万端であった。

北海道全体を制圧する足掛かりにしつつ、札幌、函館などを制圧後には、青函海峡を押し渡って本土上陸、或いは仙台、東京、大阪と、日本の三大都市をひとしなみに、鹵獲したステルス重爆による戦略爆撃の嵐に包み込む、と言う計画である。

 

「朝まで待たせた分、たっぷり暴れてやるぞ!」

 

学習したのか、早朝に上陸した。

闇夜に紛れて、早朝にここまで最善を尽くしたのだ。

なお、北海道侵攻作戦『サンタクロース作戦』を務める連邦指揮官・鳥嶋俊次郎大将は大いに喜んでいた。

北海道を占領及び、制圧すれば、自分は『北海道の父』であり、『北海道連邦共和国の国王』と昇進すること間違いなしだと思うと嬉々するのだった。

 

「我々の作戦で北海道及び、沖縄を苦しめたアンドルフ独裁政権は、さぞかし狼狽するでしょうね。ふふふ」

 

副指揮官・桝山要三中将は言った。

 

「その通りだ。それでは我々の上陸に対して、花束を抱えた美女や市民たちに伴い、抑圧的な独裁政権解放からの大歓迎な迎え酒をしない無礼なジャップどもに、我々の温かいプレゼントをしようではないか!始めろ!」

 

鳥嶋が号令した。

M119A3 105mm榴弾砲中心の連邦砲兵とともに、M120 120mm迫撃砲中心の迫撃砲部隊は、微調整照準を行い、目標である近くの街に照準をに合わせた。

使用弾は榴弾及び、白燐弾。これらを装填する。

 

「我らの偉大なる中岡大統領様に伴い、北海道解放戦線に栄光あれ!」

 

『砲撃用意!目撃……日本独裁の傀儡!!』

 

桝山の号令に伴い、砲兵と、迫撃砲部隊指揮官が復唱した直後―――

 

『撃てぇぇぇ!!』

 

彼らの号令とともに、各砲口から灼熱の火焔が渦を巻き、榴弾や白燐弾などが矢継ぎ早に放たれる。

大気を裂く飛翔音を撒き散らし、無数の火矢が町のただ中に落下した。

雷鳴すら霞ませる、凄まじい爆発音が轟いた。

密集していた町一帯が、地獄の業火に包まれる。

人々の悲鳴、鼻にこびりつく硝煙の臭い、そして戦意高揚の雄叫びが連邦軍にとって、心地よい絶景でもあった。

 

「続いて航空隊発艦!我が世界最強の戦車隊も歩兵部隊も前進せよ!アジア諸国を虐げる黄色い猿どもを皆殺しにせよ!」

 

千里馬精神、一晩で千里を走るように貫徹する連邦軍も全速前進し続けるのだった……




今回は、序盤戦と言う形で終了しました。
今回登場した《プロジェクト621》は、実際に計画されたソ連の巨大輸送潜水艦です。
冷戦時代に開発されたものの、幸いなことに計画中止になっていますが、もし建造したら日本及び、米本土上陸作戦に使われたと思います。
ソ連はWWⅡでは、猿人部隊量産計画もあったように試作及び、計画兵器はソ連が印象強いです。

灰田「『超戦闘機出撃』でもミスターブラックが言ったようにソ連の大艦隊もあったら抑止力として牽制出来たと思います」

また試製超重戦車《オイ》こと、オイ車も満州に運ばれる最中に終戦を迎えました。
今回のアイデア提供者、同志炒り豆に感謝です。
ありがとうございます!
因みにオイ車を初めて知ったのは、WA大戦略シリーズで知りました。外観は良いのに、弱いと言うことは悲しかったです。今では見直されて強化されていますが。

灰田「次回から本格的な戦闘に移りますので、お楽しみくださいませ」

次回は、灰田さんの言う通り、本格的な戦闘に移ります。戦車戦など起きますのでお楽しみに。
最終回に近づく本作品とともに、同時連載『第六戦隊と!』も、お楽しみくださいませ。
所以に、ゆっくり執筆なので申し訳ありません。

灰田「それでは切りの良いところになりましたので、次回もまた、第百三十五話までダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに
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