超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
なお今回は前作と変わらないと思いますが、楽しめていただければ幸いであります。
それでは、本編であります。
どうぞ!
市谷台にある防衛省の統幕本部の作戦室で、杉浦は各幕僚長、幕僚たちとともに東アジアの地図を睨んでいた。
むろん元帥、秀真、郡司、各提督たち、古鷹を始め各秘書艦たちも参加していた。
連邦が対日戦略を起こすとすれば……情報本部の分析では、その80パーセント以上という高確率だったが……、まず南西諸島を攻略して沖縄に攻め上がってくるだろうというのが、幕僚長や提督たちの結論し、誰しもがその通りだと頷いた。
これは軍事的に見ても正しい。
太平洋戦争でも米軍は同じルートをたどった。
けっきょく沖縄戦は太平洋戦争の最大の天王山となり、日本軍は64日間も粘り続け、米軍も膨大な死傷者を出したが、守備隊は全滅、島民も約10万人という死者が出た。
余談だが一部では当時の知事や軍司令部の命令を無視して、断固として避難しなかった島民たちが後からになって逃げたから被害が増したともいわれている。
現代の日本においても沖縄のポジションは政治的・軍事的にも見ても大きい。
歴史的にも証明している。つまり地政学的にみても重要的な戦略位置を占めている。
アメリカもそう考え、極東の抑止力として基地としてこの島を選び、多数の基地を置いた。しかし安保改正とともに、今では日米合同基地として活躍している。
かつての琉球王国は薩摩と明、清の両国の朝貢または平和外交を貫いていた。
普通の国ならば軍を持つことが当たり前なのだが、琉球は常備軍を持たない王国だった。
現代の視点から視れば、どうぞ占領してくださいと言わんばかりであると言いたい。
それまで琉球は日本国ではなく、独立国家だったからであり、どちらにつくかは自由であったが……
しかし、薩摩に征服される事で運命が暗転する。
このとき思い切って清に助けを求めればよかったかもしれない。
だが清にもそれだけの余裕はなく、けっきょく日本のものになり、薩摩の苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)に苦しみ、やがて沖縄戦につながる。
そのまえに明治政府は、いわゆる琉球処分などという尊大な言葉で沖縄県をつくり、日本に編入した。戦争が終わったあとも米軍になかば支配されたものだから、まさに踏んだり蹴ったりである。
杉浦と総幕僚長、元帥、秀真たちは期せず一致し、
沖縄を守りの最前線とすべき手は打ってある。
日米両軍ないし多国籍軍が基地を使うことは、ワシントンと交渉して了解を得ている。
もともと沖縄には空自の南西航空団がおり、主力は第83航空師団である。
本来は米空軍として単一では最大の戦闘航空団である第18航空団らもいたが、その多くがアメリカ本土防衛のため減少していたため、総幕本部は中部と西部航空方面隊から二個航空団を引き抜き、嘉手納基地に入れた。
主力戦闘機F-15をはじめ、日本初のステルス戦闘機であり、平成の零戦または日本版F-22『ラプター』ともいわれるF-3『心神』に次ぎ、支援戦闘機はF-2および米軍のF/A-18Fなどが合わせて、150機そろうことになった。むろん消耗すれば、ただちに本土から補充される。
F-15戦闘機の作戦行動半径は1800キロ、心神は1111キロ、ほかの機種は1000キロ前後である。
沖縄から中国沿岸、たとえば上海までおよそ700キロだからすべての戦闘機が中国沿岸までたどり着けるが、F-15を除いて戦闘時間はあまりとれない。
敵基地を爆撃する際はどうしても大量の爆弾やミサイルなどの重武装になってしまうため、胴体内の燃料を満タンに燃料を入れてしまうと最大離陸重量を超えてしまい、これらの影響で離陸時に影響がでかねない。
この問題に関しては自衛隊のKC-767または米軍のKC-135『ストラトタンカー』空中給油機を使えば問題はないが、そうなると帰りのことも考えなければならない。
むろん護衛機を付けさせるが、長時間旋回させるわけにはいかないため、最初からなしと視野に入れた方がいいかもしれない。
これは連邦戦闘機も同じようなものだろう。諜報部隊の情報では連邦の最新鋭機は、かつて中国がコソボで撃墜された米軍のステルス攻撃機F-117の技術を盗用し(現代でも公式では否定されているが)、さらに中国のハッカーを利用して1年半に渡ってF-35に関する情報を盗み開発した中国人民解放軍の第5世代双発ステルス機J-20――なお中国名は殲撃20である。戦闘能力はほぼ心神と互角と言われているが、最後にはパイロットの腕になる。しかし情報では保有数は100機程度である。
さらに2番目のステルス戦闘機であり、J-20が全長20mを超える大型機であるのに対し、本機は全長17m程度の中型の双発戦闘機であるJ-31を持つが、その数は50機ほどと言われている。
だが双方ともステルス機能と電子システムなどの完成程度は、心神の方が上と考えられる。ほかにも二種類の深海艦載機をモチーフにし、さらに有人化に改良された最新鋭機もあり、これに殲10、11の旧式機などだが、その実力は未知数。ただし日米両軍また多国籍軍戦闘機といい勝負をするかもしれない。
ともかく空自はF-15を150機、心神50機をもち、この戦力はアジアにおいては圧倒的だ。また米軍率いる多国籍軍も100機近く駐屯している。いっぽう陸自は、かつて第三海兵師団が駐屯しているキャンプ・コートーニを中心に西部方面隊から、第八師団および高射特科隊を入れた。海軍と海自は那覇を基地にして、一部は石垣まで進出、深海棲艦ほかの進出に対応できる態勢を取った。その主力が秀真以下ベテラン提督たちはもちろんのこと、流動的に編成された。水雷戦隊はもちろんだが、とくに重巡洋艦と戦艦、空母機動部隊などが重視された。
深海棲艦との戦いは慣れているが、ブラック提督たち率いる連邦軍は今まで戦ってきた深海棲艦とは同じ戦い方になる。
一時的とはいえ、共に戦って来た者同士だから同じく艦隊決戦となり、索敵能力、防空能力、火力が重用される。
そこでひとつ気掛かりなのは、連邦軍はすでに軍事偵察衛星を持っている。
日本はこれを持っていない代わり、諜報部隊や米軍からの情報提供をもらっている。
しかし、連邦はかつて中国が20XX年に二度目の有人宇宙船を打ち上げた勢いを駆って、複数の偵察衛星を上げているのを知っているため、少数だがこれらを有効に利用している。
これはむろん東アジア一帯をカバーし、とくに日本にモニターをしているはずだ。
しかし米軍からも衛星データや諜報部隊から情報をもらうようにしてあるので、この点では互角である。
海幕はすでに潜水艦群を出動させていた。第一、第二潜水艦隊から合せて12隻が出動、中国との中間線に張り付いている。ひとたび開戦となれば、中国の沿岸付近に接近、海自は海軍基地やミサイル基地を、ハープーンで攻撃し、のちに伊168ことイムヤ率いる潜水艦娘たちは妨害しようとする連邦海軍と深海棲艦たちを攻撃する。
トマホーク・ミサイルがあればかなり楽なのだが、それを搭載したロサンゼルス級原潜らは連邦海軍の攻撃により、轟沈されてしまったため、それができなくなってしまった。
少数の日米の護衛艦やイージス艦に搭載されているが、ほとんどは本土防衛に務めるため、その余裕はない。
かろうじてハープーンは持っているが、射程距離はトマホークの半分強の250キロ。
弾頭のサイズもトマホークの500キロに比べ、その半分、250キロに過ぎない。
しかし最新鋭のハープーンはGPSシステムをもち、目標をピンポイント攻撃できる。
たとえかつての仲間であろうと、中間線において連邦潜水艦と遭遇した場合は、もはや躊躇わずに撃沈しろということだ。
「これでまず沖縄は守れると思いますが、連邦のほうの出方が気になります」
梅津陸幕長がおり、なお各軍の幕僚長たちはいずれも大将クラスである。
統幕長も大将。陸空将には旧軍の中将もふくまれているので、いささかややこしい。
なお○○補がつくと、少将ということになる。
ただし元帥や秀真以下の提督たちはいまでも旧海軍の伝統を受け継いでいるため、階級名称は旧軍のままである。
「かれらはまた渡洋作戦をしてくるでしょうか?」
杉浦統幕長はかぶりを振った。
「まず攻めてくるとなれば対馬をとるだろうが、そんな危険は冒すまい。
それに対馬だけを取っても仕方あるまい。深海棲艦と共に艦隊を繰り出して、九州沿岸を奇襲攻撃して来ることはあり得るかもしれない。深海棲艦は熟知しているから問題ないが、問題の連邦海軍は中国艦艇と開発中の最新鋭艦艇を所持しているから戦力は侮れない。しかし、海軍の優秀さは熟知しているから安心している」
元帥以下、秀真や郡司、ほかの提督に艦娘たちもうなずいた。
「ひとつですが、心配なことを言ってもよろしいですか?」
「構わないぞ。秀真提督」
杉浦は、質問した秀真に聞く。
「私が心配しているのはともかく敵のミサイルです。ミサイル防御となった場合、対馬海峡から能登半島沖合にわたり広くSSM(スタンダード・ミサイル)を搭載した日米両軍の護衛艦を出さなければならず、さらに三式弾や高角砲を装備した彼女たちでも対処できるかどうかはいささか不安です。こちらとしても可能な限りは処置しますが、結論から言えばまず連邦国からのミサイルは全て防ぎきることはできませんし、我が海軍や海自だけでなく、陸自のパトリオット・ミサイルやホーク・ミサイルを装備した高射特科部隊も同じだと思われます」
これを聞いた梅津陸幕長はうなずき、語り始めた。
「秀真提督の言う通り、我が陸自は双方を装備している高射特科隊を持っており、かれらがMDの主役でありますが、これもまた絶対数が足りないといえ、さらに撃墜確率が問題であります。なにせマッハ以上のスピードで弾道飛行してくるミサイルを撃墜するのは至難の業です。パチンコ玉に別のパチンコ玉をぶつけるようなものです……」
深刻な表情で答えた陸幕長だったが、その場にいた全ての者たちも同様だった。
国防を受け持つからこその苦悩であった。
「ほかに心配事はないかね、諸君?」
秀真の次ぎに、郡司が手をあげた。
「どうぞ、郡司提督」
「連邦は生物または化学弾頭を所持しているのはご存知ですか?」
郡司は尋ねたとき、杉浦は流石だなと悟るように双眸を落として答えた。
「知っている。むろん彼らがBC兵器を持っていることは確実だ。しかし両方ともに再突入の際の高熱に耐えられないので、さしずめ危惧することはないというのは言うのが情本の見解だ」
「しかし杉浦統幕長、私としては敵がプルトニウムを撃ち込んでこないかどうかが気になります。もし彼らが使用するならば被害は増えると思います」
「確かに、あれは猛毒だからな」
郡司の言うとおりプルトニウムの粉末には、微量でも数万人を殺せる猛毒物質である。
しかも厄介なことに再突入の熱でも変質しない。
「敵がノドンないしテポドンを撃ち込んでくることが確実になれば、六大都市の避難計画が必要ですが、現時点ではどこまで進んでいるのでしょうか?」
幕僚の一人が杉浦に聞くが、彼はかぶりを振った。
「政府の腹のうちは分からん。まだはっきりした計画が無いらしい。おそらくは避難命令を出しても無駄で、かえってパニックを招くと考えているのだろう」
杉浦がいうと、元帥が答えた。
「私もそう思う。1200万の東京都民を速やかに避難させる計画などは立てられない。
以前も国民の被害は最小限に食い止めることができたが、連邦が誕生した今は、どれだけ最小限に食い止められるかと言うことになる」
元帥の言葉には一見デスペレードに聞こえるが、現実に即している。
現代の戦争は低強度な紛争ですら、民間人を巻き込まれずにはいられない。
ピンポイント爆撃ですら、誤爆の可能性がある。ましてや広範囲の住民の殺害を狙ったBC兵器が撃ち込まれたら、その被害は最小限でも数百万人に達するだろう。
そう考えると杉浦と元帥は暗然した。
やはり連邦共和国とはことをかまえるべきではないのではなかろうか。
改めてこんなことになるぐらいなら、彼の考案した作戦”オペレーション一〇九”を採用すればよかったなと、古鷹と話している秀真を見てそう思った。
F-3こと心神は、F-35をスペックを元にしています。
連邦の陸海空軍に関してはいうまでもなく、現実に中国・韓国・北朝鮮軍が運用している兵器を鹵獲し、これらを再利用しています。ただし一部開発中のJ-21とJ-31はこの世界では制式採用されていますが、高価なため少数であります。
また一部気になったと思いますが、秀真が考案した作戦”オペレーション一〇九”に関しては、連邦視点後に説明しますのでお楽しみを。
では次回は連邦視点から送ります。彼らの恐るべき計画が明らかになります。
なお二人の深海棲艦が登場しますので注目するといいかもしれません。
それでは第十五話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。