超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
今回もまたですが前回に引き続き、嬉しいことにお気に入り数130人に伴い、感想欄500件以上超えました。最終回が近づきますが、本当にありがとうございます。

灰田「では、改めて最終決戦の始まりです。予告通り、中岡大統領が操る《ミドガルドシュランゲ》との対決の時です」

案の定、長くなりましたので前編です。

作者・灰田『それでは本編であります。どうぞ!!』


第百四十四話:対決の時 前編

マリアナ諸島から姿を現し、中岡が自ら操る恐るべき鋼鉄の世界蛇《ミドガルドシュランゲ》は、すぐさま海上を目指した。

その途中で日本軍の合同戦車隊や自走砲部隊による砲撃及び、赤城たちなどの艦載機による機銃掃射を受けたものの、双方の攻撃に怯むことなくスピードを上げつつ前進し続けた。

 

「褒めたくはないが、さすが深海の雑魚どもが貸与した技術と、ナチスの豚どもが計画した特殊兵器は最高だな!同時に……」

 

中岡は、自身が鎮座する戦闘室に備わっているデジタル画面を見つつ戦闘コマンドを入力し、戦闘態勢を完了した。

 

「現代兵器様々だから、従来よりも強力だぜ!」

 

中岡は報復の刻が来たという勢いを兼ねて、上空にいた赤城たちの艦載機部隊を数機ほど撃ち墜とし、周囲にいた日本合同戦車隊の戦車や自走砲を数輌も破壊した。

本家ドイツは計画当初《ミドガルドシュランゲ》の搭載可能な自衛火器は機銃のみと、いささか実戦に役立つかどうかは疑問に思うほど心細かった。仮に完成できたとしても要塞や防衛陣地、塹壕を利用した籠城戦が主役だったWWⅠ時代ならば、これらの攻略戦には大いに活躍出来たかもしれない。

しかし、WWⅡでは先の大戦で活躍した航空機や戦車、機関銃など様々な最新鋭兵器が次々と恐竜的進化の極みを遂げた。特に航空機は現代戦の基礎及び、戦略空軍などを築き上げ、戦場での偵察から空戦、そして敵重要拠点を破壊する戦略爆撃などあらゆる面で活躍した。こうした鋼鉄の猛禽類たちの前では、鋼鉄の大蛇《ミドガルドシュランゲ》も、地面に這い蹲って捕食者たちから逃げ惑うことしか出来ないただの蛇に過ぎなかった。

余談だが、似たもので日本軍も『要塞攻撃用秘密兵器』として開発しようとしたモグラ戦車(制式名称は《潜航掘鑿車》)という強力な地面掘削車を陸軍技術研究所で密かに研究していたと言われている。

しかし、様々な理由などにより、実用化することなく時代の波に飲み込まれ、計画のみに終わったが、連邦軍の技術の進歩によってより凶暴性が増し、恐ろしい鋼鉄の世界蛇として蘇った。

しかも深海棲艦たちの技術貸与を受けたことにより、従来よりも機動性や防御力が向上し、乏しかった攻撃力は現在技術を活かして解決した。中岡たち連邦軍にとって、まさに現代に蘇った《ミドガルドシュランゲ》は移動可能な難攻不落の城でもあった。

 

また同じく自動車や航空機の発達によって、前線付近での軍事輸送における鉄道への依存度が大きく低下したなどで姿を消した兵器《装甲列車》を模倣して対戦車や対空、対艦ミサイルなど高火力な兵器を搭載可能なVLS車輌もあれば、水中攻撃も可能な潜水艦発射式の《アイダス》対空・対艦ミサイル搭載車輌、そして敵ミサイルを躱すチャフやデコイ搭載車輌などもある。奥の手は敵に体当たり、一発必中の衝角戦法を得意とする掘削用ドリルも兼ね備えている。

中岡は、この戦法を取る際は圧倒的優位や火力が乏しい相手のときにしか使わない。衝角戦法は死を伴う攻撃だからしたくないのだ。

ただし自分の部下たちには精神及び、根性論を述べて、挙げ句は洗脳させては自爆攻撃を平然とさせる。

我が身の可愛さ。何しろスターリンや毛沢東たちなどのように、他人を犠牲にしてでも自分が生き残ればそれで良い身勝手なろくでなし独裁者なのだからだ。

 

「俺様の楽園を破壊した侵略行為及び、神である俺様を冒涜行為は万死に値する!」

 

中岡はそう叫んだ瞬間、彼が操縦する鋼鉄の世界蛇は海に潜り込んだ。まるでヘブライ語で『渦を巻いた』という意味に伴い、旧約聖書に登場する悪魔、海の怪物(怪獣)としても有名な『リヴァイアサン』のように海中を潜行していく。陸上兵器でありながらも潜水艦のように海中深く潜り込み、その巨体に似合わず、水を得た魚の如く《ミドガルドシュランゲ》は素早い動きを披露した。

 

「まずはコイツでお見舞いしてやる。だが、気づいたときは終わりだな」

 

何かを企てる笑み、コンドン大統領たちを殺し、無辜の命を奪うことを快楽とし、相手を不毛する気味の悪い笑みを浮かべ、水中に潜り込みながら巧みに操縦する中岡は、操縦席から後部車輌にコマンド入力をし、その車輌に搭載された数個の533mm魚雷発射管を模倣した発射管が開き、発射管内に装填された4発のYJ-8艦対艦ミサイルが発射されたが、これだけでは終わらなかった。

現代技術の進歩であり、同時に未来の賜物でもある3Dプリンター技術、これを軍事用に改良した自動ミサイル製造機にしたおかげで、車内では次々と新たなYJ-8対艦ミサイルを製造、そして自動装填装置の威力により、機関銃のように絶えることなく連射する。

大量に撃ち上がるYJ-8対艦ミサイルの大軍が海上に辿り着いた直後、壮大な水飛沫に交ざった水柱が大量に出現、勢いよく成層圏まで目指そうとオレンジ色の火矢に変貌し、搭載したロケットエンジンが勢いを増し、何十本の火焔龍の白煙の尾を曳きながら飛翔した。

やがて咆哮を上げた火焔龍たちは、理想の高度まで舞い上がると海上にいる獲物たちを狩り取る姿勢に移り、より推進力を加速する。

 

「全艦対空戦闘開始!赤城たちを護るように輪形陣に移る!」

 

秀真が命じた。

古鷹率いる連合艦隊、元帥・戦艦水鬼率いる支援艦隊、由良率いるTJS艦隊に海自・TJS合同艦隊が搭載している全ての対空兵装が一斉に火を噴いた。

灰田の未来技術を兼ね備えた古鷹たち全艦娘は、あらゆる種類の対空ミサイルから三式弾、超10cm砲を含め、各艦に乗艦する装備妖精たちも負けずに、手慣れた五式信管付き機関砲弾を装備した40mm機関砲や25mm三連装機銃集中配備、12cm30連装噴進砲改二などを使い、災厄の群れを落としていく。

そして『イージスの盾』の名に伴い、鉄壁の守りを兼ね備え奮闘する海自のまや型護衛艦やあたご型護衛艦、TJS海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦などVLS搭載護衛艦群からはRIM-161《スタンダード・ミサイル3》から、RIM-162 ESSM《発展型シースパロー》、127mm連射砲や76mm連射砲、CIWSなどで迎撃を繰り返した。

 

その光景は、さながら湾岸戦争時で一夜として有名になった映像――イスラエルやサウジアラビア軍が保有するPAC-3地対空パトリオットミサイル部隊が、旧イラク軍が保有していたスカッドミサイルを迎撃するために、双方のミサイルが飛び交う光景を再現したように凄まじい対空射撃を模倣した。

数分間も続く猛烈な対空射撃が、1時間も撃ち続けているような感覚に襲われた。実際には短い時間が、始まる前はずっと長くなる。

戦闘時間はいつも短時間で片付くことが多い。一刻一秒でも気が抜けない。さもなくば敵に先を越されてしまい死ぬことになるからだ。

凄まじい対空砲火。空中には至る場所に爆焔の華が連続的に咲き乱れる。これら全てが妖しく蒼空を紅く染め上げていく。

恐ろしく照らされるものほど美しさを感じるから不思議なものだ。

しかし、全て迎撃出来たわけではなく、すり抜けたミサイルも数本が襲い掛かり災厄を撒き散らした。

 

『護衛艦《まきなみ》命中。艦首中破、負傷者多数!』

 

『こちら上陸部隊!輸送船3隻、戦車用揚陸輸送船4隻大破炎上!』

 

『こちら大和。左舷に至近弾!同時に後部砲塔付近に直撃!ですが航行に支障ありません!なお病院船を守る為に庇ったアイオワさんや戦艦水鬼さんたちなども同じく中破状態ですが大丈夫です!』

 

『Battle Shipが簡単に沈むものですか!!』

 

『相変ワラズ卑怯ナブタゴリラメッ!』

 

次々と被害状況報告が秀真と古鷹の鼓膜に響き渡る。

対艦ミサイルは当たりどころによっては撃沈はされないが、艦体及び、乗組員たちには損傷を与え、なお且つ戦力を削ぐことが出来る。

中岡たちの場合は、じわじわと嬲り殺すのが目的であるため、わざとこの様な回りくどい攻撃をしたに違いない。だが、中岡たちの攻撃はYJ-8対艦ミサイルだけで終わることはなかった。

 

『な、なんだ。艦体に衝撃が!……違う。巨大なドリルが艦内に侵入してくる!?』

 

『クソッ、浸水が止まらない!』

 

『総員退艦せよ!繰り返す!総員退艦せよ!』

 

最新鋭護衛艦《あいづ》から悲痛な叫びを上げる艦長の声。彼を含め、乗組員たちも海中からドリルによる衝角戦法にはなす術はなかった。艦内にいるダメコン・チームが艦体を修復する時間より、敵の衝角攻撃の方が遥かに早くとても阻止出来るほど余裕もなく、やむなく総員退艦命令を下すしかなかったのだ。

現代では衝角戦は滅多にないが、古代から近代までは頻繁に行われていた戦法であり、これで敵艦を撃沈した記録も残されている。

戦後でも日本が、戦後初の国産護衛艦として建造した《はるかぜ型護衛艦》でも、造波抵抗の低減を図るためにバルバス・バウとされた船首水線下先端部には『対潜用衝角』として用いることを考慮し、構造が強化されていた。しかし、世界初となる米海軍のジョージ・ワシントン級原潜に続き、ソ連・イギリス・フランスなどが原子力潜水艦の実用化に伴い、潜水艦の潜水航行能力が飛躍的に向上したこと、更には水上艦艇が装備する対潜兵装の性能が向上したため、この『対潜用衝角』は廃止され、今では装備されることはなくなった。

だか、デジタル技術が発達した現代戦で、古代から伝わる戦法により最新鋭護衛艦が無惨にも、ドリルによる衝角攻撃を喰らい、艦体後部が破断し、ほんの3分で護衛艦がなす術なく水没した光景を目撃した秀真と古鷹たちは、自分たちの目を凝らしたほどだった。

 

「秋月たちは、ただちに《あいづ》の乗組員たちを救助せよ!すまないが、由良たちTJS艦隊は対潜警戒しつつ秋月たちの援護に回ってくれ!」

 

「了解しました!司令!」

 

「任せてください!提督!」

 

「分かった!ここは僕たちに任せろ!」

 

『了解です!!!』

 

秀真は我に返ると、近くにいた秋月・由良たちに救助命令を下した。

潜水艦狩りを得意とする護衛艦も、時にはやられることがある。

数多くの戦いで部下たちを犠牲にしながら見て研究した中岡たちは、戦法を研究し、自分たちが勝てる様に《ミドガルドシュランゲ》を生み出した。同時に自分たちなりの賢明な戦い方も学んだ。

先ほどの対艦ミサイルの嵐を起こした際に、自分たちがやられないように海中にデコイを撒き散らした可能性が高い。

デコイ搭載車輌にも使用出来るデコイの搭載量に限りがある。それが一度っきりの可能性も高いが、まだ大量に保有しているのであれば、ソナーや水中蓄音機は正確に反応することはおろか、下手をすれば対潜兵器も上手く機能しない。

 

「……奴らも学習したな」

 

秀真が呟いた瞬間、中岡たちが操る鋼鉄の世界蛇は勢いよく海中を突き破って出現した直後、高らかに宣言した。

 

「連合艦隊の者ども、よく聞くが良い!これは謂わばデモンストレーションだ。我が《ミドガルドシュランゲ》は瞬時に壊滅的なダメージを与えることが出来る。だが我が楽園を攻略し、余をここまで本気に闘争本能を震わせた敬意を表すると同時に、これ以上は無駄な流血を避けるため、余はここで1対1の勝負を提案する。もちろん余と戦うのは、そこの古鷹型重巡洋艦に乗艦する秀真提督と正々堂々と勝負を申し出たい。お前の噂は余が提督時代の頃からよく聞いている。数多くの功績に対して褒めてやろう」

 

挑発。何かを仕掛けたか、またはハッタリかと思えば、どちらかは分からない。連邦軍の十八番は息を吸うように嘘を吐く、残酷な作戦を実行することが多い。もしも本当ならば、全員が死ぬことになることは確かだ。

 

「さあ……どうする、秀真提督?もしも断れば元帥を含め、ここにいる全員が死ぬことになる。むろん嘘ではない。ならば今ここで試しても……」

 

「……分かった。正々堂々、1対1の勝負だ」

 

秀真は迷うことなく答えた。

 

「それでこそ元帥が見通したお気に入り提督よの。ふふふ」

 

中岡は嘲笑うような口調に伴い、拍手を送り答えたが、秀真は冷静に眉一つ動かすことはなかった。

 

「ならば、邪魔者抜きで勝負だ!」

 

中岡が告げると、今度は海中に潜航することなく、《ミドガルドシュランゲ》は、スイスイと地面を這うヘビのように海上を移動して行く。深海技術により、海上でも這うことが出来るように履帯などを改装しているため、海上を駆け巡る艦娘や深海棲艦たちのようなことが出来るのだ。

 

「行こう。古鷹!」

 

「はい。提督。私たちで決着を、この戦いを終わらせましょう!」

 

「ああ。みんなで日本に帰るために!最大戦速!」

 

「はい!」

 

お互いに顔を見合わせ、ふたりは手を繋いた。

未来への道標を掴むために、ふたりは正々堂々と中岡に挑むのだった。

 

しかし、中岡は内心では『馬鹿な男だ』と嘲笑した。

先ほど主張したことは秀真に対する罠であり、正々堂々と勝負する気など毛頭ない。寧ろ勝てばそれで良い男なのだ。

つまり1対1の決闘に誘い込んだ振りをして、秀真と古鷹を不利な状況に追い込もうとするための時間稼ぎに過ぎず、中岡たちの《ミドガルドシュランゲ》以外にも、マリアナ諸島にある見晴らしの良い場所に、忠秀たち率いる精鋭連邦親衛赤軍が切り札をもうひとつ存在したのだった。

 

「急げ!中岡様が直々に時間を稼いでいる間に、何時でも撃てるように準備しろ!」

 

『了解しました!!!』

 

忠秀が命じると、親衛赤軍隊員たちは返答した。

彼らが陸上に残された理由は、連合艦隊旗艦を務める秀真と古鷹に止めを刺す及び、連合艦隊や日本軍の士気低下を企てるために、忠秀たちが切り札として地上発射型ハープーン発射機を配備して置いたのだ。つまり、事実上では2対1と言うわけである。

 

「栄光ある中岡様に楯突く愚かな養豚場の豚は、大人しく流れ作業のように死ねば良い。それまで精々と哀れな兵器女と足掻くが良いさ!ははははははははは!」

 

「ジャップどもは本当に未だに武士道と騎士道を信じている低脳なキモい猿ばかりだからな!あはははははは!」

 

「死ぬほど悔しがっていた我々が、ついにジャップをひれ伏させる報復の刻が来たのだ!」

 

忠秀たちは、各々と高らかに勝利を宣言しつつ、今や開始される海戦を双眼鏡で覗き見したのだった。

 

 

 

 

「艦砲及び、ミニ砲台小鬼を展開させろ!オープン・ファイヤリング!(砲撃開始!)」

 

中岡の号令一下、《ミドガルドシュランゲ》に繋がれた各連結車輌から4基の艦砲と4体の陸上型深海棲艦が姿を現した。

前者は各国の海軍、米海軍及び沿岸警備隊の両艦船に大量採用されているボフォース社が開発した対艦・対空両用の傑作艦砲『ボフォース 57mm Mk3』速射砲及び、後者は車輌に搭載出来るように改装された陸上型深海棲艦・ミニ砲台小鬼である。従来の大きさに比べて小さいが、攻撃力は深海軽巡並みに威力もあり、非常に取り回しも良いため搭載されている。攻撃目標である秀真と古鷹を見つけた双方は、すぐさま一斉射、全ての主砲からオレンジ色の火を噴いた。

 

「敵発砲!距離2000!全門斉射です!」

 

「奴は修正なしで撃ってきたか」

 

古鷹が言うと、秀真が呟いた。

ふたりが操艦する最中、艦体を包み込むような6本の水柱とともに、ふたりがいる艦橋から、艦全体を揺るがす衝撃波が伝わる。

 

「提督。こちらも弾道修正なしの全門斉射でお願いします。私が修正します!」

 

「分かった。こちらも悠長に修正している暇はなさそうだな。主砲6門急斉射!右砲雷戦、最大戦速!」

 

提督の号令一下、艤装妖精たちなどが火器システムを始動させる。

灰田の未来技術もあり、今は自動装填装置に伴い、電探射撃装置も兼ね備えているほど強力なものである。

20.3cm連装砲塔が旋回、砲弾に伴い、装薬も同じく装填される。

各主砲に装填される独特の重々しい音が艦内に響き渡り、尾栓が閉鎖され、自慢の20.3cm連装砲がゆっくりと動き、白波を蹴り立て、目標に指向した。

 

「撃てーーー!」

 

秀真の言葉に応え、全連装砲が一斉射した。

耳を聾する壮絶な咆哮、全ての砲口から凄まじい火焔が噴き上がり、合計8発の徹甲弾が雄叫びを上げて飛翔した。

上空では意志を持つかのように同じく、中岡たちが操る《ミドガルドシュランゲ》からも合計8発の砲弾が発射され、互いの砲弾がすれ違う形で交差していく。

 

「夾叉されたか。次は直撃が来るぞ!」

 

「こちらも夾叉しますから大丈夫です!」

 

古鷹の言うとおり、再び敵の砲弾が襲い掛かるが、全弾命中することはなく虚しく外された。が、彼女が撃ち放った8発中3発の徹甲弾が、ボフォース 57mm Mk3速射砲及び、ミニ砲台小鬼を搭載した後部連結車輌に命中した。前者は1基が破壊されるも、まだ健在なもう1基の艦砲は反撃を緩めることなく開始した。しかし、側にいた後者が載る車輌には、2発の徹甲弾がミニ砲台小鬼たちの砲台、元より頭上天蓋装甲を叩き割り、運動エネルギーを減じつつ、身体内部に突入した。

徹甲弾による内部貫通と、炸薬による内部爆発が同時に重なり合い、双方の爆発力が解放された瞬間、ミニ砲台小鬼の体内、弾薬火薬庫の隔壁を押し破り、両者は異様な形に膨張した。

そして閃光が駆け巡り、火焔に覆い尽くされた武装車輌は爆発した。同時に、無事な2体のミニ砲台小鬼たち及び、他の武装連結車を巻き添えに消滅したのだった。

 

「初弾命中!《ミドガルドシュランゲ》の武装連結車輌4輌撃破!」

 

古鷹が言った。

 

「ああ。だが、奴はまだくたばってない。この調子で撃ち続ける!」

 

秀真の言うとおり、中岡は道連れを喰らう前に、操縦席の側に設置していた自動解結装置のスイッチを運転位置から解放位置に操作、まだ車内には生き残った仲間たちがいることも構わず連結を解放、そして燃え盛った後部連結車輌を切り離していた。

 

「危なかったな。だがよ……連結車輌を解結すればするほど、こいつのスピードも上がるし、また各連結車はな、こういう使い道もあるんだよな!」

 

中岡は、再び操縦席に設けたとある装置を押した。

すると切り離された5輌の連結車輌からは、Mk44 30mm機関砲1基と12.7mm連装機銃2基、そしてシースクアSSM連装発射筒2基とともに、車輌両横にはハイドロフォイル(水中翼)も展開し、各車輌は瞬く間に特殊ミサイル艇に変形した。

 

「量は質にも勝るからな!哀れな猛禽類どものように大人しくハンターの餌食にでもなりな!」

 

中岡は捨て台詞を吐くと、再び《ミドガルドシュランゲ》を海中に潜らせた。なお展開した特殊ミサイル艇部隊は、全て特別攻撃部隊。

中岡や戦死した同志たちなどに貢献できることが栄誉だと考え、最後の戦いで奇跡を起こし、後世に受け継がれるためにも連邦国及び、自らの犠牲すら厭わない囮部隊でもある。

忠秀たちが配備した切り札の射程距離内まで誘導させて後方からミサイル攻撃をお見舞い、そして戦闘航行不可になった秀真たちに止めを刺すために、この自慢の鋭利なドリルを使った衝角戦で撃沈させるのである。馬鹿な博愛主義者たちが絶望に満ちた表情を浮かべ、堕ちて死んでいく者たちが後悔しながら死に行く姿を想像するだけでも、口もとを矢形に変えるほど愉快で堪らなかった。

 

「さあ……絶望へのカウントダウンの始まりだ」




もはや魔改造されています所以、某ソニックウイングスシリーズに登場するボスのように、本体から新たな機体を出して攻撃するなどという本物の超兵器と化した《ミドガルドシュランゲ》との前哨戦まで終えてました。案の定、卑劣な戦法を取っていますが。
なお、砲台小鬼は護衛艦の速射砲のような形をしていましたので、従来よりも小型化させて搭乗させたら良いかな、と思い乗せました。
なお、今回は久々に8000文字近くになりましたから、やり遂げたときの爽快感はたまらないですね。

灰田「次回でいよいよ最後の戦いを締めくくりになりますからね」

本作品も順調ならばあと2話で終了です、最終回でも本作品を最後までお楽しみくださいませ。

灰田「では、次回の最終決戦の結末を迎える最後の海戦を、お楽しみくださいませ。それでは第百四十五話までダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。
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