超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
予告どおり主人公視点から打って変わり、連邦視点になります。
彼らの恐るべき計画が明らかになります。

そして毎度お馴染みですが、今回もまた一部変更している部分や台詞もありますがお楽しみを。

長話はさて置き、本編であります。

どうぞ!


第十五話:連邦の陰謀

その連邦共和国の連邦臨時政府は、板門店(パンムンジョム)に置かれた。

なおは板門店、朝鮮半島中間部に位置する朝鮮戦争停戦のための軍事境界線上にある地区である。

連邦の成立以来一週間近く経つが、まだ連邦首都は決まっていない。

両者の間には綱引きが続いていた。中岡として大統領としての面子があるため平壌を首都にしたい。

しかし崩壊した北朝鮮の首都と中国各地を機能し、インフラなどを提供したのは深海棲艦のおかげである。

だから結論が出るまで、とりあえず両者の中間に仮政府……というより連邦事務局を置かざるを得ない。局といっても省の規模である。

 

いまそこに連邦事務局のトップたちが集まっていた。

事務局とはそれぞれの政府の代表者。連邦国の場合は北朝鮮や中国を異常にまで崇拝している軍事国家だから、政務院よりも国防委員会のほうが上に来る。

国防委員長は言うまでもなく、連邦共和国にとって記念すべき初代大統領である中岡だ。

いま顔を見せているのは中岡の下僕であり、国防委員会のナンバー2のチェソンタク委員会次長。

もうひとりも同じく、軍部(人民武力部)の代表であるアンミョンペク総参謀長。

深海棲艦側は戦艦水鬼がもっとも信頼している懐刀でもある空母棲姫。

それに彼女とともに戦ってきた戦艦棲姫が付き添っていた。

 

深海棲艦の鬼・姫・水鬼たちは、連邦の意志を受けてここに来ていた。

中岡の推測どおり、連邦共和国は、深海棲艦との協力を受けて成立したものである。

なお深海棲艦は電力供給と核開発支援をふくむエネルギー支援、食糧支援を約束した。

そのためブラック提督や彼らを支持する人民たちの胃袋やエネルギーについては解消されたので、戦艦水鬼は総合に踏み切ったのである。恩を返すとはいえ、不本意だが仕方ない。

 

そしてそのような行きがかりの上、中岡を大統領にせざるを得なかった。

ただし、権力の世襲、つまり中岡の息子を大統領にするようなことは避ける。その点は、中岡も了解済みだった。

革命の代を受け継ぐというのが中岡の口癖だが、連邦ができた今は、さすがにそれはできないと承知していた。

そんなことをすれば満天下の笑いものになる。いまや連邦は中岡のものであってそうではないからである。

 

「中南海のほうからいよいよ、対日戦に踏み切るときがきたと言っています」

 

連邦のチェ国防委員会次長が口火を切った。

 

「博愛主義者や艦娘どもに積年の恨みを晴らす時がきたと、忠秀軍事委員会副主席がわが同胞たちに伝えるようとくに伝達をしてきました。私も同感です。異端者どもたちに思い知らせるときがきたのです」

 

アン総参謀長もうなずいた。

 

二人とも中岡同様に猛烈な反日家として知られている。

理由は単純明白。日本を無血占領すれば日本は先の大戦のように同じ過ちをしなくなると考えていた。

今日までの日本は未だに過去の戦争犯罪を反省せず、再びアジア地域を植民地にし、軍国主義の道を歩もうとする日本を懲らしめるためである。ただし彼らの場合、アジアとは特ア限定になるが。

自分たちのような選ばれし者たちの方が遥かにこの日本を、正しい指導者たちがこの日本を植民地にすれば日本はより良い広い道徳観を持ったより良い国に生まれ変わると思っていたほどである。

そのため中岡たちが軍隊に入隊したのは、日本という大事な祖国に対する愛国心や忠誠心でもない。

目的はただ一つ、特アと日本国内に潜伏する反日組織らとともに日本を壊滅するためだった。

自分たちが日本を崩壊させれば、英雄として扱われ、永久に崇められると本気で信じているほど。

表では愛国心をもってこの国のために務めていたが、裏ではこれらを着実と進め、同胞たちを入隊させて来るべき日まで訓練をしてきた。

 

しかし突然と現れた深海棲艦により、日本国内に潜伏していた反日組織らを支援していた特アは自国内の制海権や制空権を失うだけでなく、本土侵攻も許してしまい、大規模な陸海空三軍を投入しても無駄だった。

中国人民解放軍はもともと共産党幹部たちを守るための党軍または私兵部隊でもある。彼らは自国民を守ることや自国に対する愛国心はおろか、共産党のためならば自国民を殺すことも躊躇わない。

しかし近年に増した共産党に対する不満が積もり、かれらに対する忠誠心すら薄れてきた。この機会に応じて一部の人民解放軍と反共産主義たちが反旗を掲げ、瞬く間に内戦まで起きてしまう始末であった。

 

北朝鮮は軍事国家でありながらも北朝鮮人民解放軍の多くは慢性的な資材不足と訓練不足に悩まされ、最新鋭兵器は少数で、ほとんどが旧式兵器である。そして自国の兵器ですらまともに稼働できるのはごく一部であった。

核兵器は豊富に保持していたのだが、自分たちが滅びるのが嫌であり、わが身の可愛さのゆえ使用はしなかった。かりに使用したとしても国土がいま以上に焦土化し、数年は不毛の地になり、食糧生産率がさらに低下するのを恐れていたからだ。また軍や国民たちによるクーデターも恐れていたのかもしれないが。

そんな苦しい状況のなかでも北の指導者の命にかけて死ぬ気で深海棲艦たちに挑んだが、圧倒的な物量のまえになすすべなく崩壊した。戦艦水鬼たち曰く「人とは思えぬほど馬鹿な集団」だったとのこと。

 

韓国に至っては論外だった。深海棲艦の侵攻を受けたとたん、韓国初の女性大統領であるパククヒ大統領は真っ先に国外逃亡してしまい、そのせいか国内の指揮系統はたちまち混乱してしまい、反撃も失敗した。

なにしろ先の朝鮮戦争でも大統領が真っ先に国外亡命し、多くの韓国軍の指揮系統が反撃に遅れたともいわれただけでなく、北朝鮮軍が侵攻したとたん、臆病風に吹かれた韓国軍兵士は武器ごと置いて敵前逃亡したのだから仕方ない。なお国外逃亡した彼女や側近たちも深海棲艦の攻撃により、国外に出る前に全員が死亡した模様である。

無能な指導者や独裁者にすがり続けた国民たちは、反撃に失敗したあげく侵攻してきた深海棲艦の攻撃を受けて、多くの国民は虐殺、国内は壊滅状態に陥り、そして特アは、わずか二週間足らずで崩壊してしまったのである。

なお大統領らを殺した深海棲艦らは「戦艦水鬼様を見習ったらどうだい?」と呆れたほどである。

 

それを知った中岡たちはショックを受けた。

当初は日本植民地計画を台無しにした深海棲艦を恨み、しかたなく命令通りに撃沈していったが……

しかし戦っていくうち次第に怒りの矛先は深海棲艦ではなく、自分たちとともに戦っていた艦娘たちに向けた。

深海棲艦が現われたのは艦娘らのせいだと主張し始めた。他人から見れば訳が分からぬ主張である。

だが彼らは本気で信じており、中岡やブラック提督、売国奴たちなどは艦娘たちを破棄すれば、全ての深海棲艦はいなくなると浅はかな考えから、実はアメリカが開発した生物兵器だとでたらめな主張を唱えるものが次第に増え始めた。所詮は死人の戯言と言ってもいいが、それを実現させようとするならば、左翼という者は自分たちの言うことを聞かないものは暴力で訴え、主張が合わないとレイシスト(差別主義者)と叫び、そして実現させるならば、悪魔とでも契約を結ぶなどと手段は問わない。

 

これは日本にいる反日組織らが戦後のアメリカ筆頭の連合国、GHQによって植え付けられた自虐史観もそうだが、彼らの場合は特殊であり、彼らが崇拝している特アの歴史認識を真似している。

しかも某三ヶ国は歴史的感情に加え、自分たちの国を保つための政策としているから始末が悪い。

日本は過去の歴史を反省せず、ふたたびアジアの主導権を掌握する史上最悪の軍事国家ということになっている。

なお連邦自身は、提督業のときから彼らから支援金を受け取り、その合計金額は三兆円に達しているともいわれ、一部を来るべきに備え、軍備やテロ資金に流用した。

 

前回の大胆な作戦……グアム・サイパン、ハワイの攻撃では民間機および大型ジェット旅客機を利用した。

この中には大量の無人機を忍ばせて、目的地に着いたら一気に発進させる。むろん操縦士と副操縦士が旅客機を操縦し、自爆無人機を発進させる。この役目を終えたら機体ごと飛行場に突っ込ませるという自爆攻撃はもちろん、

また恐ろしいことに深海棲艦の駆逐艦クラスに大量の爆弾を仕込ませた自爆部隊を編成させ、自爆無人機とともにハワイ攻撃に出撃させ、敵艦に体当たりまたは上陸した後には自爆するという特攻作戦を実行した。

しかし米軍機に撃ち落とされた機体や米海軍艦艇軍のミサイル攻撃を受けて損害を与えたが、さすがに全ての敵を撃破することは世界最強ともいえる米軍ですらも難しく、あのような惨劇となったのだった。

これらは深海棲艦と技術があったからこそ、中国国内にあった大型旅客機と無人機を全て投入させて成し遂げたのだから、このような大胆不敵な作戦は二度目できない。

むろん戦艦水鬼たちは「特攻など外道、どんなことがあっても必ず生還せよ」と厳命しているが、一部の深海棲艦たちは彼女の戦いはあまりに純粋過ぎると言われて、不満を持つ者たちがいる。

彼女とは反対に中岡たちは下っ端兵士や使い捨ての深海棲艦たちを何人失おうが、損失してもちっとも痛くも痒くもない。また徴兵または建造すれば済むだけの話である。

かつて日本軍は自爆すらも厭わなかった。兵士など赤紙でまた補充できるというぐらい人命を軽視した。

それに対して米軍は仲間を助けるためならば駆逐艦一隻はもちろん、空軍すらも出撃するほど兵士一人ひとりの命を大切にしていた。

しかも中岡たちは「我々も後を追いかける」と告げながらも、決して中岡たちはそんな事はしなかった。

史実でも最後まで責任を取った者は大西瀧治郎海軍中将と宇垣纏海軍中将のふたりしかいない。

あとの者たちはのうのうと最後まで散っていた若者たちのために責任を取ることなく終戦を迎えたが、そんな彼らは生涯重い十字架を背負ったのは言うまでもないが。

 

話しが逸れたので戻る。

チェ国防委員会次長とアン総参謀長に続き、空母棲姫がようやく口を開いた。

 

「ソレデ中南海ハ具体的ニドウシロト?」

 

空母棲姫が尋ねた。

 

「まずわが連邦共和国では、敬愛なる中岡大統領閣下が、日本に対して300億ドル(約2兆4300億円)の賠償金を要求することにしました。これは今までの日本の我が敬愛なる大統領閣下および我が連邦への非礼の代償で、これでも少ないぐらいです。

もし速やかに支払わない場合は、ノドンおよびテポドン・ミサイルをもって日本の主要首都を攻撃します。

その際、我が同盟である貴方たち深海棲艦に九州を叩いてもらいたいというのが、大統領のご希望であります。

このミサイルには通常爆薬のほかにプルトニウムを含む生物・科学兵器を搭載される予定です」

 

アン総参謀長が答えた。それを聞いた空母棲姫はほんの一瞬だが、眉をしかめた。

かえって状況が悪くないかと訊きたかったが、下手に刺激的な質問は控えるようにと戦艦水鬼にきつく厳命されているので、敢えて聞かずに冷静な表情に戻し、別の質問をした。

 

「シカシ、ソノミサイルト言ウモノノ攻撃ハ本当ニ成功ハスルノダロウカ?」

 

空母棲姫の問いに、アン総参謀長はにやりと笑った。

 

「これは利きます。奴らはそのとき思い知ることになるでしょう!」

 

「デハ、モシ日本ガ支払イニ応ジタトキハ?」

 

戦艦棲姫がいった。

 

「300億ドルと言うのは巨額なカネですが、日本に出せない金額ではないでしょう。

しかし素直に応じることはないというのが、大統領閣下の見解ですが……万一応じた時は無条件降伏を延期し、さらに額を釣り上げる予定です。その理屈はなんとしてでも付けられます」

 

「ツマリ、奴ラニ堪忍袋ノ尾ガ切レルマデ圧力ヲカケルトイウコトカ?」

 

空母棲姫がいう。

 

「いかにもその通り、これは日本を怒らすための大統領閣下の深慮遠謀なのです!」

 

チェ国防委員会次長が答える。

こんな単純な方策に深慮遠謀もないのだが、連邦となって依然としてブラック提督たちにとっては、中岡は生き神であった。深海側の多くは中岡はただの人間にしか見えないのだが、最悪なことに少数派のものたちが出始めたため、戦艦水鬼だけでなく、ほかの鬼・姫・水鬼たちは不安になっている。

 

「日本はアメリカや他国の支援を失い、意気消沈になっているはずですが、そこまで追い詰められれば反撃してくるでしょう。なにせアジアの侵略者なのですから。過去の大戦の反省もせず、苦しめようとしているのですから。

そのときは貴方がた深海棲艦も立ち、ともに日本をたたくというのが忠秀副主席のお言葉です。日本と言う国は、いちどは徹底的に膺懲されなくてはならない国なのですから」

 

膺懲(ようちょう)とは、つまり征伐してこらしめることである。

かれらの怨恨なにも日本だけでなく、特アを援助しなかったアメリカやロシア、世界中にも言えることだ。

だが彼らはまず日本を占領し、さらにじわじわと世界各国に侵攻し、世界を治める……

なんとも身勝手で乱暴な発言だが、いちど狂気に飲み込まれた人間は元に戻ることはできない。

ひたすら日本や理想を踏みにじった艦娘たちが憎いのは、いわばねじれた憎悪なのである。

 

「ウム、話シハワカッタ」

 

空母棲姫は答えた。

 

「サッソク大統領府ニモチカエリ、中岡大統領閣下ト戦艦水鬼様ニ伝エル。艦隊ヲ出ス件ニツイテハ極力前向キニ対処スルガ、奴ラヲ侮ルコトハデキナイ……」

 

「むろん、これは戦争なのですから一方的に勝利すると言うわけにはいきませんよ」

 

チェ次長の目つきはそのとき、ぎらりと光った。

中岡の懐刀のひとりでもあることを示す凄みのある目つき、睨み付けである。

 

「当然日本軍は反撃し、我が軍と深海の同胞たちにも犠牲は出るでしょう。

我がミサイル基地も狙われることでしょう。しかし中南海は、我が国のミサイル基地を狙われたときは核ミサイルをもって、日本を攻撃すると恫喝しています」

 

「フム、ソウデアレバ頼モシイネ……」

 

戦艦棲姫はいった。

 

「我々が本気になってかかれば、日本をつぶすのはわけないことないでしょう。

なにしろ豊富なミサイルをもっていますから。しかし国際社会の目がありますから、最初から核ミサイルを使うようなわけにはいかないわけですな」

 

「その通りです」

 

チェの問いに、アン総参謀長は答えた。

 

「まずは日本軍と艦娘どもは我々が戦わなければならない。中南海はあくまで後詰に控えたいと言うのが、忠秀副主席のご希望であります」

 

そのあと一同は細部の詰めに入り、事務方によってすべて記憶された。

連邦での会議はあとでの紛糾を避けるため、すべて記憶されていることになっている。

何度もいうが肚の実情では、連邦になったからと言っても、お互い信用していないというのが本音である。

開戦から互いに敵対同士だったものたちが、急に仲良くしろというのは無理がある。

腹の底ではどちらかが裏切るのではないかと疑心暗鬼な状態だった。

連邦側は中岡から本性が分かるように仲良くしろと言い、戦艦水鬼側も同じく一部の信者たちは除き、中岡率いるブラック提督と反逆者たちの肚の底を探るように、気前よく振る舞えと言われている。

 

いまは同盟とはいえ、一皮めくると、すぐに血がにじみ出る。

 

亀裂が走り分断したら、小さな傷口はあっという間に深くなるのだ。

 

……コイツラノ演技ニアワセナケレバナ。

 

……水鬼様ノ言ウトオリ、コイツラガ本性ヲ現ワスマデ手出シ無用ダカラツライノヨネ。

 

二人の肚のなかの考えを察したのか、チェたちも内心にいった。

 

……くっくっくっ、せめて我々のためにせいぜい協力しな。

 

……その時は、用済みとなった貴様らを軍神として祀ってやる。

 

私情はどうあれ、日本や艦娘たちに対する謀略はここにスタートしたのだ。




同盟を結んでいるからといって、決して仲良くなるわけではありませんから。
とある哲学者の名言「国家に真の友人はいない」というようなものかもしれません。
ともあれ今後はどうなる展開になるのかは、まだ先になりますのでお楽しみください。

では次回は前回の最後で皆さんが気になったと思いますが、秀真が考案した作戦”オペレーション一〇九”が明らかになります。

なおこの作戦名は一部ですが変わるかもしれませんので、こちらもお楽しみを。

それでは第十六話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
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