超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
今回はジェット化した新富嶽のデモンストレーション、前編であります。
前作と一部変更している部分は少ないかもしれませんが、楽しんでくれたら幸いであります。

長話はさて置き、本編であります。

どうぞ!


第十八話:現代によみがえった富嶽 前編

灰色服の男……灰田が指定した時間には、ちょうど翌日の正午である。

男の指示したとおり、安藤と元帥は民間航空会社に連絡して、正午から一時間、新千歳空港の滑走路を空けることにした。非常事態であるからすんなり了承を得られたから良いが。

物好きかその理由を聞こうとした輩がその理由を示せと迫ったが、安藤首相と元帥が政府の専管事項の機密事項であり、民間人の知ることではないと強権を押し述べた。

またマスコミを呼ぶことはしなかった。灰田の言う言葉が事実で、改造された富嶽がここに現れようとなると、マスコミによってリークされると不味いからである。

 

あくまでも深海棲艦と連邦国には秘密裏でなければならない。

 

「提督、大丈夫ですか?安藤首相と元帥、郡司提督と木曾さんは信じていますが、ほかの政府関係者の皆さんと軍関係者、航空専門の人たちなどは疑っていますよ……」

 

周りに聞こえないように囁く古鷹だが、秀真は大丈夫だと言う。むろん古鷹と同じく加古、衣笠、青葉も言う。

 

「白昼夢でも見たんじゃないのって他の提督たちは多いけど、あたしは信じるからな」

 

「提督の言う灰田っていう人が来たって証拠がなくても、私も信じているわ」

 

「確かに、もし本当に司令官が会った未来人、灰田さんが言った富嶽という名の爆撃機が現実に現れたら、これは大スクープの予感が……!」

 

「撮影は禁止、仮に青葉と話せるとしても取材はNGだと思った方がいい」

 

「うわーん、青葉のスマホ返してください!」

 

「これらが終わるまで没収だから我慢しろ」

 

しゅんっと落ち込む青葉には悪いが、彼女が愛用しているスマホは没収しておく。

念のため古鷹と加古と衣笠に頼んで、青葉のボディチェックもしている。確認が終えると服に隠していたいくつかの小型カメラもあったため、これも秀真が預かっている。

 

「しかし同志が言う現代によみがえった富嶽、しかもジェット化、なおかつステルス化していたらとは米軍もだがロシア軍と世界の軍、深海棲艦も真っ青だ……」

 

「周りの奴らは疑っているが、お前は郡司との仲だから、俺は信じている」

 

郡司と木曾も同じく信じていると述べていると―――

 

「私も秀真くんの面白い話、皆からは白昼夢でも見たと疑われているが信じているよ」

 

安藤首相が話し掛けると中断し、一同は敬礼した。

 

「それにかつて山本五十六が酒席で歌ったという、米本土空襲の物語「銀の翼は一万マイル」の戯れ歌を思い出させる。私も非常に楽しみだよ」

 

穏やかな口調で語る元帥、ふたりともいつもこの調子なら良いのだが………

 

「「何か言ったかな?」」

 

「いえ、お二人のあらゆる対策を取ってくれたことに大変感謝しています」

 

「うむ。私も子供のように興奮してしまいそうだよ」

 

その時に、不思議なことが起こった。

部屋のテレビは消してあったのだが、それが独りでにつくと、一つの画面を映し出した。

どこのチャンネルでもない、あり得ないはずのチャンネルで灰田が送ってきた電波としか言いようがない。その画面には、新千歳空港の滑走路が映り、巨大な八発爆撃機が着陸するところが映っていた。あたり一面、霧のようなものに包まれているが、そこからぬっと現われ、まるで垂直離着陸機のように着陸した。

灰田の言う通り、エンジン二基ずつツインになっているところは米軍のB-52そっくりである。後退翼も同じくB-52に似ている。しかも全身真っ黒であるのはステルス機独特の特徴である。

 

『これがわたしの話した新富嶽です』

 

今回は秀真と灰田が言うあの方以外のこの部屋にいる全員に聞こえた。

 

『皆さんは私の言葉を全く信じていないと思いましたので、予告編としてこの放送を流しました』

 

きっかり30秒その映像が映っていたが、プツリと消え、声も消えた。

 

「驚きました……」

 

古鷹がいった。加古と青葉も衣笠も同じく感想を述べた。

 

「今のが灰色服の男、灰田という人物の声か?」

 

木曾が尋ねると、秀真は頷いた。

 

「そうだ。そして映し出したのが彼の話したジェット化された富嶽だ」

 

「……かつての富嶽とはまったく変わっているようだ。本当にB-52戦略爆撃機“ストラトフォートレス”と見間違いそうだ……」

 

郡司が感想を述べる。

 

「飛行機とはいつの時代でも機能を突き詰めれば、みな同じように似てくるのだから仕方ない」

 

「少年の頃にSF小説でもこういう奇跡があるとは、夢のようだ」

 

元帥に続き、安藤首相がいう。

 

「わたし、提督の言った奇跡に感動しました。信じる者に起きるんですね!」

 

古鷹はいった。むろん彼女だけでなくその場にいた全ての者たちの感想でもあった。

映像を見るまでは安藤首相、元帥、郡司、古鷹たち以外は誰も信じなかったのだ。

 

これで俺の言ったことが嘘でないことが証明できた。では早速―――

 

結局このような事があり、他の者たちの疑いが晴れ、秀真の指示通りことが運んだというわけである。

 

 

 

翌日正午きっかりに、一同は新千歳空港の管制塔前に集まった。

またどこへなりと、迅速に移動できる車両も用意されていた。空港長とそのスタッフたちには、詳しいことは知らされていない。

これは前日に秀真の方針で、事実は実物を見てから、自分で納得すればいいだろうという考えである。

政府や軍部全体が狂ったのではないかと思われては敵わない。

またマスコミを遠ざけたのはなかばそのためだが、半永久的にいずれは緘口令を敷いてもらわないと困るからだ。

 

しかし今日に限って、寒さが増している……

 

十二月の北海道は冷える。全員が分厚いコートに身を固め、空港スタッフはボア付きのハーフコートを着ている。

なお古鷹たちも防寒服を着ている。

 

しかも天候も良くなかった。

 

どんよりとした曇り空で、今にも雪が降りだしそうだった。北海道東部ではすでに根雪が積もっていた。

一月になると千歳にもたえまなく雪が降り、除雪車が役立ち、滑走路にはもともとヒーターと排水溝が埋め込まれている。

 

飛行機、その姿形が見当たらない飛行場と言うものは奇妙である。

がらんとしていて、どこかシュールな感じがする。緘口令を出しているから当然と言えば、当然だが。

また近くの住民には憲兵隊が家から出ないようにと注意を促し、空港の周囲だけでなく、ここにいる全従業員にも警備兵とそれに化けた特殊部隊が張り付いており、緘口令を敷いている。

 

正午五分前になった。

 

―――灰田が言う約束の時間が刻々と近づいている。

 

霧が出てきて、数十メートルも見えぬほど濃くなった。元帥が軽く足踏みしながら呟いた。

 

「しかし寒いな。これなら防寒ブーツも履いて来ればよかったな」

 

「確かに、冷え症があるから困る……」

 

「大丈夫です、安藤首相、元帥。すぐにこの寒さは吹き飛びます。彼が約束した奇跡が起こりますのでご安心ください……」

 

秀真はブルブルと震えていた。緊張感に襲われたのではなく、不安と興奮としからしめるものだった。

 

「……同志、正午になったぞ」

 

郡司は手首のカーキパイロットの腕時計を覗きながら言った。

 

全員が固唾を飲んだ。

 

次の瞬間、何かが聞こえた。

ゴオッーという地鳴りのような響き。すぐ霧の向こう巨大な質量、飛行機特有の着陸する衝撃を感じた。

 

「来たぞ!」

 

秀真はおもわず叫んだ。そのとき、あつらえていたように霧が晴れ、彼らの滑走路の前に、巨大な爆撃機が鎮座していた。

ステルス機特有の真っ黒な塗装、ジャンボ旅客機に匹敵する巨体だが、それよりもずっとスマートだ。もっともボーイング社が開発・生産したボーイング707・202型よりは全長70メートル、全幅60メートルもあり、B-52よりも大きいが。それの機能をつきつめた軍用機特有の美しさを持っている。秀真はおもわず綺麗だと呟いたほど、新富嶽は容姿端麗である。

 

「近づいて調べてみよう。全員乗車せよ」

 

如月官房長官が言うと、用意されたバスに分散して乗り込む。

バスが近づけば近づくほど、その巨体さが明らかになってきた。

翼の真下まで来るとバスは一時停止した。そのとき秀真は、空席だったはずの席に灰色服の男、灰田が座っているのに気付いた。しかしいつの間にか現れたのか、全く気付かなかった。

 

「ご心配なく。わたしの姿も声もあなたとあの方以外、ほかの人たちには聞こえません。また時間も止めましたので、安心して話すことができます」

 

灰田は、秀真が自分と喋っていると秀真が独り言を言っているように見えて、精神の安定を疑われるのを気遣ってくれたのだろう。

確かに郡司、古鷹たちもまわりの人間と秘書艦たちも凍りついたように座っている。みなにとって時間は止まっていると思われたのだが……

 

「あれ、どうして元帥だけは……?」

 

「いや驚かせて申し訳ありません。実は彼女こそがわたしが述べたあの方なのです」

 

「いや、キミには黙ってて申し訳ない。ミスター灰田のかわりに私が説明する」

 

元帥は、灰田のかわりに説明をした。

彼女の話しでは、2ヶ月まえに灰田と接触し、この事態を伝えに来た。

元帥を暗殺部隊から守ったのも灰田の十八番であるクローン兵、超人部隊と言われる護衛兵たちが彼女を四六時中に護衛し、さらに中岡がいた元鎮守府の陽動作戦も同じく、彼女の戦友たちも灰田が次元を超えて連れてきた。

大鳳が2週間ほど遅れて着任させたのは、急速学習システムで教育させ、さらに震電改や天弓などの最新鋭艦載機などを揃えるたためであった。そのおかげであのラジコン襲撃事件の際に、大鳳が大活躍したのも納得する。

そして古鷹たちが鎮守府に早く戻れ、翔鶴とニコライたちを救出するために出現したあのワープゲートも元帥の命令であり、灰田の気遣いでもあった。先ほどの新富嶽に関しても、灰田から事前の連絡を聞いていたので一芝居をうっていたのだ。

 

「なるほど。しかし元帥も肝心なときに忘れるから、私や郡司にも伝えて下さいよ」

 

「すまない。なにせキミと郡司、どちらに話そうか迷っていたからな」

 

「……そうですか」

 

いつもなら彼女は作戦時や会議ではきっぱりものを言うのに、こういうときには限っては優柔不断になってしまう。恋愛下手でもあるが、信頼は厚く、面倒見は良いのだが。

 

「秀真提督がご理解したところで、新富嶽の説明にもどりますが、よろしいでしょうか?」

 

灰田の問いにふたりは、どうぞと言う。

 

「この機体は米軍のB-52にそっくりですが、全幅はやや長く、全長は短くなっています。

これらはかつて富嶽のスペックと比較してもそうです。もっとも70年以上も前のレシプロ機と現在のジェット重爆を比較してもあまり意味がないですが。

むろん過去の富嶽のスペックのままでは、現代で運用するはずはありません。

この新富嶽は機能的にB-52を凌ぎ、われわれの開発したターボファン・エンジン八基によって出力30万馬力以上を叩き出します、速力は丁度マッハ1、上昇限界高度2万メートル以上、航続距離は2万キロメートル以上に達します。

爆弾は50トン搭載。13mm機銃四連装砲を二基もっています。これはむろん自動化しています。乗員は6名で、B-52と同じです」

 

だが乗組員はどうするんだと尋ねようとすると、これまた心を読み取った。

 

「ご安心ください。われわれの世界からクローン兵を乗せることにします。

クローンとは複製人間のことで、なおかついろいろと遺伝子改良を加えていますが……

後にご覧いただけると分かります。またご希望の方のために、こういったスペックまたは操縦マニュアルは、全てコックピットに置いてありますので専門家の目を通してください。

そして一度テスト飛行をご覧いただければ、ステルス機能も分かるでしょう。

そしてこれを200機受け入れるために、北海道のどこかに大型飛行場を急速増設する必要があります。横田では常に深海棲艦と連邦国の偵察機で見張られていますので感心しません。

しかし北海道では、突然巨大な飛行場と飛行機が出現しても、彼女たちにはなんのことか理解しがたいでしょう。したがって北海道である必要があるのです。

それでは一旦、クローン兵を用意するために時間を解除します。

では、しばらくですがお二人には演技をお願いします。見事な演技に期待しています」

 

そういうと灰田は、すっと消えた。

 

「では、しばらくは演技に合わせてくれよ。秀真提督」

 

「了解です、元帥」




今回もクローン兵が新富嶽を操縦することになります。
なお余談ですが「超日中大戦」と「超海底戦車出撃」などでも彼らが操縦していますので違和感がなくて大丈夫かなと思い、ここは変更しませんでした。
前回もいいましたが、改めてリメイク版をやってよかったと思います。
今回のイベントで新しい艦娘たちに続き、同じく新しい深海棲艦たちも加わり嬉しいのであります。
この子たちも登場させようかなと思います、まだ先になりますので少々お待ちを。
でも神通さんを見る度に……

神通「提督、私なら大丈夫ですよ? 最初見たときは私も驚きましたけど……」

うん、ごめんね。それじゃ次回予告を続けます。

では次回はこの続き、後編であります。
新富嶽の性能を確かめるべく本機のデモ飛行と伴い、この新富嶽の名称を決めます。

それでは第十九話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。

神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です」

それでは神通に甘えます。

神通「ええ、神通で良かったら甘えてくださいね」(ぎゅっ)
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