超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
今回は予告どおり、あの悪党大統領と戦艦水鬼さんのご登場であります。
少しだけですが新しい深海棲艦の子が、ちょっと登場しています。
長話はさて置き、いつも展開ではありますが、台詞なども一部変更している部分がありますが最後まで読んでいただければ幸いであります。
それでは、本編であります。
どうぞ!
それから、また一週間が経った。
連邦共和国への特使の派遣は、ひとまず成功したかに見えた。
相手から、つまり中岡大統領は日本の申し入れは了承したと伝えてきた。
ただし猜疑心の深い中岡のことであり、連邦共和国内部では、ことはそれほど簡単に進んでいなかったのである。
中岡は平壌に戦艦水鬼を呼び寄せ、表向きは親善と連邦の今後の細かい施策とすり合わせのためという名目だが、本心は無条件降伏ではなく、賠償金を釣り上げることを戦艦水鬼に相談することであった。
中岡は大同江(テドンガン)にちかい、第七号庁舎で戦艦水鬼を出迎えた。ただし気に食わないのが、本心だ。
戦艦水鬼はステビア海からわざわざ僚艦を率いてやって来たのだ。
彼女自身も同じく、多少の不満はあるものの、同盟を結んでいる以上は仕方ないことでもある。
それまでは38度線の鉄原付近で中断されていたものをつなぎ直したのである。
列車に連邦共和国国旗で飾り立たれていた。
なお深海棲艦たちにとって国旗などは興味はなかったので、中岡たち連邦国にすべてを任せたのだ。
かつての北朝鮮の国旗と韓国国旗、いわゆる大極旗はまったく違うデザインなので、統一するのに手こずった。
北朝鮮の国旗は、上下の青い帯に挟まれた赤地の中央に赤い星がひとつ輝いている。
そこで大極、つまり太陽のまわりをいくつもの星がきらめくデザインとし、また一部青色の帯は深海棲艦との親交と証しとして、デザインとして残したのである。
国旗で列車に飾り立てたのは、沿道の人民たちに、連邦共和国成立を強く印象付けるためである。
中岡は用心深いたちで、かつて金一族が統治していた平壌市内にいくつもの執務室を有効に利用した。
むろん中岡は非常に用心深いとブラック提督たちの間では有名であり、以前の鎮守府でもいくつもの執務室や隠し部屋などをもち、絶えなく移動し、また使い捨ての影武者も用意した。
この習慣は元帥と秀真たちだけでなく、艦娘たちと敵対していた時には当たり前にしていたのである。
この時代、中岡がいちばんビビったのは朝鮮半島および中国侵攻で、各指導者と幹部たちがみじめな姿で捕まり、そして彼女ら深海棲艦たちに殺されるか、または一部の深海棲艦(駆逐艦クラス)の食糧にされたことだ。
ルーマニアのチャウチェスク大統領夫妻、イラクのフセイン、リビアのカダフィー大佐などもみじめな最期を遂げた。独裁者の最後はヒトラーやスターリンも含め、実に哀れなものである。
中岡は、自分が独裁者である事を承知しているから、このうえ用心深く振る舞った。
ヒトラーは忠誠を誓った警備部隊に守られていたが、中岡や幹部たちも同様の警備部隊に守られていた。
しかし同盟を結んでいるから、ある程度は神経を使ってはいないが、それでも用心に関しては常に心掛けている、これだけは忘れなかった。
ふたりは余人を遠ざけ、中岡の豪華な執務室で会った。
ただしふたりの美人秘書だけは付き添っているが、この秘書たちはテコンドーの達人であり、ふところには92式拳銃を、また予備としてベルトの背中側に挟んでいるP230JP拳銃を忍ばせている。
また戦艦水鬼なりの気遣いだろうか護衛として、重巡ネ級と軽巡棲姫もかしづいている。
むろん軽巡棲姫たちも疑心暗鬼のままだったが、戦艦水鬼に厳命されているので彼女たちも我慢した。
しかし軽巡棲姫たちは冷静な表情を崩してはいないが、その瞳の奥には彼らに対する憎悪があったに違いない。
「イカガナモノカ、中岡大統領?」
戦艦水鬼の問いに、中岡は切り出した。
「チョッパリの奴らは、なんと小さいことだろう。ただちに賠償金を支払わなければ本土を焦土化すると脅かしてやったら、さすがにやつらも面子があるのか、いったんは断ったのにもかかわらず、すぐに前言をひるがえして、賠償金を支払うと言って寄こしました。また無条件降伏も同じだがな。
そこで相談だが、俺様の感触ではさらに日本を脅せば、多額の賠償金も取れそうだなと思うが、どうかな?」
「……ソウネ」
戦艦水鬼は思考した。
彼女は何度も元帥と秀真と郡司だけでなく、ほかの提督や艦娘たちと戦い、それなりの人なりをよく知っている。
きわめて優秀な人物たちで信念も強い。だからこそ艦娘たちをフリーハンドで使える。
敵ながらも天晴という言葉があるように、だからこそ敵を侮ってはならないと常に心掛けている。
「アマリ奴ラニ圧力ヲカケルト、返ッテヨクナイ結果ヲモタラシカネナイ。『窮鼠猫ヲ噛ム』トイウ諺モアルカラナ。ワタシトシテハ、無条件降伏ダケデ十分ダト思ウガ……」
彼女が柔らかく言うと……
「しかし、奴らがわれわれの理想を踏みにじった事を考えると無条件降伏だけで足りないぞ!」
中岡は激高した。歳のせい、いや、元々カッとしやすい性格の持ち主だ。
本人は精神論と伴い、論より抗議、あとは暴力をモットーとしているため、若い頃から激発型でもあった。
そのため多くの同胞と側近たちが多くの罪をなくして処刑にされた。また家族までも平然と殺したのだから。
この国を支配していた北の指導者も中岡同様に、激高型であったために多くの彼の側近たちが罪なくして処刑された。しかも身内である妹の婿すらも処刑にされた。その息子もこれに倣い、多くの側近たちを粛清した。
なお、最近では居眠りをしただけでも粛清された哀れな者もいたが。
いまは、唯一の生き残りでもある出来の悪い長男の金正男も粛清されるのではないかという噂も流れていた。
これは最初の妻との間に生まれた子で、顔つきは父親そっくりだった。
しかし北の指導者は三番目の妻で、女優だった高英姫との間に生まれた二人の子供たちをほうがことを可愛がったゆえ、出来もよかった。
そのため金正男はしょっちゅう外国に出かけているが、その多くが偽装パスポートを用いたものなので日本はもとよりほとんどの国から入国を阻まれている。せいぜい入れるのはパキスタンと中国、ロシアぐらいなものだ。
パキスタンとはミサイル輸出をつうじて密接な繋がりである。中国は北朝鮮の後ろ盾であるから、当然と言える。しかし、20XX年にこの偽装パスポートを用いて何度も日本に出入りしていた。
一度だけこれが発覚してからは入れなくなったのが、当時の外相である田中真紀子は密入国の罪で糾弾することもせず、すぐに国内に放り出した。
しかし、北の指導者の息子でいえども毅然として国際法にのっとり、拘束して尋問すべきだったのである。
このように臭いものに蓋をする態度を取り続けたからこそ、日本外交はバカにされ続けた。
「ソレニカンシテ、我々ハ一切ノ賠償金ナドハ要求ハシナイ、スベテ大統領ノイイヨウニ。
ノチニ、オオイニ役立ツダロウ。
ワタシガ危惧シテイルノハ、奴ラヲ追イ詰メルト何ヲシデカスカ分カラナイトイウコトダ。
ナニシロカツテノ日本ハロシアニ勝チ、米英ヲ相手ニ回シテ戦イ、最初ノ半年ハ勝ッテイタ国ダカラナ。ソノ気ニナレバ、艦娘ダケデナク、自衛隊ヤ多国籍支援軍ノ戦力モ侮レナイ」
「しかし、一ヶ月待てとは腹立たしい!」
中岡はまたしても激怒した。
「今すぐ賠償金を支払い、無条件降伏を呑むべきだ!」
「ナニシロ急ナコトダ。時間モカカル。ソレグライ待ッテヤラナイト」
戦艦水鬼は穏やかに言っているものの、本心は呆れている。
中岡率いる連邦軍とはいまは同盟ではあるが、彼らの過激な体質には彼女は危惧していた。
これから友軍として戦おうとしているのに、ここで暴発的行動を起こせば、内戦に陥ってしまうからだ。
むろん、そんな事態は避けたい。
もし内戦になったらコイツを真っ先に暗殺し、悪い方向にいかないよう、日本と単独講和をしようと決めている。
行なうのは簡単だが、なにしろいま目の前にいる人物が、本物の中岡、本当に本人なのかも分からない。
だからいまは辛抱強く我慢して、その時が来れば、中岡や彼らの支持者ともども殺せば良いと。
かりに仕留め損ねたら、コイツの処理はあの元帥と艦娘たちに任しておけばいい。
それが大統領の責務だと考えていた。
中岡より戦艦水鬼さんのほうが大統領に向いているような気がしますが……
これからはどういう展開になるかは、のちのちお楽しみを。
さて今回は台詞なしですが、新たに軽巡棲姫がちょっとだけ出演しています。
前回の後書きのように書きましたが……察してくださいね、はい……
なお彼女もまた再登場しますので、しばしお待ちを。あれ……?
ネ級「アノ、私ノ出番ハ……?」
彼女も出ますから、とりあえず今はまたしばらくお待ちを。
ネ級「アリガトウゴザイマス。デハ、シバラク待機イタシマス」(ペコリ)
この子、礼儀正しくて良い子であります。
神通「提督、お客さんと話すのは良いですが、そろそろ予告編を…」
おっと、では次回はZ機が第三の目撃者に発見されてしまいます。
その目撃者は誰ですかって?それは次回のお楽しみで軍事機密であります。
それではそろそろ切りが良いところで、次回もお楽しみに。
それでは第二十一話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
神通「ダ、ダスビダーニャです。提督、お疲れ様です」
ネ級「ダ、ダスビダーニャ…コレデイイノデスカ、提督?」
それで良いのであります、二人ともお疲れ様です、それではひと休憩しましょう。