超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
第三者の正体が明らかになります。
では長話はさて置き、毎度お馴染みではありますが、台詞なども一部変更している部分がありますが最後まで読んでいただければ幸いであります。
それでは、本編であります。
どうぞ!
南方海域にとある連邦基地。
中岡の側近となった忠秀軍事委員会副主席のところに、空軍の衛星管理処から奇妙な報告が来た。
忠秀はヨウ総参謀長と空軍司令員のキョウ上将を呼んで、その情報の検討をすることにした。
鹵獲した中国の衛星は五個であり、その内のひとつはたえず日本を監視している。
これは静止衛星で日本上空を張り付いているのだが、解像度も高い。
「この写真に問題があるというのかね。ここはいったいどこを撮影してきたものかね?」
持ってきた写真をデスクの上に広げた。
そこにはモザイク模様の平原だが、ところどころ綿ぼこりのような雲が浮かんでいる。
忠秀はたずねたため、大校はしゃちこばって答えた。
「これは日本の北海道南部を連続撮影した写真の一部であります。しかも拡大してあります……ここをご覧ください」
大校は写真の一部を指で指し示しながら、細長い長方形のものが映り、その左右にいくつかの巨大な建物、格納庫のようなものが並んでいた。
そして一機の飛行機も映っていた。漆黒のツインジェット・ユニットを四基も持つ飛行機が見えた。
「この写真から被写体のサイズを特定するのは難しいのですが……我々の推定ではジャンボ機サイズの重爆専用飛行場だと考えています。いうまでもなく、この細長い滑走路であります。そして問題はこの黒い巨大な飛行機ですが……米帝のB-52戦略爆撃機によく似ているのです」
「そいつは不思議だな」
秀忠は落ち着き払っていった。
「米帝が日本にB-52を貸与しているはずがない。制空権はわれわれが握っているし……先月には大統領閣下の厳命でグアム・サイパンに駐屯していた爆撃機部隊は馬鹿な特攻隊と自爆無人機、自爆イ級たちなどが全て破壊した。
それに奴らも貸与するほど戦力に余裕はないし、来年までは反撃することはないだろう」
「とすると、どういう事になるのですか?」
キョウ連邦空軍司令官が訊く。
「まさか日本が短期間で、米帝並みの重爆を開発したとは考えられません」
「それはその通りだ」
さしもの忠秀も考え込んでしまった。
「だが、今のところは何とも判断ができん。ともかくこの場所は継続して監視するように」
大校に命令した。
「ハッ。了解しました!」
大校は敬礼して写真を纏めると、退出した。
忠秀はキョウ司令員を見返った。
「なんだか嫌な予感はする、キョウ大将。我が連邦国の偵察機かいまは盟友である深海棲艦の艦載機を飛ばして、この場所を直接偵察するわけにはいかないか?」
「我が連邦の足の長い偵察機でも、九州まで往復するのがせいいっぱいです……爆撃機を使っても無理でしょうし、バカな深海棲艦たちを使っても同じことです。日本の制空および制海圏内には入れませんのが現状であります。
空自や多国籍支援空軍に迎撃されていたずらに被害を増やすだけとなりますから……」
キョウは苦い顔にして、被りを振った。
「空母があれば全て解決することができますが、しかし我が連邦の空母が就役するまでには、あと二年かかるでしょう」
「そんな事は分かっている」
忠秀は苦い顔になった。
かつて中国も空母の欲しさのあまり、ソ連がスクラップにしようとしたキエフ級航空母艦のキエフとミンスクを購入したことがある。
しかし使い物にはならずテーマパークとなる始末であり、無駄金を使ったにとどまった。
ただしウクライナが廃棄しようとした中型空母に関しては、十八番ともいえる架空の会社を使って手に入れたのはいいが……改装および試験航海のさなかに、深海棲艦の侵攻にあい、結局は出撃することなく放置状態となった。
世界の軍事常識は、空母の運用には長い経験が必要となる。
世界で空母を運用している国はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ロシア、ブラジルのほかにアジアでは、インド、タイぐらいしかいない。
連邦軍は艦娘と深海棲艦ではなく本物の空母を持ちたい。
のちに行なう世界制覇をするために必要なのである。
しかし空母が就役しても、まず使い方を習う必要があった。
いざとなったら、いまはコイツ等には教えていないが、アレを、例の生物兵器を使うしかないな。
しかし相変わらず小うるさい戦艦水鬼たちは『非人道的な兵器』だといわれたが、これは大統領命令だ。
新型空母とともに、実戦経験に使えるからな。
あとはもう少し増やすために、今後とも我が国内にいるあわれな女たちをたぶらかして集めなければな……
忠秀はそう考えると、思わずニヤリとしたのだった。
ほぼ同じころ。
アメリカの偵察衛星KH-11の後継機――KN-12偵察衛星も北海道南部に奇妙な施設を発見していた。
アメリカの衛星情報は、すべてペンタゴンに集めら分析されて、必要部署にデータが送られる。
太平洋艦隊司令部にもそのデータが送られてきて、その謎を解くべく、海軍情報部員が自衛隊情報本部との面会を要求した。太平洋のシーレーンが奪われたため、PCによるモニター面会だが。
このあたりのアメリカという大国は、まことに自分本位であり、知りたいことの欲求を隠さない。
情報監部も会わないわけにはいかず、市谷台の防衛省本部にあるPCでモニター面会をする。
自衛隊の本部というのは、自衛隊内部の情報活動を一元化したセクションである。
国防に必要なあらゆる情報が、全てここに集まってくる。部長は三枝陸将補だった。
さっそくモニター越しに現れたのは、アメリカ海軍情報部員のマケナリー少佐である。
「では……さっそく話に入らせてもらいますが、ジェネラル・サエグサ」
マケナリーは単刀直入に切り出した。横に置いていただろうブリーフケースから取り出した写真の束を一枚、一枚めくりながら見せた。
このとき三枝には、米軍情報部員が面会する理由の検討がついていた。
総合幕僚本部から話がおりてきており、その問題に関する想定問答集までもがついてきていた。
「われわれの偵察衛星が北海道南部に奇妙な施設をキャッチしました。ペンタゴンの分析では、大型航空機専用の飛行場らしいということですが、その大型航空機となるものの見当がつきません。ここに見られるとおり一見すると、我が国のB-52にそっくりな機体が一機映っています」
少佐は一枚の写真を三枝の前に映した。
たしかにそこには真っ黒な巨大な航空機が移っている。向こうの世界から到着したばかりで、格納庫がしまうのが間に合わなかったものだ。
「われわれはB-52を貴国に貸与した覚えがありませんし、それに先月の攻撃で逃れた機体は一機もありません……これはいったいなんでありましょうか。ペンタゴンの解釈では、連邦と深海棲艦を惑わすためのダミーとだろうということですが、そうなのでしょうか?」
三枝は少佐のほうから答えを切り出してくれたので助かった。
もし正体について突っ込まれたら、そう答えろと命じられたのである。
戦争ではダミーという兵器がよく使われる。つまり敵を欺くための偽装兵器である。
しかし現代のように赤外線探知システムが発達すると、ダミーは使いづらくなったが……第二次世界大戦ではよく使われた。アフリカ戦線では《砂漠のキツネ》として呼ばれ恐れられ、一躍として有名になったエルヴィン・ロンメル将軍に、いっぽう連合軍は《モンティ》ことバーナード・モントゴメリー将軍も偽の戦車、航空機、果ては鉄道まであり合わせの資材でこしらえては、空からの探索の目をごまかし、敵を威圧した。
また有名な例では、ジョージ・パットン将軍の幽霊軍団である。
シシリー島で戦場神経疲労症の兵士を殴り、激怒したアイクによって閑職された彼はオーバーロード作戦(ノルマンディー上陸作戦)の実地にあたり、ドーバーの対岸に偽の軍団を集結させ、いかにも大軍を率いてカレーに上陸するように見せかけるよう命じた。これらも航空機や戦車も全て木製のダミーである。
しかもパットンがこれを率いるという情報が積極的に流され、ドイツ軍はすっかりそれを信じ込んでしまった。
しかし史実では連合軍が1944年6月6日に上陸を敢行したのは、ノルマンディー海岸であったのである。
パットンの欺瞞活動が敵の戦力を削いだのは確かなので、功績はあったと言える。
ひとの悪いアイクはフランス上陸後に、彼に一個軍を与え突撃させるつもりでいた。
史実上パットンは第3軍を与えられ、フランス南部を補給が追い付かないほどの快進撃をし、ドイツ軍をパニックに陥れた。
「よくお分かりになりましたね」
三枝はおもねるように言った。
「まさにその通りなのです。われわれは連邦国を欺くための苦肉の策としてダミーの重爆飛行場と機体を製造することを決めました。むろん連邦国がそれを見て、攻撃を思いとどまってくれることを期待したのです……
じつはB-52が配備されていると、誤解することも期待していました。そう考えれば連邦国と深海棲艦といえども下手に攻撃はしてこないでしょう」
「いや、かえって連邦国のミサイル攻撃の恐れもありますぞ。貴国は深海棲艦らの対処にも手を焼いているのに……
それだけでなく我が第七艦隊やグアム・ハワイ空襲の二の舞にもなってしまいますが、そこはどうお考えですか?」
少佐は切れ者らしく鋭い質問を発した際には、三枝も苦笑いした。
「たしかに、連邦国は北海道まで届くSRBM(短距離弾道ミサイル)をもっているでしょう。
しかしMDシステムでおそらく撃墜できますし、深海棲艦は勇敢な提督と艦娘たちのおかげで撃破しています。
……深海棲艦については我が国の交戦権は、正当な集団的自衛権として認められています。
それに連邦が先に火蓋を切ってくれれば、これまたこの戦争は日本の防衛戦争ということになり、今後の国連でも優位な立場に立てます」
「なるほど、それも確かですな!」
マケナリー少佐はにやりとした。
「かつての中国には、戦いに勝つにはまず味方を欺けることという諺がありますが、それを真似をしたのですね。
われわれも危なく貴国がB-52クラスの重爆を急遽開発したのかと思わず本気で信じてしまうところでした。
じつはすでに開発してあったものを隠しておいていたのだと。だが、これはブラフだったわけですな」
「そういうことです。これからどんどん機体を増えますが、そういうことを承知して置いてください」
むろん、Z機が実際に作戦活動を始めれば、それがダミーどころか、恐るべき実力をもつ重爆だということが、ただちにアメリカにも判明する。
しかしそうなったら、その時のことだ。
いまはただ時間稼ぎを優先する。
ともかく納得した答えが出たので、少佐は満足してPC面会を終わらした。
三枝は会見結果を総合参謀会議に報告した。
連邦に続き、米国にZ機は目撃されましたが、いまのところはセーフであります。
原作(小説・漫画版)でも中国・アメリカは、日本に見事に騙されていますが。
さて皆さん、お気づきになられたと思いますが連邦国が秘かに開発している“生物兵器"については、連邦国が立案した侵攻作戦に登場しますので、しばしの間ですがお待ちを。
それではそろそろ切りが良いところで、次回予告であります。
次回はZ機専用基地を建造と伴い、連邦国がまた何かを目論み、それを実行します。
いよいよ新たな戦いの始まりでもあります。
それでは第二十二話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。