超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告どおり前回に引き続き、前回では活躍できなかったZ機の掃射機バージョンが登場と伴い、少しだけですが秀真・古鷹たちの南シナ海を奪還およびシーレーンを守ろうとする作戦行動中の詳細と、そして連邦空軍の最新鋭機が登場します。
言わずとも今回もまた、台詞なども一部変更している部分お楽しみを。
それでは、本編であります。
どうぞ!
ベータ爆撃隊は太平洋を南西方面に飛んで南シナ海域に到着、そこからまず青島を目指していた。
これらが来ているとも知らずに深海棲艦たちは沿岸に連邦軍から貸与された防空早期警戒レーダーを張り巡らせていたのだが、それはなにも意味がなかった。
また彼女たちにとって不運だったのは、この日は雲が多く、5000メートル以上はまったく視認できなかったのだ。
もし上空がクリア、つまり雲で覆われなければ、おびただしい飛行機雲が見られたかもしれない。
しかし連邦海軍と深海棲艦たちにも、幸運なことがあった。
バシー沖島海域にいて、警戒偵察をしていた潜水カ級の一隻が、南下してくる連合艦隊を捉えたのである。
30ノットの高速で南下してくる。
警戒のために対潜ヘリSH-60K《シーホーク》と瑞雲を飛ばして、前方を警戒させている。
これは秀真・古鷹をはじめとする連合艦隊とかれの切り札である大鳳を旗艦とする新五航戦を中心とした機動部隊に、郡司をはじめとする友軍艦隊である。
なお虎の子である海自・米海軍のイージス艦と多国籍海軍の護衛艦などは、すべて日本海に展開していた。
これは連邦軍のノドンに対する備えである。
そのノドン基地は、Z機の爆撃により全滅したと考えられるという報告が入ったのだが、海自らもその第三護衛隊群の補給が終え次第、すべて南シナ海に向けるつもりだった。しかしそれまでには十二時間はかかる。
つまり秀真たちは、南シナ海のシーレーンを巡り、連邦軍こと裏切り者のブラック提督および深海棲艦らによる合同艦隊と戦わねばならぬ戦いだ。
しかし地の利には連邦と深海棲艦にある。敵は沿岸の基地からいくらでも戦闘機と攻撃機を飛ばすことができる。また深海棲艦も出すことができる。
これらを撃破することはできるが、艦娘たちにも限度はある。
連邦海軍は稼働艦艇200隻。これはいわゆるコースガード(沿岸警備)は含まれない。
運よく深海棲艦の攻撃から逃れ、鹵獲した少数のソブレメンヌイ級駆逐艦や旅洋Ⅲ型などは日本のDDG(ミサイル搭載型護衛艦)に匹敵するともいわれている。
日本の最新鋭DDに匹敵するルーヌイ、ルーフー級駆逐艦3隻、やや旧式のルーター級5隻、そのほかフリゲートは多数持っている。これは日本のDE(沿岸(近海)型護衛艦)に匹敵する。
また稼働潜水艦も60隻も所持しているは、前にも記した。
対する日本海軍は艦娘たちをのぞき、海自は第四護衛隊群は33隻、潜水艦は16隻。多国籍海軍は少数である。
海上兵力においても大差がついていることは否めないが、唯一の救いは敵がイージス艦を持っていないことだ。
しかし、その代わりに航空機をいくらでも繰り出せる。このなかには爆撃機も含まれる。
ともかく連邦空軍は旧式機を含めると、作戦機を2000機以上も持っている。
これらが入れ替わり立ち代わりに殺到したら、いかにベテランである秀真たちですらも勝ち目はなかった。
それでも立ち向かえるのは、シーレーンを守るためであり、Z機の支援ができてからこそである。
“日本艦隊南下する”とのバシー島沖からの連絡を受けて、青島基地そのほかの海軍基地から艦隊が出撃した。
深海棲艦は空母水鬼を中心とした機動部隊につづき、連邦海軍は新型精鋭艦、旧式駆逐艦、フリゲート総勢50隻で三個艦隊を組み、連合艦隊が、南シナ海に出てきたところを包囲殲滅する作戦であった。
しかし一部の深海棲艦と連邦海軍が母港を出たところで、目に見えないステルス爆撃機が襲ってきたのである。ベータ爆撃隊は30機ずつ分かれて、北海、東海、南海のそれぞれの基地を襲った。それぞれ30分の時間である。
地上にいたレーダー隊員たちが、はるかな高空にかすかな爆音を聞いたときには、Z機は爆撃針路に入っていた。
距離的な関係から、まず北海基地が爆撃を受けた。
チョウキョウエン海軍司令部と彼の秘書艦の重巡リ級はこのとき北海基地で指揮を執っていたが、出し抜けに猛烈な爆撃を浴びて、部下たちとともに戦死した。
なにしろ1トン爆弾が雨あられのように降ってきたのである。
基地施設はその瞬間に粉砕された。燃料タンク、ドック、すべてが原型を留めなかった。
また出撃準備をしていた深海棲艦と連邦海軍の合同艦隊に、入渠中の深海棲艦および数隻残っていた修理中の艦艇もやられた。北海基地を空爆したZ機の第一編隊は余勢をかってナンジン、ハンチョウ、ウェンチョウ、フーチョウ軍管区の空軍基地に向かった。それらもあらかじめプロットしておいたのである。第二砲兵部隊、連邦のミサイル基地もいずれも奥地にあり、Z機の航続距離を持ってすれば到着することは容易いが、搭載している1トン爆弾にも限りがあるので、今回のミッションでは見送られた。
また連邦もまだ容易くは核ミサイルを発射しまいという判断があった。
東海基地に向かった第二編隊、南海基地に向かった第三編隊も海軍基地を空爆したあと、近くの空軍基地も叩くよう命じられていた。しかしこの時にはノドン基地が正体不明の重爆によって壊滅したという報告が入っており、各空軍基地は警戒を強めていたので、青島基地が爆撃を受けたという知らせを聞くと、各空軍基地から新型戦闘機が飛び立った。
この新型戦闘機は深海棲艦たち、鬼・姫・水鬼クラスから、空母と軽空母の主力艦戦、艦攻、艦爆として、重巡や戦艦が装備している偵察機として広く運用されている深海棲艦艦載機に、鬼・姫・水鬼などが搭載しているやたらいかつい形相をしている精鋭機『たこ焼き型艦載機』を、彼女たちの技術を貸与し、これらを有人化にできるよう改装し、パイロットが乗れるよう大型化に、さらに空対空ミサイルなどを搭載できるように共同開発した連邦軍の主力戦闘機をさしている。
なお、前者はイカのような外観をしているから、有名な海の魔物の名として《クラーケン》と名づけられた。
そして後者は、先の大戦でかつて数多くの日本軍機を撃ち落した米軍戦闘機《ヘルキャット》と名づけた。
因みに艦爆タイプは《ヘルダイバー》と、そして艦攻タイプは《アベンジャー》と命名した。
どちらも太平洋戦争で連合艦隊を壊滅にまで追いやったとして有名なレシプロ機としても知られている。
それにしても、いかにも艦娘たちに対する嫌がらせと言うべきか、憎悪が込めたようにしか思えない名称である。
よほど彼女たちのことが嫌いであるのがよくわかる。いや、歪んだ憎悪なのかもしれない。
なお一部に虎の子のステルス戦闘機J-21と31が数機ほど混じっていた。
連邦軍が保有している作戦稼働機2000機以上とは言ってもその多くは旧式機がほとんど、日本機と対等に戦えるのはこの四種類ぐらいなものだ。
もともとは中国・北朝鮮空軍が使用してきたものが多い。
韓国空軍の主力戦闘機F-16KやF-15Kなども保有しているが、これらがきちんと稼働できるかどうか怪しい。
かりにあったとしても使えるものが少ないので期待はできない。
元々ろくに整備もできず、マンホールで撃墜したり、不時着事故などを起こすのは日常茶飯事だから仕方ない。
ほかにも走行しただけで頓挫する戦車もあれば、潜水するだけでボルトが外れる潜水艦に、かならず航行中に火災が発生する艦艇などを所有するものを持っていても仕方ないので、まともに稼働するもの以外は共食い整備用として保管しておき、きちんとしたものはほとんどが平壌防衛に配備された。
緊急情報によると、この正体不明な重爆はレーダーに引っかからないようだ。つまりステルス機ということだ。
これが日本機であることは考えにくいのが……日本軍は爆撃機を持たないということは、今までの常識だった。
しかし日米の命ともいえるシーレーンは半永久的に停止されたいま、真実はひとつ、日本軍しかあり得ない。
つまり日本軍はこのような事態を予想して、艦娘たちだけでなく、秘かにステルス重爆を製造、秘匿していたことになるが、いったいそんな事があり得るのだろうか。これが夢であってほしいとすら思っていた。
しかし現実にその重爆は存在し、すでに北海基地が爆撃されて殲滅した。
パイロットたちは報復の思いを込めて、この敵機をさがすべく、アフターバーナーを吹かして急上昇した。
高度8000メートルで雲が切れ、視界がクリアしたとき、驚くべき光景が見えた。
B-52そっくりの爆撃機が30機ほど接近してくる。しかしこれらを護衛する戦闘機のすがたは見えない。
連邦空軍パイロットたちは「もらった!」と思った。てんでに狙いをつけて、中国が開発した新型のアクティブレーダーホーミング中距離空対空ミサイルPL-12を発射した。
しかし、その重爆編隊の最下端にいた三機のZ機がめくらむような機関砲の発射炎が発し、まるで機体そのものが燃え上がっているように見えた。また発射されたPL-12ミサイルは叩き落された。自動追尾システムを持つ20mmバルカン砲により、ミサイルは全て撃ち落されたのだ。
次の瞬間、凄まじい弾幕が襲ってきて、連邦戦闘機群は回避する余裕もなく、20mm弾の嵐を浴びて、きりきりと舞い落ちた。何人かは死ぬ前に座席をベイルアウトしたが、ほとんどのパイロットたちは機体と運命を共にした。
敵機を排除した重爆編隊はゆうゆうと爆撃針路に入り、多数の1トン爆弾を投下した。
それらは回転しつつ落ちていき、はるか8000メートル下の地上が地獄と化した。
ここにいた沿岸地区の連邦空軍基地のほとんどが壊滅した。
主力戦闘機の消耗も多く、旧式機も含めて300機が失ったが、そのなかに虎の子のJ-21と31が多数含まれていたのは大きい。所定のミッションを終えると、Z機部隊は帰投した。
連邦空軍の最新鋭機と中国軍のJ-21とJ-31は、Z機の掃射機バージョンの前では無力に等しく機銃掃射を喰らい、しめやかに爆発四散した。
言わずともこの結果になるのは目に見えていましたし、原作(小説・漫画)でもZ機を迎撃しようと中国軍と米軍戦闘機群が上がりましたが、逆に全機撃ち落とされています。
原作ではF-15とF-14を余裕に撃ち落としていますが、現代だったらF-22やF-35でも余裕に撃ち落とせるのではないかと思いますが……
神通「提督…そろそろ次回予告を…」
おっと、では切りが良いところで次回予告であります。
次回は秀真・古鷹たちが南シナ海を舞台とし、シーレーンを守るための海戦が始まります。こちらに関しては前編・後半に分けます。
そして秀真・古鷹たちにも、奇跡ともいえる新兵器が登場いたします。
その奇跡ともいえる新兵器とは、いったい何なのかは次回のお楽しみに。
それでは第二十五話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です。では私は訓練に行きますね」
あはは…神通さんも張り切っていますが、彼女の出番は前作と同じなのでお楽しみに。