超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
灰田がもたらしてくれたステルス重爆ことZ機による先制攻撃を開始した。
Z機部隊は連邦国のミサイル基地と、北海・東海・南海の各海軍基地などを超空からピンポイントで爆撃、さらに連邦は最新鋭戦闘機を繰り出したが、所詮Z機の敵ではなかった。Z機部隊が活躍する一方、秀真・古鷹たちは南シナ海にて連合艦隊を率いり、日本の生命線ともいえるシーレーンを死守するため出撃。
しかしこれを阻止しようと連邦・深海棲艦の合同艦隊も展開していた。
果たしてここでも奇跡の展開は起こるのか……
またしても某アナゴさんがクローンウォーズのような前回のあらすじを簡単にナレーションしているような始まりとともに毎度お馴染みでありますが、それと伴い、台詞なども一部変更している部分お楽しみを。
それでは、本編であります。
どうぞ!
年が明けて、20XX年1月10日の早朝。
秀真・古鷹たちをはじめとする連合艦隊は、台湾の西、澎湖諸島の南西海域に到着した。
この近辺の海中では、潜水艦部隊が連邦潜水艦隊と死闘を繰り広げているはずだ。
それを支援する意味もある。本来のシーレーンは、タンカーや輸送船のルートが安全なものに変わったので必要がなくなった。であれば引き上げれば良かったのだが、幕僚監部の肚のうちでは、連邦海軍の実力を試したいという気持ちがあった。
秀真たちは、Z機で重要基地である海軍および空軍基地を叩いたから、敵は相当に混乱になっているはずである。
その予測していたが当たっていた。
その一方……出てきたばかりの基地を失ったと知らせを聞いた迎撃艦隊の指揮官、連邦側の旅洋Ⅲ型に乗ったソン少将は、残念ながら見敵必戦の指揮官ではなく、その恐るべき報告を聞いただけで戦意を失った。
また深海側も基地を失ったことにショックを受けたが、かれらとは違い、仲間の仇を取ろうと必死になっていた。
そのレーダーに映らないというステルス爆撃機が向かって来ないとも限らない。
虎の子のソブレメンヌイ級と旅洋Ⅲ型、そして最新鋭艦となる土偶のかたちをした戦闘艦ドグウ2隻を失うわけにはいかない。
多くの連邦軍こと元ブラック鎮守府出身の提督たちは、某国のように戦う前に敵前逃亡を繰り返し、わが身が大事なあまり逃げることが多かった。
余談だが朝鮮戦争では北朝鮮軍の侵攻を受けた際に、自国の兵士よりも、初代大統領が真っ先に逃げるのは当たり前で、アメリカをはじめとする国連軍が介入してきた時でも北朝鮮軍の戦車部隊と兵士たちを見ただけでも韓国軍兵士たちは平然と敵前逃亡をし、なによりも武器ごと置いて逃げるため、これが北朝鮮軍に鹵獲され、のちに国連軍に牙を剥いたのは言うまでもない。マッカーサーも頭を抱え込み、対策としてマニュアル本も出したぐらい役に立たなかったのである。なお戦時中の日本もこのマニュアル本を出している。
話しは戻そう。
連邦海軍の多くは、どうしてもフリー・イン・ビークインの思想におちいりやすい。
つまり、現存艦隊主義の思想である。
かつては日本もそうだった。なにしろ仮想敵国たるアメリカ両洋艦隊をもっているというのに、日本は連合艦隊をワンセットしかもっていない。これをすり減らされれば終わったも同然であった。
必然的に不要な戦いは避けるという、現存艦隊主義の思想に傾かざるを得ない。
南雲中将が真珠湾攻撃をした時、敵空母を捜し求めて、これを撃滅すべきであったのにもかかわらず、真珠湾内を叩いただけで引き上げてしまったのは、この思想が反映している。
同じ日本海軍出身の提督にもかかわらず、つねに最前線で戦う秀真たちとはえらい違いである。
ブラック鎮守府出身の提督たちは、それぐらい役に立たないという事である。
ただ少なくともソン少将は独断でそう考えていた。
艦隊への対応は深海棲艦に当てることにして、自身は無事だと伝えられている海南島基地に戻ることにした。
ここに実戦の差が、連邦海軍の弱さが表われた。
秀真・古鷹たちをはじめとする連合艦隊は連邦戦闘機や攻撃機群のあるものとの覚悟をもって南下を続けたが、意外にも空は静かだった。
これらの空軍兵力は、Z機の空爆で壊滅的なダメージを受け、新たに編成するのにだいぶ時間がかかりそうだった。
しかし、1000時。
旗艦の古鷹のレーダーが敵影を捉えた。
「敵艦隊三十、時速25ノットで衝突針路を進んでいます!」
古鷹がいう敵影は、いわばソン司令官に【捨て艦戦法】にされた艦隊である。
しかし数だけは圧倒的に多い。それだけでも秀真たちは不利だと言える。
だが同時に、秀真たちには《切り札》が試される絶好のチャンスともいえよう。
この艦隊の旗艦は空母水鬼に、連邦側はカク大校である。
深海側は二隻の装甲空母姫をあわせて、戦艦タ級、駆逐ニ級後期型を中心としたエリート艦隊と共に、連邦海軍は18隻も同行している。ただし後者は、その多くは二戦級の艦船だが、双方合わせて20隻以上もいるのだから決して侮れない。
秀真たちは、開戦のときに近づくにつれて、まず初めに制空権を確保し、のちに敵艦隊に攻撃するという作戦をかためた。
敵機をまず始末してしまえば、あとはこちらが《切り札》たちを使う番となる。
「全艦戦闘態勢に移れ!新しい装備だからといって敵を侮るな!」
「了解しました!」
敵艦隊も同じく戦意を見せていた。
しかし、その多くの深海棲艦と連邦海軍たちは、寄せ集め、つまり旧式艦中心の連合艦隊などに我々が負けるはずがないと勝機を感じていた。いや、正しくは誰もが慢心していた。
しかし、古鷹たちが新たな装備をし、その実力が自分たち以上とも知らずに……
「ススミタイノ…カ……?」
「海ノ底ニシズメ!」
互いの水上レーダーで敵影を捉えていたが、まずは開幕ともいえる艦載機同士による空戦が開始されようとした。
深海側は主力たるたこ焼き型艦載機および攻撃隊を飛ばしていた。
「さぁ、やるわ!第一次攻撃隊、全機発艦!」とクロスボウを構える大鳳。
「全航空隊、発艦始め!」という翔鶴。
「第一次攻撃隊。発艦始め!」と同じく瑞鶴も矢を放つ。
対する大鳳を旗艦とする機動部隊は主力艦戦《烈風》や《震電改》ではなく、双方に引き継ぐ新たな主力艦上戦闘機として開発されたひと回りほど大きい漆黒の機体とともに、おなじみの彗星・流星改・閃光改などによる合同部隊を発進させた。
しかしこの漆黒の機体は、切り裂くような爆音を響かせていた。
多くの深海棲艦たちは、どうせ漆黒の機体は、見せかけの試作機かできそこないのポンコツ機だろうと侮っていた。いや、バカにしていたと言った方が正しい。
しかし皮肉にも勝敗は、すでに決まっていた。
深海棲艦たちが言っていた漆黒の機体は切り裂くような爆音で上昇し、急降下したそれは容赦なく深海艦載機隊に襲い掛かった。
大空を切り裂くような、甲高い機関の叫び、航空エンジンというより空を駆けつつ犠牲者となる敵機を選び出し、大鎌を振りかざす死神のように、かれらの叫び声のように思わせるような不気味な轟音だった。
一部の連邦海軍は思い出した。あれはドイツ軍が開発したMe262に似ていたが、ひと回りも大きい。
かといって日本がかつて開発したMe262の模様したジェット戦闘機《橘花》や陸軍が開発した《火龍》でもない、とすれば新種の機体だと。
連邦が知らなかったのも無理はない。このジェット艦載機は《轟天》と呼ばれる新型機である。
これを用意したのは、むろん灰田である。過去に多次元世界の日本に介入した際にこれを使用したことがある。
これを小型化、つまり大鳳や翔鶴たちなどに装備できるよう改良してくれたのだ。
この機体はMe262を一回り強力にした物でオリジナルのMe262よりは大型だが、天山より小型化に成功している。
さらに高度6000メートルにして、最高速度は900キロに達している。装備はシンプルに機首に4門の50mm機関砲を搭載しており、いざとなれば500キロ爆弾を装備可能である。
新型機、しかもジェット艦載機に驚いた深海艦載機部隊は攻撃隊を守るように、轟天に攻撃を仕掛けた。
しかし轟天はすばらしい速度を誇り、これを20mm機関砲で攻撃しようとすると、目の前から消えた。
またたく間に姿を消したと思いきや……反転した轟天が、後方につけるなり、強力な50mm機関砲を放った。
深海艦載機は、必死に機体を避けようとしたが、哀れにも避けきれずに一弾が機体に貫いたとき、勝敗は決まっていた。
もはや自由に空を飛べなくなった、操縦の自由を奪われた深海艦載機は大きく速度を落とした。
次の瞬間、追いすがってきたもう一機の轟天が放った50mm機関砲が機体を貫き、粉々に粉砕した。
空中分解した深海艦載機とたこ焼き型艦載機部隊、そして彼女たちの攻撃隊は次々と餌食となり、南シナ海の上空を紅く染めた。
それはまもなく始まる開戦を、それは死闘の始まりという打ち上げ花火のように。
灰田がもたらした奇跡ともいえるこの超戦闘機《轟天》は、大鳳をはじめとする全空母娘たちに装備された。
いままで烈風ですらも苦戦したたこ焼き艦載機を、いとも簡単に撃ち落としていった。
逆に新型機ともいえる轟天・閃光改部隊に挑んだ敵機は撃墜されていった。空戦の場は大きな修羅場と化していった。その間をぬって、戦爆・艦爆・艦攻隊は敵艦に向かった。むろん生き残った敵艦爆・艦攻も向かった。
ほぼ敵艦爆・艦攻隊は全滅に近いが。
しかし到着した彼らを待っていたのは、敵合同艦隊がつくりあげた恐るべき対空砲火が待っていた。
深海棲艦の火砲には、近接信管……かの有名なVT信管(Variable-Time fuze)を使う。
通称『マジック・ヒューズ』ともいえるこの兵器は太平洋戦争期間中にアメリカ海軍の艦対空砲弾頭信管に採用され、命中率を飛躍的に向上させる効果が確認されたことにより注目された。目標検知方式は電波式以外に光学式、音響式、磁気検知式が開発され、魚雷等の信管にも応用されている。
最大の長所は、目標に直撃しなくてもその近くで爆発することにより、砲弾を炸裂させ目標物に対しダメージを与えることができる点にある。このため艦載機が苦戦していた。
「ナゼダ!今マデハ簡単ニ撃チ落トセタノニ、VT信管ノ効果ガナイダト!」
多くの深海棲艦のVT信管は無効になった。
これに関しても灰田はきちんと対策を備えており、全機に対VT信管対策としてレーダー反射器(アンチ・レーダー・システム)を取り付けていた。
VT信管はマイクロレーダー波をとらえるので、これをそらしてしまえば爆発しない。至極、かんたんな理由である。
艦爆隊は高度5000メートルまで上がり、そこから急降下して高度600メートル付近で250キロ爆弾を投下した。
艦攻隊は海面すれすれまで低く降りて彼我の距離800メートルから600メートルで雷撃を敢行した。
搭乗している妖精たちの闘志は猛烈だった。
轟天は爆弾倉に内蔵していた500キロ爆弾を投下すると、反転し、素晴らしいスピードを活かして、50mm機関砲で敵駆逐艦および軽巡などに機銃掃射を開始した。
轟天が装備している50mm機関砲の弾は爆裂弾を使用している。そのため、貧弱な装甲しか持たない敵駆逐艦・軽巡には効果は抜群だった。
さかんに対空砲火を撃ち上げる戦艦部隊に、同じく必死の抵抗を繰り返す空母水鬼たちも数機は撃ち落としたが、轟天だけは撃ち落とすことは困難だった。まるで悪魔、いや、死神を相手にしているようだった。
コイツだけじゃない、いままでVT信管を使えば容易く撃ち落とせた艦爆・艦攻・戦爆も同じように思えた。
濃密かつ猛烈撃っているが、もはや死を恐れない相手と戦うのは一番怖かった。
「水鬼様!右方向、敵雷撃機!」
「……!」
装甲空母姫の警告を聞いた空母水鬼は、右方向を振り向いた。
数機の流星改隊がこちらに近づいてきた。しかもプロペラが水面を叩かんばかりの超低空飛行で向かっている。
水面すれすれに降りられると、自前の高角砲はもとより機関砲も撃てない。それでも撃ちまくった。
対空砲火をくぐり抜けた流星改は腹に抱えた酸素魚雷を投下した。
ふたりは必死に回避運動を始めた。しかし右から左に逃げ惑うが、運悪くそこに被弾した艦爆と零戦62型(戦爆)が突っ込んできた。
ふたりは夢中で機関砲を撃ちまくったが、エンジンが生きて舵が生きている限りいかに炎に包まれている飛行機は、パイロットの意志通りに動く。
どうせ死ぬなら敵艦と刺し違えてやるという闘志を見せつけた搭乗員たちに、もはや怖いものはなかった。
惜しくも目標たるふたりをすれすれに逸れて、海に落ちるものもいた。
しかし仇を取ろうと、燃えさかる数十機の艦爆または戦爆がものすごい勢いを出して、ふたりに突入した。
突入機を喰らったふたりの艤装はまたたく間に中破した。とくに飛行甲板の損傷は酷かった。
装甲空母姫の飛行甲板は、大鳳のような重装甲甲板を持っているが、さすがに突入機までの直撃は耐えられなかった。ただし主砲は撃てるからまだいいが。
しかしどちらにしろ、自慢の艦載機を飛ばせなくなると痛恨であり、空母水鬼は回避航行と伴い、現場指揮を務めなければならない。
あらためて艦娘たちの新型艦載機の恐ろしさだけでなく、彼女たちの闘志も思い知った。
深海棲艦たちは戦慄し、この恐怖から逃れるため、ただひたすらに無我夢中に撃ちまくった。
超低空で迫ってくる艦攻に続き、艦爆・戦爆・轟天隊も次々と戦果を上げた。
空母水鬼を旗艦とする空母機動部隊は中破または大破した。それらはまだいい方で数隻いた軽空母ヌ級ともう一隻の装甲空母姫は敵機の猛攻により、たちまち轟沈した。
最悪なことに空母水鬼たちが放った直掩隊および攻撃隊は全滅した。
新戦闘機だけでなく、新型対空兵器を装備した敵護衛艦隊の激しい対空砲火により、全滅したらしい。
せいぜい空母水鬼たちの良い戦果は敵空母に小破させたが、ほかの艦娘たちには中破また大破させることができなかった。
前作同様、奇跡ともいえるジェット艦載機《轟天》の登場であります。
最近では轟天もそうですが、潜水空母イ2000でもこれ以上の航空機(無人機)が登場しています。しかもメガ・グライダーを解体して、それが一気に全翼機に変身します。
エンフォーサーと呼ばれ、米軍戦車と米軍機をレーザービームで全滅するほどの性能を持っているのであります。なお終盤では連合艦隊を助け、さらに超人部隊と共に、改造されたメガ・グライダーとエンフォーサーが活躍しています。
神通「あの提督…そろそろ次回予告を…」
おっと、では切りが良いところで次回予告であります。
次回はこの海戦の続き、後編であります。
艦載機同士の航空戦が終え、艦隊決戦でもまた奇跡ともいえる超兵器が登場します。
轟天に続き、灰田がもたらした新兵器とは、いったい何なのかは次回のお楽しみであります。
それでは第二十六話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です。ではお昼にしましょうね」
腹が減ってはなんとやらですね、分かります。