超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
前作では前編・後編のみここで終了しましたが、木村昌福提督の名言「帰ろう、帰ればまた来れるから」のように大幅に修正して帰ってきました。
今回は前作とは違った展開になっていますが、また違った面白さもあります。
なお『華の二水戦』を聞きつつ、本作を読んで、雰囲気を楽しめていただければ幸いであります。
それでは、本編であります。
どうぞ!
某海域。
南シナ海では秀真・古鷹たち連合艦隊、水中では反町艦長率いる潜水艦群とイムヤたちが帰投し、暗闇に包まれたこの海域でも小規模な戦闘が行われ、いや、いまに始まろうとしていた。
「へへへ、いたいた。鴨がいた」
闇夜に紛れて下品な笑いをするのは連邦海軍所属の奇襲部隊――中岡・秀忠・湯浅たちなどブラック提督たちの下で働いていた元憲兵や、彼らに協力しただけでなく、特亜のためにご奉仕しては当然であり、日本を滅ぼしたくて堪らない者たちなどが集った精鋭部隊……実際には逆で、とても精鋭部隊とはいえない下っ端部隊である。
連邦共和国と言う国籍を取った国民の多くは、この戦争のきっかけを作ったのは実は艦娘や彼女たちとともに戦う元帥や提督、自衛隊などが原因だと本気で信じている。
艦娘や提督たちを消せば、同盟を結んでいる深海棲艦も消えて、真の平和が来るとまでも、カルト的なことまでも言う始末だった。
だから彼らが問う平和は夢のまた夢であり、ただの妄想に過ぎなかった。
しかし彼らが唱える平和、それを実現させるためならば、恐喝や暴力などは当たり前だと思っている。
かれらの場合は《話し合い》と言っているが、本質的には暴力である。
話しは戻る。
誰が見ても普通の貨物船にしか見えないが、実は仮装巡洋艦である。
仮装巡洋艦とは第一次世界大戦また第二次世界大戦において中立国の商船に偽装して無警戒の敵国の商船を襲撃したドイツの軍艦を指す。
主に旅客船、油槽船、貨物船など既存の商船を改造したため、装甲等の防御力は申し訳程度しかなく、爆撃や砲撃で簡単に沈められるほど脆い。
しかし現代は技術が進歩しているため、タンカーでも軍艦並みに強化されている。
対戦車兵器を食らっても航行できるほど、改装されているのだから。
連邦海軍はほとんどと言って良いほど、深海棲艦たちに頼ってはいるが、なぜか通行破壊任務だけはかなり積極的に行っていた。
理由は単純明確。相手が攻撃してこないから自分たちでも楽に倒せるということだ。
自分たちに反対する者は《話し合い》の皮を被った虐殺を行なうほどでもある。
確かに非武装の船、輸送船ならば誰が見ても簡単に倒せる。ただそれを倒したからといって、自分が強くなったと勘違いし、撃沈エースを名乗るブラック提督たちは後を絶たなかった。
当然だが、強力な装備を携える艦娘などは襲わず、ひたすら非武装の輸送船や病院船しか襲撃できない狼の皮を被った羊の集まり、つまり弱い者いじめしかできない、いじめっ子たち同然である。
通商破壊任務の場合は、軍艦然とした船舶が商船に近づけば、警戒されて逃げられるおそれがある。そこで武装の多くは船端に隠れるように設置され、さらにカバーをかけるなど隠蔽していた。また甲板員は軍服ではなく民間船員服を着用し、中立国の国旗を靡かせて中立国の商船に偽装することも多かった。
これに協力する深海側は軽巡棲姫と彼女を補佐する軽巡棲鬼・駆逐棲鬼率いる水上打撃部隊と、これまたUボート部隊を模倣した深海潜水艦部隊である。連邦側は楽観的だが、深海側は慎重派である。
深海側は輸送船団には必ず護衛艦が付き添っているのに、丸裸で航行は可笑しいと思ったからだ。
かれらがどうも安心しきって、堂々と航海しているのに異変を感じた。
いくら、闇夜に紛れて航行しても速度が遅いタンカーや輸送船は気づかれやすい。
「奴らはここに俺たちがいないと安心しきっているのさ、気楽な仕事さ」
「潜水艦部隊に手柄を取られてばかりだと面白くもないわ!」
「われわれが話し合いで、解決してやる!」
「コノ人達、楽観的ネ……」
「戦線ヲ見タコトガナイカライエルノダロウ、アイツラハ……」
「水鬼様ナラ迷ワズ、撃沈シテイルゾ」
歓声を上げる彼らとは違い、軽巡棲姫・軽巡棲鬼・駆逐棲鬼は呆れたも同然だった。
しかし任務は任務だ。楽観的な彼らとは違い、どんな任務でも気は緩めない。
このイカれた連中らの視点は、戦闘は楽で愉快なものと勘違いしているのだろうと思った。
目標たる輸送船を雷撃せよと、潜水棲姫率いる潜水艦部隊に連絡をしたが……
この時に限っては、すぐに連絡を定期的にするはずなのにいっこうに連絡が取れなかった。
軽巡棲姫たちは嫌な予感を感じていたが……また別行動している潜水棲姫たちのことだから大丈夫だろうと言い聞かせた彼女たちは私情を慎み、任務に集中した。
不安のなか、例のイカれた連中が乗艦している仮装巡洋艦《平和》は、獲物となる輸送船団に刻々と近づきながら、着々と準備をはじめていた。
非武装だった商船の皮を捨て、偽の平和を象徴するように武装船へと姿を変えた。
かれらが乗艦している大型貨物船の大きさを誇る《平和》の武装は、56口径100mm砲、37mm連装機関砲、遠隔操作30mm機関砲、さらに対艦ミサイル、対空ミサイルだけでは満足できず、二種類の中国製ヘリ、一機目は608研究所と昌和飛機工業公司が共同開発した中国初の本格的な攻撃ヘリコプターWZ-10《キメラ》と、もう一機目は現在でもロシアをはじめとする多国籍軍などが運用しているソ連製中型多目的ヘリコプターMi-17《ヒップH》である。前者は一機だが、後者は二機、どちらもRKP機関砲と対戦車ミサイルを搭載している軽攻撃ヘリである。
そしてRPG-7やSMAW多目的ロケット砲など重火器や有名な突撃銃AK-47やM16などの小火器を携えた連邦兵士たちも姿を現した。
これだけの戦力があれば、すぐに輸送船団は降伏するし、上手くいけば輸送船団丸ごと拿捕もできる。
だが、かれらの場合は異端者たちを浄化する、つまり皆殺しにするのが目的でもある。
輸送船などどうでも良い。目的さえ達成させればいいのだから。
「よし、攻撃開始よ!」
まずヘリ部隊がローター音を鳴り響かせて、目標たる輸送船団を襲撃しようと飛び立つ。
かれらが料理した後、こちらも突撃しようと要員たちはわくわくしながら見物していた。
そしてかれらが近づいたとき、ピカッと何かの閃光が煌めき、しかもこちらに真っ直ぐと向かってきた。
『なんだ。あれは……まずい、ミサイルだ!フレアを撒け!』
WZ-10とMi-17はフレアをすぐさま放出し、旋回行動へ移るが……
ひと足遅く、獲物を捕捉した肉食動物のように対空ミサイルは逃げ惑うヘリ部隊に目掛け、突っ込んで行った。
操縦桿を握りながら操縦するパイロットたちは、悲鳴を上げながら途切れた。
遠くからでもミサイルの直撃を受けたヘリ部隊は空中で打ち上げ花火のように爆散した。
運よく機体ごと残っていても、燃え盛る機体は回転しながら、やがてコントロール不能に陥り、海面に着水後には機体は大爆発を起こし、大きな水柱が三つも上がった。
ヘリ・パイロットたちの最後の声を聞いた女性艦長、現在は連邦海軍提督に務める幸原陽子大校は絶句した。
「な、なによ。今のは」
「艦長、あれを!」
「アレハ……!」
隣にいた副艦長が指差す方向を、双眼鏡に覗き、軽巡棲姫は探照灯で照射した。
すると輸送船団の周りから突然と姿を現したのは、6人以上の人影、いや、言わずとも分かっていた。
「なんで艦娘どもがいるのよ。それに今まで何処に隠れていた!?」
レーダーには映らなかった。目視でも確認できなかった。
幸原大校以下、多くの者たちが理解できなかった。
理解できなかったのも無理はない。これも灰田が用意した一時的ステルス化できる塗料を装備していた神通率いる護衛艦隊である。
また軽巡棲姫たちが潜水棲姫たちといっこうに連絡できなかったのは、これまた灰田が用意した《無人ハンター・キラー兵器》という敵潜や潜水棲姫たちなどの推進音を聞き分けるようプログラムされた生物兵器に近いものを海中にばら撒いており、これにやられたために連絡が出来なかったのである。
「上出来ね、灰田さんが供与してくれた艦載機は」と千歳。
「そうね、千歳お姉。この子たちも頑張ってくれたもの!」と千代田。
「千歳殿と千代田殿もやりますね。自分も負けるわけにはいきません!」とあきつ丸。
また哀れにも対潜キラーともいえる彼女たちによって始末されたのだった。
運よく難を逃れた潜水棲姫たちに待っていたのはSH-60K《シーホーク》対潜ヘリの活躍により、全滅した。
仕事を終えたのかSH-60K部隊は彼女たちの甲板に着艦した。三人ともお疲れ様ときちんと労いの言葉をかけ、次の準備へと移った。
「これより、敵艦を撃滅します!姉さんと那珂は私と共に敵艦を、雪風たちは輸送船団の護衛を、千歳さん、千代田さん、あきつ丸さんは航空支援をお願いします!」
「OK。この夜戦ゴーグルのおかげでバリバリ活躍できるね!」
「那珂ちゃん、センター行きまーす!」
この特殊ゴーグルを用意したのも、むろん灰田である。
赤外線暗視・捕捉・ロック・距離測定システムを組み込み、更に自身の砲火・探照灯・味方の照明弾・突然の電光にも対応出来る減光安定システムとレンズを備えている。
また霧の中でも紛れ込んだ敵艦を見通すこともできるから驚きである。
神通の号令と伴い、川内と那珂と共に突撃を開始し、雪風たちは輸送船の護衛を、千歳・千代田・あきつ丸は神通たちを援護するために搭載していた対潜ヘリではなく、もう一種類の攻撃ヘリを発艦させた。
「艦載機の皆さん、やっちゃってください!」
「さあ!攻撃ヘリ隊、出番よ!」
「さて、進化したこのあきつ丸。本領発揮であります!」
千歳・千代田・あきつ丸の飛行甲板から発進したのは、黒き巨大なヘリだ。
しかし、これらは先ほどカ級たちを片づけたSH-60Kとは違い、巨大なトンボの形をした奇妙な航空部隊が現われ、次々と軽巡棲姫たちに向かっていった。
「ナ、ナンナノ。アノ見タコトモナイ航空機ハ!?」と軽巡棲姫。
「今マデ見タ、カ号観測機トハチガウ!」と軽巡棲鬼。
「シカモ機銃ニ、ロケット弾ヲ大量ニ装備シテイル!」と駆逐棲姫。
幾度も軽空母や航空巡洋艦娘たちが運用するカ号観測機という陸軍で開発・運用されていたオートジャイロ、現代の艦載ヘリコプターの先祖ともいえる、回転翼の艦載対潜哨戒機を見たことあるが、こいつは違う、まるで怪鳥のようだと呟いた。
軽巡棲姫たちは巨大なトンボの形をした奇妙な航空部隊の正体は分からなかったが、幸原大校は知っていた。
「なんで、国家権力の犬同然の艦娘どもがアジアの侵略者である自衛隊と人殺し米軍の攻撃ヘリを!」
そう、千歳・千代田・あきつ丸が召喚したのはAH-64D《ロングボウ・アパッチ》というマクドネル・ダグラス社(現ボーイング)が開発したAH-64A アパッチにロングボウ火器管制レーダーを搭載し、大幅な能力向上を図ったAH-64の派生型である。米軍はもちろん、自衛隊をはじめNATO同盟国軍が運用している最高傑作の攻撃ヘリである。むろん何度もいうが、これを提供したのは灰田である。
しかもこれを操縦しているのは人工知能を搭載したロボットである。
なお見た目は某有名映画《スターウォーズ》に登場するR2D2を思わせるロボットである。
ただし整備・兵器の補充などに関しては妖精たちが行なわなければならないため、灰田はこれも急速学習装置を行なっているため、全員が熟練整備員になっている。
幸原大校が呟く間にも神通たちとともに、AH-64D部隊が近づいてきた。
全員が戦闘態勢を取る間にも、まず恐怖の怪鳥ともいえるAH-64D《ロングボウ・アパッチ》が襲い掛かった。
「ウ、撃チ方始メ!何トシテデモ撃チ落トシマス!」
怪鳥と思わせる回転機を目にして、恐怖に襲われた軽巡棲姫たちは対空砲および対空機銃を撃ち始めたのに対し、アパッチは敵の射程距離外から数発のAMG-114N《ヘルファイアⅡ》対戦車ミサイルを撃ち放った。
撃ち放たれたヘルファイアⅡは飛翔速度が速く、軽巡棲鬼たちの対空兵器では容易に撃ち落とせるものではなかった。目標を捕らえたミサイルは、さらにスピードを上げ、そして命中したという合図を知らせるように火球が湧き上がった。
この攻撃により、軽巡棲姫たちは中破、戦艦タ級は轟沈、二隻の重巡ネ級、二隻の駆逐ハ級後期型は瞬く間に大破した。
この攻撃が済むとアパッチ隊は仮装巡洋艦《平和》にも同じく、攻撃を開始した。
すぐさま多数のヘルファイアⅡおよびハイドラ70ロケット弾が撃ち込まれた。
軽巡棲鬼たちに比べ、これらを撃ち落すのは容易だが、大量に攻め込まれればたまらない。
史実でも戦艦大和や武蔵を撃沈したのは、大量の米艦載機群である。それと同様であり、
甲板で激しい対空砲火をする間にも、連邦兵士たちは血煙を上げて倒れ、さらに不運にもアパッチ隊の攻撃により、船から落ちていく姿もたびたび見られたが、それでも容赦ない攻撃は止むことなく、攻撃を受けた部分は次々と炎上していく。
一機撃ち落とせば、お返しは強烈なM230チェーンガンの掃射で抵抗する兵士や恐怖に駆られて逃げ惑う兵士たちを、瞬く間に新鮮なミンチ肉へと変えていく。
ヘルファイアⅡ、ハイドラ70ロケット弾、そしてM230チェーンガンの攻撃は凄まじく、
甲板にいた兵士たちは数を減らしていく。
ただ運が良いことにあきつ丸たちが放ったAH-64D《ロングボウ・アパッチ》部隊は、搭載している武器、それら全てを撃ち切ったため、全機は反転し、搭載兵器の補給をするために引き返していく。幸原大校以下はほっとひと安心するのも束の間だった。
すぐに攻撃ヘリ部隊の次に襲い掛かってきたのは、神通たちが攻撃を開始した。
潜水棲姫たちは灰田=サンの超兵器《無人ハンター・キラー兵器》とSH-60K《シーホーク》の攻撃により、しめやかに爆発四散、ワザマエ!
今回はソフトに仕上がりましたが、大丈夫かな?っん?面白かった?いいんじゃない?(伊勢ふうに)
今回登場した超兵器は《無人ハンター・キラー兵器》は『天空の要塞』から。
SH-60K《シーホーク》は『超空の決戦』などに海自が活躍する作品に登場しています。
AH-64D《ロングボウ・アパッチ》は、『超戦艦空母出撃』の終盤にて、ソ連軍を駆逐するために満州戦で活躍しています。
神通たちのステルス機能は『潜水空母イ2000』は、ガダルカナル戦で連合艦隊・艦載機などに搭載しています。しかも伊勢・日向・扶桑・山城はアイオア級戦艦と互角に戦えるほど改装されています。
また『夜襲機動部隊出撃』でもステルス機能を搭載しています。
あとはゴーグルも同じく異世界の化け物退治に登場しています、一部オリジナルも加えていますが。
また偶然にも『鋼鉄の咆哮』シリーズでも登場しているのですね、ステルス艦……
本作とは関係ありませんが『荒鷲の大戦』では扶桑さんと信濃は、ドリル戦艦に改造されています。ある化け物を倒すための切り札として活躍しますが。
では長話はさて置き、次回はこの続き、後編であります。
神通たちに続き、強力な助っ人たちも駆けつけてきますのでお楽しみを。
それでは第二十九話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。