超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
予告どおり神通さんたちのご活躍と伴い、強力な助っ人たちが登場します。
前作とは違った展開になっていますが、また違った面白さもあります。
なお『華の二水戦』を聞きつつ、本作を読んで、雰囲気を楽しめていただければ幸いであります。
それでは、本編であります。
どうぞ!
「敵艦に…攻撃を開始します!」
神通は、まずハープーン・ミサイルを発射した。
「突撃よっ!」
「那珂ちゃんセンター、一番の見せ場です!」
川内・那珂は四連装対艦ミサイル発射筒から、17式対艦ミサイルを撃ち放つ。
彼女たちの渾身の一撃ともいえるミサイルは、各敵艦に命中した。
この戦果は軽巡棲姫・軽巡棲鬼・駆逐棲鬼の三人は轟沈は免れたものの大破し、彼女たちとともにいた2隻の重巡ネ級と駆逐ハ級後期型らは反撃をする暇もなく、神通たちのミサイル攻撃により撃沈した。
三人に止めを指そうと、神通たちは搭載しているイタリア製の高性能艦砲《76mm単装連射砲》を隙を与えないほど凄まじい砲撃を交わしながら、軽巡棲姫たちは少しずつ後退しながら撃ち続けていたが……
「ちょっとあんたたち、後退しないで突撃しなさいよ!」
「戦ワナイト、コチラガ不利デス……」と軽巡棲姫。
「コッチハ大破シテイル!ソッチモ逃ゲナイデ戦エ!」と軽巡棲鬼。
「私タチ以上ニ火力ガ高イノカラ支援ヲ、オネガイシマス」と駆逐棲鬼。
三人の言葉を聞いた幸原大校は激昂した。
「私があの兵器どもを沈めてやるから、勝ったら軍法会議に掛けてやる!」
彼女は仮装巡洋艦《平和》を微速前進させ、神通たちに攻撃を開始した。
同時に陰で隠れていた小型のモーターボートを20隻放出した。
軽巡棲姫たちは、その隙に撤退した。コイツ等のために命を落とすなんて馬鹿馬鹿しいからだ。
死ぬのであれば戦艦水鬼のために死んだ方がマシだと判断し、戦場から離脱した。
そんな彼女たちに目もくれず、連邦兵士たちが携えているのはRPGやRPK汎用機関銃などと言った重装備で突撃したが、かれらは肝心なことを忘れている。
なにしろ神通たちが精鋭部隊として、切り込み部隊であることを。二つの名を覚えていないことを。
「突入しろ、たかが雑魚の水雷戦隊だ。包囲して轟沈させろ。できなければ体当たり攻撃でもして沈めろ!」
「連邦国のために!」
「大統領閣下のために、異端者に神罰を!」
「金のために!」
各々の正直な気持ちを叫び、そして神通たち目掛けて突入した。
水雷戦隊は雑魚だと確信し、慢心していた先頭にいた三隻のボート部隊が、神通たちの砲撃により転覆した。
勇敢というよりは蛮勇な行動を、体当たり攻撃を試みたボート部隊もいたが、神通たちは華麗に舞う蝶のように躱し、蜂のように刺そうとする神通たちの撃ち放った正確無比な砲撃がまたしても命中する。
砲撃を喰らったボートは、たちまち紅く煌めく火焔に包まれ、搭載されていたRPGなどの対戦車火器に引火した。
一瞬の痛みを味わい死んだ者はまだいい方だ。運悪く灼熱の業火に焼かれたボートとその乗組員たちが、砲の破片とともに吹き飛ばされて、焼死または悲痛な声を上げながら力尽きた死体と化し、海面に叩きつけられた。
「……不味い、ようやく思い出した。あいつらは二水戦……本物の“華の二水戦”だ!」
「おいおい、マジかよ。俺たち不幸じゃないかよ!」
「いやだ。私たち死にたくない!あんなの相手にして死ぬなんて嫌よ!」
「嫌だ嫌だ。死にたくない。誰か助けてくれ、俺は家に帰りたい。俺を家に帰してくれ!」
再びよみがえる恐怖を思い出したかのように、ひとりの連邦兵士が言った。
練度も非常に高いエリート部隊である第二水雷戦隊、また二つ名を《華の二水戦》。
彼女たちの強さは、連合艦隊どころか、当時世界最強の水雷戦隊と呼ばれている。
その訓練も常軌を逸した厳しさと苛烈さでも知られ、特に最盛期は『月月火水木金金』を地で行く地獄の特訓を繰り返していたという。
艦隊の“切り込み部隊”として常に前線で激戦を繰り広げ、その勇名を太平洋上に轟かせた。かれらが相手にしているのは、まさしく正真正銘の《華の二水戦》だ。
これは竹やりで、自動小銃や機関銃を持っている兵士を相手にするようなものだが、たかが三人しかいない相手に攻撃を開始した。
「お前ら喧しいぞ!俺たちは神である大統領閣下のためにご奉仕しているんだ。弱音を吐くな。限界はないんだ!
我々が束になれば、あんな兵器どもに勝てるんだ。突撃せよ、今こそ大統領閣下に命を捧げるべきだと思え!」
リーダーと思われる男は、部下たちに”ひたすら突撃せよ”と命令を下す。
指揮官の命令通り、各ボート部隊は突撃した。
「戦争がなければ、あなた達を一から徹底的に鍛え直していましたが……」
神通は巧みにかれらの攻撃をかわし、素早く正確無比の砲撃で三隻撃沈した。
「くだらない物に染まり、国を裏切り、敵に寝返った貴方たちは鍛え直す価値などありません!」
逝になさいと言わんばかり、砲撃をし続ける神通が激怒した。
彼らはただ突撃のみである、まさに愚行であり、素人以下と言われても無理はないだろう。
ましてや国を裏切り、敵側に寝返った者たちを許せなかったのだから。
「あっちゃ~神通を怒らしちゃったね~」
「神通ちゃんやっぱスパルタだねー、でもセンターは譲れないよ!」
川内と那珂も次々と敵モーターボート部隊を撃沈していく。
「ひ、ひいぃぃぃ。俺は生き残るんだ、こんなところで死にたくない!」
部下が全滅したのを確認した男は情けない声を上げて、死に物狂いで急いで離脱しようと全速力で母艦となる仮装巡洋艦《平和》に戻ろうとした。
しかしここは非情にも戦場である。生き残りたければ自分で運を切り開くしかないのが現状である。
「…これで終わりです!」
最後まで残った指揮官らしき男が乗艦している赤いボートも、神通の砲撃により撃沈した。
「小癪な兵器女ども!蜂の巣または海の藻屑にしてやりなさい!」
なにも戦果を上げず、殲滅された護衛部隊を見た幸原大校は激怒した。
そして彼女の命令で《平和》が搭載している56口径100mm砲、37mm連装機関砲、遠隔操作30mm機関砲で砲撃をしようとしたが……神通たちに報復しようと攻撃に移ったとき、各船体に鼓膜が破れるほどの爆発音と伴い、船全体に凄まじい衝撃波が伝わった。
「なに!?」
幸原たちは何者の攻撃だと思い、双眼鏡で探し回ると、砲撃した者たちが正体を現した。
「Feuer!(発射!)」と、ビスマルク(drei)。
「砲撃、開始!Feuer!」と、プリンツ・オイゲン。
「敵艦発見、攻撃開始!」と、レーベ。
「敵艦を捕捉、攻撃開始!」と、マックス。
「一番、二番主砲狙え…今よ、撃て!」と、リットリオ改めイタリア。
「戦艦、ローマ、砲撃を開始する。主砲、撃て!」と、ローマ。
「リベの攻撃、行くよー!」と、リベッチオ。
秀真たちは輸送船団を護衛している神通たちのため敵艦隊を殲滅すべく、支援艦隊を派遣していたのだ。
ビスマルク・イタリア率いる独伊両艦隊も神通たちを支援するため、攻撃を続行した。
ビスマルクは38cm連装砲改を、プリンツはSKC34 20.3cm連装砲が再び火を噴き、イタリア・ローマも、ビスマルクたちに続き、381mm/50三連装砲改を斉射した。
レーベ・マックスは12.7cm単装砲を、リベッチオは120mm連装砲をビスマルク・イタリアたちに負けずと砲撃を一斉射した。両国の主砲はどれも優秀であり、そして高い命中率と火力を誇る。
彼女たちの撃ち放った砲弾は回転を増して、仮装巡洋艦《平和》に向かって飛翔し、次々と命中していく。
哀れにも《平和》に搭載している対艦兵器らもそれなりの攻撃力・防御力などを兼ね備えているが、輸送船・病院船ならば効果は抜群だが、戦艦・巡洋艦相手などには全く効果はないに等しい。
「油断しましたね。魚雷も次発装填済です…撃てー!」
「雷撃戦!よーい、てー!」
「那珂ちゃんも、行くよー!」
神通・川内・那珂は大威力長射程を誇る秘密兵器《九三式酸素魚雷》を、その必殺の酸素魚雷を《平和》に向けて撃ち放つ。青い海の暗殺者は、ほぼ無航跡のため暗闇に溶け込み突っ込んでいく。
ビスマルク・イタリアたちに気を取られていた《平和》に、必殺の《九三式酸素魚雷》が次々と命中したと証明するよう、敵艦を遥かに上回るほどの水柱が見えた。
「おのれ!軍国主義の犬に、ファシストの犬どもめ!貴方たち我が《平和》被害状況を報告しなさい!」
「全兵器システムが破壊され、船自体もあと少ししか持ちません!」
被害は甚大。轟沈とまではいかなかったが、ほとんどの兵装は使用不可能になった。
しかし幸原大校たちにも奇跡があったと言ってもいいだろうか、あれほど神通たちの砲雷撃戦をシャワーのように浴びたのにもかかわらず、航行しているのだから立派なものである。
それでも生き残った兵士たちは、まだ船体に隠されていた対戦車兵器を取り出して、抵抗しようとしたが……
「敵ヘリおよび新たな敵機群が接近します!」
先ほどのAH-64D部隊とともに、新たな航空機が突入してきた。
AH-64D部隊とドイツ空軍の傑作レシプロ戦闘機Fw190T改に護衛されているのは、ドイツ空軍の傑作複座単発急降下爆撃機Ju-87C(ルーデル隊)に続き、そして流星と瑞雲部隊は……
「フフッ、夜戦か。いいだろう。このグラーフ・ツェッペリンがただの空母でない所を見せてやろう。艦隊、我に続け!追撃だ!」
「えっと…攻撃です。速吸航空隊、頑張ってください!」
「瑞穂、参ります。攻撃開始。撃ち方、始め!」
髪型は淡い金髪のツインテール、軍服の上から羽織ったケープが特徴的で、ケープにはケルト結びの模様はまるで魔術師をイメージしている。そしてビスマルクをはじめとする他ドイツ艦に近い構造の艤装が体を包み込んでいる少女の名前は《グラーフ・ツェッペリン》である。
白いジャージにミニスカートと紺色のハイソックスで、運動部のマネージャーのような容姿をした少女《速吸》と、まるで昔の日本の姫様を思わせる和服美人の《瑞穂》である。
三人もまたステルス塗料を装備しており、輸送船の安全が確保できたので姿を現した。
この仮装巡洋艦を駆逐するため、支援に駆けつけてくれたのだ。
「どうするのですか!?このままじゃ……」
「このままじゃ話し合いなんてできないわ、さっさと脱出よ!」
この艦に止めを指そうと近づいている敵機を見て、すぐさま撤退命令を下した。
幸原大校らは我先に駆け寄り、用意していた脱出用の中型及び小型ボートに乗り込んだ。
これでようやく脱出できると思いきや、外に出た瞬間だった。
艦内からでも聞こえる爆発音が響き渡る。AH-64Dはヘルファイア・ミサイルを発射し、Fw190T改は機銃掃射を、そしてJu-87C(ルーデル隊)と瑞雲部隊による爆撃、流星部隊の雷撃を受けたため、船は徐々に傾き始めた。
多くの兵士たちが乗っていた中型ボートは発進する前に、爆発の衝撃により、船は斜めに傾き、船内にぶつかり、取り残されたため脱出不可能となった。
「……中岡大統領閣下万歳!日本に神罰を!」
これまた時代劇に登場する小悪党たちが言い放つ台詞、捨て台詞を吐き、仮装巡洋艦は爆沈した。
大勢の命と、偽りの平和とともに海の底に消えていったと言ってもいいだろう。
平和と言う言葉は勝ち取らなければ意味がない、歴史がそれを証明しているのだから……
軽巡棲姫たちは逃亡したが、神通たちは深追いをすることはしなかった。なによりも輸送船団を守るのが優先だ。
敵仮装巡洋艦以下、敵水雷戦隊および敵潜水艦の撃滅に成功したのだから、勝利である。
これにより日本の生命線ともいえる、シーレーンを妨害しようとする敵の主力艦隊を駆逐することができた。
灰田の用意した兵器と装備があってからこそ勝てたが、何よりも神通の迅速な判断が功を奏してくれたのだ。
『神通さん、こちら雪風。阿武隈さんたちと、ほか友軍艦隊に無事合流しました!』
戦闘が終えた頃、輸送船団を護衛していた雪風たちは、阿武隈率いる友軍艦隊に無事合流したとの連絡を報告した。
「分かりました。では、無事本土に着くまで気を抜かないように!」
『了解しました!』
最後まで気を抜かないように、最後まで厳しく言ったが、それは彼女なりの優しさでもあった。
「では皆さん、これより友軍艦隊と合流します!」
「「「「「「了解!!!」」」」」
神通の命令で一同は、雪風と阿武隈たちが率いる輸送船団を、まだ終わっていない護衛任務のため、この海域をあとにした。
今回は夢の共演というべき、ビスマルク・イタリアたちをはじめ日独伊三国艦隊による敵仮装巡洋艦および敵水上打撃部隊を見事壊滅しました。
前作ではここまでしか執筆できませんでしたので、ようやく峠を越えられたなと安心しましたが、慢心は禁物ですから、寧ろここからが勝負と思って次回も忘れずに執筆活動を頑張ります。
神通「出撃していた艦隊が、帰投しました」
お帰り、神通さん。もちろん彼女も協力してくれるのですから、私も応えないといけませんね。
神通「提督、あ、あの嬉しいのですが…次回予告を忘れてはいけませんよ?」
おっと、嬉しさのあまり忘れるところでしたね。
では次回はこれまたお久しぶりと言いますか、再び連邦視点になります。
次回は反省会と言いますか、軍法会議みたいな話であります。
なお連邦国の態度は結構苛立ちますが、どれだけ下らないプライドがあるのかも分かりますのでお楽しみを。
それでは第三十話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
神通「ダ、ダスビダーニャです…あの提督、私がお茶を淹れますから」
帰投したばかりですから、川内たちと一緒に座って待っていなさい。