超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

30 / 147
UA5000を達成と共に、前作では投稿できなかった最新話を投稿することが叶いました。
なおもう少しで第一章が終わり、第二章に突入することができます。
この調子で執筆活動を頑張っていきますが、某『提督たちの憂鬱』の主人公こと某嶋田元帥みたいな無茶はしませんが。

では長話はさて置き、本編であります。

どうぞ!



第三十話:重苦しい軍法会議

とある中南海の軍事委員会本部では、忠秀副主席が激怒していた。

忠秀に引きずられた形となっている湯浅主席もまた怒り狂っており、一部の秘書艦である深海棲艦たちからも不満の声を漏らしていた。

 

何しろ不愉快な報告が立て続けにはいっているからだ。

最初は正体不明の爆撃機が、主要海軍基地および補給基地を爆撃したことだ。

この重爆の威力は凄まじく、海南海域方面を除いて、ほとんどの基地が全滅した。

しかし幸いにも一部の艦隊が出払ったため全滅は免れたが、もし港にいたら全滅していただろう。

 

さらにこの重爆は内陸に少し入った空軍基地も空爆した。

これを邀撃のために舞い上がった新型戦闘機、深海棲艦らに貸与された技術で開発した最新鋭の《クラーケン》と《ヘルキャット》に、虎の子ともいえるJ-21と31ですら歯が立たず、100機近くがたちまち撃墜された。

運よく帰投したパイロットたちからの報告では、敵機はいわば対空ガンシップのようなものであり、その威力は恐ろしく凄まじいものだったと言う。

 

いったいどうしたのか、日本機なのか、まずその議論で委員会は沸騰していた。

 

レーダーに引っかからない、いやまったくと言っていいほど引っかからないのだった。

これを見るとステルス機に違いない。しかし世界の軍事知識では、これらを実用しているのは米軍だけだというのが、いままでの常識だった。

 

B-2爆撃機の主力前の、B-1はもちろん、それ以前の主力たるB-52もステルス化はできず、

ようやくB-2で念願のステルス機になったが、あまりにも高価なため21機止まりとなった。余談ではあるが、冷戦時代には数百機を持とうとした計画はあったのも同じく有名である。

米軍の専売特許ともいえるステルス機能を、それほど高度な技術を要するものを日本が、短期間に造れるはずがない。しかも恐るべきあの重爆を数百機も。

実際に繰り出したのは200機に過ぎなかったが、疑心暗鬼に駆られた連邦軍事委員会幹部たちは、実はもっといるのではないかと感じていた。

いままで秘密裏に製造して秘匿してことも考えていたわけでもないが、衛星でつねに監視しているのだから、そんな大型機を見逃す訳はない。

 

「この戦いの前に、我々の監視衛星処が北海道の十勝で、あらたに基地を造っている大型の滑走路と思しいものを発見しました。さらに今回やって来たと思しき重爆らしき機体が発見しました。その時点ではあくまで一機だけだったのです……」

 

キョウ空軍司令員はいった。

 

「それから二週間も経たないうちに数百機になるなど考えられません……」

 

「シカシソノ1機ガ、スクナクトモ200機ニ化ケタワケダ。マルデ魔法ネ」

 

戦艦棲姫が皮肉たっぷりに言われ、忠秀は苛立つように言った。

 

「おかげで我々は被害をこうむった。海軍基地を大半が叩かれたうえに、我が軍の最新鋭戦闘機100機および基地に置いていた爆撃機300機までも失った。迎撃に向かった戦闘機も壊滅状態といってもいいだろう!

さらに先ほど入ってきた知らせでは、異端者や艦娘どもとの戦闘で、装甲空母棲姫、戦艦や重巡、各駆逐艦だけでなく、ほかにも多くの我が精鋭たる連邦艦隊が失ったことだ。

しかも異端者どもは米帝の次期駆逐艦こと完全ステルス艦《ズムウォルト級》だけでなく、またあの忌々しい艦娘どもも同じく、今までは装備していなかったジェット艦載機に、しかも自動連射砲に対空および対艦ミサイルなどを装備し、短期間で人殺し同然の日本海軍の護衛艦並みの攻撃力になっていた。

その装備だけでなく、あの元帥が保有している大和級に、さらにフリーク・クラスともいえる戦艦でも空母でもない異形の戦艦四姉妹に続き、あの旧式艦ともいえる巡洋艦らの一部は30cm連装砲を搭載しており、それが戦艦ル級・タ級らを一撃で葬るほどの高性能を誇り、しかも未来兵器《レールガン》までも装備していた!

そして、日本のシーレーンを断つために配置した仮装巡洋艦・潜水棲姫はじめ潜水艦部隊も撃沈した!」

 

秀忠が言っている《フリーク・クラス》とは超戦艦空母(特型戦艦)のコード・ネームである。

治まり切れない怒鳴り声ともいえるが、もはや感情的に、ただ憤慨しながらしゃべり続けたに等しい。

 

「もっと痛い情報もあるぞ。北海基地潜水艦隊からの知らせによれば、ハン級402とカ級たちからの連絡が取れない状態にあるという。……ロウ司令員、これはいったい何を意味するんだ?」

 

忠秀にはその答えは分かっていたが、わざとロウに尋ねた。

 

「定時連絡に応えないということは恐らく……通常、沈没したと考えられますが……しかし」

 

ロウ海軍司令員は言葉を詰まらせながら答えたが、秀忠はさらに問い詰めた。

 

「しかし、いったいなんだ。答えろ!」

 

「我が軍の原潜とベテラン揃いのカ級たちが、日本の潜水艦と艦娘どもに敗れるとは考えられません……」

 

「その考えられないことが起きているんだ。すなわちロウ司令員。知能遅れなお前と空母水鬼と装甲空母姫の認識が甘く、奴らを過小評価しすぎたのではないか?

だいたいドグウを含む主力艦隊をソン少将は引き返させたということだが、これはお前の差し金か!?」

 

ドグウは性能は高いが、衝撃波を続けざまに行なうと味方艦まで巻き込んでしまいかねないため使用を控えた。

一部では戦艦水鬼が、連邦国を警戒して、ソ連と同じような手口を、もし連邦国が裏切り、自分たちに刃向った時のために、わざとモンキーモデルにしたのではないかと噂もあるが。

 

ロウはただ頷いた。

なお高速修復剤で入渠し、修復した空母水鬼はあまりの怖さに顔を両手で隠して泣いた。

同じく彼女とともに修復した装甲空母姫と、彼女の隣にいた空母棲姫は自分の妹のような存在でもある空母水鬼を慰めつつ、秀忠たちに真っ向から反論した。

なお軽巡棲鬼たちの代理人として参加した軽巡ツ級・重巡ネ級も「やれやれ」と言わんばかりに、ため息をつき、連邦の幹部たちの態度、仲間割れに等しい口論に呆れていた。

 

「貴様、イクラナンデモ知能遅レトハ言イ過ギダ!空母水鬼ハ最善ヲ尽クシタンダ!」

 

「我々ハ最前線デ戦ッタンダ。偉ソウニ最前線デ戦ッテイナイ貴様ハ―――」

 

これ以上に悪化せぬよう、ロウは制止した。そして泣いている空母水鬼を退出するよう求め、装甲空母姫と戦艦棲鬼に空母水鬼を慰めるように頼んだ。

 

「はい、確かにこれらは改造してまもなく、万が一のことはあってはならないと考えて、本職が命令しました」

 

「つまり、敵に向かっていたのは我が艦隊でも二級線の艦隊と役立たずのガラクタどもということになるな。それでは撃破されるのは当然だ」

 

この嫌味たっぷりの台詞に多くの深海棲艦たちは、苛立とうとした。

しかし刃向えば、命令違反として粛清されるのは間違いなく、戦艦水鬼からは「決して刃向かうな」ときつく厳命されているため、これを堪えるしか方法がなかった。

 

「これらの戦いのおかげで、日本はシーレーンを確保した。もはや南シナ海にはなんの戦略的意味もない……つまり、戦略原潜以外役立たずとなった」

 

「お言葉ですが、沖縄侵攻の際にはおおいに役に立つと思います!」

 

「ふむ。確かに我々は沖縄侵攻を考えていた。しかしそれは日本の制海権、制空権の両者を握ってからのことだ。そうでないと戦争にならない。しかし事態は逆の方向、悪化しているではないか!このステルス機をなんとか叩かなければ、我々は手も足も出ない」

 

「お言葉ですが、我が第二砲兵がおります!」

 

小太りの男、セイ第二砲兵司令員が物静かな口調でいった。

第二砲兵とはつまりミサイル部隊のことであり、セイ上将は沈着冷静な人柄として知られていている。

 

「あと数時間で、最新の衛星情報が上がってくるはずです。それで敵重爆の基地を再確認して、ここに鬼角弾ミサイルを撃ち込むべきだと思います。

これは都市攻撃をするわけではありませんので、一般人には被害を与えず、戦後処理でもさほど叩かれないでしょう。そのうえ日本に対する格好の牽制、警告になると思います」

 

第二砲兵隊は六個師団からなり、

 

第一師団は潘陽(シャンヤン)

 

第二師団は江西省の黄山(ホワン)

 

第三師団は雲南省の昆明(クンミン)

 

第四師団は河南省の洛陽(ルオヤン)

 

第五師団は湖南省の懐化(ホワイホウ)

 

第六師団は青海省の青寧(チンニン)

 

と言うように散らばっている。

 

このうち第一、第二、第三が戦術ミサイルを装備しており、アジアを射程距離におさめる。

第四、第五は戦略ミサイルを装備、一部はアメリカやヨーロッパまでも射程におさめると言われている。

 

潘陽にちかい通化基地には、日本に向けて深海棲艦から貸与された戦術ミサイル『鬼角弾』が装備されているが、戦術ミサイルとはいえ、威力は250キロトン。広島に投下された原爆『リトルボーイ』の10.5倍の威力をもつ。

 

しかも発射台は、道路移動型でとらえにくい。

 

セイ司令員はこれを一発、北海道の十勝基地に撃ち込むべきだと言っている。

 

そうすれば日本は震え上がるだろし、さすれば重爆も全滅した日本は戦意を喪失するだろうと考えていた。

 

「うむ。それは名案だ」

 

軍部に対しては、概して評価に厳しい秀忠も納得し答えた。

 

「このへんで一発ガツンと、日本に思い知らせてなければならない。我々が軍事大国、いや、いずれ大統領閣下と世界を治める覇者だということをどうやら忘れているらしいからな。それを思い出させる必要がある」

 

「それではさっそく、第一師団に発射準備を命じます」

 

「うむ。そうしてくれ」

 

秀忠は一息つくため、ノンアルコールビールを飲む。

 

「ああ、酔えやしない。ガラクタどものせいで。あっ、アルコールじゃないからか」

 

空母棲姫に向かって、嫌味たっぷりに台詞を吐いた。

 

……水鬼様ノイウトオリ、コイツ等ノ態度ハアツカマシイ。

 

微かな憎悪を隠しつつも彼女は外で待機している空母水鬼を慰めるため、その場を退場した。




もはやつまらぬ喧嘩で仲間割れしそうな気がしますが……
これでもまだ同盟を保っているだけでも、マシなものですがね。
なお深海棲艦の技術で貸与された『鬼角弾』の元ネタは、『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』であります。性能は《東風21》戦術核ミサイルと同じであります。
いま観れば大丈夫ですが、子供のころは怖いと印象が強いですね。
ただし、一番はメデゥーサーですが。

神通「提督…そろそろ次回予告を…」

おっと、では切りが良いところで次回予告であります。
次回はまたまたお久しぶりのアメリカ視点と共に、日本の視点に移り替わります。
そしてまたしても灰田さんが、ある物をもたらしてくれますので注目すると良いかもしれません。

その奇跡ともいえる魔法は、いったい何なのかは次回のお楽しみに。

それでは第三十一話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。

神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です」

第二章までもう少しですので、また『天空の富嶽』2巻を読み直さなくては(使命感)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。