超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
それでは予告どおり、灰田さんがもたらした奇跡の魔法ことバリアの威力と伴い、連邦視点から最後はアメリカ視点に移り替わりますのでお楽しみを。

では長話はさて置き、本編であります。

どうぞ!


第三十二話:嵐の静けさのあとには……

ただちに十勝基地司令部に対し、正体不明のバリアが張られているかもしれないが、なにも心配する必要はないとの旨、連絡が行なわれたが……十勝基地からは、なにやら虹のようなものにあたりに広く覆われているという、のんびりした返事が戻ってきた。

 

しかしあとで考えると、それこそがエネルギー転移バリアだったのである。

しかも灰田の配慮は間一髪だった。

彼が消えてから1時間後に、北海道の早期警戒レーダーが高空の弾道飛行して来る4発のミサイルを捉えた。

いずれも十勝基地を指向しているらしい。

基地周辺に配置されていたPAC-3とホークミサイル部隊は、手出し無用との命令を受けた。

いずれにせよ、双方は日米合同訓練により、MDシステムはある程度はできているのだが、前記にも述べたように複数のミサイルを全機撃墜は難しい。

 

灰田の約束に賭けるしかなかった。

もし彼の言葉が偽りであれば、すべてが蒸発してしまう。

現代の核兵器は半減期の少ないものが使われているが、それでも十勝地方は死の灰に覆われ、数年間は不毛の土地になるだろう。

 

だが灰田は約束通り、新富嶽ことZ機をもたらした。

 

ここで彼の言葉を疑う理由はなかった。

連邦の放った核ミサイルは、北海道上空に侵入するなり、下降しを開始してスピードを増した。

再突入の摩擦熱で火を吹きながら、4発の鬼角弾ミサイルは、十勝基地に向かってきた。

1発が250キロトンだから、これは過剰兵力である。

連邦はなんとしてもZ機の息の根を止めたいという意思の表れである。

 

それらはあやまたず基地上空で炸裂した。

核兵器のエネルギーは地表ではなく、上空で炸裂するときがもっとも大きい。

釧路の市街からは一瞬閃光が走るのが見えたが、それだけだった。

鬼角弾の爆発エネルギーは一切生じず、当然のことながら爆風も発生しなかった。

Z機が駐屯している十勝基地とその周辺は、何事もなかったかのように静まり返っていた。

 

「嵐は過ぎ去りました。子供たちは無事です」

 

基地司令官は、暗号を使って幕僚監部に報告した。

すなわち、鬼角弾ミサイル四発はものの見事に無力化されたのである。

そのエネルギーは爆発した瞬間、どこかに転送されてしまったのである。十勝基地が無事だったこということに、秀真たちは全員胸を撫で下ろした。また放射能漏れもないというのだから驚きを隠せない。

灰色服の男……灰田の言葉はまたしても奇跡を起こしたのである。

これで日本は連邦国からの核攻撃に対して、安全になったと考えられたといってもいい。

これからも戦闘が続くとすれば、まず空戦、つづいては双方が得意な海戦となるだろう。

秀真たちが有利なのは変わらないが。

 

連邦国はJH-7やヘルダイバーなどの全天候型戦闘爆撃機を大量にもっている。

これらの作戦行動半径は、空自のF-2やF/A-18Eとほぼ同等と考えられている。

すなわち1650キロはあり、爆弾搭載量は5トンクラスだろう。

沿岸から出撃すればじゅうぶん日本本土、九州、四国あたりまで浸透できる。

しかしこれらは戦闘機、パトリオットまたはホーク・ミサイル部隊などで迎撃できる。

これらと同時に同盟である深海棲艦も攻め寄せるだろう。

 

対馬を占領するかと思われるが、小さな島を占領しても大して意味がない。

日本本土侵攻の陸軍部隊を上陸するための足掛かりとしてするならば別だが、大胆不敵な中岡率いるブラック提督たちのことだから、秀真たちは占領するならば沖縄だと見抜いた。

かつての中国のように南西諸島と沖縄を自国の領土だとして考えていることは間違いない。

したがって、沖縄が集中して攻撃を受ける危険はじゅうぶんにあった。

自衛隊や多国籍軍の合同基地も沖縄および石垣島にある。

連邦はまずここを空襲でたたき、それから鹵獲した揚陸艦を使って強襲してくるだろう。

また陸上型の深海棲艦も協力するのではないかという可能性も視野に入れる。

しかし秀真たち同様に、自衛隊幕僚監部や米軍総司令長官も、そのことを見越しており、すでに二個飛行隊を補充している。

石垣島はもともと海自の第四護衛隊群を出していたが、さらに三個護衛隊群のうち一個と灰田の協力により、超高速学習装置によりベテランとなった艦娘たちも増勢させる予定である。

ほかの二個護衛隊群と艦娘たちは、深海棲艦からの攻勢があったときに備えて、佐世保に置いておく。

 

おおむねこのような作戦計画が整った。

対馬および南西諸島、沖縄住民への疎開命令が政府から出されていたので、那覇空港は大混雑し、各航空会社とも大増便にしなければならなかった。

疎開先の当てのない人々のために内地には、いくつか受け入れ施設が準備された。

かくして戦争は第二段階に入りつつあった。

 

 

 

日本がこのような作戦計画を実行していた頃。

衛星監視処からの報告で、十勝基地に撃ち込んだはずの鬼角弾ミサイルが、まったくなんらかの効果を及ぼさなかったことを聞いて、忠秀は耳を疑った。

中南海の軍事委員会ではいつものとおり主席、副主席、政務院幹部、四軍の幹部、かれらの深海棲艦たちが集結。今回のミサイル作戦の戦果を確認しようとしていたが、そこには驚くべき報告がもたらされたのである。

しかし写真というのは動かぬ証拠である。いま衛星が撮影した写真を拡大したものを全員が見入っていた。

 

忠秀はなんども、これは以前に撮影したものではないかと確かめたが、そうでなく攻撃後だという返事がもどってきた。

監視処を組織に置く空軍司令員のキョウ上将も唖然自失の状態だった。

戦艦棲姫たちも貸与した技術により完成した鬼角弾ミサイルが無効にされたことに対して、ショックを受けていた。

 

「いったい、これはどうなっているのだ?」

 

ついに忠秀は声を荒げた。

 

「四発もの核ミサイルを撃ち込んだというのに、何も変わっていないじゃないか。そんなことがあり得るのか!?」

 

誰もがそう言われても困難するし、それが現実なのだから仕方がない。

しかしキョウと戦艦棲姫たちとしては、そう答えるわけにはいかない。

忠秀の逆鱗に触れ、飛ばされてしまう。下手をすればこの場で銃殺刑にされかねない。

 

「率直なところ、本職にも分かりません」

 

「ワタシモ、キョウ上将トオナジクワカラナイワ……」

 

ふたりとも、そう答えるのがやっとだった。

 

「ただし、この重爆自体が出現したことが謎なので、ほかにも謎があるかもしれません。

たとえば日本が、われわれには理解できないなんらかの防御システムをここに造っているのかもしれません」

 

「核ミサイルを無力するシステムか?」

 

「いってみれば、そういうことです」

 

「うむ」

 

忠秀は唸った。

 

この重爆の出現からして、面白くない言葉ばかりだ。

 

「我が連邦軍の打つ手がこのようにことごとく外れてしまうと、内外にほかの敵が出現しかねないぞ。わたしの危惧するのはまずチベットとウイグルの反乱だ、それにこの間は、一部の同胞たちによる反乱分子がおこった。我が大統領閣下様がお築きになった連邦国に逆らう愚か者たちを徹底的に取り締まりを強化して行なうよう公安に命じるように」

 

「分かりました」

 

チン外相は答えた。

 

「しかし日本に対してはこれからどうするのかね?」

 

湯浅主席が口を開いた。

 

湯浅は主席、総書記でありながら、このたびの事態には忠秀に実権を握られているので、普段は沈黙している。発言したのはこれがはじめてといって良かった。

 

「むろんこのままではおきません。深海棲艦たちと協力して、海空の立体作戦で日本を痛めつけてやります。沖縄も占領せずにおきません」

 

忠秀はきっぱりとうなずいたが、湯浅はあいまいに頷いただけだった。

その表情は、この戦争は始めるべきでなかったといっている。

 

しかし覆水盆に帰らず。

 

ことがここまで来てしまった以上は、先に進むしかあるまいと考えていた。

しかしどこか適当なところでアメリカかロシアに入ってもらって、手打ちする必要があるだろうと。

 

水鬼様ノ言ウトオリ、イザトナッタラ、コイツラヲ見捨テテ、日本ニ降伏シヨウカシラ……

 

それぞれの思いが作戦会議は続いたのだった。

 

 

 

 

双方が作戦計画を立てていた頃だ。

十勝で起きた不思議な現象の余波は、アメリカに及んだ。

アメリカの国立機関のひとつであるNOAA(海洋大気圏局)は、世界の各地に観測所を置き、地球上の地表や海洋におけるエネルギーの変動をチェックしている。

本来は、大地震と火山活動の予知を行なうためである。

 

そのネットワークに、日本の北海道の十勝地方における不思議なエネルギー変動が引っかかった。

 

巨大な爆発エネルギーが一瞬出現したかと思うと、消えてしまったのである。

しかも出現したのは、一秒の一〇〇〇分の一ほどの時間である。

このデータが国務省にあげられ、ペンタゴンのほうから上げられてきた連邦へのミサイル攻撃と、時刻が重なることが確認された。

 

「どうやら日本は、十勝に向けられた核ミサイルのエネルギーを消してしまったようですな」

 

ホワイトハウスを訪れたケリー国防長官は、大統領に向かって報告した。

 

「しかし、どうしたらそんなことができるのでしょう?」

 

「キミにはわからんことが、わたしに分かるはずがない」

 

ハドソン大統領は憮然といった。

 

「しかし今度の戦争は我々が予測もしなかった結果になるぞ。それだけは予言しておく。もしかすると、我々はバスに乗り遅れたのかもしれない」

 

あとで考えると、彼の言葉が正しかったのである。

 

 

(第一章 了。第二章に続く……)




はい、ということで各々の思いを持ちつつ、第一章が無事終わりました。
次回から第二章に突入することになります。
前作の失態もあり、リメイクでも長い道のりでしたが、第二章も引き続き楽しめてくれたら幸いであります。

第二章は早い時もあれば、やや遅い更新になるかもしれませんのでご了承ください。
しばらくは連邦視点やアメリカ視点が多くなりがちだなと思いますし、秀真・古鷹たちの戦いもより一層激しくなりますので、お楽しみを。

神通「提督…そろそろご一緒に…」

では切りが良いところで、次回からは第二章に突入しますのでお楽しみを。
それでは第二章こと第三十三話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。

神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です。では休憩にしましょう?」

ふぅ…ロシアンティーもいいですが、緑茶も良いですね。
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