超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
予告どおり、今回はアメリカ視点に移ります。
なお今回はこの言葉のようになるかもしれませんので、注目すると良いかもしれません。
「我が国以外は全て仮想敵国である」-チャーチル
CoD:MWシリーズのような名言、哲学的な名言と共に、本編であります。
どうぞ!
ワシントンに近いペンタゴンの会議室で、ケリー国防長官、マーカス国務長官、グレイ首席補佐官らを迎えて、ヨーク総参謀長が東南アジアの検討会議を開いていた。
トマス・ハドソン大統領の意向は、グレイ補佐官に一任された。
「北海道で起きた例の不思議な事件に関して、なにか説明がついたかね?」
口火を切ったマーカスが尋ねたのは、北海道上空で不発に終わった核爆発のことである。
連邦が通化基地から四発の中距離ミサイルを発射したことは、衛星でキャッチしている。
米軍首脳らは誰もが、これであの《ミラクル・ジョージ》と名づけた謎のステルス重爆とその基地が消滅し、さらに日本は弾道ミサイルを止める術はないだろうと考えていた。
しかし、奇妙なことが起こった。
確かに核ミサイルは目標に到着したのち、その上空で核爆発を起こした。
このエネルギーの解放はNOAA(海洋大気圏局)の大気変動監視ネットワークが捉えた。
しかし、それはナノ秒(10億分の1秒のこと)に近い、瞬間だった。
核爆発のエネルギーが解放された途端……魔法の如く、どこかに消えてしまったのである。
ペンタゴンはノーベル賞受賞者クラスの物理学者たちを集め、諮問した。
この謎の現象に関しては解けるはずもなく、誰しもが答えず、ただ首を傾げることしかできなかった。
ただし勇気あるひとりの学者はこう発言した。
“我々人類の知らない超越した科学力が介入しない限り、こんなことはあり得ない。
日本人は艦娘だけでなく、なんとかしてその科学力を手に入れたとしか考えられないが、あるいはエイリアンか、または未来人の助けを借りているのかもしれない……“
これは学者としては、ずいぶん勇気ある発言だった。
その証拠に学界からは黙殺され、その地位すらも危うくなる有様だった。
「いいえ、まだ結論は出ていません」
ヨーク総参謀長は答えた。
「衛星のデータによると、ミラクル・ジョージの基地は依然として健在であり、恐るべき攻撃力を温存していることは確かです」
ヨークは咳払いして答えた。
「これは考えすぎかもしれませんが、今後は日本を仮想敵国として考えておく必要があるかもしれません。なにしろこのステルス重爆は脅威です。
この《ミラクル・ジョージ》は、我々の推定では航続距離は2万キロメートルだと思われますから。
いずれ日本ではなく連邦を支援した方が良いかと思われます。彼らの技術があればグアムとハワイなどを再建できるだけでなく、ふたたび太平洋の覇者として復活します。
日本にいる我が軍と多国籍軍の彼らは見捨てよう。彼らからして我々は裏切り者として言われるが、戦争に犠牲は付き物だし、我々も生き残るためにはいたしかないことだと言うことだ」
この言葉に異を唱える者はいなかった。
普通なら可笑しい話だが、国家による裏切りは当たり前で、つねに付き物である。
アメリカの民主党は、先の大戦でもそうだが、反日主義者の集まりとしても有名である。
現代でも多くの民主党議員は親中派のアメリカ人と中国系アメリカ人が中心である。
日米安保は見直されているものの、ならず者の中国には依然として弱腰であるのに等しい。
ようは英語を話せない日本人よりも、英語を話せる中国人を選ぶということだ。
これは先の大戦……とくにルーズベルト大統領は、大の日本人嫌いとして有名だった。
よく日本がもし早めに降伏していれば、特攻だけでなく、本土空襲やあの悲惨ともいえる原爆投下はなかったという者たちはいる。ほとんどが左翼や無知な著名人たちだが。
こういう連中は歴史の真実を知らないから言える。かりにそれをしたら日本人は全滅していた可能性が高い。
なにしろこの大統領は《日本人全滅計画》を考案していたほどだ。
簡単に言えば、国内にいる日本人を全滅させるという非常にシンプルな計画だ。
まず日本人女性と連合国軍の兵士を次々と婚約させ、ハーフを生ませる。
現代の視線から見れば国際結婚だと思われるが、実は巧妙な作戦のひとつでもある。
ルーズベルト大統領は、純粋な日本人を誰ひとりとして残さないことを望んでいた。
また進駐軍を利用して女性をレイプし、その相手にトラウマを植え付けさせるか、場合によっては殺人などといった犯罪行為までも計画していた。
もしこの大統領の計画が実行していたら、現在の私たちは日本人でないということになる。
しかし、幸いにも1945年にルーズベルト大統領は死去した。
彼の後継人であるトルーマン大統領は、さほどこれには興味はなかったが……その代わり、日本に原爆を二発落としたということだ。
民間人を大量に虐殺した日本本土空襲といい、この重罪も認めていないのが腹立たしいが。
日本は戦後からGHQに洗脳されているため、これを当然だと思ってしまうものが多い。
二度とこの悲劇をならないためには、最大の抑止力として核兵器を持つのは当たり前だが……日本はそれを持たないから不思議な国である。なにしろ我が国は『非核三原則』という無力に等しく、戯言ともいえ、こんな馬鹿げたものを掲げている。
他国から見たら失笑されるのは当然であり、それすら気がつかないおめでたい連中はこれを主張すれば、核兵器を全て廃絶できると本気で信じているから恐ろしい。
「ふむ、たしかに日本よりも今後は役立つかもしれないが、しばらくは様子見と行こう。
かれらの軍事力が脅威だし、ある程度だが中岡大統領が亡命許可と伴い、軍事機密を提供するならば話しは別だがな。ようはギブ・アンド・テイクだな。
それからことの真相を確かめるために、CIA要員を潜らせる必要があるかもしれんな」
「その手はもう打ったよ」
ケリー国務長官がいった。
「CIAは大使館要員交代の名目で3人の優秀な人間をもぐりこませましたが……しかし、北海道の十勝地方は厳戒態勢にあって、我が大使館員が旅行する名目が見つからないので。
しかも皮肉なことに日本国内にいる少数の我が軍と多国籍支援軍は日本寄りで、我々が連邦側につけば……言わずとも日本と艦娘側につき、彼らの義勇軍となるでしょう。
また彼ら以外の外国人は日本国内においては、警察と自衛隊の監視がついている有様だ」
在日アメリカ大使館はまだ東京にあり、領事館も大阪にある。
もともと大使館や領事館などの在外公館には、諜報員がいることは世界の常識である。
しかし、この謎は通常の工作活動では解けそうになかった。
「うむ……しかし連邦国と深海棲艦もこのままでは引き込むまい。かれらは一矢報いたいという思いで、まだ日本に向けているミサイルは残っているはずだ。これらを大都市に撃ち込むでしょう」
「おそらく、そうなるでしょう。未だに日米安保は機能しているため、事前の約束……敵がミサイルの燃料注入を始めたときには日本に報告しなければなりません。
もしそれを怠ると、史実上、日本とは敵対関係になってしまいますから……これは私の直感ですが、いまの日本とはあらゆる意味でも構えたくない気がするのです」
アメリカ政府の誰もが日本の戦いぶりには何とも言えないほど、艦娘を生み出してからも言えるが、例の重爆を手にして以降も不気味さを感じていたが、去年辞職したチャベスに代わったヨークは、それをもっと強く感じていた。
本能的に日本に対して、危険を感じていた。
艦娘を大量に保有してからは、日米安保は維持し続けたものの、安保という手綱は次第に脆くなってきた。いわば潜在的暴れ馬を押さえるための鎖が切れ始めたのかもしれない。
つまり、アメリカのための安全を加担するための条約ではなかったのか。
いまとなって見ると、その傾向があったことは否めない。
「日本は連邦軍がミサイル攻撃を始めれば、ただちに《ミラクル・ジョージ》で爆撃するだろう。
それは火をみるより明らかだ。後顧の憂いないようにICBMミサイル基地をも徹底的に破壊するかもしれない。
その時は中岡大統領以下、多くの幹部たちは我が国に亡命許可を求めるだろう。まあ、彼らが我々に技術を提供してくれば……の話しだが」
ケリーはいった。
「しかしミサイル攻撃のほかにも、連邦国はもうひとつの侵攻作戦を練っているはずだ。それはなんだと思うかね?」
「本職は、彼らは沖縄を攻略すると考えられます」
フォーク海軍作戦部長が答えた。
「連邦はかつての中国のように歴史的経緯を見ているため、沖縄は自国の領土であってもおかしくないと考えているはずです。琉球国であった時代から明や清朝に朝貢していましたから。もし沖縄を占領できれば、国民や深海棲艦にも面子が立ちます……
ああいうブラック提督たちは大手企業の上層部に、さらに中国人と韓国人のように無駄にプライドが高く、なんとしても自分の面子を大切にする特殊な民族ですから。
まさか九州までも占領しようと考えるような愚は冒さないでしょう。連邦海軍は鹵獲した旧式の揚陸艦をもっていますが、せいぜい一個師団を運べる程度です。深海棲艦もかれらを護衛や沖縄攻略で精一杯でしょう」
「ふむ。この作戦に深海棲艦らはどのように関わるのかね?」
グレイ首席補佐官が尋ねた。
大統領補佐の権力は絶大なもので、実質的には副大統領にも勝る。いわば大統領の影武者のようなものである。ただし大統領が急死しても代わって大統領になれることはない。
「まだ正確な情報が入っていないが、中南海は連邦共和国に特使を派遣して、共同作戦発起を要求した模様だ。
同盟だから当たり前だがな」
マーカス国務長官は答えた。
「といってもほとんど深海棲艦と少数精鋭部隊に任せるでしょう。前者は侮れないからな。
しかも後者は、一部ではわれわれの鍛えた軍がいるからな。中国海軍が使用していた旧式の揚陸艦ももっとるから、上陸作戦は可能だ」
「おそらく陽動作戦として九州北部を脅かすでしょう」
「いまひとつ、お耳に入れておきたいことがあります」
フォーク海軍作戦部長はいった。
「連邦海軍、いえ、中国がかつてロシア・ウクライナから空母《ヴァリャーグ》を買い付けたことをご存じでしょう。中国名で《天安》と名づけられて、渤海湾にあるドックで改修をおこなっていました。
しかし衛星データをみるとすでにドックを出ていて、渤海湾内で訓練を行なっている様子なのです。
これは現在ロシア海軍の唯一の正規空母である《アドミラル・クズネツォフ》の姉妹艦で、満排水量5万5000トンに達します。我が軍の基準からすれば中型空母になりますが……
中国版のF-35ことJ-31と、ロシア製のSu-33《シーフランカー》を双方合わせて31機満載しているため、その戦力は侮れません。さらに天安とともに新型と思われる深海棲艦たちも確認されております。こちらの性能も不明のため、現在も分析中であります。
連邦海軍と深海棲艦の双方はおそらく、この天安と新型の深海棲艦らを沖縄攻略のために使うでしょう。
この重大なニュースを日本に知らせてやるべきでしょうか?」
「………いや」
マーカス国務長官は、しばらく経ってから答えた
「そこまでしなくてもいいだろう。わたしとしては今後は日本に全面協力を避けて、慎重にすべきだと思っている。先の大戦のように日本がまたしても我が国の脅威になりそうな予感がする」
「日本にいる我が軍の支援部隊はどうしますか?」
ケリー国防長官はいった。
「申し訳ないが先ほども言ったとおり、彼らは見捨てる。我が国が日本と我が軍を裏切っても彼ら日本人と我が軍の兵士の心には当然我が国への敵意はいまだに気づいていないから安心できる。
グレイ首席補佐官。わたしは日本に対する新しい《レインボー・プラン》を想定しておくべきだと考えているが、キミの考えはどうかね?」
レインボー・プランとは言うまでもなく、太平洋戦争時の対日計画のコードネームである。
当初は《オレンジ計画》といった。アメリカは日露戦争からして、このプランを練り始めた。
将来日本が仮想敵国になることを予測していたのである。
そして不幸にも当たってしまった。
逆に日本も日露戦争後に次の段階としてアメリカを仮想敵国として、日本版オレンジ計画を立てて対米計画をしていれば、少しは違った結果が出ていたかもしれない。
「そうですな」
グレイは答えた。
「一種のセイフティ・ネットワークとして策定しておくべきでしょう。大統領にも報告しておきます」
「分かったかね。参謀総長」
マーカスは言った。
「さっそくその対日計画を練ってくれたまえ。コードネームは……うむ、そうだな。
《チェリー・プラン》とでも名付けておこうか。これについてはむろん国防総省が全面的に協力する」
「分かりました」
ヨーク参謀総長は無表情で答えた。軍人はいかに不条理な命令であろうと、それに従うのみある。
中岡たち同様、アメリカもまた日本を裏切ろうと対日計画《チェリープラン》を練っているところで終了であります。
今回は先ほどのチャーチルの言葉とともに『国家には真の友人はいない』ということも当てはまると思いますね。
なお今後はこの計画はどのようになるかは、しばらく先になりますのでお待ちを。
では長話はさて置き、次回予告であります。
アメリカ視点から打って変わり、日本視点、秀真たちの出番であります。
ペンタゴンでこのような会議が行われていることを知らずに、次の作戦計画に困っている場面から始まりますので、お楽しみを。
それでは第三十六話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。