超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告どおり対日計画《チェリープラン》を練っているアメリカ視点から打って変わり、日本視点・秀真たちの出番であります。
では長話はさて置き、本編であります。
どうぞ!
20XX年2月20日
ペンタゴンでそのような会議がおこなっているとは露知らずに、東京・霞ヶ関の首相官邸コマンド・ルームでは国防会議が開かれていた。これは国家安全保障会議とメンバーがダブる。
自衛隊・警察・海保のトップたちに続き、むろん元帥、秀真、郡司に、古鷹をはじめとする秘書艦たちも参加している。
「我々は連邦国と深海棲艦の次の出方を考えなくてはならない。中岡たちもこれでギブアップするとは思えない」
安藤首相が口火を切った。
「現時点では、沖縄の防衛体制は完了したが、杉浦総幕長、彼らはやはり沖縄に攻めてくると思うかね?」
杉浦は答えた。
「はあ、まず確率は80パーセント以上でしょう。連邦国と深海棲艦たちもいままで敗戦続きですので、国民への面子はまるつぶれで、むしろ国を脅かすことになりかねません。そこでなんとか、日本領土をもぎ取る必要があるでしょう。竹島や尖閣諸島のようなちっぽけな島はだめで、もっと大きい目標となる島が必要です。
地理的観点から見て、いえ、いっても、やはり沖縄が最適な目標といえるでしょう。
言うまでもなく深海棲艦らと共同作戦をとるものと本職は考えます。
また連邦国は渡洋作戦能力に関しては、おそらく鹵獲した韓国軍の海上兵器も利用するでしょう。それらが足りない戦力は深海棲艦が担うと思われます」
「そっか……」
安藤はため息をついた。
「しかし、ほんとうに皮肉なものだ。かつてはNATO同盟側にいたものと戦うのだから」
安藤の本心は、彼ら韓国とは戦いたくない。
何と言ってもかつては日本であった国であり、太平洋戦争時にはいっしょになって連合国と戦った。
向こうが逆にそのことを恥じとしている。
元帥、秀真、郡司にとっては普段から敵国以外に考えられなかった。
深海棲艦が現われる前から、韓国人は中国・北朝鮮に寄り添い、日本に敵意を見せた。
秀真が考案した《オペレーション一〇九》時には、国内に潜んでいた中岡のような反日提督を中心としたブラック提督に、かれらを支持する反日組織とプロ市民たちと結託して、武装蜂起をしようと目論んでいたのだから。
韓国法律の第39条では、有事時には在日朝鮮人たちは一般人から、いっきに兵士となる。
なにしろ韓国人らは敗戦後、自称『戦勝国民』と掲げて、平然と武装蜂起をしたぐらいだ。
敗戦前でも反日組織とともに強盗・殺人・放火などはもちろん、挙げ句はテロ行為までもおこない日本中を好き勝手に暴れ回り、自分たちは連合国軍の一員として、朝鮮軍を駐屯させろと言う始末だった。
GHQ最高司令塔官のダグラス・マッカーサーは「そんなこと知るか」と一蹴したが。
なお、これらに関しては警察の公安部および憲兵に、多国籍支援部隊などが見張っている。
話しはややこしくなるので戻ろう。
「連邦はまだ日本に指向したミサイルを持っていることをお忘れなく」
矢島防衛省長官がいった。
「彼らは確かにZ機基地の攻撃に失敗しましたが、それでミサイル攻撃をあきらめるとはありません。今度は大都市めがけて撃ち込んでくるでしょう。六大都市をはじめ主要都市には厳戒体制が必要です」
「うむ。そうしなければな」
安藤は唸った。
連邦と深海棲艦たちも今度は、なにを企んでいるか分からないからな……
秀真は呟いた。
前回は灰色服の男……灰田の考慮によりエネルギーシールド(プラス転送装置)のおかげで、Z機基地は壊滅を免れた。
しかし都市攻撃になると、主要都市全て全てにそれを頼むわけにはいかず、都市全てをシールドで包むことは可能かもしれないし、不可能かもしれない。
どちらにしろ俺たち自身の力で解決しなければならないことは変わらないが……ひとつだけ気掛かりなことがあったのだ。
「それは分かっている。だが連邦がミサイルに燃料注入をし始めれば、アメリカが知らせてくれるだろうから阻止するまでだ」
安藤がこの言葉をいった瞬間だ。
「果たしてアメリカが今後とも我が軍に、約束どおり衛星データで知らせてくれたらいいのですが」
秀真は顎を撫でた。
秀真の言う気掛かりは今後のアメリカの態度である。
「秀真くん。いったいどうしたのかね?」
安藤は尋ねた。
「これは私の直感なのですが、どうもこれからはアメリカの態度が変わりそうな気がするのです」
「それはどういう意味かね、秀真提督」
秋葉法務相がたずねた。
「ただ確信するのは難しいのですが、アメリカという国の体質を考えますと、まず自国の国益が第一です。過去の歴史、とくに先の大戦でもそれが証明されています。
安保条約はまだキープしていますが、果たしていつまでもそう続くかは分かりません。
自国優先のためならば、国内にいる米軍支援部隊を見捨てることぐらいはするでしょう。
しかも、我々はいまや切り札ことZ機に続き、古鷹たちが装備している超兵器などを手に入れました。
しかもエネルギー転送装置まで駆使しています。いやむろん、我々が駆使したわけではありませんが」
あわてて付け足した秀真に代わり、郡司も引き継ぐように言った。
「秀真提督の言うとおり、ともかくアメリカは自国の国益に敏感な国でありますからして、我が国が彼女たちを持つことはもちろん、さらに強力な戦力であるZ機なるステルス重爆を持つことを快く思わないでしょう。
もしや連邦同様に敵対しているかもしれません。
ただし、我が国内にいる米軍はじめ多国籍支援軍はこちら側についていますから安心できますが……いちおう今後のアメリカの出方は慎重に見守る必要があり、彼らが提供してくる情報も疑ってかかる必要があると考えます」
「しかし、ワシントンは衛星情報に関しては継続して送ってくれることを約束した。わたしはそれを信じている」
安藤はきっぱり言った。
「70年以上にわたり同盟国だから、ワシントンもそれぐらいは守るでしょう」
「はあ、それは確かでしょう」
大洲外相はいった。
「しかし、アメリカと言うのは一筋縄に行かない国です。秀真・郡司提督が指摘したように、彼らは先を読んでいるに違いありません」
元帥の言葉にうなずく者たちが少なかったときだ。
「……まさに元帥たちの言う通りですな」
突然、すでに彼の馴染んだ声が聞こえてきたので、みんな振り返った。
一瞬の冷気とともに霧に包まれた一人の男が、壁際に出現した。
霧はすぐに消えて人影がはっきりした。言うまでもなく灰色服の男……灰田である。
「今までの皆さんの議論を窺っていましたが、確かに連邦のミサイル攻撃については、全都市をシールドで守る余裕はありません。いえ、技術的には不可能というわけではなく、そんなことをすれば、全国民がパニックに陥ることになるでしょう。
それらは皆さんも望まないでしょう。したがってZ機で対応する必要があります。
アメリカからの衛星情報の提供については、心配なさるには及びません。
彼らはそれについては守るつもりです。支援部隊もほとんどがこちらの味方といってもいいでしょう。
ただしお二人が言われるとおり、ワシントンを全面的に信頼することはいまや不可能となりました。……なぜならば、彼らがあなた方に隠している情報があるからです」
そこにいた全員は顔を見合わせた。
秀真は胸のうちがひんやりとした。しかし、やはりそうだったのかという予感もあった。
「……いったいなんだ」
「中国が健在していた頃に、ロシアから《キエフ》《ミンクス》につづく第三の空母を買い付けたことは、ご承知でしょうか?」
灰田が聞く。
「知っている。《ヴァリャーグ》ですな。《アドミラル・クズネツォフ》の三番艦で、満排水量5万5000トン、艦載機はスホーイ33と、中国のステルス最新鋭戦闘機J-31を両機合わせて31機ですな」
情報本部長に耳打ちされて、杉浦統幕長が答えた。
「しかし深海棲艦が侵攻時には、確か役立たずで放棄されたはずでは……」
「それが連邦は秘かにこれを鹵獲し、さらに改装を急がせ、すでに完工したのです。渤海湾のある秘密ドックから出て、湾内で訓練を行なっています」
「ほかに何か情報はあるか、灰田?」
秀真が聞く。
「ええ、彼らは空母だけでなく、秘かに深海棲艦とは違う”生物兵器”を開発しました。その名は人造棲艦と言い、名称は《ギガントス》と言います」
「人造棲艦…ギガントスだと…?」
深海棲艦ならまだしも人造棲艦とは聞いたこともなかった。
「それはどんな生物兵器だ、灰田?」
「この人造棲艦はいわば、非合法的な人体実験で生み出された生物兵器であります。
ベースは人間、つまり女性にT4ウイルスを投与して、さらに艦娘・深海棲艦と同様に艤装を取り付けることが可能です。艦種は戦艦で、もう一隻は空母です。なお《ギガントス》という名は異界の帝王と意味を表します。
あくまでも予想ですが、実力は深海棲艦の戦艦レ級か、恐らく鬼・姫・水鬼並みの攻撃力はあると思います。
しかし皆さんもご存じはないようですが、幸いにもこの《ギガントス》はZ機の空爆により、3体のうち1体は運よく葬っていますので、残りは2体という事です」
「そ、そんな人間を素体にするなんて……」と古鷹。
「……無能とはいえ、相当イカれた連中だな」と木曾。
「……いくら勝つためとはいえ、酷すぎるわ」と陸奥。
「なんという奴らだ、よくも平然と非道な事が出来るな!奴らに人の心、武士道はないのか!」と長門。
古鷹、木曾、陸奥以下、ほかの秘書艦たちもそう答えるので精一杯だった。なお一部は長門のように感情を露わにし、激怒した者もいた。
戦争に勝つためとはいえ、人間を素体として、さらに生物兵器へ改良する非合法なことが許されて良いものなのか。だが、戦争は勝つことならばあらゆる手段を使ってでも勝てばいいと結果論がある。
第二次世界大戦でもアメリカは原爆を開発し、疲労した日本に止めを指すようこれを二発投下した。
一方的な虐殺である。多くの軍人と科学者は抑止力として使われるのではないかと信じていたが、皮肉にもそれが使われた。戦後は反核派になったのはもっとも皮肉なものだが。
「これも先ほど告げた空母《天安》とともに、これらも渤海湾内で訓練を行なっています」
「つまり訓練終了と同時に、これらを次の作戦である沖縄攻略に投入すると言うのか?」
秀真が尋ねた。
「そのとおりです。あと二週間もすれば双方はなんとか実戦レベルに達するでしょう。
皆さんが推測どおり、連邦と深海棲艦は沖縄攻略でして、連邦海軍はこの空母を……連邦名《天安》を中核とした空母戦闘群と、人造棲艦《ギガントス》を中核とする護衛艦隊群を形成し、沖縄攻略に用いるつもりです」
「うむ、そうなるといささか厄介だな」
矢島がつぶやいた。
「いかに中型空母であろうと、空母の打撃力は大きい。戦況を流動的に支配できる。
沖縄どころか、我が国の太平洋沿岸を自由に移動して攻撃ができる。
あれはF-35を模倣したJ-31と、Su-27《フランカー》の艦載機型Su-33《シーフランカー》を双方合わせて31機ほど持っておりますからな。
第一、我が国の沿岸防衛体制は空母を相手にするようできておりません。揚陸艦相手ならば対応できるが。
しかも《ヴァリャーグ》は大量の対艦攻撃兵器を持っており、また防空能力は強力だ」
矢島につづき、秀真もいった。
「また連邦が生み出した人造棲艦《ギガントス》も、しかも戦艦・空母タイプの実力もどちらも未知だ。……安藤首相、もし灰田の言う通りならば、空母《天安》と同じくまずい状況になります」
むろん、二人は大げさにいったのではない。
情報本部の分析は正しく、確かに《ヴァリャーグ》は、いや《天安》はそれだけの能力を持っている。
連邦が開発した人造棲艦《ギガントス》の力も不気味で、未知なのは確かだ。
「ワシントンはむろん情報を掴んでいる。しかし、我が国には知らせるつもりはなかったというのだね」
安藤が尋ねると、灰田は頷いた。
「そこがワシントンの狡猾なところです。アメリカはいまや日本の戦力に対し、不安を抱き始めています。潜在的敵国とみなし始めているといってもいいでしょう。
この空母と人造棲艦《ギガントス》に関しては黙っていて、日本の戦いぶりを試すつもりなのです。
ただし郡司提督の言うとおり、国内に駐屯している米軍と多国籍支援軍に関しては大丈夫です。ワシントンは彼らを見捨てると方針していますのでご安心ください」
「やはり、そうか」
安藤は呻いたが、それは秀真たちも同じ気持ちだ。
「しかしシーレーンが断たれたときはなかったが、Z機について問いかけた時点でうすうすと気がついていたが、まさか早々計画を立てていたとは……」
「下手をすれば、アメリカは連邦側に寝返る可能性もあるかもしれないな……共和党が選挙で惨敗し、かつての民主党がまた政権を取った時点で気づくべきだったかもしれない」
「あの大統領も『世界の警察を辞める』や『今後は中国と親密的な態度を』などと平然と言っていたぐらいの親中派だったから、共和党も再び政権を取れたが……トマス・ハドソンという個人主義の大統領が選挙で当選、また民主党が政権奪還した時点で、我々の安全保障を改正したのは良かったが、早く気づくべきだったのは確かだ」
「いや、ご自分を責めてはいけません。これはアメリカの一方的な裏切りなのですから」
灰田は言った。
「そこで、わたしはこれらに対する対策案を用意しました。海自には空母を1隻、そして秀真提督たちにも二人の空母娘と、そして対人造棲艦《ギガントス》用兵器を用意しましょう」
今回は前回の連邦視点のような終わり方みたいになりましたが、区切りが良いところかなと自分でも思います。
なお原作『天空の富嶽』と同じく漫画版でもこの会議でもありますが、言わずとも一部はオリジナルを加えておりますが、楽しめていただければ幸いであります。
なお秀真たちもアメリカが敵対していることを見通していますが、原作では矢島長官であります。
では長話はさて置き、次回予告であります。
次回はまたしても灰田さんが強力な超兵器を秀真たちのために用意します。
本編に記したように三つであります。
これらもまた田中光二先生作品に出た超兵器でありますので、お楽しみを。
それでは第三十八話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。