超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

39 / 147
前回のあらすじ
東京・霞ヶ関の首相官邸コマンド・ルームでは国防会議が開かれていた頃。
秀真たちは次の作戦を立てていた時、連邦に続き、アメリカが警戒しているのではないかという仮説を呟いたとき、未来人・灰田から驚愕の事実を聞かされる。
秀真の推測は当たり、さらに連邦が秘かに用意した空母《天安》と、非人道的生物兵器こと人造棲艦《ギガントス》を知ることとなった……
これらに対抗するため、灰田は横須賀基地に《マザー》に支配されたハイテク空母《飛鳥》をもたらした。
矢島たちをはじめとする視察団を超えていた超兵器でもあった。
そして秀真の鎮守府でも、またしても《飛鳥》同様、奇跡の超兵器が姿を現すのだった……

久々の某アナゴさんがクローンウォーズのような前回のあらすじを簡単にナレーションしているような始まりではありますが、楽しめていただければ幸いであります。

それでは、本編であります。

どうぞ!


第三十九話:ふたりの超空母娘、超兵器現る

同時刻。矢島たちが空母《飛鳥》を見ていた頃、秀真たちの視点へと移って見よう。

こちらも同じく、灰田が告げた三日後……二月二十三日の夜明け前がきた。

元帥、秀真・郡司はじめ各提督たちに、古鷹・木曾はじめとする各艦娘たちもが秘かに、各鎮守府にある演習場に集まっていた。

 

こちらも灰田の言うとおり、周囲は人払いしている。

また秀真は万が一に備え、海上には神通率いる水雷戦隊と特型戦艦四姉妹こと富士たちを待機させており、さらに鎮守府内には憲兵たちが警戒態勢を張っている。

 

二月の夜明けは遅い。

6時過ぎになって、ようやく薄明るくなり始めたが、埠頭にとその先の海面は濃い霧に包まれた。

秀真たちはもはや慣れているため驚くことはなかった。

あの新富嶽ことZ機が出現してきたときのように、次元の壁を巨大な質量をもつ物質がくぐり抜けてくるとき、この霧は一種の緩衝剤となるらしい。

 

時刻は6時30分になった……

 

空気がイオン臭くなった。また急激に気温が下がったが、これもタイムスリップの兆候である。

霧がゆっくり晴れ始め、人影が姿を現した。それは艦娘である。

 

「提督、現れました!!」

 

古鷹の声に全員が、その二人の艦娘を見た。

二人とも矢矧のようにポニーテールで決めており、そしてふたりとも大鳳のような服装を纏っている。その証拠に模倣しているのか、頭には艦尾を意識したヘッドギアをつけ、首にも艦首を意識した装甲が取り付けられている。

なお二人とも加賀のようにクールなところもあるが、しかしどことなくただならぬ妖艶さが漂っているようにも思えた。また艤装は大鳳とグラーフに近く、そして驚くべきことに艦載機を発艦させるために必要不可欠な弓矢や大鳳のようなクロスボウとは異なり、土佐は未来的外観を持つ短機関銃を、紀伊はM16のような自動小銃を携えている。

 

「これが、わたしが用意し、秘かに建造しておいた超弩級空母の《土佐》《紀伊》です」

 

いつの間にか、傍らに現れた灰田が説明した。

 

「彼女たちは6万トン級の大型艦であり、しかも飛行甲板・全幅も赤城たち以上を誇り、それはレキシトン級の1.5倍とも言っても良いでしょうか。

さらに三日前にご説明した通り、彼女たちは以来の戦闘機、つまり艦載機を200機搭載可能であり、またこれらの代わりに陸軍が開発した四発陸上攻撃機《連山改》も搭載できます」

 

灰田の説明に、赤城たちは驚愕した。

自分たちでも搭載できる艦載機は最大で98機を搭載できるが……土佐と紀伊は彼女たちを上回る搭載量――200機の艦載機を搭載でき、さらにこれらに代わりに四発爆撃機を搭載できると言うような、もはや常識破りの超大型空母なのだから無理もない。

 

「改では艦載機がやや減る代わりに、ジェットや大型機の運用がスムーズになります。

改二で艦載機数が戻り、アングルド・デッキ搭載で基礎性能と甲板強化、改三で通常動力型となります。

なお今の彼女たちは改でありますので、実力は保証します。

そして彼女たちの装甲は500キロ爆弾を防げる重装甲を兼ね備えています。

特殊ゴムで覆われた重装甲に、さらに大和級のように航空魚雷の攻撃に十分に耐えられるよう施しています。ただし敵の爆撃機、とくに敵の焼夷弾攻撃には御用心ください。

この特殊ゴムは高熱を生じる焼夷弾攻撃にはすこぶる弱いため、これを食らうと艦載機も発着艦が困難になりますので、万一に備えて大鳳たちに搭載する艦載機を減らすことをお勧めいたします。むろんこれは富士たちにも同じことなので、充分に気を付けてください」

 

灰田の説明が終わると、秀真は頷いた。

 

「分かった。早速だが彼女たちの実力を見てみたいのだが良いかな?」

 

「分かりました」

 

秀真がそう言うと、灰田は土佐たちに視線を移す。

彼女たちも灰田の意志を、それとも初対面した時のように人の心を見透かす能力でもあるのかと思ってしまう。

 

「了解。じゃあ紀伊、始めましょう」

 

「了解しました。土佐姉さん」

 

ふたりは携えていた軽機関銃にマガジンを装填する。

所持している弾倉には《烈風改》《彗星改》《流星改》に、例の四発爆撃機《連山改》の文字が刻まれたマガジンを手にし、短機関銃やライフルに装填した。

なお灰田が実力を証明するために、御自慢の艦隊を編成しておいて下さいとの事前の伝言があったため、秀真たちは用意した。

なお二人の実力を確かめるため対空能力および対艦能力が誇る敵艦隊役に、なお護衛艦隊役として古鷹たちには土佐たちを護衛部隊として編成しておいた。

どちらにしろ連合艦隊を編成し、演習が開始された。

まず摩耶を旗艦とし、秋月、照月、雲龍、天城、葛城が敵機動部隊の役を務める。

 

「私たちの御力に期待してください。提督」

 

土佐は自信満々に答えると、派手に短機関銃を撃ち放つ。

撃ち放たれた彼女の銃弾は、火焔に包まれ、逞しいレシプロ・エンジン音を鳴り響かせて飛翔する《烈風改》へと変貌する。烈風改のマガジンを素早く撃ち切ると、新たに《彗星改》《流星改》の名が刻まれたマガジンを装填し、これまた上空に向かって派手に撃ち続けた。

あっという間に、本当に申し分ないほど大編隊である。

また土佐に遅れ、紀伊は《連山改》の文字が刻まれた弾倉をライフルに装填し、同じく上空に向かって撃った。

土佐同様に撃ち放たれた銃弾は、火焔に包まれ、やがて大型機へと姿を変えた。

四発の大型レシプロ・エンジン音を大きく鳴り響かせ、B-17に酷似した機体……連山改が現われた。

しかも大型機にも関わらず超低空で、雷撃機のように編隊を組み、突撃していく。

機体の下にある爆弾倉を開き、800キロ爆弾の投下準備を開始する。

前にも記した通り、これは米軍中型双発爆撃機が得意とする《スキップボミング(反跳爆撃)》である。

投下された反跳爆弾は水切りのように飛び跳ね、目標たる敵艦に突入する。

大型四発爆撃機であるため、狙い撃ちされる確率は非常に高いが、通常の《連山》よりも防御力は高く、やはり撃ち落とすのは困難であるのか摩耶たちの頭上を通り過ぎる頃には、800キロ爆弾が命中、なおも指揮官機の後ろ姿を追うように、残り3機の連山改が投下した800キロ爆弾も続けざまに命中した。

雲龍たちの直掩隊・攻撃隊も頑張ってはいたが、《土佐》《紀伊》のふたりにダメージを与えるも小破止まりに終わり、古鷹たちを中破したに過ぎなかった。

また、対空能力の高い摩耶たちや、急速学習装置でベテランになっている雲龍たちですらも大破になるという驚く撃結果になった。

なお演習が終了すると彼女たちは、いつの間にか元通りになっているが。

 

 

「これが彼女たちの実力です。ご満足いただけましたか?」

 

「……ああ、圧倒的な攻撃力だな。敵艦が哀れに思えてきたな」

 

秀真の感想を聞いた灰田は、満足そうに笑みを浮かべた。

 

「それでは次は対人造棲艦《ギガントス》用兵器、レーザー砲と特殊魚雷の説明をします」

 

場所は変わり、工廠前に一同は移動した。

全員が集まるのを確認したのか、ちょうどいいタイミングで灰田も姿を現した。

灰田が用意した例のレーザー砲と特殊魚雷こと分子破壊魚雷である。

まずレーザー砲は、古鷹たちが装備する20cm連装砲から、大和たちなどが装備する46cm砲などと言った大口径砲を搭載した連装砲とは外観が異なる、見慣れないラッパ型の砲身を備えつけた砲塔が並べられていた。

各艦種に合わせるように、灰田が気遣ってくれたのだろうと思われる。

またもうひとつ用意した特殊魚雷(分子破壊魚雷)の外観は、灰田の言う通り、多くの海自・多国籍海軍が装備し、使用している《アスロック》艦載用対潜ミサイル(SUM)とさほど変わらない。

 

「まずレーザー砲ですが、三日前の説明したように、これらは対人造棲艦《ギガントス》用兵器です。

大きなものは艦艇用もありますが、小さなものまでありますが、またこれも万が一に備え、レーザー砲を装備した新型戦闘機も用意しましたので、これで《ギガントス》を攪乱させることもできれば、撃退できるだけの力はあります。なお味方を誤射しないように安全装置とともに、例えレーザー砲を喰らってもダメージは喰らわないように施しています。

次に特殊破壊魚雷こと分子破壊魚雷ですが……こちらも秀真提督たちの駆逐艦の子たちなどが装備している艦搭載用対潜ミサイル《アスロック》同様に、これらも駆逐艦から重巡洋艦が装備可能な自動追尾装置付きの魚雷です。

もし《ギガントス》が潜水棲姫はじめとする潜水艦部隊のように海中に逃げたとしても追尾できるように自動追尾装置が搭載しており、深さは1000メートルまで追尾が可能であります。これらを喰らえば《ギガントス》もひとたまりもありませんが、くれぐれも慢心しないように気をつけてください」

 

灰田から出た言葉、決して慢心するなという言葉は秀真たちは決して忘れない。

過去にも日本海軍は、あの運命の戦い、ミッドウェイ海戦で敗北し、それを引きずった日本軍はソロモン海戦以降は敗退をし続け、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、そして最後の日本岬海戦で圧倒的な米海軍に負けてしまい、伊58の橋本艦長が死ぬまで悔み続けた二発の原爆を喰らった日本は敗戦を味わった……

超兵器を持っていても決して慢心しない、そして大切な彼女たちを失いたくないという気持ちがあるからこそ戦い続けられるのである。

 

「……元帥から言われているから忘れはしないさ。明日からも忙しくなるな、ともあれ何時もと変わらないが……」

 

演習が終えた後、土佐たちは古鷹たちともすぐに仲良く会話している様子を見て呟いた。

特に郡司の艦隊に所属している加賀は、妹である土佐との再会に涙を流した。

普段の加賀はクールな表情を崩さないのだが、この時だけは土佐の前で涙を流すことは無理もない。

加賀には元々、姉妹艦《土佐》がいたが、事情により進水したばかりの所で建造中止、そして長崎から呉へ曳航され標的艦として各種の試験に使われた後、土佐国(高知県)宿毛湾の沖ノ島西方約10海里の地点に沈められた。

だから加賀は抱きしめて「お帰りなさい」と言い、土佐は「ただいま」と再会を喜んだ。

郡司は彼女のために、土佐とともに行動させるため、暫くの間だが秀真の艦隊に所属させることに決定した。

郡司は「加賀のためだ」と言い、元帥もすぐさま転属許可を承諾した。

その代わり翔鶴たちは、暫く郡司の艦隊に所属することに決定した。

 

「それでは明石さんたちには、すでに彼女たちの設計図と、彼女たちに必要不可欠な資材も揃えていますので、次の海戦でも前回同様のご活躍を楽しみにしていますよ」

 

「灰田、ありがとう……この戦いが最後の戦いになると願っているよ」

 

「わたしはあなた方を助けるために、できる限りの援助をしているだけですよ」

 

「ああ、ありがとな。灰田」

 

秀真がそういう頃には、灰田はいつの間にかすうっと消えていた。

 

 

 

後日、灰田が用意してくれた対《ギガントス》兵器であるレーザー砲を古鷹を始めとする各艦娘に装備し、これと同時に用意された特殊魚雷(分子破壊魚雷)も古鷹たち重巡洋艦から、阿賀野たち軽巡洋艦、そして秋月をはじめとする駆逐艦の子たちにも全て装着させる。

明石と夕張だけでは荷が重いと、各鎮守府を再建してくれた広島たちも駆けつけてくれた。

なお本人たちは自身の名がついたところに旅行していたのか、お土産まで持ってきてくれたのは言うまでもない。

灰田が用意してくれた新たな最新鋭戦闘機も土佐たちに装備させ、また新たに艦隊防空能力も上がった。

土佐姉妹が来たおかげで、大鳳たちにも負担が減らせることもできるのが幸いである。

また灰田が用意してくれた急速学習装置のおかげで難なく使いこなすことができたのは幸いだった。

レーザー砲も試しに試射をしたら、本当に友軍艦隊には当たらないよう安全装置も施し、さらに誤射をしても友軍艦にはもちろん、艦娘たちにも損傷を与えることはなかった。

 

新たな装備を装着した古鷹たちと、新たに土佐・紀伊をはじめとする機動部隊で訓練を開始した。

また土佐・紀伊の防御力……二人とも戦艦並みのバルジを誇るため、これを活かして戦艦の標的で空母に当てる訓練と、彼女たちが戦艦砲弾・敵魚雷をひたすらよける訓練なども施した。

本当に戦艦並みのバルジを誇るため、魚雷攻撃を受けてもケロリとしていたのにも驚かされる。

また万が一に備えて、富士たちはじめとする戦艦空母四姉妹を旗艦とする対《ギガントス》打撃艦隊も編成した。

もしどちらかの《ギガントス》が別行動をし、別海域に出没した際には大和たちとともにこれを撃滅するためである。

また大和たちを守るため、秀真は水雷戦隊と護衛空母に、郡司はイムヤたちも配下に就く。

今回は別行動になるかもしれないが、それはお互い承知し、覚悟していることである。

 

1週間の訓練・演習が終えると、秀真たちは空母《飛鳥》を旗艦とする空母戦闘群と合同訓練を開始した。




前回お知らせしたとおり超空母娘こと《土佐》《紀伊》は、とある同志と協力して、本編に登場した通りオリジナル艦娘として完成しました。ご協力感謝します!
あと知りませんでしたが超空母《土佐》《紀伊》は別作品にも出ているのですね……
それから今回は加賀さんが再会に喜んでいたのも、良いかなと思い付け加えました。
また古鷹たちが装備したレーザー砲は『夜襲機動部隊出撃』に出たものとは基本的には性能は変わりませんが、のちに少しだけ違うところもありますので暫しお待ちを。
なお分子破壊魚雷は基本的変わらないと思いますが、威力は申し分ないのでこのままにしました。
そして灰田さんが用意したレーザー砲を搭載した新型戦闘機に関しても同じくなので、お楽しみを。

神通「提督…そろそろ次回予告を…」

あはは…では切りが良いところで、次回予告であります。
日本視点から、再びアメリカ視点に戻ります。
前回は対日計画こと《チェリー・プラン》を立てようとしたアメリカは、これら超兵器を見たアメリカは、果たしてどう行動に出るかを見ていきたいと思います。

それでは第四十話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。

神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です。それでは悔いのないように頑張りましょう」

大掃除の次は、年末パーティーに、おせちの仕込みか……最後までやらなければな(使命感)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。