超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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イズヴィニーチェ(遅れてごめんなさい)
今回も前回同様、一部変更している部分がありますが、楽しんでくれたら幸いであります。

それでは、本編であります。

どうぞ!


第四話:招かざる航空機たち

意識を取り戻した秀真は、とりあえず自分が生きていることを確認した。

いま目の前に映る光景、のどかな鎮守府が、戦友との演習がいつの間にか、地獄と化したことを思い出した。

どうしてこうなったんだ……と独り言をつぶやくように、いま迫りくる危機から逃げなければならない。

しかし身体が思うように動かない、死体から銃を拝借し、弾切れになるまで撃ち続け、そして……撃ち切った。

郡司と衣笠たち、そしてひとりの少女、青葉が駆け寄る姿を見たとき、彼女たちの名前をつぶやいた。

 

……すまない。古鷹、加古、青葉、衣笠。あとは頼んだぞ。

 

 

 

時は、この地獄と化した鎮守府になる前にさかのぼる。演習開始前、秀真はいつも通りの習慣、かならず落ち着きを払うと伴い、掛け声を発して彼女たちの士気を上げることは欠かせない。

 

「久々の我が友である郡司提督との演習だ。みんな気を抜かないように!」

 

「「「はい!!」」」

 

秀真の意気込みに青葉たちは、気合い十分に叫んだ。

 

「試合は三回戦まであるが、いつも通り落ち着いてやれば大丈夫だ!」

 

彼女たちは頷いた。

よし、みんなの気分は最高だし、これで準備完了だと思った。

 

「あの司令官……。少しお話ししてもよろしいですか?」

 

みんなが準備している最中、青葉が話しかけた。

 

「どうした、青葉?」

 

「今日は、その、青葉を旗艦にしてくれてありがとうございます」

 

はにかみながらも青葉に、秀真は言った。

 

「古鷹と加古がいない分、青葉と衣笠がみんなを引っ張ってくれるから、安心して信頼している。それに古鷹と加古がふたりとも、一緒に頑張っていると聞いたから、今日はとても楽しみにしているよ」

 

秀真は穏やかな笑顔で答えると、彼女は思わずドキッとしてしまう。

 

「……!あ、青葉、頑張ってきますから、MVPを取ったら、その……頭を撫でてくれませんか?」

 

恥ずかしながらもお願いする青葉に、彼は答えてくれた。

 

「いいよ。俺で良ければいくらでも撫でてあげる」

 

「司令官。青葉、頑張ってきます!」

 

「あ、青葉、抜け駆けなんてズルいわよ。提督、衣笠さんにもお願いね?」

 

秀真は先ほど同様に、良いよという笑みを浮かべて答えた。

 

「大丈夫だ、衣笠も撫でてあげるから妬かないように」

 

パアッと明るくなった二人はウキウキ気分と伴い、艤装を取り付け、演習へと急いだ。

 

演習時間は1500時から1800時まで行なうことにした。

お互いは模擬戦の前は、かならず対戦相手に敬意をはらうことは忘れない。

一同は礼とともに、握手を交わし、そして所定の位置につくと……演習場に設置している時計台の針が、ピシャッと開始合図を知らせるように差した。

 

「忘れるな、機動性と攻撃力だ!」

 

秀真の第一艦隊は以下の通り、あげておく。

青葉を旗艦とし、ほかは衣笠改二、伊勢改、日向改、雪風改、瑞鳳改二を編成している。陣形は旗艦および空母を庇い、防空倍率が一番高いため、航空戦・対空戦に特に有利する輪形陣を組んでいる。

 

「索敵も砲撃も雷撃も。青葉にお任せ!」

 

郡司も秀真たちに倣い、高らかに宣言した。

 

「抵抗する者は全て粉砕しろ!」

 

郡司が率いる第一艦隊は、以下の通りである。

旗艦木曾、扶桑改二、山城改二、時雨改二、赤城改、加賀改を編成し、秀真同様に輪形陣を組んでいる。

 

「本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ」

 

―――戦闘開始!! と誰もが思った時だ。

その気分に水を差すように航空機のエンジン音が聞こえた

 

「郡司、いくら戦友でも合図もなしに艦載機を飛ばすとは許しがたい!」

 

秀真は注意を促した。しかし郡司は、すぐに否定した。

 

「同志。僕は合図もなしに攻撃するほど卑怯者ではない。それに山城たちはまだ一機も飛ばしていない」

 

郡司の言う通り、山城たちは準備をしていない。

こちらも然り。また警戒中の艦載機群には演習開始にはこの場からすぐに離れ、その後は海上にいる双方の警戒部隊とともに哨戒任務をするようにと厳命しており、妖精たちが命令違反をするわけがない。

一応連絡してみようした時だ。

 

「あれ……可笑しいな。無線機が故障したか? 郡司のほうは繋がるか?」

 

もう一度、哨戒部隊に繋がるかどうか試すものの何度やっても結果は同じく、連絡が不可能である。

 

「僕もだ、同志。それにレーダーの調子もおかしいとの事だ」

 

郡司も同じく、さらに彼が貸与したレーダー搭載車も異常をきたしていると、双方の憲兵たちが報告しに来た。

 

「もしかしてだが……これは電磁波、妨害電波の可能性が高いな。だがこの近海あたりの深海棲艦は全滅した。いくら奴らの残党がいても、海上警戒している水雷戦隊や艦載機群が照明弾を撃って知らせてくれるはずだ……」

 

秀真は答えた。

 

「では同志の推測が当てはまらない、この聞きなれないエンジン音は一体、何処から……」

 

「じゃあ、いったい誰が飛ばしているんだ……?」

 

なにかが可笑しいと思った双方は一時中断、そして信号拳銃を手にし、海上警戒している双方の水雷戦隊と艦載機群に連絡しようと試みたときだった。

 

聞きなれないエンジン音は、先ほどの爆音は秀真たちの声を消すような轟音を鳴り響かせて頭上を通り越した。

さらに時々だが、ジェット機だけでなく、レシプロ機独特のエンジン音も聞こえた。

 

「なんだ、あの大量の航空機は……?」

 

秀真が上空を見上げたままつぶやくと、郡司たちも同じく上空を見上げた。

レシプロ単発機、四発大型爆撃機に、さらに見慣れない未知の全翼機に、軽い爆音を響かせている円盤型飛行機など、さまざまな航空機が見えた。それらは彼女たちが持つ零戦五二型や烈風や深海棲艦が持つ深海艦載機群ではない。いや、双方が所持したこともないレシプロ機や四発爆撃機に、そして未知のジェット機とナチス・ドイツが極秘に開発した円盤型飛行機がざっと数えただけでも……100機、いや150機以上、200機にも達していそうである。

 

「あれはかつて米海軍が運用していたSB2C《ヘルダイバー》急降下爆撃機とTBF《アベンジャー》雷撃機だけでなく、米陸軍の戦略重爆撃機、通称『空の要塞』と謳われたB-17に、「解放者」という意味をもつB-24爆撃機、そしてナチス・ドイツが極秘に開発したB-2爆撃機の祖先であるHo229と、円盤型戦闘攻撃機の《ハウニブ》じゃないか……」

 

「……そうだな。だがよく見たら全てブリキのラジコン機だな」

 

郡司のいうとおり、航空機群、その正体は全てがブリキ製のラジコンだ。

 

しかし、どうして鎮守府内にいるんだ?ここまで低空飛行してきたのか? あるいはこの鎮守府外から来たか?やはり電子戦機が紛れ込んでいるため、哨戒部隊との交信ができなかったのかという数々の推測していたときだ。

 

「……同志、言いたくはないが」

 

堪り兼ねた郡司は、秀真に話し掛けた。

 

「言われなくても分かっているさ、郡司……」

 

互いの顔を見合わせ、こう呟いた。

 

「「こいつは不味い(ヤバい)……」」

 

二人の言うとおり、ラジコン大編隊は二手に分かれ一方が秀真たちのいる演習場へ向かい飛翔し、もう一方は工廠へと向かい、爆撃体勢に移るような編隊を組み、そして―――

 

「「みんな散れ!!」」

 

ドッカアァァァァァァン!と鳴り響く爆発音に、火柱が舞い上がった。

 

「憲兵たちに告ぐ!空襲警報を鳴らせ!いますぐ鳴らせ!」

 

秀真の命令に、了解と返答した警備兵は急いで空襲警報を鳴らした。

 

『鎮守府内にいる全艦娘と憲兵たちに告ぐ。これは演習にあらず、繰り返す演習にあらず!』

 

繰り返される警告、空襲警報が鳴り響くなか、鎮守府内は瞬く間にパニックを起こした。

艤装をしていない子たちを守るよう双方の艦娘に命令が飛び、憲兵たちも自動小銃やスティンガーミサイルなどを携えた。

各場所に設置されていた自動対空機銃M5セントリーガンが作動し、双方らとともに対空戦闘を開始する。

また迅速に駆けつけてくれたであろう水雷戦隊と艦載機群もこれに加わり、敵機を叩き落とすのが見えた。

 

「何という事だ……。これじゃ、まるで呉軍港空襲の二の舞じゃないか」

 

秀真が言う呉軍港空襲とは、大戦末期に決行されたアメリカを中心とした連合国軍による呉軍港への空襲である。

1945年3月19日と、同年7月24日・28日の二度に渡って決行された。

第一次は米軍のマーク・ミッチャー中将率いる「第38機動部隊」から航空機350機が出撃、空襲に参加したものの、対する日本は松山基地の「三四三航空隊」が迎撃に出動し、米軍機56機(米軍側では14機)を撃墜、さらに夜間戦闘機と双発陸上爆撃機”銀河”による攻撃によって、米空母フランクリンを大破に追い込み、神風特攻隊による攻撃により、護衛空母および駆逐艦1隻に損害を与えた。結果的に被害は少なく終わり、海軍の保有する艦船への被害も小さかったが……

第二次は二日に渡って決行された。米軍の猛将として有名なウィリアム・ハルゼー大将率いる「第58機動部隊」による950機という大部隊での爆撃を敢行。対する日本も再び「三四三航空隊」を出撃させ、地上・海上からも対空戦闘で迎撃するも多くの艦船が大破着底となり、甚大な被害を及ぼした。 この空襲により呉港は母港としての機能を完全に喪失し、以後、日本海軍は致命的な打撃を受けることとなった。

また建造中の艦船や呉港以外の周辺地域や日本海軍所属の艦船が停泊する港にも、同時刻帯に爆撃が敢行されている。これにより広島湾にいた標的艦・摂津と、三重県尾鷲湾にいた空母・海鷹が大破着底。大分県別府湾にいた潜水母艦・駒橋が被爆。山口県祝島の南方にいた松型駆逐艦の萩と岡山県沖にいた同型艦の椿も損傷している。被害は軍港と艦船だけでなく、軍港周辺の民家なども被害に遭っており、400人ともいわれる民間の死傷者を出している。

 

話しは戻る。伏せながらもこの惨劇な光景を目にした秀真は、すぐさま起き上がるが―――

 

「司令官、直上!」

 

近くで対空戦闘を展開していた青葉が、彼に向かって叫んだ。

 

「………!」

 

今にでも襲い掛かろうとする四機のハウニブが視界に入った。その機体の底部には砲塔らしきもの、それはさながら第二次世界大戦中期から後期にかけて活躍したドイツ軍の有名な戦車、Ⅴ号戦車パンターまたはティーガーⅠ(Ⅵ号戦車ティーガーE型)に似た砲塔がさかさまに張り付いているのが見えたときだ。

急降下をしたハウニブたちは秀真に向かって、一斉砲撃、秀真に襲い掛かろうとした。

だが辛うじて、彼はかわしたものの何かに蹴飛ばされたような強い衝撃を覚え、意識を失い、秀真は倒れた。

 

「司令官、いま助けに行きます!」

 

青葉は誰よりも駆けつけようとするも、それを阻もうとハウニブとHo229部隊が襲いかかったが――

 

「そうはさせない!」

 

数機の合同部隊はスティンガーミサイルの直撃を受けた。Ho229が抱えていた爆弾が誘爆を起き、その影響で数機は巻き込まれ、爆発四散した。

 

「平気か?」

 

郡司の援護射撃により、辛うじて阻止できた。

 

「はい、ありがとうございます!」

 

急いで駆けつけて来た双方の憲兵と衣笠たちが、ふたりを援護する。

 

「逃げても無駄よ!」

 

「主砲、四基八門、一斉射!」

 

「航空戦艦の真の力、思い知れ!」

 

衣笠、伊勢、日向は、各主砲に三式弾を装填し、SB2CとTBF合同部隊に向けて一斉射する。

飛翔する焼夷榴散弾はショット・シェルのように散開し、こちらに飛来してきたSB2CとTBF爆雷部隊は回避行動をする余裕もなく、直撃を受けた機体は空中爆発を起こし、燃えながら墜落した。

 

「艦隊をお守りします!」

 

雪風も負けないよう敵機に向け、10cm連装高角砲が火を噴いた。こちらは低空飛行していたHo229に護衛されたB-17とB-24戦爆連合軍に直撃した。

先頭にいたB-17が火だるまとなって、傍にいたB-24に激突してしまう。

回避しようにも密集形なのでできない。しかも大量に抱えていた爆弾が激突した衝撃により、これがたちまち誘爆を起こしたから堪らない。幸運の彼女のおかげなのか、戦爆連合隊は全滅した。

 

「数は少なくても、精鋭だから!」

 

瑞鳳は弓を構えて、矢を取り出し、上空へと射った。直後、炎に包まれた矢は烈風へと姿を変え、制空権を取ろうと舞い上がり、熾烈な空戦が始まった。烈風はその猛烈なスピードと20mm機関砲の威力で次々に敵機を撃ち落としていく。

 

「あ、青葉だって!」

 

彼女たちに遅れないように、青葉も20cm連装砲で再び反撃する。しかし懸命に撃つもののハウニブは青葉たちを馬鹿にするかのように躱し、隙を見ては自慢のスピードを活かして急降下で脅かす。

 

「きゃっ!」

 

「みんな、大丈夫か!?」

 

郡司の声に、青葉たちは「大丈夫です」と返事をする。これを聞いて、ほっとひと安心した。しかし同時に早く助けなければいけない、という焦りを覚えた彼は走ろうとした。だがハウニブ部隊は「そんなことしても無駄だよ」と言わんばかりに足元を砲撃し、Ho229も同様に「お前たちは大人しくそこで見ていろ」との勢いで急降下体勢にうつる。

 

「もしかして……」

 

郡司たちが凝視した。

 

敵機の腹には、500mlペットボトルほどの大きさはある爆弾を四つも吊り下げていた。これはまさか……と察した郡司と青葉たちは叫んだ。

 

「同志。早くその場から離れろ!」

 

「「「「司令官(提督)。早く逃げて!!!」」」

 

 

 

眼を開く。頭の回転が悪いのか、負傷しているせいなのか。周囲の動きはえらく緩慢で、酷く遅いように見えた。頭上を見上げると自分に襲い掛かる敵機が見えた。

 

―――早くここから逃げなければ、しかし駄目だ。弱った身体では思うままに動かない。

 

すまない、借りるぞと先ほど話していた憲兵、彼の死体から一丁の機関拳銃、それはオーストリア国家憲兵隊の精鋭対テロ部隊である《GEK COBRA》からの要請を受けて、フルオート機能を搭載した機関拳銃G18を拝借、敵機を撃つ。撃つ。撃つ。撃ちまくる。全マガジン内にある9mmパラベラム弾は放たれるのだが、急降下体勢に移った敵機に思うように当たらない。意識が朦朧としているせいで照準にすら合うことすらもままならない、抵抗をする事をしている間にも郡司たちの叫び声を無視するよう、獲物を捕らえようと急降下をするHo299と、円盤機ハウニブ部隊が秀真に、雲霞の如く押し寄せる。

 

「同志、危ない!」

 

「「「提督(司令官)ーーーーーー!!!」」」

 

郡司たちの声に伴い、誰よりも助けようと駆けつける青葉の姿が見えた。

 

「司令官ーーーーーー!」




今回はCODシリーズみたいに、いきなりクライマックスと伴い、襲来している敵機を増やしました。

ハウニブは変更なしですが、トリはHo229に変更し、ほかは米軍機を加えました。田中光二作品では米軍機は海軍や陸軍機までも駆り出して、日本機に……おっとこれ以上はネタバレになりかねませんので。

長話はさて置き、次回は迫りくる危機に、あの娘たちが現れます。
次回は少し遅くなるかもしれませんので、ご了承ください。

それでは第五話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
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