超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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予告どおり今回もまた連邦視点からであり、久々のあの悪党大統領と戦艦水鬼さんのご登場であります。
そして連邦国の誇る(?)特殊工作員の実態も少しですが、明らかになります。

それでは、本編であります。

どうぞ!


第四十三話:戦艦水鬼の苦悩

朝鮮半島のど真ん中にある板門店の連邦共和国臨時政府では、湯浅軍事委員会たち同様に、臨時会議が開かれていた。湯浅たちの要請を受けて召集したのである。

その顔ぶれは中岡大統領、国防委員会ナンバー2のチェソンタク次長、人民武力部アンミョンペク総参謀長、そのほかの幹部たち。

深海側は、戦艦水鬼、空母水鬼、軽巡棲姫、駆逐棲鬼と水鬼派の深海・連邦合同軍部たちも出席していた。

 

「北京にいる我が同胞である軍事委員会メンバーたちからの伝言だ。対日作戦《征球作戦》を、つまり沖縄侵攻作戦を3月1日に発起すると言ってきた」

 

中岡はメガネを光らせながら、全員の顔を見回しつつ言った。

 

「ついては我が精鋭部隊にも陽動作戦を起こし、側面支援をしてもらいたいとのことだ。

駄目な部下たちは優秀な俺様を頼りにしてきたということだ。やはり理想の皇帝とも言えるな俺様は、ブハハハハハハ!」

 

中岡派の者たちは拍手喝采と共に、満足な笑みを浮かべたが、戦艦水鬼と彼女派の軍部たちは「馬鹿かコイツ」と言わんばかりの内心を呟き、気のない拍手を送った。

 

「ともあれ具体的に言えば、海空軍で対馬を叩き、九州北部を脅かすと言うことである。

上手くいけば、我が楽園が増えるということだ」

 

中岡は自国を呼ぶときは、情報不足のときだった時の北朝鮮に言われた別称を、未だに『楽園』と呼称している。

前回も期したように、地上の楽園ではなく、地上の地獄と呼称したほうが正しい。

 

「戦艦水鬼、ここはお前の部下たちに頑張ってもらう必要がある。お前と我が精鋭部隊が優秀であるから、侵略軍の一員である自衛隊と多国籍海空軍、艦娘どもと対等に戦えるだろう」

 

その言葉には、一抹の皮肉をこもったのは否めない。

南北から調達(鹵獲)した近代化兵器もあるが、消耗はできるだけ深海棲艦に負担させる。

掩護はするが、中岡たちにとっては来るべき日に備えているのであろう。

戦艦水鬼はついに来たかと感じた。

彼女の本心は、もうここで戦いを止めて日本と停戦講和を結びたいというのが本心である。

これ以上、同胞を死なせたくない。自分たちよりも強い日本や艦娘たちとの戦い続けるのは無意味だと思わんばかりのことであって、日本と艦娘たちとことを構えるべきではない。

しかし、中岡は最初からそのつもりでいる。だが、戦艦水鬼から中岡派に寝返った同胞たちもいる。実権を握られている以上、中岡に従うしかない。

 

連邦海軍の、元は韓国海軍の艦艇は近代化されている。

イージス艦《セジョンデワン級》は先の戦いで全滅したものの、日本のミサイル護衛艦と互角に戦えるミサイル駆逐艦《クァンゲト・デワン級》の後継艦《チュンムゴンイスンシン級》を3隻持っている。

なお韓国は、アメリカ合衆国、日本、スペイン、ノルウェーに次いで世界で5番目のイージス艦保有国であるが、しかし性能はポンコツ同然である。

航行時にイージスシステムが異常を生じ、火災が発生したりなどを数多くの故障を起こしたぐらいである。

また最新鋭の防空駆逐艦インチョン級《カンウォン》《チュンブク》《クァンジュ》を3隻就役させた。同型艦の3隻もいたが、これもまた深海棲艦に侵攻時に轟沈させられた。

この艦はイージス艦に近い能力を持っており、日本のDDクラスとは対等に戦えるだろう。

ほかにハープーン・ミサイル搭載のフリゲート、コルベットなど大小合わせて約190隻の艦艇を保有しているから、数は海自よりも多い。ともあれポンコツが多いのは仕方ないが。

通常動力型潜水艦チャン・ポゴ級を9隻持っている。

これは韓国海軍が手にする初の本格的な潜水艦であり、ドイツHDW社の輸出用潜水艦である209型潜水艦を元にして造られている。

水中排水量は1285トンと、日本のおやしお型潜水艦の半分だが、水中速力は22ノットと僅かに速い。

魚雷発射管は8本を持つが、ハープーン・ミサイルは搭載していない。

かつて韓国はドイツで開発されたAIP型潜水艦を導入しようとしたこともある。AIPというのは無吸気推進のことで、燃料電池よりも推進するので空気を取り入れる必要はなく、長時間潜航できる。

ただし何度も言うが当初は日本の脅威となったが、数多くの開発の失敗に伴い、深海棲艦の侵攻により失われた。

 

連邦海軍は韓国海軍が残してくれた最新鋭艦艇ならば勝てると豪語しているが……

やはりイージス艦、ズムウォルト級、ミサイル護衛艦、DDクラスを多数保有している日本の海自に、少数の多国籍海軍、そして彼らが嫌いな艦娘たちのほうが実戦は優勢である。

また優秀な潜水艦部隊、空軍の支援も受けられるからである。

南北から調達したこちらの空軍は主力戦闘機F-16C/Dは双方合わせて180機、戦闘爆撃機タイプに改良されたF-15Kは30機を保有している。

なお中国から調達(鹵獲)したステルス戦闘機J-21およびJ-31もあるが、これは中岡の悪趣味な豪邸を防衛する防空戦闘機として使うため征球作戦に参加できない。

 

「それだけではない。俺様の忠実なる部下である湯浅主席、忠秀副主席の特使から特殊作戦の要請が来た。

なんでも日本は例の重爆などだけでなく、空母に、またしても新型艦娘らを持つに至ったと言う。これらの新型兵器がどこからどうチョッパリどもの手に渡ったかは、誰にもわからない」

 

チョッパリと言うのは「豚の足」を指していて、要するに下駄や足袋を履く日本人を豚になぞらえるようとする表現であり、朝鮮語における差別用語のひとつで、日本人に対する侮蔑表現である。

 

「しかし、現実に軍国主義を復活させようと日本は手にしている。

謎の重爆のために我が連邦のミサイル基地、海空軍基地は散々な目に遭わされている。

しかし我が同胞たちはそれにもめげず限界を超えて、なおも日本を叩こうとしている。

俺様がいずれ世界皇帝になるための奉仕と、我が同胞や国民たちの闘志を見倣い、これを労わなければならないためにも答えなければならない」

 

中岡は次第に熱をおびて、アジな口調となった。

戦艦水鬼たちは「脳筋なお前たちが無意味な精神論と根性論を押し付けているのだろう」や「いつかの時代遅れの老害たちと変わらないな」と呆れ果てていた。

 

「さて、特殊作戦だが、これらの謎を解くためには日本政府ないし軍部の高官のどちらかをひとり拉致せよとのいうものだ」

 

「高官ヲ拉致スルダト?」

 

普段から冷静な戦艦水鬼もさすがに声を張り上げた。

 

「ソンナコトガ出来ル筈ガナイ。第一、ドウヤッテ日本ニ潜入スルノダ?」

 

「潜入自体は我が地上の楽園ともいえる北朝鮮様と偉大なる北の将軍様一族が散々やったから大丈夫だろう。

日本なんて所詮は赤子を手でこねることが簡単にできるほど無防備国家なのだからな」

 

中岡はにやりとした。かつて北朝鮮は1970年から1980年代にかけて各国の拉致を行なった。金一族はいくつかの情報機関に競わせてやらせておいたのである。

 

「日本は、まさか我々が潜入するとは思うまい。その隙を衝くのだ。

日本沿岸部に接近するのは我が連邦海軍の潜水艦、ロメオ級潜水艦で十分だろう。

俺様は佐世保に狙いをつける。あそこは米帝侵略軍の一員である海自の基地があるからな。

特殊部隊員を潜水艦に乗せて沿岸に接近、ゴムボートで上陸させ、敵が気付かぬうちに司令部に侵入し、幹部を拉致し脱出する。むろん大胆な作戦、無謀な作戦であることは分かっている。しかし無謀な作戦だからこそ成功するものだ。人間には限界がないからこそできる。

日本は、まさか我々がもう一度日本に戻ってくるとは思ってもいないだろう。

いま潜入要員を保衛司令部に人選させているところだ。第八特殊軍団から選ばれることになるからだろうが。

しかも我が特殊軍団の多くは、我が息子たちともいえる同胞たちで集っている。

人間離れした能力で最強だ。飲まず食わずで、冬の山中を40キロの装備を背負って三日間も歩き抜く。また一人で日本人5人を相手にできる」

 

中岡の言う通り、男女合同の精鋭部隊である。

その多くは大学生や社会人、年配者もおり、ヤクザなど反社会組織の者たちを徴兵し、彼らを第八特殊軍団並みに育成している。それを模倣しているが、実際のところはゴロツキ集団とさほど変わりない。

子供の持つ独特な不安定な思春期と、ヤクザが得意とする暴力的な手段を両方合わせたのだから性質が悪い。

また実験として行われたが、彼らの手口はISILによる日本人拘束事件のように首を斬るのは当然で、銃やナイフだけでなく身近な道具を使い、被験者の頭を原型が留めることなくミンチ状態にしたなど残虐極まりないテロリスト集団と言ってもいい。当の本人たちは「正義の特殊部隊」だと本気で信じている。

余談だが深海棲艦相手でも勝てるのではないかと、鬼・姫・水鬼にも襲撃をしたが、言わずとも返り討ちになったのは言うまでもない。

 

話しは戻る。

これを聞いた戦艦水鬼は、なるほどねと答えるのが精いっぱいだった。

彼女としては、そう相槌するしか方法がなかったのだ。

 

「ともかくお前たちは以上の命令に乗っ取り、作戦を立てろ。

これは陽動作戦だからして、北九州に上陸すると思わせて、なるべく派手に騒ぎ立てるのが望ましい。いや、五島列島あたりを占領しても構わんぞ」

 

中岡はまたにやりとした。

 

「ともかく、貴様の艦隊と我が最強で精鋭艦隊ともいえる連邦艦隊の奮戦に期待しておる」

 

戦艦水鬼や彼女の同胞たちは、渋々と頷くしかなかった。

 

 

 

戦艦水鬼たちは自分たちの拠点に戻るとやむなく、軍幹部を召集、作戦会議を行なった。

なにしろ、時間がない。

彼女の同胞たちは突然降って湧いたようなこの作戦命令に驚いたが、しかしいずれにしろ連邦が支援を要請してくることは、予知していたはずだ。

情報によると、日本の空自は九州各基地にF-15主力戦闘機に、F-3ステルス戦闘機《心神》を双方合わせて100機、F-2支援戦闘機、また空自と米空軍をはじめとする多国籍軍のF/A-18《スーパーホーネット》を合わせて100機を集めている。

 

いっぽう南北連邦空軍の主力は、F-16主力戦闘機が180機で《クラーケン》《ヘルキャット》は生産が追い付かず発注中。発生型の《ヘルダイバー》《アヴェンジャー》も同じく発注中。

F-15Kは温存し、旧式の攻撃機に頼るしかない。

中岡が何気なくもらした、五島列島を攻撃するという選択肢は、空軍幕僚長は気に入った。

ここまで済州島(朝鮮半島の西南、日本海、東シナ海、黄海の間にある火山島)を基地とすればひとっ飛びである。揚陸艦すら実際に使えるかもしれない。

九州本土はともかく、長崎から離れた五島列島で、上陸作戦を行なうと見せかければ日本と艦娘たちも信じるかもしれない。

ここはまず空爆を集中。揚陸艦と港湾棲姫たちも準備させて……むろんダミーだが……艦隊の護衛のもとに出撃する。当然、日本のF-15、F-3、F/A-18などを繰り出してきて苦戦は免れないだろう。

海戦に持ち込まれれば、苦戦は免れないだろう。また自分たちよりも強敵な艦娘たちにも勝てるかどうか分からない。

したがって適当なところまで戦い、タイミングを見計らい、損害が大きくならないうちに撤退する。

中岡の大統領府に連絡したところ、彼も承認した。後者に関しては全く知らないが。

 

問題は、同胞たちの支持をどう取り付けるかである。

連邦共和国が誕生したとき、同胞たちも熱狂したが、連邦国が対日戦争を始めるあたりに風向きが変わった。

もうここで停戦したい。もはや同胞たちも厭戦気分が芽生え始めたのである。

しかし止めようにも止められない状況、最悪な状況にまで陥ってしまった。

戦艦水鬼以下、中岡と言う人物の本質を甘く見過ぎていた。

中岡はブラック提督の支持を取り付けて連邦国の元首となった人物である。

かつての特亜、いわゆる先軍政治を復活させ、打ち出した。

そして多くの者たちは日本を膺懲どころか、挙げ句の果ては世界を滅ぼしたいほどの好戦的であり、ならず者たちの集まりとなってしまった。

敵である艦娘を打倒するどころか、世界を相手にすればもはや手におえられない。

彼らの作ったツケは自分たちには押し付けず、全て戦艦水鬼たちに押し付けた。

まるでブラック企業の幹部たちが、責任を全て部下たちに押し付けるように……

 

不本意ではあるが、深海・連邦軍は兵力の配置を始めた。

 

空軍基地はソウル南部にあるが、これを釜山周辺に移し、一部は済州島に持っていく。

海軍基地は東海に第三艦隊司令部。平澤に第二艦隊司令部。釜山に第四艦隊司令部がある。

かつて韓国が存在していた頃に、仮想敵国だった北朝鮮を抑えるため、平澤の強力だった第二艦隊を配備させていた。これを釜山と、一部は済州島に移す。

ほかの艦隊は釜山に集結させ、また揚陸艦と港湾棲姫たちも釜山に集結させる。

 

3月1日を期して作戦を始める。

最初は五島列島への空襲。また攻撃機で北九州諸都市も空爆する。

自衛隊・多国籍軍、艦娘たちに主目標がどこか分からないように思わせて、五島列島を目掛けて済州島から揚陸艦と港湾棲姫たちを出撃させる方針である。

 

 

 

いっぽう連邦軍部では、日本に空母と、ふたりの新型艦娘が出現したことにかんがみ、作戦変更を余儀なくされた。

 

まずは重爆ないし中爆両機合わせて120機により、南九州から奄美諸島にかけてまんべんなく空爆……簡単に言えば無差別爆撃を行なえということである。

そのあと空母戦闘群とふたりの人造棲艦《ギガントス》を寧波から出撃させ、鹿児島に向かうと見せかけながら途中で変針し、沖縄に向かう。

これは深海棲艦と挟撃して北と南九州を攻略するのではないかと思わせるためである。

敵の攪乱を利用して、揚陸部隊を乗せた艦隊が福州から出撃、沖縄に向かう。

問題は日本空母部隊とふたりの空母娘の動きで、これを沖縄よりできる限り遠ざけることもしておかなければならない。

したがって二線級の艦艇、使い捨て同然の深海棲艦で囮艦隊を編成、鹿児島湾に突入させることにした。敵は必ずこの餌に喰らい付くだろう。

その隙に味方空母部隊と人造棲艦《ギガントス》は沖縄上陸を支援する。

いったん橋頭堡を作ってしまえば、自衛隊・多国籍支援軍の両軍といえども、容易く奪還できないはずである。そして嘉手納基地を占領、味方機を進出させる。

 

これが征球作戦の第一段階であり、その後の展開は流動的にならざるを得ない。

アン総参謀長は、空母艦載機パイロットの訓練仕上がりと、そしてふたりの人造棲艦《ギガントス》の性能について不安はあったが、もはやそんなことは言っておられない。

空母艦長には最優秀の人間を当てており、ギガントスは最低限の命令は聞けるように改良している。とある命令も含まれているが。

日本も空母と新型空母娘を持ったからといえ、さしたる訓練期間がなかったはずだから、条件は同じである。まず対等に戦えるものと踏んでいた。

 

しかし何度も言うが日本の海自、元帥、秀真率いる提督たちには、帝国海軍機動部隊のDNAが潜んでいる。

元日本海軍だった中岡を始めとするブラック提督たちこと連邦海軍にもそのDNAはあったものの、日本を敵視し、そして、元帥、提督、艦娘たちに対する憎しみだけしかない者たちはすでに薄れており、とっくの昔に捨て去ったと言っても良い。これが大きな差になって響いてくる。

 

この重要なことを、アン総参謀長にはそこまでは思いが及ばなかった。




もはや全ての責任を戦艦水鬼さんに押し付けているのであります。
しかも第八特殊軍を模倣した工作部隊は、ろくでもない集団の集まりでもあります。
その特殊工作員たちには、のちほど、まだ先ですが元帥のあの部隊がお仕置きにし行きますので、しばしお待ちを。
すでにお察しの読者もいますが、あの人が用意した例の部隊でありますので、お楽しみを。

神通「提督、そろそろ次回予告を…」

では長話はさて置き、次回予告であります。
次回は戦艦水鬼さんが主役の話であり、彼女の前に、あの人が現われます。
一種の精神攻撃と言ってもいいでしょうかね。そして彼女と共に戦った先の大戦で活躍した人物も現れますので、それは誰なのかは、次回のお楽しみであります。

それでは第四十四話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。

神通「ダ、ダスビダーニャです…提督、お疲れ様です。それでは間宮さんと伊良湖さんが用意してくれた七草粥を一緒に食べましょう」

無病息災を願って……

???「今日は厄日だわ!」

おや、某メイトリックス大佐とシンディがドライブしている人がいま通り越したような気が……気のせいかな?(もぐもぐ)
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