超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
最初に訂正としてとある話で杉浦統幕長を一部ですが、”総”幕長と間違ていました。
むろん修正しましたが。
今回は予告どおり、連邦・深海棲艦による沖縄侵攻作戦《征球作戦》を阻止するための防衛会議を開始します。
あと今回は後書きにゲストキャラたちも出ますので、お楽しみを。
長話はさて置き、それでは本編であります。
どうぞ!
市谷台の幕僚監部では、首相・元帥の臨席を仰いで、防衛会議が開かれていた。
いつものように首相官邸地下でないのは、ここ自衛隊・日本海軍合同総司令部のほうが作戦面を具体的に立てやすいからだ。そのための施設が整っている。
つまり両軍のためのオペレーション・ルームがあり、首相官邸地下室のコマンド・ルームにも同じ情報が伝わるようになっている。
その広大なオペレーション・ルームには広い《データ・プロジェクション・スクリーン》が用意され、日本全図から東アジア全図まで拡大して映し出させるようになっている。
また戦況も書き込める。
いま秀真は、杉浦統幕長自ら今回のZ機による空爆戦果の説明を受けているところだ。
秀真たちほかに同じく古鷹をはじめとする秘書艦たち、首相、元帥のほかには主席補佐官、危機監理官、関係閣僚たちが招集していた。戦前の日本であれば文官統制でないから、軍の作戦は軍で決める。
いや、明治憲法下では統帥権と言うものがあり、名目の上は天皇が全ての作戦を決める権限を持っていたが、これは有名無実で全ての作戦は軍が決めた。
軍部がこのよう統帥権を振り回し、横暴を極まったことは歴史に記している。
話しは戻る。
Z機のよる作戦では、必ず戦果確認機が1機付き添い、写真およびビデオ撮影を行なうことになっている。地上が雲で覆われている時は赤外線撮影に切り替え、撮影を行なう。
その地表状況を微細に分析するチームが幕僚監部には付随しており、戦果データとなって表される。
秀真たちが驚いたほどにZ機による空爆任務の結果は猛烈なものであり、瀋陽近くの基地または福建省北部沿岸の破壊ぶりは凄まじかった。
Z機が搭載している1トン爆弾は絶大な威力を誇り、連邦北部地方のミサイル基地は全て壊滅したと思われた。
これでともかく、核弾頭搭載中距離ミサイルによる脅威はなくなった。
また、沖縄を指向していたと思われる鬼角弾や東風15号などの脅威も消滅した。
「連邦はまだ400基前後の鬼角弾や東風15号戦術ミサイルなどを持っていますが、これら全ては台湾に指向されているものです。もしこれらを外してしまうと台湾に対する威圧が消えてしまうので、そこまでは踏み切らないと思います」
杉浦統幕僚長が説明した。
「なるほど……台湾の動向はどうかね?わたしはこの機会を見て、二度目の機会ではあるが、レン総統は独立宣言するような気がしてならないが」
「おそらく総統は様子を見ているでしょう」
大洲外相は答えた。
「もう少し連邦国の旗色が悪ければ、独立に踏み切ると思いますが……すでにチベットや新疆ウイグルでも火の手があがったことですしな」
「いまここで台湾がそうしてくれれば、大いにありがたいのですが……」
矢島防衛省長官は言った。
「その場合、連邦国は黙っているわけにはいきませんので、我が国と台湾の二正面作戦に踏み切ることになりますが、それをカバーするだけの海軍力、空軍力は限度があると思います、基本的に中国のように陸軍国を模倣していますから。
かつてロシアと同じです。大陸の陸軍国の特徴は、外に攻め込むときは必ずしも有利ではないにしても、逆に攻め込まれると極めて有利だということです。
国土の広さも武器としていますから……アメリカが戦略ミサイルを撃ち込まない限りは、滅ぼすことは無理でしょうね」
秀真たちはそこまで追い込まれると変な気を起こして全世界を敵に回すか、それとも盟友である深海棲艦が先に降伏するか停戦講和を結ぶかもしれないと想像しているが……
連邦の大統領と幹部は徹底抗戦する可能性も高そうだが、果たしてどの国に亡命するかは分からないが。
「我々はただ火の粉を払いたいだけなのだ。それを忘れてはならない」
安藤首相は不機嫌そうに言った。
「分かっております」
彼の言葉に、閣僚たちは異口同音に答えた。
「さてと、具体的な話しに移ろうじゃないか」
場の空気を変えるため、元帥は杉浦統幕長に声を掛けた。
「杉浦統幕長。これから連邦・深海棲艦はどう出てくると読みます?」
「東風15号を沖縄に指向していたことからして、両者の次期作戦は、まず沖縄侵攻作戦と言うことでしょう。
おそらく例の空母戦闘群と、2種類の人造棲艦《ギガントス》をなんとか有効に使いたいところでしょう。
これはわたしの勘ですが、おそらく連邦共和国は盟友である深海棲艦、恐らく陸上タイプを動員させ、南部から九州、沖縄を挟撃してくると考えられます」
「九州に上陸してくると考えられるのかね?」
安藤が聞くと、杉浦統幕僚長はかぶりを振った。
「連邦国と深海棲艦両者ともそれが可能な空海軍の支援力、また陸上タイプの港湾水鬼や特亜の残した揚陸艦も持ち合わせません。
深海棲艦が九州を攻撃して来るとすれば、これは陽動作戦であり、我々を攪乱し、連邦海軍の動きを容易にするためと考えます。もっとも深海棲艦といっても韓国軍から鹵獲した連邦艦隊であるのは御承知の通りです」
杉浦は言ったが、実は間違っていたのである。
「本職が連邦司令官であれば、まず済州島を足掛かりとして、釜山に兵力を集めて、まず対馬を叩いてから五島列島を叩くでしょう」
杉浦はレーザー棒を持つと、スクリーン映像に向き直った。
そこには九州、朝鮮半島、沖縄、南シナ海、そして連邦東部沿岸が映し出されていた。
「ここで彼我の戦力の比較をざっとおさらいしておきたいと思います。
まず南北にいる連邦軍、元は韓国軍でもありますが、空軍は主力戦闘機F-16K……つまりF-16をライセンス生産した韓国バージョンを180機持っており、F-4戦闘攻撃機も140機、そして虎の子であるF-15を戦闘攻撃機型に改良したF-15Kを30機ほど持っていますから攻撃力は充分にあります。
海軍力は深海棲艦を除くと、我が国のミサイル護衛艦に匹敵する《クァンゲト・デワン級》の後継艦《チュンムゴンイスンシン級》を3隻、また最新鋭防空駆逐艦インチョン級《カンウォン》《チュンブク》《クァンジュ》が3隻就役しており、これらは我が国が保有するDDクラスに匹敵する戦力を持っていると思います。
この6隻が主力ですが、ほかにハープーン・ミサイル搭載のフリゲートを9隻ほど持っていますが、実態は船団護衛用に造られたフリゲートに過ぎません。
あとは高速ミサイル艦艇などですが、これらは数が多いにしろ、外洋で戦うようには造られておりませんので、まず出ることはないでしょう。
我が海自の護衛艦群や多国籍支援海軍に、そして元帥たちの艦娘たちもおり深海棲艦には有効ですが、連邦軍も相手にしなければならないので、我々は兵力を二分にしなければならず、それぞれに対しイーブンとなっております。
連邦海軍のもうひとつの主力、例の空母《天安》と人造棲艦《ギガントス》を除くと……ドグウ2隻、新たに就役したカメ2隻、温存している旅洋Ⅲ型2隻、改ソブレメンヌイ級2隻、コワンチョウ級駆逐艦1隻、マーアンシャン級フリゲート1隻が最新鋭駆逐艦ないしフリゲートで、ランチョウ級駆逐艦は準イージス艦機能を搭載していると噂されていますが、詳しいことは不明です。
しかし我がミサイル駆逐艦、イージス艦、灰田から供与されたズムウォルト級とほぼ互角の性能を持つものと考えています。
あとはルーター級やルーフー級、ルーハイ級の駆逐艦ですが、これらの一部は我が海自と多国籍海軍に、そして元帥たちの艦娘たちなどが交戦しており、戦力に劣ることがはっきりしました。
またチェンウェイ級のフリゲートを多数蹴散らしておりますが、これは先の海戦で秀真・郡司率いる連合艦隊に蹴散らされていたようでさしたる脅威にはなりません。
また、連邦海軍は潜水艦を旧型を中心に100隻持ちますが、これらはいずれも沿岸作戦用で、外洋に活動できるのは増産中のキロ級、虎の子のハン級、ソン級程度でしょう。
むろんもうひとつの切り札とも言える戦略原潜のシア級は別格ですが。
海自は、すでにイムヤたちとともにハン級戦略原潜と思しきものを1隻、また多国籍海軍はキロ級を5隻撃沈しましたので、いずれにしろ我が潜水艦群が有利と考えます」
海自・イムヤたちが撃沈したのは第二次南シナ海戦でハン級を、多国籍海軍は壊滅した第七艦隊がキロ級を4隻、また海上任務中の多国籍海軍が工作員を乗せたキロ級1隻を撃沈した。
「問題は空軍力でありまして、連邦空軍の作戦機は2000機以上を呼称しています。
しかしその大半は、ミグ19や21を改良機でありまして、さしたる脅威はありません。
しかし、ツポレフ16を国産化した《轟炸6型》は、約120機を保有しております。
この機体は旧式化していますが、改良されており、最大速力はマッハ1、ペイロード9トン、戦術核も持ちます。
また双発中型爆撃機IL-28《ビーグル》の中国ライセンス型の《轟炸5型》を持ち、こちらのペイロードは3トン、作戦可能範囲は1000キロと言われますので、連邦国から沖縄、南九州まで充分に届きます。
これを護衛すべき戦闘機は4種類、最新鋭戦闘機《クラーケン》《ヘルキャット》に続き、中国のステルス戦闘機J-21、31は我が軍の爆撃でだいぶ消耗しましたが、まだ少数ほどは残っていると考えております。また戦闘爆撃機としてJ-10、JH-7の存在も侮れません」
実は諜報部隊による情報では、これら4種類の戦闘機を各200機ずつ保有していた。
しかし統幕僚長の説明通り、Z機への迎撃で次々と失われ、数えられるほどになったのは事実である。
「これらの戦闘機ないし戦闘爆撃機が、重爆と中爆を護衛しつつ沖縄空域に侵攻してくると考えています。しかし、すでに早期警戒機を飛ばして対馬海峡および東シナ海域を警戒していますから、奇襲をかけることはありません。また潜水艦部隊も哨戒しております。対馬海峡に6隻、東シナ海に6隻出しております。
我が国が保有する主力戦闘機F-15《イーグル》は150機、ステルス戦闘機F-3《心神》は50機の両機は九州と沖縄に分け、さらに多国籍支援空軍のF/A-18も40機ずつ分けて配備しております。これらは艦艇攻撃が可能です。
艦娘・護衛艦群については第一と第二を沖縄に、第三および地方隊と多国籍海軍などを佐世保に集め、それぞれ対応することになっています。
数から見れば我々は劣勢ですが、性能によって充分に補うことが可能ですから、ご心配なさるにはありません」
「いや、わたしは心配などしとらん。ただ国民の犠牲をできる限り少なくしたいだけだ」
安藤首相は素っ気なく言った。
「対馬と五島列島住民の避難は、早急に取り図らってくれたまえ」
「もうその件については進めております」
如月官房長官が答えた。
「沖縄県民の避難も80パーセントが完了しました。あともうひと息です」
沖縄県の人口は130万人あたり。これを全員移動させるのは容易いことではない。
民間航空機、船舶はピストン輸送、空自・多国籍空軍のC-130輸送機に、秀真や古鷹たちなども積極的に協力して行っている。
それでも一部では頑として動かない者もいた。とくに老人たちは「この島で死にたい」と言って動かない。
強権でそれをむげに動かすわけにはいかなかった。
「ところで機動部隊……いや、今の用語で使えば、空母戦闘群か……それから対人造棲艦《ギガントス》打撃艦隊は……これをどう動かすのかね?」
安藤は聞いた。
自衛隊幹部にとっては米軍の空母戦闘群に比べれば、たかが6万トン級の空母1隻プラス護衛群を“戦闘群”を呼ぶのはおもはゆい。
この語源はアメリカの《タスク・フォース》を、つまり元々は任務部隊だったが、それが転じて機動部隊となったものである。言い換えると、米軍には機動部隊と直訳される英語はない。全て任務部隊と呼んだ。
太平洋戦争時でも、米軍はグループと言う言葉を好み、任務群と呼んだ。
戦争末期、米海軍のマーク・ミッチャー中将(最終階段:海軍大将)は強大な空母任務群を四個も率いていた。
エセックス級の正規空母2隻ずつ、それに軽空母(護衛空母)も多数も加わっているのだから豪勢である。
この四個群のうち1個群ずつを交替で、太平洋の彼方のクルシー環礁で休養に出すほどの余裕があった。
この時点以降、米海軍は世界最強の艦隊を保持するというタイトルを奪われたことはない。
しかし縮戦においては、日本海軍が世界最強だったことを記憶にとどめて欲しい。
「はあ、飛鳥を中核とする空母部隊につきましては、秀真提督の機動部隊と、海自の第四護衛隊群で守らせ、まず鹿児島湾に置いて遊軍としたいと考えております」
杉浦の言葉を繋ぎ合わせるように、元帥も説明した。
「また万が一に備えて、わたしの連合艦隊と、戦艦空母《富士》たちによる合同艦隊で、別行動するであろうとするギガントスを倒すための支援艦隊も同じく派遣させておきます。
連邦空母部隊、未知の人造棲艦の出方が分かりませんので、これがはっきりし次第、向かわせたいと思います」
「それで間に合うのかね?」
安藤の問いに、元帥は答えた。
「はあ、この艦隊は速力30ノット以上は可能ですし、空母《飛鳥》には米軍主力艦載機に、
さらに土佐・紀伊が搭載可能な艦載機は200機または大型爆撃機《連山改》を4機搭載可能です。また全艦娘たちにもレーザー砲と特殊魚雷もですが、全空母娘たちにも新型戦闘機もレーザー砲が搭載されております。
これで敵の艦載機を翻弄することはもちろんですが、ギガントスに対しても非常に有効的であります」
元帥に続き、杉浦が答えた。
「空母《飛鳥》も機種は空自も持っていない米軍の空母戦闘団と、元帥たちの超空母娘《土佐》《紀伊》も強力であるということをお忘れなく。
なにしろ艦載機は、世界最強の艦上戦闘機F-14《トムキャット》と、F/A-18《スーパーホーネット》もまた世界最強の戦闘攻撃機であり、艦艇攻撃もできます。
しかもステルス化された無人機ですから人間の操縦する機体にはできない動きも可能です。
空母《天安》が載せているJ-31ないしSu-33に負けることはまずありえません。これらと遭遇した時の連邦軍パイロットと、深海棲艦、人造棲艦の顔が見たいものです」
杉浦はじめ自衛隊幹部たちはにんまりしたが、安藤はにこりともしなかった。
また元帥をはじめとする良識派幹部に、秀真・古鷹たちも真剣な顔を崩すことはなかった。
「諸君。これはゲームではない。あくまで実戦だ。戦えば負傷者ないし死人が出る。
恐らく我が方にも出るだろう。総司令官として、わたしが一言うならば、緒戦において敵を決定的に叩き、敵の戦意を奪い、戦争を長引かせないようにしてもらいたい。
その方がお互いに犠牲を少なくて済む。我が国土も荒廃せずに済み、そして未来ある彼らと、彼女たちのためにもなる。……分かったかね」
「分かりました」
自衛隊幹部たちは笑顔を消して答え、元帥たちは「その通りだ」と頷いた。
安藤首相の言う通り、秀真はZ機が登場した時点で深海棲艦たちはもはやショックを受けて矛を収めて、停戦講和ないし和平講和を申し出るのではないかと期待していた。
しかし裏切り者である中岡たち率いる連邦国は、どうするかは分からない。
深海棲艦と同じようにするか、果ては徹底抗戦するかの二択である。
それこそが、中岡たちが戦争を諦めない最大の理由だろう。
灰田「どうも、皆さん。今回はわたしも担当を務めます。作者は少しだけお休みしていますので」
秀真「今回は俺と古鷹たちは無口でしたがだったが、忘れてほしくないな」
古鷹「私も出席しましたけど、ほとんど無口でしたね」
灰田「いよいよ沖縄侵攻では彼女たちこと《土佐》《紀伊》の出番が来ますね。むろん空母《飛鳥》とレーザー砲と特殊魚雷、新型戦闘機もそうですが」
秀真「まあ、そうなるな。その前に次回はその二人の主役のほのぼの話だったな」
灰田「ええ、次回は彼女たちが秀真提督と古鷹さんたちにとある悩みを抱えて、彼の艦娘たちとともに緊急会議をします。その悩みとはいったい何かは次回のお楽しみに」
古鷹「久々のほのぼのですから、緊張しますね」
秀真「普通にしておけば大丈夫さ。慣れていればいい」
灰田「ではそろそろお時間ですので、第四十六話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真・古鷹「「ダスビダーニャ(さよならだ)」」