超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
では予告通り、ついに連邦・深海棲艦による沖縄侵攻作戦《征球作戦》編が開始します。

灰田「まずは言われなくとも初戦、お決まりの空戦から始まります。なお左文字一尉がゲスト出演しますのでお楽しみを」

それでは、改めて……

作者・灰田「「本編であります。どうぞ!!」」


第五十話:連邦軍、東へ

3月1日、早朝。

連邦・深海合同艦隊がすでに陽動作戦を繰り広げていることを知った連邦軍部は、征球作戦の発動を各軍に命じた。

港湾棲姫たちからは、南北艦隊は大損害を被り、さらに姉である港湾水鬼は敵の捕虜となり敗退したことを知らされた。

怒り狂った幹部たちは港湾棲姫たちを高速修復剤で修復した後は、罰として北方棲姫とともに出撃して、次の沖縄攻略戦で死ねと懲罰艦隊に配属された。

この艦隊には、第二次南シナ海戦で失態を犯した空母水鬼と装甲空母姫などもいる。

彼女たちは東シナ海戦に出撃させる。最悪なことに、中岡大統領直属の督戦艦隊という見張りもいるので、捨て身の覚悟で前進するしか方法はない。

しかし日本の護衛艦、艦娘たちにもだいぶ損傷を受けているから、陽動作戦は取りあえず成功したと、忠秀は考えていた。

 

東シナ海のかつて日中境界線上を3機のE-2D早期警戒機が哨戒任務中に威海(ウェイハイ)、寧波(ニンポー)、福州(フーチョウ)の三方面からそれぞれ出てくる大艦隊を探知した。

同時に逝江省方面から飛行して来る連邦軍機の大軍を、沖縄本島西海岸に設置された早期警戒レーダーが探知した。

威海にもっとも近かった早期警戒機は空母らしき艦影と、新たな深海棲艦、そして潜航中と思しき敵艦、2隻の人造棲艦《ギガントス》をレーダー探知、司令部に報告した。

 

これら早期警戒機がキャッチした連邦・深海合同艦隊は合わせて500隻にのぼる。

かつての中国艦艇は1000隻に及んだが、その大半が沿岸作戦用小艦艇、旧式化したフリゲート、潜水艦などである。

しかし深海棲艦の侵攻時に多くの艦艇が撃沈され、史実上、中国艦隊は壊滅した。

生き残った艦艇は数えきれるほどであるため、不足分は深海棲艦で補っている。

自衛艦・艦娘たちと対等に戦えるのはドグウ、カメを含め、合わせて20隻程度である。

500隻のなかには空母《天安》と人造棲艦《ギガントス》と、連邦・深海合同護衛艦隊……空母戦闘群が含まれて、水中からはハン級原潜4隻が守っている。

 

また、三個旅団を乗せた揚陸艦部隊も新鋭艦に守られている。

 

連邦海軍司令部は旧式フリゲート、沿岸用ミサイル艇なども繰り出してきたのである。

数だけ揃えれば敵が委縮すると考えたのだが、前にも記したように現代の海戦は、時代遅れのシッティング・ダッグも同じなのである。

いっぽう早期警戒レーダーが捕捉した敵機は大中小のグリップからなり、大型は重爆H-6K、中型は中爆H-5、最後の小型は多種類の護衛戦闘機である。

最後尾にも大きな機影が映った。これは空挺部隊2個連隊……完全武装兵2000人を乗せたイリューシンIl-76大型輸送機5機、そして新型輸送機Y-20大型輸送機5機だった。

連邦陸軍は本隊上陸前に精鋭最強たる空挺部隊を降下させ、存分に暴れさせるつもりであった。

指揮官にはできるならば嘉手納基地を占領せよと命じてさえいた。

それも道理で、この空挺部隊2個連隊は、同じ連邦特殊部隊の第八特殊軍団には及ばないにせよ鍛え抜かれた特殊部隊だったからである。

ほかにも連邦海軍も作戦変更をしたが、それは後で分かることになる。

 

この報告を受けて統幕本部では、嘉手納基地に待機していた空自・多国籍空軍合同戦闘機飛行隊のスクランブル発進を命じた。

敵の重爆ないし中爆はなるべく沖縄に近づかせない、東シナ海上空で片づける肚である。

空自のF-15、F-3《心神》に、多国籍空軍はF-35《ライトニングⅡ》と、Su-35《スーパーフランカー》からなる合同迎撃戦闘機150機が嘉手納基地から発進して急上昇、四機編隊を組んで、敵に向かった。

F-2支援戦闘機、F/A-18E《スーパーホーネット》の両機は温存している。

これは連邦艦艇・深海棲艦を攻撃するためで、対艦兵装に置き換えられている。

 

空自・多国籍空軍の両戦闘機隊は高度一万メートルをマッハ二のスピードで飛行して二十分後、同高度で飛行して来る連邦空軍機の大群を発見した。

轟炸6型……ツポレフ重爆は双発ジェット爆撃機で、ソ連では『バジャー』と呼ばれている機体である。最大速度はマッハ1を可能とし、爆弾搭載量9トン、巡航ミサイルも搭載可能であり、これらが嘉手納まで到着すれば脅威である。

さらに双発中型爆撃機《轟炸5型》が続き、いずれも梯団を形成している。

これを殲撃10、11、輸出向け軽戦闘機FC-1を始めとする戦闘機隊が守っていた。

その数は300機も超える。連邦空軍は旧式戦闘機J-7を400機、J-6に至っては2600機も持っている。

沿岸基地から発進させれば、これら旧式戦闘機は辛うじて作戦半径に入る。もっとも空戦時間は取れない。

連邦空軍は元より中国空軍は防衛コンセプトのもとに作られ、渡洋作戦は台湾を除き想定していないに等しい。

これは日本も同様だが、作戦行動半径が変わりないのであれば、守る方に分はある。

連邦空軍のなかでもタメを張れるのは深海・連邦共同開発戦闘機《クラーケン》《ヘルキャット》に、J-21、31だが、前者は参加しているが、後者は温存されている。

それらの代わりに旧式機で立ち向かえるか、どうか分からない。

もともと中国軍機は韓国軍機と同じくらい、エンジントラブルが多い。

完調あたりでようやくF-4EJ戦闘機に立ち向かえるが、その旧式機に代わり、いまでは最新鋭戦闘機ばかりだから勝てる見込みもない。

 

双方とも超音速のスピードを出しているのスピードを出しているので、たちまち両軍は急接近した。

そう思った時には戦闘に入っていた。

 

まず空対空ミサイルの撃ち合いが始まり、熱線誘導ミサイルが飛び交った。

辛うじて両機合わせて30機残った《クラーケン》《ヘルキャット》は、F-15ないしF-3との死闘を繰り広げていた。

同じくF-35《ライトニングⅡ》に、Su-35《スーパーフランカー》部隊も、空自の戦闘機群を援護しながら死闘を繰り広げ始めていた。

 

性能はほぼ互角、あとはパイロットの腕次第である。

しかしスピードにおいても空自・多国籍空軍の方が優れており、実戦経験も豊富である。

同じSu-27を持つ連邦軍よりも、多国籍軍が保有するSu-35の方が有利である。

F-15、F-3は華麗に敵空対空ミサイルを躱し、逆に《クラーケン》《ヘルキャット》は空対空ミサイルを喰らい、空中爆発ないし爆焔に包まれながら撃墜された。

 

F-35、Su-35両戦闘機群は旧式機に襲い掛かる。

連邦軍が持つ殲轟タイプは戦闘攻撃機で、複座タイプのために機体は重く、運動性が低い。

そこをF-35、Su-35両戦闘機群は背後に回り込み、前者は20mm機関砲を、後者は30mm機関砲を浴びせた。

連邦パイロットたちは必死に回避しようにも機体が重いために、両戦闘機の餌食となる。

コックピットには操縦し、今まで生きていて乗っていた機体を操縦していたパイロットたちから噴き出た鮮血が飛び散り、ガラスを真っ赤に染め、彼らの棺桶となった機体は燃え盛りながら落下していく。

旧式戦闘機部隊は戦闘の渦に入りきれずに、外周をうろうろしてミサイルを放つチャンスを窺っていたが、快速の空自・多国籍軍機がその隙を与えない。

慌ててミサイルを発射したが、空自、多国籍軍機に軽々と回避された。

難敵を片づけた空自・多国籍戦闘機群は、爆撃機部隊に襲い掛かった。

自衛用として20mm機関砲を装備しているが、マッハ2を誇る現代戦闘機にあたるものではない。

逆に各機に搭載されているミサイル攻撃を喰らい、搭載していた兵装が誘爆を起こした。

不運にも隣にいた友軍を巻き込み、多くの機体が火達磨ないし空中爆破を起こした。

ミサイルを撃ち尽くした空自・多国籍戦闘機群は、搭載している機関砲で襲い掛かった。

両パイロットたちは機首を狙い、そこにいる爆撃機クルーたちを抹殺した。

機銃掃射により、全身をミンチ状態になった連邦パイロットたちを搭乗させたままの機体は次々と飛行能力を失い、落下していく。

凄まじい空戦のなかで、連邦爆撃隊の梯団は大きく乱れ、パニックのあまり反転する機体、それが災いし激突して墜落する機体も現れ始めた。

しかし、300機の大群である。日本・多国籍戦闘機群を潜り抜けて、沖縄中部に接近する機体もあった。

 

しかし海中からの刺客が、彼らに襲い掛かった。

突然と海中から対空ミサイルランチャーこと対空機雷が作動し、爆撃隊に襲い掛かる。

これもまた灰田が秘かに用意した防空システムであり、絶大な奇襲効果を発揮できる兵器である。突然の出来事により、連邦パイロットたちは理解できなかった。

それ故に、彼らでは理解する時間を与えない出来事無きに等しいが。

 

それでも反転せずに突っ込もうとする爆撃隊に、左文字尚吾率いる陸自の高射群が待っていた。

 

「よし、撃てッー!」

 

左文字尚吾一尉の言葉を合図に、配備されていたPAC-3《パトリオット・ミサイル》が舞い上がり、これら連邦軍機を捕捉して躊躇うことなく撃墜する。

中部沿岸に近い上空では燃え盛る火の玉が次々と出現した。それが消えると、もはや連邦爆撃機の姿はなかった。

 

彼我の戦闘機もまた兵装を使い果たして、互いに全機反転した。

 

“これ以上の進撃は不可能につき、我が軍は反転する。兵装もまた使い果たしたり。

貴隊はどうするや?“

 

爆撃隊指揮官から、この通信を受け取ったY-20大型輸送機に登場している連邦空挺指揮官カン少将は歯噛みした。

これはもはや護衛戦闘機の支援を受けられないことを意味した。

しかし突っ込むしかない。このままおめおめと帰投すれば、臆病者ないし卑怯者と言う名の重罪で死刑になりかねない。

 

どうせ死ぬなら、敵の攻撃で死にたい。

カン少将は、編隊に思い切って高度を下げるように伝え、海面すれすれに飛行した。

これならば敵のレーダー網を潜り抜けられるかもしれない、と考えていた。

この時代が第二次世界大戦だったら、この戦術は成功していた。

しかし、これは実戦経験を疎かにしたブラック提督たちの甘い判断だった。

また自衛隊のレーダー網も甘くなく、海中に潜んでいるものも同じく。

 

機体が通るのを探知した対空機雷が作動し、先頭にいたY-20大型輸送機を撃墜した。

指揮官機が撃墜されたのを見て、反転しようとしてもできない。

そこで低空飛行で侵攻して来るなと察知した左文字は、高射砲指揮官に連絡して空挺部隊が搭乗している輸送機を充分に引き付けてから撃墜しろと命じた。

 

左文字の言葉どおり、レーダーは輸送機を捉えた。

対空機雷を切り抜けた生き残った輸送機を生かして帰さぬよう、レーダー管制のホーク・ミサイルが、これらを撃墜する。

発射されたホーク・ミサイルは、生き残っていたイリューシンIl-76大型輸送機、そして新型輸送機Y-20大型輸送機を棺桶へと変える。

この無駄死にともいえる空挺作戦のため、クルーおよび2000名もの空挺隊員たちを乗せたまま空中で散華した。むろん生存者はなしである。

無能な指揮官を持ったゆえに、これ以上の無用な犠牲はないだろう。

 

ここに連邦空軍の予備爆撃は終わったが、爆撃を行なった機体は1機もいない。

全て日本の空自に圧倒されてしまったのだった。

 

この最悪な報告を爆撃機隊長から受けたキョウ空軍司令員は怒り狂ったが、アジアでも最強ともいえる航空自衛隊の戦力を過小評価したのが原因である。

この汚名返上は、海軍に任せるほかはない。




第一開幕戦ともいえる航空戦は、またしても日本・多国籍軍に、左文字一尉率いる陸自の高射群の勝利になりました。

左文字「当然の結果だな、もっともみんなのおかげでもあるけどな」

灰田「むろん、わたしの用意した兵器もですよ」

とは言え、まだまだ初戦に過ぎませんからね。
では灰田さん、次回の予告をお願いします。

灰田「では次回は、空戦後は艦隊決戦の準備であります。こちらはまず杉浦統幕長たちの会議から始まり、そして郡司提督と、彼の秘書艦の木曾さんが迎え撃つ準備をします。海戦は第五十二話になりますのでお楽しみを」

郡司「僕も緊張するが、木曾たちがいれば大丈夫さ!」

木曾「当然だ、俺がいるんだから安心しな」

灰田「良い雰囲気になっていますが、ではそろそろお時間ですので、第五十一話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」

左文字「ダスビダーニャ!(なんでロシア語なんだろうな)」

郡司「ダスビダーニャ、ようやく言えたな」

木曾「ダスビダーニャだ。流石だな、郡司♪」

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。
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