超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
では予告通り、連邦国が誇る(?)特殊工作部隊による拉致作戦が実行します。

灰田「今回は一部ではありますが残酷な場面がありますので、お先にご警告いたします」

それでは、改めて……

作者・灰田「「本編であります。どうぞ!!」」


第五十四話:忍び寄る工作員たち

寧波に置かれた連邦海軍司令部では、キョウ司令員は激怒していた。

サイ中将が乗艦しているドグウ、揚陸部隊指揮官、懲罰艦隊の空母水鬼たち、そして彼女たちを監視する督戦艦隊のヤク政治将校からの通信が途絶えていたからだ。

サイ中将の“敵艦接近ス、これより戦闘に入る”との通信は良いが、ヤク政治将校からの督戦命令“我これより敵艦隊に特攻する”との通信を最期にぷつりと通信が途絶えてしまったのである。

キョウは、Il-28双発ジェット軽爆撃機を中国でライセンス生産したH-5爆撃機を偵察用に改良した長距離写真偵察機《轟五》を飛ばし、戦闘海域を偵察させた。

上空から搭乗員たちが視察すると、確かに自軍の駆逐艦、揚陸艦、督戦艦隊の艦艇が全艦炎上して漂流していた。しかしあの懲罰艦隊、空母水鬼たちの姿はいっこうに見えない。

彼女たちの護衛艦は全艦轟沈しているが、空母水鬼たちは勝手に沈んだのかと思いきや……搭乗員たちは目を丸くした。

日本の護衛艦、あの忌々しい艦娘たちが空母水鬼たちを救助していた。

むろん運よく生き残った漂流者たちを救助しており、しかも自分たちの敵である艦娘たちに感謝している姿も見えた。

これはできる限り救助せよと言う、郡司と、司令部荒木田陸将の命令である。

この様子を偵察していた《轟五》は撃墜することはなく、飛龍たちの艦載機が威嚇射撃で追い払っただけである。

 

「くそ、多数の捕虜を出しただけでなく、しかも低能な異端者どもにペコペコ頭を下げて、奴らに感謝しよってこの非国民どもがっ!」

 

キョウはこの不愉快な報告を聞くと、また怒りに駆られた。

これは恥の上塗りであり、計算外の出来事である。

 

しかし作戦結果は、中南海の忠秀副主席の元に直接連絡しなければならない。

キョウ上将は忠秀への直通電話を掛けた。

報告を聞いた忠秀はしばらく無言で、それが返ってキョウには不気味だった。

やがて、忠秀の声が聞こえた。

 

「予備爆撃もまったく失敗に終わったと聞いている。

我が軍の爆撃機や護衛戦闘機も、日本・多国籍戦闘機に全く歯が立たなかったそうだ。

沖縄に接近した我が精鋭たる空挺部隊はミサイルで撃ち落とされた。

……残念ながら、征球作戦は失敗に終わったと認めざるを得ない。

これはキミの責任ではない。日本・多国籍両軍、そして艦娘たちが強すぎただけの話だ。

しかし、まだ天安部隊と二隻の人造棲艦《ギガントス》が残っている。わたしはこの部隊に賭けている。

これは必ず東京奇襲をやってくれるだろう。そうすれば、我々の面子は保てる。

それでも駄目となれば、シア級原潜で核ミサイルを東京にぶち込むまでだ」

 

「そんなことすれば、あのステルス重爆で我が国の戦略ミサイルは破壊されるでしょう。

そのとき、我々は米帝に対する抑止力を失ってしまいます」

 

「そんなこと言わなくても分かっている。しかし我が国の面子が立つよう、できることをやるまでだ」

 

忠秀が期待している空母戦闘群と、人造棲艦《ギガントス》は、そのときようやくポンフー諸島を迂回し終わり、バシー海峡の南端に向かい、南下しつつあった。

いまのところ日本・多国籍両軍に、そして艦娘たちに発見された兆候はない。

これならば上手く太平洋に出られるかもしれないという希望を司令官は持ち始めた。

しかしバシー海峡は、台湾軍の駆逐艦、潜水艦、哨戒機により厳重に見張られていたのである。

そしてその夜、統幕長本部ではぎょっとさせる出来事、まさかとは思われるような事件が、そこで起きたのである。

 

 

 

長崎県・佐世保。

高後市と西彼杵半島に挟まれた狭い水道の奥にある。

まさに天然の良港であり、軍港として利用されているのも納得であり、今でも佐世保鎮守府と海自の基地となっている。海軍の街である。

深く入り込んだ佐世保湾の突き当りに港があり、佐世保川の南側に埠頭に並んでいる。

佐世保鎮守府・海自の合同基地は、その背後にある。

かつての日本海軍基地を両軍はそのまま活かしているのである。

ニミッツパークが佐世保川に沿ってあるが、これはむろん太平洋戦争当時のニミッツ大将を記念して設けられたものである。

 

その日の夜……ここを基地としている第一、第二海自護衛艦群は帰投して、埠頭にそのからだを休めていた。

なお彼らに協力した多国籍海軍と、郡司も木曾たちとともに疲れを癒している。

いわば戦時なので、埠頭には海自警備隊と多国籍海軍警備隊が就き、89式小銃ないしM4A1を肩に埠頭に警備していた。鎮守府玄関にも武装した警備隊が配置に就いていた。

 

その日の真夜中。

日付けが翌日に変わる頃、この佐世保湾の沖合に小さな潜望鏡が浮上し、周辺の様子を窺ったあと、1隻の小さな潜水艦が浮上した。

 

言うまでもなく、連邦軍のロメオ級潜水艦である。

水上排水量1475トン。

水中排水量1830トン。

全長75メートル。

全幅6.7メートル。

2700馬力のディーゼル・エレクトリック機関を搭載し、最大速力15ノット。

シュノーケル航行で13ノットを維持する。

乗組員は54名。このほかに20名の特殊工作員が乗っていたから、兵員室はすし詰め状態である。

艦名は109。ロメオ109は日本海を東から迂回し、平戸島と五島列島との間を潜り抜け、ここまでやって来たのである。

これはまさしく冒険的航海であり、旧式のロメオ級潜水艦を操縦してここまでやって来た艦長の腕は、相当ツキがあるにしろ、敵ながらも称賛すべきである。

昼間は沿岸航海の商船、タンカー、遠征用の大型輸送船など錯綜する佐世保湾もこの時間は静まり返っていた。

 

埠頭の沖合には、停泊している船舶の警戒灯が点々と見える。

さすがに湾内を警戒している海保の巡視船などはなく、太平洋戦争当時のような対潜網も張られていない。

統幕長本部と言えども、まさかここまで連邦軍の潜水艦がやって来るとは思いもしなかったのであり、その虚を突かれたのである。

 

ロメオ級潜水艦109は、シュノーケル航行で西側の半島に沿ってゆるゆると進み、赤崎と呼ばれる短い突き出した岬の前で停止、浮上した。

そこから湾の突き当りまでは、僅かな距離でゴムボートでも渡れる。

艦長が赤外線装置で確認すると、そのあたりは木立が多いので隠密行動には持って来いである。

ヘッドライトの明かりが時折見えるのは、その先を道路が通っていることを示している。

 

艦長は、艦橋に上がってきた特殊工作隊隊長と最後の詰めを行なった。

司令部から佐世保港の地図を貰ってきてはあるが、これは帰国在日朝鮮人からもたらされたかなり精密なもので、佐世保鎮守府・海自の合同司令部の位置を記している。

それは平瀬町と呼ばれる街中にあり、周りは自衛隊関係の様々な建物で囲まれている。

隊員たちの宿舎もある。なお情報提供をしてくれた在日朝鮮人は、用済みとして射殺している。

 

特殊工作隊の指揮官で、隊長の三嶋上佐と言ったが、三嶋の立てた作戦もまた大胆不敵なものであった。

ゴムボートで人影の少ない海岸に上陸し、4人の見張りを残した後、残りの16人はスーツに着替えて、司令部を目指す。

 

むろん、スーツの下や自分たちが所持している鞄には武器を仕込んでいる。

チェコ製のVz61短機関銃やAKS74の銃身を限界まで切り詰めたカービンモデル、通称『クリンコフ』と呼ばれるAK-74u、両者とも小型で携行しやすく、しかも威力がある。予備マガジンも3個ずつ携行している。

1937年から現在も販売されている米国のイサカ社製ポンプアクション散弾銃で、ベトナム戦争でも活躍したイサカM37を所持している隊員もいる。

そのほかにマカロフ拳銃、M67破片手榴弾は5個ずつ携行、ベルトに差し込んでいる。

その姿で堂々と佐世保鎮守府・海自合同司令部の玄関を目指し、できるならば警備兵を無音で倒して内部に侵入、当直の提督ないし高位の海自職員を捕らえ、急いでゴムボートまで戻る。

 

むろん極度の戦闘は避けたい。

戦闘が始まってしまったら、たちまち警察が殺到し、ゴムボートまで逃げるのは難しい。

その際は拉致作戦を破棄し、山中に逃げ込み、できるだけ警察や陸自隊員を殺害するのが三嶋の狙いである。

所持している銃が弾切れになれば、ナイフで異端者を殺す。

ナイフが折れても鍛え抜かれた肉体や体術がある。

肉体自体が凶器そのものであり、軟弱で平和ボケの日本人は素手で何十人も殺せるはずだ。

艦長との協議の結果、予定通りゴムボートを下ろすことが決まり、ただちに艦内から4隻のゴムボートが出されると空気を入れた。

音を立てるので船外機は使わない。あくまで手漕ぎである。

男女合同の特殊隊員たちは軍服からスーツに着替え、軍靴も革靴に履き替える。

これらは日本製のスーツである。日本人や朝鮮人も混ざっているが、暗闇であり、同じアジア民族だから大丈夫だろうと安心していた。

しかし日本人との会話をするぐらいならば、三嶋たちは殺害するだろう。

同じ日本人でありながらも末恐ろしいものである。

 

4隻のゴムボートは潜水艦から離れると、ナイトビジョンで海岸をチェックしている三嶋の指示に従い、海岸に近づいて行った。

そのあたりは生い茂った藪地や木立になっていて、ゴムボートを隠すには持って来いだ。

4人の見張り員が海に入って、ゴムボートを引きずりあげ、上陸隊員たちの足を濡らさないようにした。

軍服からスーツ姿に纏った16人の特殊工作員は、三嶋上佐を先頭に木立をくぐり抜けて、その向こうに通る道路際に出た。これは佐世保から赤崎を通り、庵崎にいたる県道である。

真夜中のことで差して交通量は多くないが、何しろ佐世保と言う大きな街の郊外なので、ドライブや夜遊びから帰宅する車がときどき通るぐらいである。

彼らは道路を渡ると、道路から離れて歩き始めた。

 

車が通れば、木立に飛び込む。

しかし、すぐに木立が切れて郊外住宅地となったので、路地に飛び込むこともできる。

三嶋上佐は抜群の土地勘を持っており、はじめての土地でも頭のなかで、ほぼ正確な地図を描ける。

 

「もう道路の向こう側が港だ。佐世保鎮守府・海自合同基地はこの住宅地の向こうだ。距離に関しては、五キロぐらいなもんだ。気を引き締めて行け」

 

部下たちに伝達する。

 

「ここからは路地を抜けていく」

 

三嶋は命じると、住宅地のなかに入り込んだ。

ここまでは上手くいった。しかしここで三嶋たちのツキは落ちてしまった。

 

それは三嶋たちも予知せぬ出来事が発生した。

このところ住宅地で頻繁に泥棒騒ぎが起きているので、西佐世保署のパトカーがこの辺りを巡回していたのである。

パトカーがとある角を曲がったとき、路地を一列になって歩いていく16人ほどの男女をヘッドライトで捉えた。

 

スーツを着ているが様子がおかしい。

しかも全員が肩を強張らせて、なんだがぎこちない歩き方をしている。

それは武器を内懐に抱えているためだった。

そしてこんな夜更けに、なぜ16人もの男女が、一列になって住宅地を歩いているのか?

パトカーの乗員は佐藤と竜造寺という二人の巡査長で、運転は竜造寺だったが、まず佐藤は可笑しいと思った。

 

「なんやら妙じゃのう。こんな夜中に男女が繋がって歩いちょる。とてもピクニックとは思えん。いっちょう尋問を掛けてみるか」

 

「そうじゃな」

 

竜造寺がサイレンを一度だけ鳴らして、パテライトを付けた。

サイレンを一度だけしか鳴らさなかったのは、夜更けなので周りの住民に配慮したのである。しかし男女たちにはむろん聞こえたはずである。

だが男女たちは止まらなかった。それどころか、振り返るなり一斉に走り出し、別の路地に逃げ込んだ。

 

「あやしかぞ、追え。わしは署に応援を頼む」

 

佐藤が言うと、無線機を取った。

運転手の竜造寺は再びサイレンを鳴らし、スピードを上げて、彼らが飛び込んだ角を回り込んだ。

ところが、そこに数人の男女たちがVz61短機関銃やAK-74uに、イサカM37散弾銃を構えて、ふたりが乗るパトカーを待ち伏せしていたのである。

 

先頭にいたのは、むろん三嶋である。

5人の男女が銃口を揃えて、引き金を躊躇うことなく引いた。

フルオート射撃で、パトカーのフロントガラスの正面からVz61短機関銃の銃口から出た32 ACP弾、AK-74uの5.45mm×39弾に、そしてイサカM37のスラッグ弾と言った各種の銃弾を全て受けたから堪らない。

 

ふたりの警官の頭部は原形を留めることはなく、身体はずたずたに断ち切られて即死した。

運転手を失ったパトカーは、一軒家の塀に突っ込んで停止した。

パトカーに発見された時点で、三嶋は作戦失敗と悟ったのである。

 

「これより第二作戦に切り替える。好きに暴れろ」

 

……つまり命ある限り暴れまくり、できる限り日本人を殺戮する。

部下たちはやる気満々であり、同じ日本人でも容赦しないと弾切れになった銃に装填した。

 

「な、何事だ!」

 

突然響き渡ったパトカーのサイレンとそれに続き、けたたましい銃声は、付近の住民たちを震撼させた。

パトカーが突っ込んだ家の主人は、自分の妻子は大人しくするように言いつけ、寝巻き着姿のまま金属バットを護身用に構えて飛び出したが、それが命取りとなった。

へしゃげたパトカーの陰で待ち構えていた三嶋に捕まり、喉を掻き切られた。

なお殺害した男が握っていた金属バットを拝借した三嶋は、玄関先で震えて我が子を守ろうとした妻を撲殺、さらに泣いていた子供たちを躊躇うことなく、金属バットを振り下ろして殺害した。もはや血も涙もないテロリスト集団である。

 

しかし多くの市民たちが110番に連絡し、佐世保署はすぐに警戒態勢を取った。

自動小銃ないし短機関銃の銃声が聞こえたというのは戯言ではない。

これはヤクザの出入りなどと言うものではなく、戦争のにおいがする。

第一、 通報のあたりはベッドタウンで、ヤクザの事務所はない。

三嶋は部下たちに市街戦に移れと命じた。これまた訓練の一部である。

建物を遮蔽物に使い、隙を見て射殺ないし刺殺する。

首を絞めるための取っ手のついたワイヤーも持参していた。

三嶋率いる特殊工作員たちは、住民を恐怖に貶め、さらに殺害していく。

不気味な笑みを見せつつ、遊び感覚で殺害する姿は、悪魔のようだ。

 

しかし、彼らは知らなかった。

 

のちにここで早く死んだ方がマシだったということを味わうことになるとも知らずに……




運よく佐世保に潜入した工作員たちも、勇敢なふたりの警察官に見つかったために失敗に終わりした。原作でもこの警察官は殺されておりますし、一般人も殺されています。
漫画版は銃撃シーンでは顔の原形が留めていません……グロイです、かなり……

灰田「彼らの犠牲は無駄にはなりませんし、必ず仇は取ります」

そうだな、灰田。名もなき家族のためにもな……
では、次回予告を頼む。

灰田「承りました。では次回はこの外道なテロリストたちが暴れるのを知り、ある部隊が駆け付けに行きます。その部隊はどんな部隊か?
それは次回のお楽しみでありますのでお答えすることはできません。
戦闘に関しましては次回の次回になるかもしれませんので、ご了承ください。
ではそろそろお時間ですので……。第五十五話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。
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