超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
この外道なテロリストたちが暴れるのを知り、ある部隊が駆け付けに行きます。その部隊はどんな部隊か?
灰田「ひとつは原作通りのレンジャー部隊、ふたつめはコラボ作品『艦娘、PMCと共に水平線にて戦えり』に登場している強襲部隊、そして最後はわたしの十八番でもあるコマンド部隊です」
それでは、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ!!」」
佐世保署の全パトカー20輌が、サイレンを鳴らしながら現場にフルスピードで向かった。
すでに二人の警官に続き、住民たちが次々と殺されているとの情報が入っている。
機動部隊も出動が命じられて、装甲トラックで向かった。
佐世保署は日本警察の特殊部隊、SAT(特殊強襲部隊)を持たない。
SATは装備体系や訓練方式は、ドイツの特殊部隊GSG9を参考にしている。
東京をはじめ大都市の警察本部に設けられている警察系特殊部隊で、米警察特殊部隊SWATのように突撃銃や短機関銃、そのほかを装備している。
しかし地方の署では、SATのような特殊部隊は配置されていない。
持っているのは拳銃、戦中のいまは緊急時に自動拳銃とショットガンが供与されただけである。
機動部隊の武器は放水車による放水と、機動隊員たちが持つライオッドシールドと特殊警棒のみだけである。
しかし署のなかに気が利く者がいて、長崎県警に通報するとともに、相浦にある陸自の方面隊直轄連隊司令部に連絡した。
方面隊直轄部隊は陸自師団には所属せず独立した部隊であり、西部方面は島嶼が多いことから、北朝鮮および中国の工作員が上陸した場合に備えて、特設された部隊である。
ヘリや強力な装備、通信装置、監視機材を持ち、全隊員はレンジャー資格を持っている。
状況を聞いた連隊長は、これは連邦の特殊工作員の仕業だと直感した。
方面隊司令部にその旨を報告、さらに佐世保鎮守府・海自合同基地、そして民間軍事警備会社『The Japanese Spirit』にも連絡した。
元帥・司令部も了解して、ただちに各隊の役目を果たすため出撃した。
今回はベテランの多いTJS強襲部隊とともに、元帥の護衛兵部隊、そして陸自の方面隊が出撃した。
なお方面隊はサポート部隊として、行動することになる。
先導隊として、20名のTJS隊員を乗せた2機の軍用ヘリ――ヨーロッパ航空機メーカー『NHインダストリーズ(NHI)』が製造、フランス・ドイツ・オランダ・イタリアの4カ国によって共同開発したNH90戦術輸送ヘリと共に、陸自のレンジャー隊員30名を乗せた2機のUH-60J《ブラックホーク》が現場に急行した。
方面隊員たちは空挺部隊用に改良された折り畳みストック式の89式小銃に、分隊支援火器として、M249 SAWを携行している。
TJS強襲隊のユーリヤ中佐、アレクサンドル少佐、安達少佐の姿も見えた。
ユーリアが持つのはロシア製のドラグノフSVD狙撃銃、アレクサンドルはM4カービン、安達はM27IAR軽機関銃を所持しており、市街戦を意識している装備が中心である。
そしてTJS強襲部隊に混じり、旧日本軍・義烈空挺隊の迷彩服を着た隊員たちもいたが、彼らの携えている武器は自動小銃と短機関銃、手榴弾、拳銃とTJS隊員たちと変わらない。なお全部隊が持つ銃にはサプレッサーが装着されている。
また各部隊は破片手榴弾ないしM84スタングレネードを持っている。
通称『フラッシュ・バン』と言われ、これは大音響と閃光により、対象を無力化することを狙って設計された非致死性手榴弾である。使用することにより、敵を一時的行動不可能にすることができる。
15分後。相浦から佐世保までひとっ飛びした各特殊部隊は、現場上空に到着した。
そこは佐世保西郊外の住宅だが、パトカーのヘッドライトを錯綜していた。
また万が一に備えて、TJS社は装甲車輌も展開していた。
今回出動したのはロシア連邦の装輪式水陸両用装甲兵員輸送車BTR-90と、歩兵戦闘車の基礎を築いたBMP-1を改良したBMP-2が現場に急行した。
各ヘリと各車輌の無線機は、警察無線に同調させているので、混乱した通信が飛び込んでくる。
『5号車もやられ、これでもう10台がやられました!……敵は自動小銃を持っています!』
燃えさかる建物を見た各部隊は、恐らく何者かが放火したのだろうと推測した。
またはプロパンガスを撃てば大火災を起こすことなど容易いものだ。警察だけでなく、消防車も現場に駆けつけるまで時間が掛かるだろうと、推測していたときだ。
そのとたん眼下で閃光が煌めき、爆発音が鳴り響いた。
路地裏には炎上した1台の警察車両が、敵の爆発物で吹っ飛ばされたと思われるパトカーが紅く煌めく劫火をちらつかせた。
「連邦国のテロリストに間違いない!今のは破片手榴弾だ。サーチライトで捕捉しろ!」
方面隊指揮官の蔵野三尉が叫ぶ。
各ヘリは高度を下げ、サーチライトで住宅地を縦横に走る道路を照らし出した。
「いた、あそこだ!」
蔵野がふたたび叫んだ。
スーツ姿に纏った男女たちが、両手にアサルトカービン、サブマシンガン、ショットガンを抱えながら、路地のひとつを走っていく。
ヘリのサーチライトに気が付くと、彼らは見上げて乱射した。
バチバチと言う銃弾が機体に命中した音が聞こえた。
「少し離れろ、ラペリング降下する!」
懸垂降下とも言われ、ロープ(ザイル)を使って高所から下降する方法のことである。
ヘリコプターが着陸できない状況下にてホバリング中のヘリコプターなどから降りる際、またはCQBにおいて、建物屋上から内部に進入する際にも用いられる。
各部隊の隊員たちは素早く降下装具を身につけるとロープを垂らし、近くに見えた小学校の運動場に、ホバリングしているヘリから蔵野を先頭に次々と降下した。
「司令部に連絡しろ、敵は連邦国の工作員だと!」
蔵野は降下する前に、パイロットに命じた。
同じくTJS部隊も同じく降下していくが、一部は降下装具を装着しないで降下する隊員たちがいた。
普通の人間ならば骨折は免れない高度から降下する隊員たちを見たときは、さすがの蔵野たちも驚いた。
それを聞こうとしたが、ユリーヤたち曰く『知らない方が良い』と言われた。
蔵野やユリーヤたちは暗視ゴーグルを持っており、それを装着した。
これは赤外線タイプなので、赤く染まるような視野に包まれた住宅地の様子が浮かび上がった。なおこの時も謎の部隊は、暗視ゴーグルを装着しなかった。
蔵野たちもつくづく可笑しな部隊だなと疑問を浮かべたが、今はそんな暇はない。
そして元帥からの命令は下された。全員射殺せよとのことだ。
全特殊工作員たちは捕虜にする必要はない。捕虜になるぐらいならば自爆を平然とこなす連中なのだから捕虜にする必要はない。ましてや捕虜になる相手ではないが。
連邦国の特殊工作員たちは、その時点ですでに10台のパトカーを破壊および警察官などを殺していたが、自分たちが持つVz61短機関銃、AK-74u、イサカM37の各銃器の弾が尽きはじめていた。
しかも相手は装甲車輌まで動員してきたのは予想外ではあったが、三嶋たちは住民を避難するのにいっぱいだろうと思い無視したものの、パトカーを破壊するために、やむなくM67破片手榴弾を使ったところで、ヘリに発見されたのである。
「あれは人殺しの陸自と米帝どものヘリだな。なに奴らはただの案山子に過ぎない。
少年漫画に出てくるような雑魚の軍人を瞬殺する子供のように、奴らを遊びながら殺せば良い」
三嶋は生き残った部下を集めると言った。
「しかし弾は尽き始めています。どうしますか?」
ナンバー2のカン中尉が聞く。
「この住宅地の裏側には、丘陵地帯になっているはずだ。そこから山岳地帯まで逃げ込む。そこで粘れるだけ粘るぞ。我々は誇り高き精鋭部隊の敵ではない。警察官の武器を奪ったように待ち伏せして武器を奪え!いいな!」
おうと部下たちは叫び、一斉に走り出した。
彼らは暗視ゴーグルがなくとも、夜目が利いているのだから必要ない。
赤崎近くの海上では、ロメオ級109が潜望鏡深度まで沈み、マイクを出していたが……
艦長は微かな銃声と、爆発音を捉えた。
「拉致作戦は失敗に終わったようだ。彼らは発見されて第二作戦に切り替えたようだ。
したがってもう戻る見込みはない。我々も発見される前に脱出する」
艦長の命令を聞き、109の乗組員たちはただちに回頭した。
佐世保湾からの脱出を試みたが、西海町の沖合まで逃げたところで追尾してきた艦娘たち……白露、時雨、村雨、春雨、五月雨、涼風に続き、海自の第三護衛艦群により捕まった。
陸自・多国籍軍から連絡を受けた佐世保鎮守府・海自合同基地は、特殊工作部隊たちは佐世保湾のなかまで潜水艦で運ばれたと推測した。
発見されてまだ待機しているかもしれないと考え、埠頭にいる郡司の艦隊と第三護衛艦群に可及的すみやかに捜索を命じたのである。
「さぁー、はりきっていきましょー!」と白露。
「残念だったね。見つけたよ」と時雨。
「やっちゃうからね♪」と村雨。
「対潜戦闘、始めます」と春雨。
「お任せください!たぁーっ!」と五月雨。
「喰ーらえー!」と涼風。
ロメオ級109を捕捉した白露たちおよび海自のDD部隊は、アスロックを発射した。
「まずい。敵艦、多数のアスロックを発射しました」
「止めろーーー!」
艦長は絶叫を上げるも、捕捉されたロメオ級109の運命は決まった。
紙に等しい装甲に多数のアスロックが食い込むと、水圧によりロメオ級109がぐしゃりと音を出しながら、あえなく海の藻屑となったのだった。
しかも魚雷の誘爆もあったため、暗闇のなかでも巨大な水柱が立ちあがる。
「敵潜水艦の撃沈を確認!もっちろん!あたしが一番に決まってるじゃない!」
「やったぜ!あたいに掛かればこんなもんさ!」
「白露型駆逐艦の力、あなどれないでしょ?」
白露、涼風、村雨の歓喜に、時雨、五月雨、春雨も微笑んだ。
すると、一通の連絡が入った。
『五月雨、敵潜はいたか?』
「はい、提督。敵潜を発見、これを撃沈しました」
『そうか、ほかの敵潜は?』
「大丈夫です。敵は提督の言った通りロメオ級1隻だけでした。ソナーには反応はありません」
『それなら良かった。こちらは厳戒態勢で木曾と同志たちが護衛してくれているから大丈夫だ。もっとも鎮守府に来たとしても木曾たちと元帥が派兵してくれた部隊がいるから大丈夫だが、五月雨たちも帰投中は気を付けるようにな」
「大丈夫ですよ、提督」
『それじゃあ、こちらも忙しいからそろそろ切るな』
「はい、提督も気を付けてください!」
『スパシーバ。五月雨』
五月雨は、郡司との通信が終える。
短いやり取りだが、彼女も彼と話すのは心の支えになっている。
「司令官たちは…大丈夫なのですか…?」
春雨は尋ねた。
「うん、大丈夫だって。木曾さんとあの部隊の人たちが守っているから、気を付けて帰るようにって」
春雨はよかったと、ほっと胸を撫で下ろした。
「だったら、提督のところに早く帰らないとね」と白露。
「僕たちも早く帰投して、提督たちを守らないといけないね」と時雨。
「そうね、私たちも早く帰りましょうね」と村雨。
「あたいも提督やみんなが心配だから、さっさと帰ろうぜ!」と涼風。
彼女だけでなく、白露たちも郡司たちのことを心配している。
「ではこれより帰投します。全艦、単横陣で警戒します!」
気持ちを切り替えた五月雨は、引き続き第三護衛艦群とともに対潜警戒をしながら帰投した。
午前二時。
統幕本部では、西部方面隊司令部、佐世保鎮守府・海自合同司令部、そしてTJS社からの連絡を受けて、元帥と杉浦統幕長以下幕僚長たちが緊急召集された。
「このコマンドは、連邦国の特殊工作部隊に間違いなしと考えられます。
その戦いは凄まじく、長崎県警・佐世保署のパトカー10台が破壊されただけでなく、警察官や一般市民までも殺害されたと報告が来ました。まことに残念ですが……。
現在、佐世保市外の住宅地の裏山に逃亡中で、西部方面管轄部隊のレンジャー部隊とTJS部隊が追っています。なおTJSは警察とともに住民の避難誘導にも務めています。
しかしかつて韓国で起きた江陵浸透事件を見ても、これを解決するまで何日か……あるいは1週間以上は掛かるかもしれません」
西部方面隊との連絡を受け持っていた幕僚長のひとりが言った。
江陵浸透事件とは1996年に韓国・江原道江陵市において、韓国内に侵入していた工作員を回収しにきた北朝鮮特殊潜水艦(サンオ型潜水艦)が座礁し、乗組員たちは自決したが、しかし一緒に乗っていた北朝鮮工作員たちは山中に逃げ込んだ事件である。
韓国軍は2万人も動員させて、彼らを必死に捜索したが、全員射殺して、解決するまでに一ヶ月も費やしたのだった。
うむと、杉浦統幕長は苦々しく呟いた。
「しかしなぜ佐世保なのだ。奴らはいったい、なにを狙っていたんだ?」
「彼らが欲しかったのは情報でしょう。むろん我々がなぜ次々に新兵器ないし艦娘たちの超兵器を手に入れたのかと言う謎を解くために潜入したのでしょう。
そのために佐世保鎮守府・海自合同司令部の幹部を誘拐しようとしたのかもしれません」
「そいつは大胆な作戦だな」
「おそらくは中岡自身の計画か、あるいは深海棲艦たちからの命令で実行したのでしょう」
「連邦・深海棲艦は焦っているのです。是が非でもこの謎を解かないと勝てないと……いや、この謎を解いたとしても勝てないと思いますが」
その場に失笑が起きた。
元帥は双眸を落として、まあ、そうなるなと頷いていた。
「ともかく、わたしは安藤首相に連絡する。陸幕長、きみは西部方面隊とTJS部隊に連絡、敵を可及的すみやかに殲滅しろと伝えたまえ。彼らは決して降伏しない。
また生け捕りも不可能に付き発見次第、射殺せよと伝えるのだ」
杉浦の命令を聞いた元帥は制止した。
「それに関してはもう大丈夫だ」
「元帥。こんな緊急時のときに、何を呑気なことを、これ以上の市民の被害を抑えるためにも!」
梅津陸幕長は声を上げたが、元帥はにっこりと微笑した。
「大丈夫さ。わたしの友人たちと精鋭部隊が昼までに奴らを片づけてくれるさ」
「他に精鋭部隊がいるのか?」
杉浦統幕長の問いに、彼女は頷いた。
「ああ、しかも連邦の特殊工作員たちが束になっても敵わないほど、自慢の精鋭部隊さ。きっと奴らも地獄を見ること間違いなしのコマンド部隊でもあるからね」
「どういう意味だ、元帥?」
「そのままの意味さ。友人たちからの報告が来るまで次の対策を練らないとな……」
杉浦たちは元帥の言葉を理解できなかったが、それが証明されるのは後であるということをまだ知らなかった。
元帥は落ち着いた様子で、芳醇な香りがする紅茶を啜ったのだった。
彼女に付き添っていた秘書艦の長門、陸奥も内心に呟いた。
何しろ彼らは、私たちでも敵わない不死身の部隊だからと……
今回は工作員たちとの銃撃戦はなく、原作でもここで終了しています。
漫画版では各建物が爆破ないし放火したりしていますので、こちらを採用しました。
今回のタイトル、元ネタは「ソロモンの悪夢」をオマージュしました。
敵潜水艦は原作では撃沈していますが、今回は五月雨ちゃんたちが敵工作員を乗せたロメオ級潜水艦を撃沈するという小規模な戦闘で終わりました。
ドジっ娘だけど、灰田さんの急速学習装置のおかげで逞しくなっています。
灰田「これぐらいは簡単なものですよ」
五月雨「もう、ドジっ娘なんて言わせません」
涼風「と言っていたが、帰ってきて転んだよな」
春雨「はい、司令官のまえで思いっきり転びました」
村雨「その代わり、お姫様抱っこしてもらったもんね~」
白露「あたしも頼むよ、いっちばん長くね!」
時雨「僕も良いかな、提督?」
郡司「さすがに嫉妬されかねないようにしたいが、後でな」
非常時だもんな、いまは。
郡司「状況が落ち着くまで撫でるから、落ち着いたらみんなにするからな」
白露一同「「「わーい!!!」」」
灰田「微笑ましい雰囲気ですが、ここで次回予告に参ります。
次回はこの続きであり、とある観光所が激戦地となります。
むろん私の十八番であるあの特殊部隊が活躍しますので、お楽しみを。
ではそろそろお時間ですので……。第五十六話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」
郡司一同「「「ダスビダーニャ!!!」」」
ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。