超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告通り、ついに連邦空母戦闘群・人造棲艦《ギガントス》の両艦載機がとある地方を攻撃するために出撃します。
灰田「なお今回はとある都市、サブタイトルからしてネタバレしていますが、そこを攻撃する際に一部残酷なシーンがあることをお先にご警告いたします」
ではこの言葉に伴い、改めて……
灰田「本編であります。どうぞ」
3月1日
早朝にいたり、連邦・深海合同艦隊は、東経150度、北緯37度地点に辿り着いた。
ここから目標である仙台まではおよそ800キロメートル。J-31、Su-33、ヨクリュウの作戦行動半径に余裕に入る。
部隊を率いるヤン中将は、奇襲作戦の成功を確信した。
日本軍は我々が大都市・東京ないし大阪を攻撃すると信じ込み、もっと西方を警戒しているだろう。
かつて大東亜戦争では、米軍はドゥーリトル爆撃隊を飛ばして東京を襲った。
これは完全に連戦連勝に浮かれていた日本の意表を衝いた。
これはハルゼー中将が指揮する第18任務部隊の空母《ホーネット》に搭載していた米陸軍の双発爆撃機B-25《ミッチェル》を発進させると言う奇想天外な発想だったのだが、この奇襲作戦は見事に成功した。
日本軍は米空母機動部隊の接近を警戒はしていたが、艦載機の航続距離から逆算したので、警戒を怠ってしまったためにこのような空襲を喰らってしまう。
いままた、皮肉にも彼らと同様なことをやろうとしていると考えると、ヤンは身震いした。
空母《天安》と、空母型の人造棲艦《ギガントス》の両艦は風に立て、J-31、Su-33の合同部隊は全機、ヨクリュウは10機を発進させた。
ただし前者には不調機が双方とも1機ずつあるので、出撃できるのは29機である。
しかしヨクリュウを含めると、39機と言うため攻撃力はかなりのものである。
このうち15機が空対地ミサイルの代わりに、航空爆弾を搭載、仙台市の中心部を爆撃する予定だ。残りの機体は新幹線、そのほかの鉄道、高速道路を破壊する予定である。
この仙台市が、日本・東北地方の交通と経済の要であることは、すでに調べ上げていた。
仙台市は言うまでもなく、宮城県の県庁所在地であり、人口は約100万人、いわゆる100万都市である。町村合併により、さらに膨れ上がっている。
市内を南北に東北新幹線、東北本線、東北自動車道、国道四号。
東西にはJR仙山線・仙台線、国道四五号、四八号、仙台南部道路などが通じる。
杜の都と呼ばれるだけであって緑が深く、学園都市である。
かの有名な東北大学を始めとする名門大学や短大が18も存在する。
ともかく東北大学の要地であり、その点、ヤン中将の狙いは正しかったことになる。
天安やギガントスがいまや艦載機を発進させようとしている同時刻。
空母《飛鳥》率いる第八護衛艦隊、秀真・古鷹率いる連合艦隊、郡司・木曾率いる連合艦隊は31ノットで東に急行しつつあったが、東経150度ラインに達するには、まだ10時間は掛かる見込みである。
硫黄島からの早期警戒機・対潜哨戒機・偵察機もむろん、ここまでは届かない。
しかし空自は三沢の第一警戒群を仙台に南下させつつある。これは車載の三次元レーダーで、バッジ・システムの一環であり、車載レーダーの走査半径はおよそ400キロメートル。
三沢基地へのF-15の移転はまだ終わっておらず、10機が移動したばかりで、F-3《心神》は10機だけが基地を守っていた。
これは全てを移すと、西日本の防備が手薄になるので、状況を見極めたのである。
連邦爆撃機や戦闘機などが懲りずにまた沖縄にやって来る可能性もある。
そこらあたりは早期警戒機を飛ばして、見極めなければならなかった。
しかし、いまのところそんな兆候はなさそうだった。
東北自動車道を移動中の第一警戒隊が、所定位置のはなまきに辿り着くのは、今日の午後遅くになりそうだった。なにしろトラックに重いレーダーを載せているのだから仕方がない。その代わりに、三沢基地に移動したE-2D早期警戒機1機が、東経150度、北緯38度ラインに向かって南下しつつあった。
このドーム型レーダーの探知距離は250海里(約450キロメートル)。
しかし、これも結果的に間に合わなかったのである。
0800時。
空母《天安》からはJ-31は15機、Su-33は14機が舞い上がった。
スキージャンプ台から使うから滑走距離は短くて済む。しかし着艦の方が困難で、数十のアレストワイヤーで強引に止めるために艦載機を傷つけてしまうケースもある。
同じく空母型《ギガントス》でも、10機のヨクリュウが舞い上がった。
連邦戦闘機部隊は3機ずつ、ヨクリュウは2機ずつ編隊(小隊)を組んでいる。
先頭にいるのは指揮官機で、乗っているのはヤンの信頼の厚いチン大校だった。
数々の戦技大会で優勝したことのある人物だ。しかし彼も実戦は初めてである。
それぞれの小隊には任務が割り当てられた。
鉄道を襲うもの、道路を襲うもの、官庁街を空爆するもの。
チン自身は東北新幹線を叩くことになっていた。チンの望みは道路だけでなく、走行中の新幹線車輌を対地ミサイルで破壊することで、それが実現できたらさぞかし功績である。
しかし、あいにくそれは実現できなかった……連邦・深海合同艦隊が東北地方を狙っている可能性を察知した日本政府は、東北新幹線の運行を東京から宇都宮までで止めていたからである。
東北自動車も同じく、栃木県以降は通行止めになっている。
南下する車輌は国道6号ないし7号を迂回するように行政命令が出ていた。
しかし仙台市・札幌市民たちに対する避難命令は出さなかった。
これは東京・大阪に対しても同じことだが、全市民を避難させるのはとうてい無理だからである。かえって、パニックによる二次災害の方が恐ろしいからだ。
J-31、Su-33、ヨクリュウは900キロメートルの距離をマッハ2の速力で飛び、20分後には早くも日本沿岸が見えてきた。
海岸線上空を飛翔し、高度400メートルで仙台市上空に接近、ここで高度を落としながら各任務隊に分かれた。
チンは高度を急速に落としながら、眼下に広がる都市背景を眺めていた。
なるほど、事前のブリーフ通り、緑が多くて綺麗な街だ。
街のやや南方を一筋の川が曲がりくねりながら流れているが、有名な広瀬川だった。
密集した市街地の向こうには高層ビルが多く見えたが、上海辺りに比べればまったく大したことはなくものの……その向こうに鉄路が光って見える。
チンは統合操縦システムからあらかじめ入れていたデーター・マップを呼び出して照合した。あれが新幹線に間違いない。チンは南北を見渡したが、あいにく走行中の車輌はなかった。
その代わりに巨大な駅舎らしき建築物が見えたので、それを狙ってKh-27対地ミサイルを発射した。
命中に伴い、煌めくオレンジ色の炎が噴き上がり、そこにあった可燃物に引火して、巨大な炎と化した。
チンはただちに空母《天安》に向かって打電した。
“われ奇襲に成功せり、付近上空に敵機の姿は見えず”
仙台市内には、突然と降りかかった災厄に襲い掛かった。
いつもと変わらないのどかな春の朝を迎えようとしたが、突然ジェット戦闘機が襲来してきたのである。これらの機体の胴体には赤い星を付けており、また見たこともない黒い翼竜のような形をしていた。
仙台市民は目を疑った。これは連邦軍の戦闘機、深海棲艦の艦載機ではないか!と……
これらは高速道路に両翼下に搭載していた爆弾をばら撒き、広範囲に渡って寸断させた。
高層ビルに密集した官庁街、繁華街も空爆された。
広瀬川に掛かる橋梁はKh-27対地ミサイルないし5-inchロケット弾で攻撃されて破壊された。破壊の喜びに連邦兵士パイロットやヨクリュウは、いまや見境なく市街地に対地ミサイル、航空爆弾、ロケット弾を叩き込んだ。
市内各地でたちまち火災が発生、消防車や警察車輌が出動したが、連邦・深海合同戦闘機群は低空飛行に移ると、それらを銃撃した。逃げ惑う市民に対しても容赦なく銃撃した。
老若男女問わず小学校に通おうとした子供たちにまでも機関砲弾を浴びせた。
大東亜戦争でも米海軍のF6F《ヘルキャット》艦上戦闘機や米陸軍のP-51《ムスタング》長距離戦闘機の機銃掃射の再現である。もっともそれを記憶している世代は、もはや稀になったが。
この奇襲攻撃は30分間にも渡り、連邦・深海合同戦闘機群は好き勝手暴れまくった。
全機が搭載していた兵装を使い切ると、急上昇して風の如く引き上げ、敵機は海の彼方に消えて行った。
これにより仙台市は少なくとも交通の要としての機能を失うだけでなく、官庁の多くが破壊され、発電所なども爆撃の被害に遭い、そのため停電となった。
市民の被害も大きかった。しかし公園が多かったため、公園に逃げ込んだ市民たちは助かった。杜の都は、確かにその役目を果たしてくれたのである。
急を聞いて、三沢基地にいたF-15とF-3《心神》がスクランブル発進したが、仙台上空に到着した時には敵機の姿は見えなく、燃え盛る仙台市の市街地だけだった。
連邦・深海合同戦闘機群はF-15、F-3のレーダー探知範囲から消えていた。
自分たちは何もできなかったことに両機のパイロットたちは悔し涙を流した。
自分たちがもっと早く駆けつけていれば、海上で敵機を撃墜してこの悲惨な出来事を抑えることができたと自責の念にかられた。
彼らだけでなく、元帥や首相官邸・地下コマンド・ルームにいた安藤首相以下の各大臣、統幕本部作戦会議に出席していた杉浦統幕長たち、そして日本を支援しているTJS民間軍事会社、舞鶴たちもショックを隠せなかった。
元帥の管轄で捕虜となり、心を入れ替えた空母水鬼たちは自分たちを責めていた。
あんな奴らに自分たちの技術を供与したのは間違いだっただけでなく、連邦と同盟を結んだことに酷く後悔した。
なお作戦行動中だった第八護衛艦隊や、秀真・古鷹率いる連合艦隊、郡司・木曾率いる連合艦隊などにもこの報告がきた。むろん、秀真・古鷹たちは言葉にできないほどのショックを覚えたのは言うまでもない。
古鷹は『どうしてこんな酷いことを』と涙を流し、天龍・木曾は『卑怯者』と怒りを露わにした。
秀真・郡司はみんなに落ち着くように言い、その甲斐もあって落ち着きを取り戻すことができた。
こうして連邦軍は、ケリー国務長官の言った通り、確かに日本本土を攻撃することにより、自国の面子を稼ぐためのポイントを挙げたのである。
この事件は『第二次日本本土空襲』として取り上げられ、あの『佐世保同時多発テロ事件』同様に、またしても人々の記録に深い傷を残したのである。
腹立たしいですが、連邦の奇襲攻撃により仙台市は大打撃を被りました。
今回は連邦の奇襲が成功したという事であります。
漫画版ではこの場面は逃げ惑う人々に対しても容赦していませんし、一部はミンチ状になっているシーンもありますので、グロイです。
灰田「彼らの犠牲は無駄にはなりませんし、必ず仇は取ります」
秀真「俺たちに任せろ。必ずツケを払わしてやる」
郡司「僕の艦隊で粛清してやる、慈悲はない」
そうだな、次回予告を頼む。
灰田「承りました。では次回は連邦視点と日本政府視点で送ります。なお連邦視点ではとある人物がある決心をしますので注目すると良いでしょう。ではそろそろお時間ですので……。第六十一話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真・郡司「「ダスビダーニャ」」
ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。