超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
では予告通り、連邦空母戦闘群を追いかける第八護衛艦隊視点と少し足して連邦艦隊視点も少しあります。

灰田「またマザーも少しではありますが、ご活躍しますのでお楽しみを。ではではこの言葉に伴い、改めて……」

作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」


第六十二話:連邦空母戦闘群を追え!

夜の闇に紛れ込み、連邦空母戦闘群は南東に向かい続け、北緯30度地点に達すると変針して西に向かった。青ヶ島と鳥島の中間海域である。

このとき日本空母戦闘群は、安藤首相の命令通り房総半島北東西300海里沖合を行ったり、戻ったりしている。連邦空母戦闘群はそのレーダー探知範囲の遥か外にいる。

その一方では秀真・郡司連合艦隊は北海道に北上している。

なお元帥からの命令を受けて、彼らと古鷹たちを支援するために空自・多国籍空軍群が、エアカバーをするという方針である。

 

このとき、統幕本部は八丈島飛行場にE-2D早期警戒機を配備しておくべきだったのである。

硫黄島からでは、青ヶ島周辺までは索敵範囲がぎりぎりだったからである。

一夜が明けたとき、連邦空母戦闘群はちょうど伊豆・小笠原海溝の真上にあり、ここで再び変針、針路を北北西に取った。

なお人造棲艦・深海合同艦隊は途中まで同行し、のちに北北東に針路を取り、あの恐怖のステルス重爆撃機が駐機している北海道を目指す。なお監視艦艇として旅洋Ⅲ型1隻を同行させる。

ヤン中将は秘かに中岡たちをはじめとする連邦海軍上層部から極秘の命令を受けた。それと同時に旅洋Ⅲ型の艦長に“とある作戦コード”を《ギガントス》に入力するように命じた。

 

このようにもたついている結果からすると、これが命取りとなった。

ヤンは伊豆諸島の東に、人造棲艦・深海合同艦隊は西に沿って北上していた。

ヤン中将率いる連邦空母戦闘群は、J-31、Su-33の両艦載機による作戦行動半径1200キロメートルに到着したら発進させるつもりである。

目標は首都・東京。ここには標的となる獲物がいっぱいあり、パイロットたちが迷ってしまうほどだ。

 

ヤンは超高層ビルを狙えと、パイロットたちに命じていた。

超高層ビルが倒壊するときの二次災害は大きい。

アメリカの9・11同時多発テロ事件では、巨大な質量と完成を持つジェット旅客機2機が突入した。しましそれでもふたつの貿易センタービルはしばらく持ち堪えた。

倒壊したのはその建築構造である。中核部に太い支柱が立っておらず、外周から薄い鉄筋コンクリートで持ち送り式に支える構造だったため、上層階から次々に玉突き式に崩壊したのである。

 

しかし悪い冗談だが、東京・浜松町にも貿易センタービルがある。

ヤンがこれを知っていたら、ここの攻撃を狙っていたかもしれない。

だがこれよりも最悪なことに、J-31およびSu-33には皇居と丸の内を狙えと命じていた。

ここは日本の精神的または経済的核心だ。ここを破壊すれば、日本人の精神は確実に崩壊することができるだろうと推測した。

 

以前から政府は皇室に対し、那須の御用邸に避難されるように進言していたのだが、頑として拒否された。国民が避難しない以上、我々も避難しないと言う理屈である。

太平洋戦争の末期には、米軍がさかんに東京空襲を行なっていた頃、皇居は爆撃目標から外された。

マッカーサーはすでに占領後のことを考えており、国民に巨大な求心力を持つ皇室を政治利用しようと考えていたからである。しかしそんな計画は頓挫したが。

 

ヨーロッパ戦線でもヒトラーは、バッキンガム宮殿は“絶対に空爆するな”と命じた。

もしも王族を殺されたらイギリス人が怒り狂うことは目に見えていたことから、その反発を恐れていたのである。

しかし間違って大戦初期は航空機による航焼夷弾や空爆弾が何発かは落ちたことはあるが、これらは幸いにもキング・ジョージ6世以下王族には被害はなかった。

戦争末期になると現代の巡航ミサイル始祖であるV1飛行爆弾《フィーゼラーFi103》と、世界初の軍事用液体燃料ミサイルであり、弾道ミサイルの始祖であるV2ロケットで攻撃するようになるが、こちらの方が危険だった。

前者は辛うじて迎撃機を使えば撃ち落せるが、後者は超音速であり、当時の戦闘機ではとても迎撃不可能なものだった。なにしろ何処へ落ちるかは分からないものだからだ。

バッキンガム宮殿に落下する恐れもあったものの、不幸中の幸いと言うべきか、偶然の産物とも言っても良かったのかそうならなかったのである。

 

 

 

連邦空母戦闘群は期せずして、自ら日本空母戦闘群のレーダー探知範囲内に入っていたのである。

いや、まず敵を発見したのは護衛艦や対潜ヘリでもなく、百里基地から出たP-3C対潜哨戒機だった。このうち1機が南南東に飛び、反転するギリギリの範囲のところで、北上する艦隊を見つけたのである。

スキージャンプ台が艦首にある空母を、数隻の駆逐艦・フリゲートに囲まれ、そして複数の人影らしきものが空母戦闘群から別れて、北上していたのが見えた。

その空母は《飛鳥》に、人影は秀真・郡司の連合艦隊によく似ていたので、誤認しやすいためそのP-3Cは敵ではないかと思い、撃墜覚悟で接近した。

やはり、その護衛艦群と人影は海自および艦娘たちではなかった。

見慣れた護衛艦のシルエット、艦娘たちとも違う。

機長はその上空を旋回しながら、すぐさま打電した。

 

“われ敵空母部隊、人造・深海棲艦の合同艦隊を発見。青ヶ島真東20海里沖合を北上中、針路390、速力30ノット”

 

そこまで通信士が打ったところで、対空ミサイルが襲い掛かって来た。

一発でも速度の遅いP-3Cには避けることなどできず、たとえフレアを撒いて逃げたとしても、それが六発ものミサイルが襲い掛かって来たのだから堪らない。

ミサイルに捕捉されたP-3Cは直撃を受けて、たちまち紅蓮の炎に包まれて空中爆破した。

しかし、彼らの打電は各自衛隊各方面、各鎮守府に届いていた。

 

統幕本部では、黒川海幕長が愁眉をひらいた。

 

「ようやく捕まえたらしいな。やはり敵は東京を狙っていましたか。しかしこれで何とかなりますな」

 

「安心するのは、まだ早い」

 

杉浦統幕長は一喝した。

 

「敵が艦載機を発艦させる前に叩かねばならん。硫黄島に駐機しているF-15は対艦攻撃に向かん。しかし百里基地からのF-3《心神》は届かん。F-2支援戦闘機、F/A-18E《スーパーホーネット》ならば届くから、これらを直ちに発進させてくれ」

 

佐伯空幕長に命じた。

 

F-2支援戦闘機はF-1支援戦闘機の後継機であり、本来の外観は現物とは違うものだったが、米軍の横槍が入ったため、F-16戦闘機に似ている。

しかし性能はF-1支援戦闘機、F-16戦闘機をも上回り、とくにアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーを始めとする電子統合システムを持っており、これは3種類……対空・対地・対艦の運用に切り替えることができる。

また、ハードポイントも大幅に増えて、13箇所もあり、これは母体となったF-16よりも1箇所多い。ここに多彩な兵器を搭載し、コントロールしやすくするため複座となり、後部座席にはそのための要員が配置される。

 

F/A-18Eは、言わずとも米国製を貸与されたものである。

不足気味のF-2支援戦闘機を補うために、配備されたものである。

第4.5世代ジェット戦闘機に分類され、戦闘攻撃機(マルチロール機)として、F-2支援戦闘機とともに活躍している。F-4EJ改の更新計画「第4次F-X」の候補機種の1つとして取り上げられたが、自国のF-3を取り上げたため見送られるも、多種な航空兵装を搭載できるためにふたたび採用された。

各基地から飛び立った両機は、対艦ミサイルを4発も抱えている。

 

 

 

ヤンはすでにJ-31、Su-33が届く頃合だと考えたが、念のためにいま少し東京に接近することにした。

その方が両機とも長く飛べ、作戦行動が長く取れる。

しかし幕僚たちは反対した。敵哨戒機に発見され、これをミサイル攻撃で沈黙させたが、それが発信した電波はしっかりと捉えている。つまり敵は迎撃態勢に入ったと見るべきだ。

ヤンはもし生還する意思があるつもりであれば、幕僚たちの意見を聞き入れただろう。

しかしここまで日本沿岸に近づいたいま、生還できる見込みは少ない。

そうであれば、できる限り東京に壊滅的打撃を与えるべきだと考えた。

 

指揮官としてのこの判断は一長一短である。発進を遅らせているうちに敵の邀撃を受けかねない。

しかしそれを凌げれば、確かに作戦の効果は上がる。

 

しかし、運命の女神はヤンには微笑まなかった。

運命の女神と言うものは実に気まぐれなものであり、一度だけのときもあれば二度も恵まれることもあるが、よほど雪風のような幸運な女神に恵まれていない限りは無理である。

この貴重な時間が過ぎていくうちに、硫黄島から発進したF-15迎撃戦闘機50機、百里基地から発進したF-2支援戦闘機、F/A-18E戦闘攻撃機が空母《天安》に向かって殺到した。

いずれも対空・対艦ミサイルを両方とも積んでいる。

それと同時に、空母《飛鳥》筆頭の日本空母戦闘群も敵空母の所在を知らされて、南西に急行しつつあった。

その針路は敵艦隊の前方を防ぐ方針だ。

 

0900時。

空母《飛鳥》の第二CICにいた司令官……真崎海将は、マザーが穏やかに語りかける女性の声を聞いた。むろんこれは合成された人工音声である。

しかし生きた人間はもちろん、艦娘たちのように様々に語調を変化させることができる。

 

『敵に対して、艦載機の作戦行動半径に入りました。すでに兵装は対艦攻撃に切り替えています。ただちに発進させますか?』

 

操艦モードはマニュアル・モードに切り替えているが、いざと言うときはマザーが逐一に情報を知らせてくれる。

無人艦載機は格納庫に収納しているが、これは飛行甲板を広く使うためと、各兵装交換はロボットハンドが行なうためだ。そのスピードは人間の整備士がやるよりも早い。

第二CICの戦闘データースクリーンには、敵との距離がデジタル処理で投影されている。

 

「分かった。すぐに発進させてくれ」

 

空母《飛鳥》が搭載する艦載機は4種類である。

主力艦載機はダグラス・ボーイング社製の戦闘攻撃機F/A-18E《スーパーホーネット改》と、ノースロップ・グラマン社の艦上主力戦闘機F-14D《トムキャット改》で、両機ともステルス機だ。

前者は戦闘攻撃機F/A-18《レガシーホーネット》の発展型。対艦用の多彩な武器兵器を搭載することができるが、戦闘データに指示された兵器は対空ミサイルのほかにはレーザー誘導爆弾となっていた。

これもマザーが判断した。もっとも有効だとマザーが考えたのだ。

 

トムキャットの方は、艦隊防空用に特化した戦闘機とも言える。

そのため多目的探索が可能なレーダー/火器管制装置(AN/AWG-9)は、最大探知距離が200キロメートルをも超える画期的な高性能レーダーを取り付け、最大で24目標を同時追尾、そのうち6目標へ長距離空対空ミサイルAIM-54《フェニックス》を備えている。

因みにAIM-54《フェニックス》は、トムキャットのみが使用でき、最大6発も搭載できる。

このため複雑な情報処理をするために、複座でNFO(後席要員)が乗る。

しかし複座ではあるが、可変翼を持つため格闘戦にも強い。

 

《飛鳥》はこの2種類の艦載機を、各20機ずつ積んでいた。

その他には、EA-6電子戦機《プラウラー》4機、E-2C早期警戒機4機、SH-60K《シーホーク》対潜哨戒ヘリも2機搭載している。司令官の了解をとりつけると、《飛鳥》は凄まじいスピードで発進準備を始めた。

自動操艦に切り替わり、自ら回頭して風を立つ。

その艦の動きも全てスクリーンに現れるから、真崎司令官をはじめCIC要員たちは、黙ってそれを見守っていればいいのだ。

エレベーターが動きだし、艦載機が飛行甲板に上がる。

飛行甲板に繋止されていないのは、狭い飛行甲板を有効に使うためだ。

対潜ヘリだけでは飛行甲板に出ているが、邪魔にならない場所に置かれている。

その情報は、艦橋に置かれたテレビカメラから別なスクリーンに映し出される。

まず重量のあるF/A-18E《スーパーホーネット改》から発進した。

恐ろしい速さで次々と発艦して行く姿は、まるでテレビゲームの画面でも見ているようだ。

《スーパーホーネット改》の発進が終わると、F-14D《トムキャット改》が格納庫から上げられ、これまた矢継ぎ早に発艦した。

最後にEA-6電子戦機《プラウラー》が発進した。本機の役割は敵機の通信をジャミングすることである。

人間が介在していれば、これほどとてもスムーズにはいかないだろう。

ハイパー人工知能《マザー》と各艦載機の操縦コンピューターは無線で繋がれ、マザーが機体の動きを全て把握している。しかし戦闘時には機体に搭載した人工脳の判断が優先することになっている。

これら40機は、普通の空母艦載機のように三機編隊を組まない。1機ずつがリーダー並みの判断を行ない、自衛もまた自己判断で行なう。

パイロットたちが編隊を組むのはウィングを組むと言うが、これはお互いに掩護するためである。

しかし《飛鳥》が持つ艦載機は、完全自律型無人機であるから、そんなことは必要ない。

人間よりも遥かに判断力が早く、状況判断して対応できるから、僚機の支援など要らないのである。

このような完璧な無人機を造ることは、人類の昔からの夢で、偵察機に関しては米軍は実用の域を達している。

 

しかし複雑な操縦系を持ち、攻撃力・防御力を行なう戦闘機の無人化の研究はまだ道半ばで、プロトタイプですらも完成していない。

むろん無人機が必要なのは兵士の損害を失くすためだが、そのためには人間よりも優秀なコンピューターを載せなくてはならない。

学習能力を持ち、自己進化するコンピューターで、そのためにはやはり人間の脳細胞に等しいバイオチップが必要不可欠だが、まだ開発されておらず、実用化もしていない。

その一方、自己認知力、つまり自覚能力のあるコンピューターを造ってしまうと……そこに自我が生じて、暴走する恐れもある。それを防ぐためには、フェイル・セイフ回路を造っておかなければならない。

つまり無人機を造ると言うのは、人間のパイロットよりも仕事をできる人工知能を搭載しなくてはならない。……と同時に、暴走するかもしれないという矛盾を抱えている。

 

むろん“もうひとつの世界”の日本からやって来た灰田のいる未来世界では、そんな問題をとっくに解決しているはずだ。

いわゆる有名な『ロボット三原則』が、マザーには組み込まれていると、灰田は宣言した。

これはかの有名なアメリカの科学者であり、SF作家でもあった“アイザック・アシモフ”が唱えたものだ。

 

1、ロボットは人間の命令に服されなければならない。

2、ロボットは人間の危機を救わなければならない。

3、上記の二項に反しない範囲で、ロボットは自分を守らなければならない。……と言うものである。

 

同時に、マザー自身が、空母と言う複雑な戦闘艦船を操る巨大ロボットとも言える。

艦のいたるところに張り巡らされたロボットハンド、全て自動システムは、彼女の手足そのものなのだ。

わざわざ自分たちを乗せるように取り計らったのは、人間のプライドを持たせるためだったのではないかと、真崎は考えた。

 

唯物的に考えれば、この艦には人間など必要ない。

しかしそれでは日本人のプライドが傷つくので、灰田はマニュアル操艦機能も取り入れたのではないかと、真崎はそんな気がした。

自分は恐ろしくリアルなRPG(ロール・プレイング・ゲーム)のなかの登場人物として、ここにいる気がした。




灰田「勇敢なP-3C対潜哨戒機の機長以下、各乗組員のおかげで見つけることが出来ました。では第一ラウンドともいえる空母戦、連邦空母戦闘群VS日本空母戦闘群(第八護衛艦隊)の戦いがいまここに始まりました。果たしてどう言う結果になるでしょうか……」

果たしてどういう展開になるやら。

灰田「連邦艦載機のパイロットも驚くでしょうね、トムキャットを見れば……」

イラン空軍では25機が現役ですね、最近もロシア機の護衛任務に就いたとか聞いたが。
日本も昔はF-14を採用しようとしたけど、F-15になったんだよね。

灰田「まあ、ここでは存分に活躍しますので」

では、次回予告を……

マザー『私が今回だけ次回予告をしますね。次回は空母《天安》率いる連邦空母戦闘群VS空自の迎撃部隊、そして私が放った艦載機群VS連邦艦載機群との戦いが始まります。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか、お楽しみください」

本当に鳳翔さんと間違いそうだな。

鳳翔「同じマザー同士ですものね、うふふ」

マザー『はい、あなたと私は母なる空母ですものね』

灰田「同じ空母同士ですからね、仲良くなれて良かったですね」

鳳翔「はい、私も嬉しいですよ」

マザー『私も嬉しいですよ』

灰田「ではお二人が仲良くなったところで、ちょうどいい時間になりましたので……次回まで、第六十三話までダスビダーニャ(さよならだ)」

マザー『ダスビダーニャ』

鳳翔「ダスビダーニャです、ではお茶にでもしましょうか」

灰田「ではお言葉に甘えて、いただきましょう」

マザー『では、音楽を掛けましょう』つ加賀岬

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。では私も加賀岬を聴きながら、お茶をと……
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