超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告通り、海戦結果を知った連邦国視点からお送りいたします。
灰田「なお本来ならばここで第二章が終わる予定でしたが、事情により次回に変更になりましたのでご了承ください」
ではこの言葉に伴い、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
突然と空母戦闘群、人造棲艦《ギガントス》の監視員であるイ・デヒュン中将との通信が途絶えたので中南海では戦場を掴めずにイライラしていた。
しかしその日の夕刻……CNNニュースにより何が起こったのかを知った。
これはむろん日本政府が意図的に流したもので、ご丁寧に無人偵察機が撮影した戦闘状況……燃える連邦艦艇の姿を提供した。
また秀真艦隊に所属する青葉が撮影した戦闘状況と共に、連邦自身が生み出した非人道的生物兵器……人造棲艦《ギガントス》の最後まで提供したのだった。
前者は東京湾南方で日連空母戦闘群同士の戦闘があり、連邦艦隊は壊滅。
後者は北海道北上中のさなかに、日本連合艦隊と連邦・深海合同艦隊同士の戦闘があり、多数の捕虜まで出した、というコメント付きである。
ただし、その前に宮城県・仙台市が空襲を受けたこともニュースとして世界には流れている。
しかしそれは細やかな戦果に過ぎず、連邦艦隊が壊滅したことが世界中に流れたのだから堪らない。
中南海の面目は丸つぶれとなった。
さしもの忠秀も顔色を失った。ここまで作戦指導をしてきたのは自分である。
しかしそれらの作戦は悉く失敗、ついに虎の子の空母、人造棲艦を失った。
連邦中央委員会が開かれれば、自分は弾劾される。
副主席まで外されるだけでなく、国賊扱いされて投獄されるかもしれない。
連邦はかつての中国を模倣しているため、民主国家ではあり得ないことが起こる。
毛沢東もかつて自分の股肱や腹心であった者を次々に粛清した。
共産軍結成以来の同志であり、副指揮官であった林彪(リン・ピャオ)さえ、平然と粛清したのだから恐ろしい。
……しかし実際には毛沢東に粛清されるのを察知した林彪が家族と共に、ソ連人民解放軍が所有するイギリス製旅客機《ホーカー・シドレー トライデント》で逃亡中にモンゴル人民共和国のヘンテイ県イデルメグ村(モンゴル国ヘンテイ県ベルフ市の南方10キロ付近)で墜落死した。これには燃料切れ説と、彼の逃亡を阻止しようとした側近同士が乱闘になり発砲し墜落した説など様々だが。
運よく粛清を免れたのは、最後まで毛沢東に忠誠を尽くした周恩来(ヂョウ・オンライ)だけだったが、晩年に膀胱ガンに掛かったものの、容易に治療してもらえなかった。
毛沢東は自分より早く死なせるように工作をしていたとも知らずに……
だから多くの者たちは自分が粛清されるのが嫌なため、それを逃れる方法であり、お得意の手段とも言える……全ての責任を部下に擦り付けて逃げることだった。
「何と言う事だ!無様な戦い方をしおって!」
まず、海軍司令員のロウに怒鳴りつけた。
ロウは恐怖のあまり言葉を失い、ただ冷や汗を流していた。
「せっかく空母の優位を生かせなかっただけでなく、人造棲艦も同じく艦娘どもに負けてしまったではないか、しかも多数の捕虜までまた出しおって!責任はお前にあるぞ!」
ロウは黙っていた。どんなに抗弁しても日本海軍に完敗してしまったのだからだ。
彼は粛清されても投獄されてもどんな責任でも取るつもりであった。
その点は怒り狂う忠秀よりはずっと男らしかった。
またこの様子を戦艦水鬼たちも見ていたが、自分たちが発言することはなく、忠秀たちを見て『当然の報いね』と呟いていた。
あの灰色服の男ことミスター・グレイの情報通り、人造棲艦《ギガントス》を出撃させたのだから、寧ろ空母《天安》とともに、怪物を処分する手間も省けたゆえに好都合であり、それらを処理してくれた日本に感謝している。
また空母棲姫たちを助けてくれた提督と艦娘たちにも感謝している、自分たちによる停戦講和後にはひと目お目に掛かりたいと考えていた。
「まあ、待ちなさい」
重苦しい空気のさなか、湯浅は穏やかに言った。
「わたしは最初から空母、人造棲艦を出すと言う作戦は憂慮していたわけだ。ともかく、こちらから出て行くと言うだけでも不利だ。敵は待ち構えていれば良いのだからな。
仙台市を叩けただけでも“良し”とせねばならぬだろう。少なくとも一矢を報いたのだ。
連邦の面子は立ったわけだ」
「まだシア級原潜が残っています。これを使えば、東京に核攻撃が可能ですが……」
ロウは言い張った。
シア級は連邦海軍が保有する戦略原潜である。二番艦もあったが、不慮の事故で沈んでしまった。
これは核弾頭搭載のSLBMを発射できるが、本来これは“アメリカ”を仮想敵国に攻撃するために造られたものである。
「いや、そんな事をしても日本は核爆発エネルギーを消してしまうだろう。
北海道・十勝でやったようにな。十勝基地を守ったほどだから当然……首都・東京も守るだろう。彼らはなぜか我々の打つ手を先読みしているのだ」
「それならばどうする?」
被りを振った湯浅に、忠秀は尋ねた。
「もはや打つ手はなかろう。全ては我々が日本の戦力、艦娘たちなどを過小評価しすぎていたことから起こったことだ。現場で戦った将兵たちの責任ではない。
日本には我々には理解できない味方を持っている。その正体がはっきりしない限り、どれほど仕掛けても無駄だろう……
それよりわたしが台湾の出方が心配だ。わたしがレン総統ならば、このチャンスを逃さず独立を宣言するだろう。我々はそれを阻止する力を持たない」
「お言葉ですが、そんな事は断じて許しません!」
キョウ空軍司令員が言った。
「確かに《鬼角弾》《東風15号》の両ミサイルは壊滅しましたが、我々にはまだ台湾まで届く戦略爆撃機、戦闘機を充分持っています。まだ無事な旧式の揚陸艦も残っています!」
「最新鋭艦は喪失しましたが、旧式フリゲートであれば、まだ持っています。
深海棲艦たちと協力して台湾侵攻も不可能ではありません」
失地を取り返さんとばかり、ロウが急いで付け加えた。
戦艦水鬼たちは聞こえないように舌打ちし、冗談じゃないと心のなかで呟いた。
こいつ等のせいで同胞は無駄死である故に、ベテランを育てるまでどれだけ時間が費やすか考えているのか?とも呟いた。
ベテランになるまでは訓練が必要であり、実戦経験でも失敗しても良い。
最後まで生き残ることを繰り返して、ようやくベテランになる。
しかしそんな事も知らずに、湯浅は被りを振った。
「この戦争が始まる以前ですら、台湾空軍、海軍は、我が軍の力はほぼ拮抗していたことを忘れたのかね?
我が連邦の最新鋭機、最新鋭艦、実戦経験豊富な深海棲艦たちをほとんど失ったいま、侵攻しても無駄に消耗を繰り返すだけだ。
それともうひとつ、最近、政務外務省から入手した情報によれば、日本は我々との戦争を始まる前に台湾との秘密同盟を結んだらしい。
これは相互防衛同盟を持ち、我が空母戦闘群、ギガントスたちなどがバシー海峡を通過したことを教えたのも、むろん台湾だ。
だから、もしも我々が台湾と対立姿勢を構えれば、日本は傍観していまい。
さらに我々は叩かれることになるだけだ……」
その思い言葉に全員が沈黙した。
もともと連邦国も中国同様に、人命軽視である。
かつて中国は朝鮮戦争時に、毛沢東は100万人の中国軍を派兵したが、全員が元国民党軍だったもので、言わば彼らを用済みとして処分するために朝鮮半島に送った。
彼らにはろくな武器を持たずに、人海戦戦術を強いられた。
これは中国軍に限らず、ソ連軍、北朝鮮軍も得意としていた戦術……もはや戦術ではないと言ったものに等しい。兵士たちは前進するしか方法がなかった。
もし撤退すると政治将校率いる督戦隊が後方におり、重機関銃で撃ち殺されてしまうからである。
つまり進んで死であり、退いても死である。
このように兵士を使い捨てにした戦術は、世界史に例を見ない。
そのあまりの凄惨さに、最前線にいた米軍の重機関銃手たちは死に物狂いで撃ちまくり、発狂したとも言われている。
現状に戻る。
確かに台湾空海軍の戦力は大きい。
アメリカから買い付けたUSSキッド級ミサイル駆逐艦4隻を買い付け、成功級フリゲー
トに、さらに世界最新鋭の康定級フリゲートを数隻も持っている。
間もなく、アメリカからアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦も来ることになっている。
この艦船はイージスシステムを搭載したイージス艦であり、我が海上自衛隊が保有しているイージス艦……こんごう型・あたご型護衛艦に影響を与えた艦でもある。
これらを統合した防空能力は強力で、連邦空軍の旧式戦闘機や爆撃機がいかに押し寄せても、片っ端から撃ち落されるだけである。
アベンジャーシステムに、米国製のパトリオットミサイルも配備されており、防空能力は以前よりも強力になっている。
空軍も同じく純国産戦闘機F-CK-1Aを近代化改修したF-CK-1Dを130機。
ほかに第4世代ジェット戦闘機F-16《ファイティング・ファルコン》を150機。
F-16はA/B型の能力向上から、より高性能なC/D型に更新した。
フランス・ダッソー社が生み出した傑作マルチロール機で、フランス空軍が制式採用しているミラージュ2000-5戦闘機は60機までも保有している。
これらの戦力はかつての中国どころか、今では連邦国を確実に凌ぐ。
航空戦でも負け、旧式艦艇や実戦経験の浅い深海棲艦を繰り出しても海戦で叩き潰される。
旧式揚陸艦を出しても近づくどころか、失敗に終わる可能性が高い。
さすがに湯浅は冷静で、これらの状況を読み切っていた。
その一方、この連戦連敗の報告を次々と聞いた中岡は怒り狂っていた。
「あの侵略者どもが、皇帝陛下たる俺様の世界征服の邪魔しおって!」
妄想も良いところであり、挙げ句は“皇帝陛下”と意味不明なことを述べる始末だった。
自身も日本人でありながらも日本人が全て悪い、嫌いと言う特亜並みの独特な思考である。
かつてのナチス・ドイツのヒトラーも日本人が好きではなかった。
強烈な差別主義者だったヒトラーは、アーリア人以外はまともな人種は認めなかった。
ただし白人……アングロサクソンだけにはひと目置いていた。
彼らも根っこはアーリア人だった。
日本とは、アメリカとソ連を牽制するため必要上のために、同盟を結んでいただけに過ぎない。
凄まじい癇癪の発作にチェソンタク次長、人民武力部アンミョンペク総参謀長、そのほかの幹部たちも口を挟めない有様だった。
戦艦水鬼の代理に参加した深海メンバーは、やれやれと頭を抱えたほどである。
ようやく落ち着いたところと、中岡はアンミョンペクに命令した。
「アンミョンペク、事態がややこしくなる前にアメリカに亡命する準備をしろ」
「アメリカにですか?」
アンミョンペクは出来ないとは答えることはできない。
もし不可能です、と答えると、この場で射殺されかねないからだ。
以前は生き残った兵士たちを公開処刑したのだから拳銃ならまだいいが、公開処刑場に連れて行かれた者たちはDshk38重機関銃や迫撃砲で殺された者たちもいる。
「はい、外交ルートを通じて努力します」
「よろしい、努力しなさい」
……見ていろよ、この俺様は皇帝陛下になった日には跪かせて吠え面かかせてやる。
もはや連邦国は崩壊気味であり、アメリカに亡命する気満々な一同たち。
灰田「ともあれどういう展開になるかは分かりませんがね」
秀真「にしても今回は台湾独立が叶うのであれば、日本としてもかなりの戦力だな」
郡司「敵の敵は味方だからね」
まあ、そうなるな(日向ふうに)、果たしてこれがどういう結果、展開になるかは次回の第二章の最終回で分かるからね、次に第三章に突入ですが……
灰田「ここでもまたどういう展開になるかは、予告しておきますね」
次回はとあるもう一つの大国、アメリカ視点からお送りします。
果たして連邦同様にこの海戦結果を知ったアメリカがどう思い、そしてどう行動をするかが注目されますのでお楽しみを。
灰田「すみませんね、私の代わりにしてもらいまして……」
いや、たまにはキミにも休んでもらわないといけないからね。
秀真「まあ、俺たちもこの間は休んでいるけどな」
郡司「久々の休暇は良いもんだよ、本当に」
灰田「ではちょうどいい時間になりましたので……次回まで、第六十八話までダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真「ダスビダーニャ」
郡司「ダスビダーニャ」
ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。