超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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イズヴィニーチェ、皆様に長く待たせてごめんなさい。
では予告通り、アメリカ視点からお送りします。
果たして連邦同様にこの海戦結果を知ったアメリカがどう思い、そしてどう行動をするかが注目されます。

灰田「ではこの言葉に伴い、改めて……」

作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」


第六十八話:偽りの平和

湯浅の不安は的中した。

空母戦は『東京湾沖海戦』と、人造棲艦戦では『北海道沖海戦』と呼ばれるようになった日連海戦の三日後……台湾のレン総統は、台湾独立を宣言したのである。

 

正式な国名は『台湾民主共和国』。

次の国連総会で国連を求める要請も発表した。さっそく多くのアフリカ・アジア諸国がこの独立宣言を承諾した。

このニュースもまたCNNそのほかの国際ニュース、ネットなどにも大きく報道されて、世界中に流れた。

 

むろん同時に台湾軍部は臨戦態勢を敷き、台湾艦隊を澎湖諸島まで進出させている。

台湾は遥か南方の南沙諸島にも飛行場を持っている。

台湾本土に近い金門(チンメン)、馬祖(マーツ)両島には連邦国・深海棲艦による両者の攻撃があり次第、いつでも戦闘機部隊を派遣する準備を固めている。

しかし不思議なことに不気味なほど連邦・深海棲艦たちは静かだった。

むろん連邦国内は沸騰し、各都市では、腑抜けの軍部と深海棲艦たちを罵る大規模なデモが行われたが、いつものように一方的な弾圧はなかった。

じつはこのときの中南海は、日本政府からある通告を受け取っていたのである。

かいつまんで言うと、我々日本政府は台湾独立に全面支援しており、もし武力攻撃することがあればステルス重爆ことZ機部隊が河南省、洛陽、および青海省、懐化にある戦略ミサイル基地を爆撃する、というものである。

また深海棲艦が台湾海域に攻めれば、艦娘たち、海上自衛隊、多国籍海軍で攻撃すると言うものである。

 

日本は講和条件として、深海棲艦との停戦講和を求めることだった。

沖縄侵攻そのほかの軍事行動に対する補償は、いっさい求めないという極めて緩やかなものだった。

しかしこれは言い換えると、もしもこれら全ての条件を呑まなければ戦略ミサイル基地はもちろん、各都市を空爆すると言う恫喝があると恫喝を含むことは間違いないと、湯浅は考えた。

なお一度は拒否したものの、脅しでないということでZ機部隊は再び連邦国に配備されている戦略ミサイル基地ないし各都市を空爆した。

これに懲りた連邦国は、72時間後に返答することにした。

 

当然日本国民は、この政府決定に対して弱腰だと怒り狂ったが……久しぶりに大学生たちのデモが吹き荒れ、かつての日比谷焼き打ち騒動のようなことが起きたのだった。

これは日露戦争の勝利の後、ロシアに対する賠償要請が少なかったことに不満を洩らした国民は憤激、暴動が起こり、日比谷の交番を焼き打ちした事件である。

 

だが、安藤首相は冷静だった。

安藤首相を支持する元帥、秀真、郡司のほか各提督たち、古鷹たちを始めとする艦娘たちも同じく冷静だった。

連邦軍の海空軍を壊滅させたことにより、深海棲艦たちは厭戦状態になり、そして日本に敵意を持つ東アジア諸国の潜在的脅威は去り、今回の戦争目的を果たせたのだから。

またロシアも連邦と手を結ぶのではないかと安藤首相は恐れていたが、その事は毛頭なく、むしろ今のロシアは中立の立場であるため、そのような悪夢は去った。

仮にそうだとしても安藤首相の外交センスは、昨今の日本首相のなかではずば抜けていたためそのような失態はあり得ないが。

 

あとは連邦国からの返答待ちになったが、呆気なくこの条件を呑むことにした。

講和会議はインドネシアを煩わし、ジャカルタで開かれることに決定した。

しかしこの直後、事態が思いがけない方向に転がった。

アメリカが突然介入してきて、日本に対し、これらを一切許さないと言ってきたのである。

 

 

 

その1週間前のことである。

ちょうど『東京湾沖海戦』『北海道沖海戦』が行なわれた直後だが、ワシントン・ホワイトハウスでは、オーバル・ルームにハドソン大統領を囲んで各閣僚たちと補佐官、各軍部たちが集まっていた。

NSA(国家安全保障局)が重大な情報をキャッチしたものである。

この諜報機関はNASA(航空宇宙局)と協同で、衛星情報の解析を請け負っている。

 

「今度は何が起こったのかね?また日本が奇跡でも起こしたのか?連邦艦隊及び深海棲艦との戦闘はJSDFと艦娘たちの圧勝に終わったと聞いていたが……」

 

ハドソンはいささか不機嫌だった。

アメリカ抜きの日本が、連邦国と深海棲艦を押さえたことが不愉快なのである。

しかも自衛隊と多国籍支援軍、そして艦娘たちの勝利だ。

この摩訶不思議な戦争が始まるまで、そんな事を予測していた者は誰ひとりもいない。

NSAの担当官が局長に伴われて出席し、持参した衛星写真をテーブルの上に並べた。

これらは衛星が写しだした写真を大きく拡大したものである。

 

「これらの写真を解析すると、不可能なことが幾つかありました」

 

ヨーク参謀総長が言った。

 

「まず日本が突然所有した空母についてです。これは相模湾で艦娘たちと訓練するところを衛星が撮影しましたが、何枚調べても飛行甲板には人影がありません。

この空母は、ロシア空母《アドミラル・クズネツォフ》の発展型と見られ、それよりもひと回り大きいのですが、我々の常識では艦載機を発進するときには、飛行甲板要員が何十人も必要です。しかしいくら写真を調べても、人間の姿は見られないのです」

 

「また連邦空母《天安》の艦載機……J-31とSu-33の両艦載機が日本機と交戦しました。

しかし不思議なことに過去に我々が制式採用していた艦上戦闘機……F-14《トムキャット》なのですが、なぜ日本が持つようになったかも分かりません。

……その空戦を撮影した写真を詳しく解析したところ、トムキャットのコックピットにはパイロットの姿がありません。コックピット自体が狭く、人間の入る余地がないのです」

 

NASA衛生担当者は続けざまに、説明をした。

 

「なお各艦娘たちには大和級と思しき、いや、我々の常識を覆すような2隻の超空母級は

四発爆撃機《連山》を、かつてコードネームではハリーと呼ばれる大型爆撃機を装備していますが、これにジェット艦載機の発進に必要なアングルドデッキまでも装備しています。

ハリーを搭載しなければ、恐らく200機ほどは搭載できると考えられます。

そして各艦娘たちも見慣れない砲塔を装備しており、新型深海棲艦の艦載機はもちろん、その親玉ですらも蹴散らすほどの威力を持つ新型連装砲らしきものと護衛艦並みの装備に、さらに見慣れない魚雷まで装備しているのです。最後に彼女たちを指揮する提督が乗艦している我が最新鋭ミサイル巡洋艦《ズムウォルト》には、レールガンを装備しています」

 

そこにいた者たちは顔を見合わせた。

このような場面は今まであったと、ケリー国防長官は考えた。

日本が奇跡を起こすたびに顔を見合わせたものだ。

 

「どうもキミの言っていることが、よく分からんのだが」

 

ハドソンは顔を顰めた。

意見がブレ、血の巡りのあまりいいと言えない大統領である。

大統領にも当たり外れがあるが、ハドソンは外れの方の大統領だろう。

以前のレームダックと呼ばれた弱腰大統領も、またブッシュ・ジュニアも同じと言える。

 

「一体どうだと言うのかね?まさか空母と艦載機が自動で動いていると言う訳でもあるまい」

 

「それがまさかなのです」

 

ケリーは言った。

すでにそれらの写真を見て、彼なりの結論を引き出していた。

 

「おそらく、この空母は無人化されているに違いありません。内部の人間が乗っているかどうか分かりませんが、少なくとも艦載機の発進は全て自動で行なわれているとようです。

しかも艦載機もまた無人機で、おそらく高性能なコンピューターか人工知能を搭載して、

それで戦闘しているのでしょう。

言うまでもなくパイロットが乗らないのであれば、人間の生理に配慮する必要がありませんから、機体は数十パーセント増しの性能が引き出せます。

連邦戦闘機が役に立たなかったのも当然でしょう」

 

「……無人空母に無人戦闘機だと?」

 

ハドソンは苦笑いした。

 

「私にはSF世界の話しに思えるがね。我が国ですら人工知能を搭載した無人戦闘機はおろか、レーザー砲も開発されていないのだろう?」

 

「目下開発ですが、あと数年も掛かるでしょう」

 

ケリーは認めた。

 

「しかし日本人は開発しました。いいえ、何者からか貸与されたのかもしれません……

あの《ミラクル・ジョージ》に、見られない艦娘たち、彼女たちの装備のことも合わせると、それが妥当だと考えられます。未来技術が投入されているのであれば、未来人が関わっているとしか考えられません」

 

ミラクル・ジョージとは、Z機に対する米軍の付けたコードネームである。

米軍はコードネーム好きなのか、今日までのあらゆる兵器などにもコードネームを付ける。

 

「何と言う事だ。SF世界が現実と化していると言うことか」

 

ハドソンはため息をついた。

 

「しかし、ともかく東アジアの戦争は終わった」

 

ハドソンは他人事のように言った。

グレイ首席補佐官とケリー国防長官、マーカス国務長官たちは秘かに視線を交わした。

こんな鈍感な大統領のもとで働く羽目になった自分たちを嘆いていたのだ。

 

「大統領閣下、日本がこれだけの戦力を手にしたとすると、我が国の安全保障に掛かります」

 

マーカスははっきり言った。

 

「それは分かっている……だからこそキミたちは《チェリー・プラン》を立案中に伴い、連邦国の中岡大統領たちが亡命をした時は、快く受け入れる準備も万端なのだろう?

……しかし、この段階になって本気で日本と戦争をするわけではあるまいな?」

 

「しかし、いまここで日本のこの不可解な戦力を、艦娘どもも同時に潰しておかないと、日本がアジアの覇権国となり、パックス・ジャポニカが出現することになるでしょう。

親日寄りのロシアのことも考えますと、我々はますます孤立し、世界唯一の覇権国家としての我々のプレゼンスも失います。

……強いアメリカであったからこそ、世界平和が長年も保てたのです。

しかし我々が求心力を失えば、アラブ世界でも増々困難が生じ、世界秩序がより大きく乱れます。これは本来の我が国の国是から外れます」

 

なんとも夜郎自大な発言だが、マーカスは本気で言っているのである。

 

「それとも大統領閣下は、日本がアジア全体を支配し、さらにロシアと手を組んで世界の半分はおろか、世界覇者になる事を望まれますか!?」

 

むろん、いまの日本政府はそんな意思は少しも示していない。

しかし超タカ派のマーカスの視点から見ると、強大な軍事力をも握った国家は必ず覇権国家を目指すのである。

日本に負けるまえの連邦国がそうであったように、日本も何時そうなるか分からない。

 

「では、いったいキミはどうしたいのかね?」

 

大統領がケリー国防長官に尋ねた。

 

「我々はふたつの選択肢があると考えています。

ひとつは安全保障を維持したままを条件に、日本に軍に破棄させること。

いや従来の自衛隊と艦娘たち、PMCはそのままでいいのですが、新たに手に入れた戦力を破棄すること。

もうひとつは、もし日本がこれを拒否した場合、太平洋軍の兵力を総動員して、これらの新兵器を潰すことです」

 

「それはちょっと虫が良すぎると思わないかね?」

 

大統領が答える前にマーカスが言った。

 

「……いかに日本人がお人好しでも、長年同盟国を保ってきた我々の要求を簡単に了解はせんだろう」

 

「実は、わたしもそう思う」

 

ケリーは冷ややかに言った。

 

「これは実力で日本の新戦力を、我が国の脅威となる新戦力を叩き潰すための謀略なのだ。

日本はここまで馬鹿にされれば、実力で我が国に刃向かうだろう。その時、我々は国際的非難を受けることなく、これと戦える」

 

「うむ……」

 

大統領は苦しげに頷いた。

 

「キミの言う事はよく分かるが、ひとつ疑問がある。その問題の日本の新戦力だが、我が軍の戦力を持ってすれば撃破は可能かね?」

 

ヨーク参謀総長が頷いた。

 

「いかに無人機であろうと中型空母では、我が空母戦闘群の比ではありません。

またミラクル・ジョージに関しては、修復した我が軍のB-2《スピリット》爆撃機で対抗できます。また本土にいる空母戦闘群を繰り出せば、楽に片づけると考えます」

 

「そうか、それならばいいのだが……」

 

大統領は呟いた。

どうもそう簡単にはいきそうにもない予感がしたのである。

 

「……それで、作戦開始はいつを考えているのだ?」

 

「早ければ早いほど良いと、考えています」

 

ケリーはいった。

 

「第3艦隊やほかの空母航空団をハワイに移動させ、これらをもって進撃すると同時に、回復したばかりのグアムから新たに修復したB-2およびB-52部隊を発進させ、十勝にMG《ミラクル・ジョージ》基地を叩く予定です」

 

「ふむ、そう簡単にことが運ぶと良いのだがな」

 

ハドソンは言った。

 

「だが、ともかくその前に外交努力に最善を尽くしてもらいたい。我々としては日本と戦争はしたくない。第一、国民が納得せんだろう」

 

ハドソンは初めて大統領らしいことを言った。

 

「分かりました」

 

ケリー国防長官は頷いた。

 

 

 

(第二章 了。第三章に続く……)




はい、ということで第二章が無事終わりました。
次回から第三章に突入することになります。
ここでも長い道のりでしたが、第三章も引き続き楽しめてくれたら幸いであります。

灰田「今日は皆さんご存知と思いますが、戦艦大和と矢矧率いる第二水戦が坊ノ岬沖、
五十鈴はスンバワ島のビマにて沈んだ日です。大和たちと彼女たちとともに戦った英霊たちのために敬礼!」

秀真「敬礼!」

郡司「敬礼!」

元帥「敬礼!」

彼女たちのために黙祷であります。
この戦いもまだまだ続きますが、第三章も同じく気を引き締めます。
第三章は早い時もあれば、またオリジナル展開がありますので、そのためにやや遅い更新になるかもしれませんのでご了承ください。
この戦いはどういう展開になっていくのかは、第三章のお楽しみに。

灰田「では今日はこの日は大切な日なので、これにて失礼いたします。
次回からは第三章に突入いたしますので、作者の言葉通りですが、しばしお待ちを……それでは第三章こと第六十九話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)」

秀真「ダスビダーニャ」

郡司「ダスビダーニャ」

元帥「ダスビダーニャ」

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。
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