超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

69 / 147
イズヴィニーチェ、皆様に長く待たせてごめんなさい。
では予告通り、タイトルからして新たな戦いがこれより始まります。

灰田「なお第三章は原作とは一部違い、オリジナル展開がありますのでお楽しみください。故に新しい戦いの始まりでもありますが」

ではこの言葉に伴い、改めて……

作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」


第三章:第二次太平洋戦争勃発!
第六十九話:ワシントン、対策を練る


20XX年4月。東アジアは新たな局面を迎えた。

連邦・深海棲艦の両者を相手にしての戦争において、日本は奇跡の勝利を果たした。

深海棲艦たちとの停戦講和を結ぶべく段取りをつけていた……そこにいきなりアメリカが横槍を入れてきたのである。

アメリカの言い分は、この落とし前は自分たちがする。

また虫のいいように日本が今まで手にした新兵器こと……新富嶽(Z機)と空母《飛鳥》に、そして各艦娘たちの未来艤装を破棄し、さらにアメリカに亡命を求める中岡たち率いる連邦幹部たちを裁かない、つまり無罪放免にすることを条件にしなければならないと告げてきたのだ。自分もやられていながらも、まことに自分勝手な発言である。

 

日本は、当然このような要請を無視した。

元帥たちもこれに断固として反対した。国際社会からの常識からしても当然である。

いかにアメリカと言えど、こんな自分勝手なふるまいは許さない。

日本はまず、最初の要請を無視し、そのあとワシントンの出方を見ることにした。

しかし、4月末に至り、連邦国内ではとある事態が起きてしまう。

連邦国では、兼ねてから心配されていることが起きた。

相次ぐ対日戦争の連敗が原因で、クーデターが勃発したのだった。

また台湾独立に続き、新疆チベット、ウイグル自治区も独立しようと反乱を起こした。

そして本当の民主国家になろうとロシアに亡命していたザオ将軍率いる中国人民解放軍も彼らに協力して、中岡たちを駆逐しようと準備をしていた。

残念なことにそうなる前にアメリカに亡命した中岡たちを拘束することが出来なかった。

捕らえた捕虜たちから聞くと、中岡たちは数隻の潜水艦でアメリカに亡命したとのことである。

なお戦艦水鬼たち率いる深海生棲艦たちも同じく中岡たちと共に、アメリカに亡命した。

だが、一党独裁だった中国、第二の毛沢東とも言われる中岡率いるブラック提督たちなどが恐怖支配する連邦国から、そしてついに本当の民主国家として生まれ変わったのだ。

ザオ将軍は日本の力は借りず、自分たちで国を建て直すと宣言した。

朝鮮半島に関してもイミンジョン大統領率いる親日派の者たちもザオ将軍たち同様、日本の力は借りず、自分たちで国を新たに建て直すと宣言した。

 

これにより史実上、連邦国は崩壊したのである。

連邦国が滅んだことは喜ばしいことだが、深海棲艦との停戦講和が無効になってしまったのは痛感であると同時に、またしても日本は難問が降りかかってきた。

 

 

 

 

霞ヶ関・首相官邸。

安藤首相、各閣僚たち、元帥たちが集まり閣僚会議が開かれた。

 

「ところでアメリカだが、大使はその後何か言って来たかね?」

 

安藤首相は開口一番に口を開いた。

 

「はあ、ウィルソン大使は三日ほどまえに早く返答せよとやいのやいの言ってきましたが、急にぷっつりと静かになりました」

 

大洲外相が言った。

 

「ふうむ、静かになったのか。そうなると返って不気味じゃな」

 

秋葉法務相はメガネを掛け直しながら呟いた。

安藤首相や元帥、秀真たちは、まあ、そうなるなと頷いた。

アメリカの沈黙は、理不尽な要求を突き付けるよりも不気味なものだ。

安保を維持すると言う条件に、日本が手に入れた新兵器を全て破棄せよ、中岡たちを無罪にせよとワシントンの要求を伝えてきたのは、ウィルソン駐日大使である。

 

安藤はこの要求を黙殺した。

これは外交のある国からの正式要請なので、黙殺すること自体は異例だが、安藤たちはそうすることで日本の意思を伝えようとしたのである。

 

「ワシントンは、どうにかして我が国に言うことを聞かせる方策を練ってきたのでしょう」

 

大洲が言う。

 

「大洲外相の言う通り、ことによるとアメリカはとんでもない荒っぽい方策をしてくるかもしれません。

なにしろあの2001年に起きた同時多発テロ事件、911事件や2015年に登場したISILが現われて以来、アメリカは変わり始めた。……いや、よりひどくなった。西部開拓時代に戻ってしまったようなものです」

 

元帥は発言に伴い、嫌な予感を感じた。

秀真たちも同じくアメリカが連邦国の残党と共に、何かを企んでいるのかを考えていた。

しかしこの胸騒ぎとも言える予兆が、ワシントンが中岡たちと共に軍事作戦を主体とした対日計画《チェリー・プラン》なる方策を的中させたかのように練っていたのだった……

 

 

 

ワシントン・ホワイトハウス

ハドソン大統領を囲み、閣僚と補佐官たちが対日政策について激論を交わしていた。

なお亡命してきた中岡元連邦大統領や湯浅主席、忠秀副主席、そして深海棲艦の戦艦水鬼たちも参加していた。ただし彼女たちに至ってはついでと言う事である。

中岡たちは亡命の見返りとして新型航空機《クラーケン》《ヘルキャット》に、あの恐ろしい非人道兵器こと人造棲艦《ギガントス》の製造データーを提供したのである。

 

「日本は相変わらず何も返答してきません。けしからんことです」

 

ケリー国防長官が歯ぎしりしながら言った。

この男は大統領周辺ではもっともタカ派であり、対日強硬政策の急先鋒である。

それ故に中岡や忠秀副主席と良好な関係を築いたほどである。

 

「我々連邦も同じく何だかの形で実力行使する必要があるのではないでしょうか」

 

忠秀が言うと、ケリーが頷く。

 

「日本が無回答については、充分に理解できます」

 

ケリーに比べて、遥かにリベラルで温厚派のマーカス国務長官が言った。

 

「客観的に見ても我が国の言い分は自己中心的ですから、日本が呆れたとしても無理はありません」

 

「国務長官、キミはいったいどっちの味方なのかね?」

 

ケリーが噛み付いた。二人はいわば犬猿の仲である。

 

「まあ、落ち着いてください。我々は共通の敵で結ばれた仲です。ここで仲間割れしても仕方ないことです」

 

「湯浅主席の言うとおり、そうしている間にも日本が得をするばかりです」

 

湯浅の言葉を繋ぐように、グレイ首席補佐官が割って入った。

 

「しかし、日本の沈黙は許せません。我が国を愚弄しています。やはりここは何らかの実力行使に出るべきだと考えていますが、いかがでしょうか?大統領閣下」

 

「……うむ、そうだな」

 

グレイの言葉に、ハドソンは曖昧に頷いた。

まだ任期を2年も残しているが、その残りを無事に過ごし、大統領の汚点を付けたくない。

しかしこの奇妙な戦争で日本が軍事的に予想外の実力をつけ、中岡たちが建国した連邦国を解体するほどに追い込んだ。

だからこそ流石に黙視できなくなり、《チェリー・プラン》の立案に伴い、中岡たちの亡命を承認したのだ。

ハドソンにもプライドがある。アメリカの威信を傷つけた大統領と歴史上の汚点を着たくなかった。

 

「いずれにしろ、本格的な軍事行動に出るのはまだ早すぎるでしょう。

また中岡連邦大統領率いる連邦亡命政府に我が軍の装備品も、軍事行動時には貸与します」

 

中岡たちはこの言葉を聞いてニヤリとした。

自称『地上の楽園』とも言える連邦国は失われたが、まだ徹底抗戦する意志はある。

日本を無条件降伏させた後は、日本を植民地にすれば良いのだという考えもある。

 

「その前に何か策を考えるべきです」

 

マーカスが言う。

 

「うむ。その意見には賛成だが、何か具体的なアイデアがあるのかね?」

 

「うむ、そうですな……」

 

マーカスが顎を撫でたとき、中岡がニヤリとして答えた。

 

「ハドソン大統領。このわたくしに良い考えがあります。よくお聞きください。

奴らを痛い目に遭わせるためには、まず手始めに貴国内の日本投資および産業を凍結したらどうでしょうか。

日本産業は、特に自動車産業においては害虫の如くアメリカに蔓延り、アメリカにおける生産量は、日本自動車産業の40パーセントに達します。

これですら優しい手口ですが、戦争を仕掛けるよりはマシで、貴国のメッセージは充分に伝わると考えます」

 

「それは素晴らしい考えですね、大統領閣下。ついで申し訳ないのですが貴国にいる日系人も抑留してリロケーション・センターに送ればよろしいかと思います」

 

中岡の側近とも言える忠秀が皮肉を込めって言うと、ケリーは『その通りだ』と頷いた。

 

「それは不味いですな。いまは第二次世界大戦の最中ではありません。そんなことをすれば、国内の人権派が騒ぎ出すよりはともかく、国際的にも非難の的になってしまいます」

 

グレイが指摘した。

 

「なにしろ、かつての戦時のときは日系人抑留に対しては、1990年代の末にようやくこの罪を認めて謝罪したのですから」

 

太平洋戦争の勃発とともにアメリカ政府は全米の日系人を抑留、移住センターに押し込んだ。移住センターと言えば聞こえが良いが、実態は強制収容所である。

彼らは営々と築き上げた財産は全て収容された。

ほかの敵性外国人……ドイツ人やイタリア人はこのような扱いは受けなかったのだから、明らかな人種差別である。

もっともドイツ系やイタリア系は、数が多すぎて抑留し切れなかったということもあるが。

しかしアメリカ議会は1990年代に至りようやくこの非を認め、日系社会に謝罪した。

細やかながらも補償もしたのである。

 

「荒っぽくはあり、むろん国際的には違法ですが、しかし経済封鎖だけではなら国際社会もまた日本のあまりに強さに不安と不気味さを感じているはずです」

 

これは確かにマーカスの言うとおりで、アジア各国をはじめヨーロッパ各国でも、日本の軍事力にいったい何が起きているのか、それを調べるため諜報機関がいっせいに活動を始めていた。

とくにイスラエルは関心が大きかった。イスラエルもまた日本と同じ小国で、自国周辺は敵国に囲まれているからだ。

今でこそ幾度も繰り返し行われた中東戦争は過去のものとなったが、アラブ民族はまだ決してイスラエルに気を許しているわけではない。

イスラエルが核兵器を保有していることは、公然の秘密だが、さらに日本がなぜこれほどまで強くなったのか、知る必要があるはずだ。

もっとも日本はスパイ防止法に続き、PMCや自衛隊の諜報部隊ないし特殊作戦群によって情報を阻止されているため、これを知ることが出来ない。

またそれを知ろうと工作活動をしていた者たちもいたが、言うまでもなく拘束ないし射殺されているが。

 

「しかしそんな事をすれば、日本もまた報復するでしょう」

 

サリンジャー財務長官が指摘した。

 

「日本は我が国の国債を四兆ドルも保有しております。むろん我々が政治取引で買わせたわけですが。しかし日本がこれを一気に市場に放出すれば、市場は大混乱になり、ドルが暴落することは目に見えています。我が国は大混乱します」

 

「であれば、日本の不可解な態度、いや好戦的な態度に照らして、日本が保有するアメリカ国債は全て無効であると言えば良い。そして新規に起債すればその穴は埋められるはずです。ドルが暴落することなんてありえません。

何しろ貴国の国債はリスクフリーと言われています。貴国がデフォルト(債務不履行)に陥ることはあり得ないのですから」

 

中岡は言った。

 

アメリカ国債は2種類に分かれている。

無記名の者と記名式のもので、前者はBILLS、NOTES、BONDSと呼ばれており、外国人では誰でも自由に買うことができる。むろん国際金融市場で売買できる。

後者はUS・SAVINGS BONDSと呼ばれ、アメリカ国籍を保有するもの、アメリカに住居

する外国人しか買えない。

日本が大量に保有しているのは、むろん前者である。

 

これで得た多額の資金のアメリカは、今回の戦争につぎ込んだ。

戦費は、総額1兆ドルに達した。これらの戦費はかつてのイラク戦争、米軍がイラクから撤退する際の戦費と同額である。

何のこともない。この費用は日本が出してやったようなものだ。

また各国がせっせとアメリカ国債を買っていることからこそ、その金がアメリカに還流し経済を支えてきた。

アメリカ国債保有国がリスクヘッジのために、一部をユーロに切り替えることになれば、ドルは下落させざるを得ない。

つまり現在繁栄しているアメリカ経済と言うものは、砂上の楼閣である。

一方……1000兆円に達する国債を抱える日本がアメリカ国債をなおも買い続けているのは、ワシントンからの圧力以外の何ものでもない。

かつて、橋本首相がアメリカ国債を売るかもしれないとほのめかしただけで、ワシントンは顔色を変えたことがある。

4兆ドルにも達する国債を日本が放出したら、アメリカ経済の被るダメージは計り知れない。

 

「我が国の国債を無効にする。そんなことが出来るのかね?」

 

ハドソンは半信半疑に言った。

 

「今までどの国もやったことはありませんが、しかしだからと言ってできない訳ではありません」

 

サリンジャーは答えた。

 

「ともかく、そう一方的に宣言すれば良いのです。我が国の国債を買っているほかの国はパニックにかられるでしょうが、これは日本だけに対しての特例だと強調すれば良いのです」

 

「ふうむ、中岡連邦大統領の提案したアイデアは良いかもしれませんね」

 

マーカスは再び顎を撫でた。

 

「日本は今度の戦争でだいぶ金を使い、懐は苦しいでしょう。そのなかで保有する巨額の債券が紙切れとなったことを知ったら、さすがにショックを受けるでしょう」

 

「良いだろう。ともかく在米日本資産と産業活動を凍結するという線で、まずやってくれ。それでも駄目なら、いよいよ国債無効と言う切り札を出すのだ」

 

ハドソンは決断した。いつも決断が遅く人の意見に惑わされる大統領としては異例の決断だった。

 

そんな彼らの会談を見ていた戦艦水鬼たちは悟った。

 

……厄介事になる前に、こいつ等と縁を切るか。と呟いたのだった。




と言うことで、第三章が今日からスタートしました。
やや唐突な展開と言いますが、連邦国は滅んだもののアメリカと結託して日本を膺懲しようと手を結ぼうとしています。
なお戦艦水鬼さんの心情も少しはありますが、果たしてこの心情がいかなる影響を与えるかはしばしお待ちください。

灰田「まあ、前者は膺懲しますが、後者は果たしてどうなるでしょうかね……」

新たな戦いが始まると伴い、次回予告をお願いいたします。

灰田「承りました。では次回は再び日本視点からお送りします。果たしてこの危機に対してどういう対策をするかはお楽しみに」

気を引きしめないといけませんが、やや時間が掛かるときもありますのでご了承ください。

灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十話までダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。