超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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Извините, что задержал(お待たせしてすみませんでした)

今回はとある艦娘が傷つく場面がありますので、お先にご警告いたします。
それと伴い、台詞なども一部変更している部分がありますが、最後まで読んでいただければ幸いであります。

それでは、本編であります。

どうぞ!



第七話:蠢く陰謀、そして脱出 前編

数週間が過ぎた。

某所にある別の鎮守府の会議室にて一人の男、中岡が襲撃作戦を終え、無事帰還した協力者であるふたりの提督――忠秀、湯浅、ふたりの工作員たちの前に立ち、彼らの武勲をねぎらった。

 

「よくやったな! 我が同胞諸君。我らの忌々しい博愛主義者の提督と艦娘どもがいる各鎮守府に対して、この素晴らしき奇襲作戦を行なうために妨害電波による後方支援と、ラジコン部隊による空爆作戦に感謝する! これで奴らはさぞかし肝を冷やしたことだろう。もちろんあの元帥の鎮守府襲撃にも感謝する。

しばらくの間だが、活動できる奴らの艦隊は第一艦隊や遠征部隊のみ、さらに異端者たちがもつ通常兵器を破壊し、そして兵器工廠や入渠ドックといった重要施設にも少なからずだが、損害を与えたのだから誇りに思うぞ」

 

ただし最重要目標である、元帥の鎮守府のことだけは隠しておいた。失敗したからである。

理由は定かではないが、損害は与えたものの、小さな損害、放火レベルまでしか至っていない。

ブラック提督たちの間では、例の不死身部隊と特殊部隊群、そして第三者のちからを借りて阻止したと見られる。

中岡はこれを聞いたら、たちまち士気が下がりかねないのでわざと嘘をついたのだ。

ただし中岡たちは、各鎮守府が数週間後には完全復旧できるのは、そこまでは知らない。

 

話しは戻る。

彼らに協力した二人のブラック提督に、彼らの工作員たちは顔を赤らめいた。

あの方こと中岡からの、直接お褒めの言葉をいただけていられるのは、かれの同胞たちに羨ましがられるほど、これはまことに名誉なこと、武勇伝としても受け継がれる。

 

「諸君にはいずれ最高名誉勲章を与えるが、それは新たな鎮守府において同盟の参列のもとに行なうから、しばらく待ってもらいたい」

 

「はっ、分かりました!」

 

「うむ、よろしい。今日のところはこれで下がりたまえ。今夜オレ様の家で祝宴をひらくから出席するように」

 

直立不動のまま、敬礼する仲間を見た中岡はうなった。

 

「はっ、了解しました!」

 

彼らは再び敬礼すると下がった。

 

「……お前も今のうちにどちらに付くか、決めた方が身のためだぞ?むろん拒否権はない。それに今後はわれわれ、我が同胞たちが秘かに反乱を起こすため、そして生き残るためにも深海棲艦について行った方が得だし、全海域だけでなく、全世界を支配することだってできる。分かるか、翔鶴?」

 

ドスの利いた声で脅す彼の隣にいた一人の艦娘、秘書艦の翔鶴はビクッとなり、一歩のけぞった。

 

「提督、私は……」

 

翔鶴は口を詰まらせ、震え始めた。

できれば皆を撃ちたくないという彼女の思いやりと優しさ、この戦争を早く終結させたいとの願い、だからそれを踏みにじる人たち、破滅の道へと導こうとするこの人物に付いて行ったら駄目だと言うのをよく理解していた。

だがこの男、中岡は慈悲などなかった。

自分が生き残るためと自身の名誉を守るためならば、深海棲艦とも同盟を秘かに結んだのだから。生き残る条件として艦娘を殺すか深海棲艦側に明け渡すかとの条件を呑んだ。

彼にいたっては前者を選んだ。また彼だけでなく同盟を結んでいる他のブラック提督たちも同じく、それを倣って行なっている。かつて勤めていた前職でも同じことを平然とした。

人を殺すことも然り、利用できるのであれば例え悪魔ですらも利用し、直後、躊躇いもなく殺害を行うのだからこれぐらいは朝飯前でもある。今回のラジコン襲撃に関してもそうだ。

ラジコン男と彼の護衛兵たちは使い捨てに等しい。前者は軍規を乱し、クビになった男と不景気を利用し、失業中の若者やチンピラたちなどに目をつけた中岡は、彼らに大量の報酬を見せて、今回のテロ事件を起こさせた。

ようはインチキな革命ゲームをさせられ、自分たちが”使い捨て”なのもかかわらず、それすら気づかない本人らは懸命にテロ行為をしていたのである。

過去の事件、あの有名な「ケネディー大統領暗殺事件」の狙撃手、リー・ハーヴェイ・オズワルトがいい例だ。

ケネディー暗殺後、逮捕されたオズワルトは、ダラス市警察本部から郡拘置所に移送される際に、警察本部の地下通路で、ダラス市内のナイトクラブ経営者でマフィアと、そしてダラス市警察の幹部の多くとも関係が深いジャック・ルビー(本名:ジャック・ルーベンシュタイン)によって射殺された。彼もまた使い捨てにされたとの噂もある。なお歴史に名を残したこの事件は、さまざまな陰謀説が浮上したものの、ついに事件は暗礁に乗り上げ、真実はいまでも闇の中へ葬られている。

 

話しは戻る。

艦娘たちを廃棄し、いまは自分たちの同盟である深海棲艦たちから貸与された技術を利用し、全ての脅威が去り次第は、盟友である彼女たちも殺害し、全世界に匹敵するほどの軍事力と軍事技術で、無敵の軍隊で全世界を征服することも容易いと確信している。

 

「同胞が死ぬのは心底悲しいが、増えすぎた人口を減らすことに好都合でもある一方……むしろ博愛主義者たる異端者どもを減らすいい機会なのだ」

 

「………!」

 

これは不味い。自分はどうなっても構わないが、大切な妹である瑞鶴やほかの子たちでもうまく逃がして、元帥やほかの提督たちに伝えないと……そう考えていた時だ。

 

「おい、お前いま、ここから妹とともに逃げようなんて考えてないだろうな? ましてや今の話しを聞いて、誰にでもペコペコとするお人好しのお前のことだからな……」

 

それを察した中岡はギロリッと睨みつけ、翔鶴を脅した。

 

「提督、私はまだ何も……」

 

半ば怯えながらも言い訳をしたが、彼の耳元には届かなかった。

 

「優柔不断だな。言っておくが、回答次第ではお前をいつだって殺してもいいんだぞ! お前の妹と共に、ここで生き残りたいのであればな、俺様のいうことだけを聞くだけの女であれば良いんだよ!」

 

「あ、あの、わ、わたしは……」

 

再び恐喝に彼女は泣き出しそうになる。中岡にとって女と子供の泣き声は特に不愉快だった。博愛主義、ただの兵器でしかない艦娘が感情などあるとは虫酸が走ったのだ―――

 

そして一発喝を入れるため、中岡は力加減など一切せず、翔鶴を平手打ちをした。

 

「きゃあっ!」

 

頬を殴られた翔鶴は倒れ込んだ。

 

「どうだ?お前の綺麗な顔なんて躊躇なく殴れるんだぞ?お前がトラウマにしてやっても良いんだぞ。俺様にとって……なんだ、その忌々しい眼は?」

 

中岡はキッと睨みつける翔鶴を見て、苛立ちながらも訊いた。

 

「……私はお断りします。瑞鶴や随伴艦のみなさんを平然と傷つけるだけでなく、元帥との契りと国を裏切り、秘かに深海棲艦に寝返った貴方なんて提督でも何でもありません。悪魔に魂を売ったケダモノです!」

 

翔鶴は赤く腫れ上がった頬を押さえつけ、痛みに耐えながらも反論する。

 

「貴様!よくもこの帝王であるこの俺様をコケにしたな!もう一発喝を入てやる!」

 

中岡は倒れ込んでいる彼女の髪を掴み、無理やり起こす。

綺麗な髪を引っ張られてもなお、痛みを我慢した翔鶴はキッと睨みつけたままである。

 

「ほら、さっさと起きろ!兵器は兵器らしく、ただ黙って命令通りに従えばいいんだ」

 

ふたたび平手をしようとしたところだ。入室しようと扉を開けた艦娘たち、中岡に殴られそうになった翔鶴を見た瞬間―――

 

「「「翔鶴さん!!」」

 

二人の言葉よりも中岡に殴り掛かりかかったのは、激怒した瑞鶴だった。

予想もしなかった中岡は、彼女のこぶしを食らい、倒れた。

 

「あんた幾らなんでも理由もなく、翔鶴姉を殴ることないでしょう!」

 

「大丈夫ですか、翔鶴さん!?」

 

「翔鶴さん、お怪我は?ほかに痛いところはありませんか?」

 

阿賀野型三番艦の矢矧に続き、秋月型一番型艦の秋月が心配する。

 

「矢矧さん、秋月さん、ありがとう。でも、私は大丈夫だから。」

 

倒れている翔鶴を起こした二人は、中岡をキッと睨みつけた。

 

「何だ?お前ら、俺様を殺そうとする勇気でもあるんか?」

 

起き上がると中岡は、挑発どころか、なにやらどこか余裕のある声にも思えた。

しかし、瑞鶴にとってはどちらにしろ腹立たしいのは変わらない。

 

「当たり前よ!あんたみたいな男、提督さんとは思わないし、翔鶴姉やみんなを傷つけるなんて許さないんだから!」

 

誰よりも殺意を見せた彼女は、弓を構え、今にでも矢を射ろうと構えたが……

 

「俺を射った瞬間、お前の大好きな姉と大切な仲間たちも射殺だぞ?」

 

「………!」

 

後ろを見てみな、と顎をクイッと動かす中岡に、瑞鶴は言う通りに後ろを向いた。

 

「瑞鶴……」

 

「翔鶴姉!矢矧さん!秋月さん!」

 

手も足も出ない瑞鶴は悔しそうな表情を浮かべ、唇をキュウッと軽く噛んだ。

 

「警告する、いますぐ武器を下ろすんだ!」

 

年長らしい男、歳はおそらく40から50代だと思われる中年の男はいった。

彼が引き連れているのはロシア人たち……彼女たちを拘束しに来たのだろうか、四人の憲兵、彼らが携えているアサルトライフル―――南米ペルーのSIMA Electronica社が開発したブルパップ式突撃銃《FAD》を構え、瑞穂たちにその銃口を向けていた。

なおひとりはロシア・KBP製造リボルバー・ショットガン《MTS-255》を構えていた。

 

「ほら、警告だ。その弓矢を捨てろ、さもないと粛清だぞ?」

 

「………くっ!」

 

言われるがまま彼女は弓矢を捨てた。それを確認した中年の男は彼女の頬を平手打ちをした。

 

「「「瑞鶴(瑞鶴さん)!!!」」」

 

男は先ほど中岡がやったように、倒れた瑞鶴を掴んで言った。

 

「ここに来たキミたちはいわば自己責任だよ。何ひとつも知らずにここに着任した時点で大統領閣下様に刃向かうのもすべて自己責任さ」

 

男は嘲笑うように、自己責任論を唱えた。

この男は憲兵になっても変わらなかった。過去に刃向かった若い憲兵隊員にもこのようなことを唱えて、それでも間違っていると唱えている憲兵たちをその場で粛清した。

なお本人は何度もこれを唱えた。以前の職場でも新人を罵り、挑発に乗ってしまった新人たちの人生を台無しにさせた程、この自己責任論を唱えた。

年功序列が未だに残るこの国の悪癖であり、全て計画的に生きてきた自分たちが正しく、

悪行を行なうことこそ正義であり、それをする自分たちを敬わず、間違っていると主張している若者たちは排除するというあるまじき行為である。これに自己責任論を唱えられても満足することはなく、ただの理不尽である。

しかも彼女たちの不幸は、着任するまで提督の本性が分からないことだ。

なお現実世界でもおなじことといえ、下手をすれば上官殺しまで起きかねないのである。

 

ややこしくなるので話は戻る。

これと伴い上官命令違反とし、瑞鶴は射殺される覚悟もできていた。

 

その覚悟を決めた瑞鶴は双眸を閉じた。

 

―――もう、この苦しみから解放されるのだと安心感。

 

―――大好きな翔鶴姉やみんなを助けられなかったことの罪悪感。

 

―――せめてこの外道提督たちを殺せなかった未練を抱いて。

 

「ごめんね、翔鶴姉、みんな……」




前作とあまり変わりない部分もありますが、一部ですが外道な憲兵を加えました。
さらに元帥の鎮守府が襲撃されたが、あの人のおかげなのはいうまでもありませんが。

では長話はさて置き、次回はこの続き、後編であります。
むろん彼女たちの幸運をなめてはいけません、これだけは言っておきますね。
それでは後編、第八話までダスビダーニャ(さよならだ)。
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