超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

70 / 147
お待たせしました。
では予告通り、再び日本視点からお送りします。果たしてこの危機に対してどういう対策をするという話です。

灰田「まるでタイトルが某『提督の決断』みたいですね」

いま気がついたら、そうなっていました。未プレイですが……

灰田「さて冗談は置いといて、改めて……」

作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」


第七十話:日本の決断

霞ヶ関・首相官邸。

ウィルソン駐日大使からあらためて持って来たワシントンからの新しい要請に呆然した。

なにしろ先の要請が受け入れなければ、在米資産および産業を全て凍結すると言うものである。

 

「こんな無茶な!」

 

まず叫んだのは、塩島経済相であった。

 

「これでは太平洋戦争の再現です。まるで喧嘩を吹っかけるようなものです」

 

「まさにその通り、アメさんは喧嘩を吹っかけているのさ」

 

頬に苦い笑みを浮かべながら、秋葉法務相が言った。

 

「こんなことをされれば我が国の産業は破綻してしまう。とくに各自動車工業は壊滅する。

いかにアメリカが911事件やISILなど、そして深海棲艦の登場以降変質したとしても、これはあまりにひどい」

 

安藤は呟いた。

 

「これは、アメリカがいかに我が国の新戦力を恐れている証しです、安藤首相」

 

元帥は冷静に告げた。

 

「かつてのアメリカも妄想めいた戯言で我が国を危惧して、ABCD包囲などをしましたからな」

 

「彼らは、我々や彼女たちに太平洋の覇権を奪われることを過剰に恐れているのです。むろんそんなことはないのですが。しかも安保を自ら反古するとは悪童、いや、もはや暴君と変わりありません」

 

秀真、郡司も冷静に告げた。

秀真たちは恐らくアメリカに亡命した中岡率いるブラック提督たちに吹き込まれたのではないかと推測した。そうであってもなくともアメリカは相変わらず暴君である。

自分の理想だけを掲げて、わがまま勝手に育った悪童でもある。

しかも日米安保を反古して、中岡たち率いる連邦残党と手を結んで全てを暴力で解決するアメリカは、かつての反日三ヶ国で有名な特亜と変わらない。

元帥の言う通り、それ以上に性質の悪いものに変わってしまったといった方が正しい。

 

「しかし、アメリカを相手に戦争するつもりは全くない。第一、どうやっても勝てない相手だからな」

 

安藤が呟いたのは、アメリカはCVGS(空母戦闘群)だけでも6個持っているということである。

空母《ロナルド・レーガン》率いる第七艦隊は中岡率いる深海棲艦たちにより壊滅したが……それでも新たな第七艦隊を編成することなど容易いものだ。

《セオドア・ルーズベルト》

《エイブラハム・リンカーン》

《ジョージ・ワシントン》

《ジョン・C・ステニス》

《ハリー・S・トルーマン》

《ジョージ・H・W・ブッシュ》

などと言ったニミッツ級空母を6隻も保有している。

またPMCが提供してくれた最重要情報ではニミッツ級空母の後継艦《ジェラルド・R・フォード》級空母を就役させている。

因みに艦名は以下の通りである。

《ジェラルド・R・フォード》

《ジョン・F・ケネディ》

《エンタープライズ》

この三隻である。

しかも以前のニミッツ級よりも性能は格段と上がっているため、非常に厄介な存在である。

これらを見て分かるように、歴代大統領の名前が多い。或いは数多くの功績を残した海軍高官が多い。

 

これらの戦力のプロジェクション(投射)は凄まじく、中規模の国ないし小国ならば空母戦闘群だけで壊滅させられると言われているほどである。

しかもこれは空母戦闘群に限っての話しであり、アメリカはほかに3種類の戦略爆撃機、ロサンゼルス級戦略原潜、シーウルフ級と、バージニア級攻撃型原潜を多数持っている。

海軍もだが、空軍、陸軍力もずば抜けた軍事的巨人であり、例えEU諸国が束になっても敵わないと言われている。

彼らに、もしも連邦残党と深海棲艦までも加わったら、どう戦えと言うのか……

 

「心配なさることはありません。いくらアメリカでもまさか戦争まで考えていないでしょう。これは彼ら一流のハッタリなのです」

 

如月官房長官は言った。

 

「ですから聞き流せばいいのです。経済封鎖などと言うことは、敵国ないし対戦国に対して行うことです。もしこれらをやれば、アメリカは国際的な大非難を浴びるでしょう。

国内でも大ブーイングが起こるでしょう」

 

「はったりか……そうであれば良いのだが」

 

安藤は呟いた。

 

「もしハッタリでなく、万が一経済封鎖をしたときは、こちらも報復手段はあります」

 

塩島は言った。

 

「我が国は巨額のアメリカ国債を保有しています。これを全て叩き売ると言ってやれば良いのです。これはボクシングで言えばカウンターパンチのようなものであり、極めて聞くでしょう」

 

「なるほど」

 

秋葉はにやりとした。

 

「こちらもハッタリを交わすわけだな」

 

しかし、大洲外相は顔色を変えた。

 

「それは危険すぎます。そんな事をすればアメリカを本気で怒らしてしまうかもしれません。

あの国は自分からはともかく他国から恫喝されることがもっとも嫌いな国ですから」

 

「いや向こうが恐喝するのならば、こちらも毅然と肚を決めて掛からなければならん」

 

安藤は答えた。

 

「塩島くんの案はなかなか良い案だ。大洲くん、アメリカ大使にその旨を伝えてくれたまえ」

 

「失礼ですが首相、本気ですか?」

 

大洲は念を押した。

大洲は不備の多い日本外相としては有能な方だが、それだけにアメリカを怒らせるの怖さをよく知っている。

 

「ああ、私は本気だ。いまや無法国家になったアメリカに屈することはできん」

 

安藤がきっぱり言ったので、その場の雰囲気が決まろうとした。

しかし元帥や秀真たちは頷くことはなかった。

 

「もしもアメリカがそれを読んでいたら、どうするのですか。安藤首相?」

 

「どういう事だ、秀真くん?」

 

安藤は尋ねた。

 

「ハッタリにはハッタリを持って応酬する。これは基本的な戦略としては良いですが……

もしアメリカ国債を売ろうとしているのであれば、アメリカは我が国の国債だけを無効にすると可能性があると思うのです」

 

それを聞いた安藤たちは驚愕とした。

 

「我が国のみだと……鮫島くん、国際常識に照らしてそんな事は可能なのかね?」

 

安藤は財務相に尋ねると、鮫島はかぶりを振った。

 

「むろん国際常識に照らせばあり得ない話ですが、かといって、アメリカ自身が自らの信用を失う覚悟であればできないことはないでしょう。つまり、これは意図的なデフォルトと考えれば良いのです。国家が破産すれば、国債も紙切れになってしまいます」

 

「4兆ドルの損失は、今の日本には耐えられない」

 

安藤たちが悩んでいる時だ。

 

「安藤首相、彼女に考えがあります」

 

「彼女とは……?」

 

「秀真提督の艦隊に所属している青葉、情報戦は彼女の得意分野ですから、彼女の口から説明します」

 

元帥の指摘に、青葉は説明を始めた。

 

「これを世界中に発表すればいいのではないかと思います、ただし孫子の兵法のひとつ『兵は詭道なり』の如く、少し細工をして世界中に『アメリカ国債を無効、全世界にこの国債を保有する国はデフォルト宣言する』と発信しちゃえば良いのです。

いくら数多くの同盟国だからといって、アメリカの横暴を許すことはありませんから。

その裏をかいてしまえば、流石のアメリカも簡単に手も足も出ません」

 

「なるほど、流石のアメリカも簡単に手出しできなくなるな。流石だな、青葉くん」

 

「どうも恐縮です、安藤首相!」

 

青葉は嬉しそうに敬礼する。

 

「では安藤首相、彼女のアイデアを採用して対抗しましょう」

 

元帥の問いに、安藤たちは『よろしい』と頷いた。

これを聞いた秀真は頷き、古鷹たちも『やったね!』と喜んでいた。

採用されたと同時に、秀真たちは青葉たちと共にネットやTwitterに、YouTubeを利用して発信した。

なお郡司は、ニコライ率いる諜報部隊も動員させて協力した。

元帥はPMC社を通じて、そして安藤首相たちは各通信社を利用して、世界中に『アメリカはこのデフォルト宣言をする』と公言した。秀真たちの言う通り、やや大袈裟にさせたことは言うまでもないが。

これが効果を生んだのか、世界中がアメリカを大非難した。

しかし、この情報を聞いたアメリカは『根拠もないデマである』と反論した。

また日本にはウィルソン駐在大使を通して、ワシントンから『そのような事は一切ない』とだけを伝えたのだ。

秀真たちは見え透いた嘘、下手な嘘だなと皮肉ったが。

 

 

 

 

青葉の提案がこの危機を回避したものの、アメリカは76時間が過ぎても静まり返った。

この危機から対処できたものの、それでも閣僚会議は重苦しい空気だった。

これで一時しのぎではあるのだが、次はどう対処するかが問題である。

 

「本当に秀真くんたちの意見を聞いてよかったが、それでも次は何か別の経済封鎖を……いや、別の方法で圧力を掛けてくる可能性もあり得るな」

 

「返って静かすぎるのも不気味ですな、アメリカは本気を出すかもしれませんぞ」

 

秋葉は今までハッタリ論者だったが、この期に及んで豹変したのである。

最初から危惧していた大洲や、最初から警戒していた元帥や秀真たちは無口のままだった。

しばらく黙考していた安藤は、おもむろに矢島と元帥に声を掛けた。

 

「矢島くん、元帥……これはあくまでも仮定の話だが、もしもアメリカと戦端を開くとなれば、どれだけ戦えるのかね?」

 

閣僚たちは、それを聞いて一斉にたじろいだ。

まさか首相がそこまで考えているとは、誰もが思いも及ばなかったのだ。

 

「うーむ、こいつは難題ですな」

 

「私も同じく矢島長官と同じく深刻な問題ですな」

 

いつもならば冷静沈着の矢島は腕を組んで、彼と同じく冷静な元帥もこればかりは……と顎に手を当てて考え込んだ。

 

「確かに我々はZ機を200機と空母《飛鳥》を持っていますが、もしもアメリカが全ての空母戦闘群を太平洋に集めて攻め寄せてきたら、海自戦力はまず壊滅するでしょう。

Z機でグアム・サイパンを攻撃することはできますし、ハワイまでもなんとか届くでしょう。

しかし空爆だけでは敵戦力を壊滅することは難しいでしょう。

したがってZ機だけでは対応することができず、空母《飛鳥》だけでは、到底ですがアメリカ空母に太刀打ちできず、米軍が艦載機あるいは原潜によって戦術核を使ったとしたら、我が国の主要都市は壊滅するでしょう」

 

「私も大和たちや、秀真提督たちの艦隊に所属する彼女たち、親友がいるTJSの海軍力を合わせても深海棲艦や連邦残党に相手もできますが、米軍が加わると流石に対処しきれません。どれかがひとつが抜ければ楽でいいのですがね……

矢島長官の言う通り、我が国や各鎮守府が攻撃を受けてしまいます。

また連邦残党にたぶらかされたアメリカが、あの非人道兵器こと人造棲艦《ギガントス》を生産するために、太平洋の何処かで製造工場を持っているかもしれない」

 

「しかし、例のシールドがあるぞ」

 

二人の言葉に、安藤はそう答えた。

 

「そうですな。ですがシールドはあくまでも攻撃兵器ではなく、防御するためだけです。

灰田も言っていたじゃないですか……全ての都市を防備することはできないと。

我が国はすでに仙台市が大打撃を被りました。あとふたつか三つの大都市を攻撃され壊滅すれば国民は持たず、ギブアップを余儀なくされます」

 

「なにしろ敵は、最後の切り札として戦略原潜を持っていますから、好きなところからメガトン級ミサイルを撃ち込みます。できればそうならないことを願っているが……」

 

「しかし……アメリカは核兵器を使うのだろうか?」

 

矢島と元帥、そして安藤が問答を交わしながらの光景を見ていた秀真はこれに似た会話を見たことあるなと呟いた。

 

「郡司、この会議、あれに似ていないか?」

 

秀真は周囲に聞こえないように小声で呟いた。

 

「同志もやはりそう思うか?山本長官とあの無能な近衛首相の会話に似ているな」

 

「それだ、ようやく思い出した……」

 

太平洋戦争開始を控えての近衛文麿首相と山本五十六連合艦隊司令長官(GF長官)との対話である。

近衛が、もしアメリカとの戦端になったとき『海軍に勝算はあるのか?』と尋ねた。

これを聞いた山本はいささか憤然として『それは確かにやれと言われれば半年から一年は充分に暴れてご覧にいれます。しかし、それ以上となると責任は負いかねます』と答えたのである。

そして太平洋戦争の経過は、山本の言った通りになった。

しかし軍部上層部たちが闇雲に快進撃命令を繰り返したこと、その後の防衛計画の無防備さ、そして必要もない数多くの諸島などを占領したことが原因である。

自国周辺や資源が豊富な南方海域防衛および米本土に向かう輸送船団やパナマ運河など通商破壊を重視すれば、また違った結果になれたのは言うまでもない。

 

「果たして米軍は本当に使うと思うか、同志?」

 

「俺は使うと思う、最初は使わないが何処かで使うとだけは考えておいた方が良いかもしれない」

 

「本当にそうだと良いが……」

 

秀真は不安だった。彼だけでなく、元帥や郡司、各提督たちも同じ気持ちである。

もしやる時が来たら躊躇わずにアメリカと戦う準備は出来ている。

大切な彼女だけは死なせないことは何としてでも守り抜きたい。

 

愛する彼女を守ると誓ったんだ。

 

もう二度とあの大戦のように誰も悲しませない。

 

みんなで終戦を迎えるんだ……と拳を強く握り締めた。




原作では痛い目に遭っていますが、情報戦が得意な青葉のおかげで回避できました。
もっとも某『提督の憂鬱』に登場している”つじーん”こと辻政信大蔵大臣が加わったら、もっと面白いことになりそうですが(ニヤリ

青葉「青葉、伊達に取材なんかしていませんから。それに青葉の情報戦に勝とうなんて100年早いですよ」

灰田「まあ、あまり過信過ぎないようにしてくださいね」

青葉「どーも恐縮です!」

秀真「まあ、無理はしないようにな」

古鷹「あはは……」

加古「Zzz…」

衣笠「衣笠さんも疲れたな」

みんなお疲れのようだから、予告篇に移りましょう。

灰田「承りました。では次回は秀真鎮守府視点から始まります」

秀真「久々だな、何だか」

灰田「はい、それにわたしの登場でもありますし、新たな戦力を貸与するために出現します、その新たな戦力とはいったい何のかは次回のお楽しみです」

その戦力とは原作通りにするか、時代に合わせて変更するかは執筆中なのでお楽しみを。

灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十話までダスビダーニャ(さよならだ)」

秀真・古鷹たち「「「ダスビダーニャ!!!」」」

ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。