超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
艦これ3周年のために気分が高揚しています。
それでは改めて予告通り、秀真鎮守府視点から始まります。
また久々の灰田さんの登場でもあります。
灰田「久々の登場とともに、わたしが新たな戦力を貸与するために出現しますが、果たしてその新たな戦力とはいったい何のかは本編で明らかになります」
では、またしても改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
秀真鎮守府。
秀真はその日の夜も眠らず、寝室を歩き回ってもの思いにふけていた。
いつもならば『夜戦だー!』と叫ぶ夜戦好きの川内もこの日ばかりは自重しているのか、とても静かな夜だった。
他の子たちも同じく就寝している子もいれば、秀真のように起きている子も少数いた。
古鷹たちは秀真のベッドを借りて、静かに寝息を立てて寝ている。
これで戦争が終わったのかと思うと、今度はアメリカと戦うのかと思うと不安もあった。
またあの超大国が仕掛けた戦争に日本は敗北を味わうのかと……
経済戦争の応酬がエスカレートしたときには、アメリカは本気で日本に対して武力行使をするどうかということだ。
なにしろ70年間以上にも渡り、日米安保、日米同盟を結んできたのだから、そんなことはあり得ないだろうという思いがあった。
いや、連邦国と深海棲艦に勝ってからはアメリカの態度は大きく変わってしまった。
確かに連邦国のミサイル燃料注入時は同盟国である以上は、それを教えてくれた。
あの時、連邦の隠し玉である空母《天安》と、非人道的兵器である人造棲艦《ギガントス》を偵察衛星で確認しながらも情報提供をしてくれなかった時点で敵意を感じた。
ワシントンは、日本がどこまでやれるのかと試していたということになる。
そこには明らかに底意地の悪さ……悪意がある。
そして連邦国と深海棲艦に完勝したいま、アメリカは日本に対する警戒を強めたことは間違いない。
だからこそ新富嶽ことZ機の廃棄、空母《飛鳥》の廃棄、そして古鷹たちの未来艤装の廃棄も強く言ってきたのだ。
今は連邦残党軍と共に手を結び、アメリカは日本を仮想敵国として見ている。
元帥や郡司、各提督たち、そして安藤首相たちも同じくそう考えている。
確かに世界最強ともいえるステルス重爆200機もの存在は、アメリカにとって脅威だろう。
もっとも空母《飛鳥》はとるに足らない存在だが、米空母1個戦闘群だけで片づけられる。
《飛鳥》が搭載するステルス無人艦載機は、彼らの脅威だろうが、しかし結局は物量を誇る米空母戦闘群の戦力には勝てない。
ともかくどう考えても、先の大戦の二の舞になりかねない。
だからと言って、アメリカの恫喝に屈するわけにはいかない。
ましてや要求を呑んだら、次は確実に古鷹たちに牙を剥いてくる可能性が非常に高い。
彼は守り抜くと誓った、例え自身の命が散ろうと必ず守ると心から決意したのだ。
安藤首相や元帥、郡司、ほかの提督たちも同じようにしているのだろうと考えていた時だ。
「提督…まだ、起きていたのですか……?」
先ほどまで寝ていた古鷹は、眠たそうな目を擦りながら起きた。
「すまない、古鷹。起こしてしまったか……」
「謝らないで下さい。私は大丈夫ですよ」
「そうか、なら良いが……気分転換にコーヒーでも飲もうかなと思っていたところさ」
古鷹には顔を見ずに呟いたが……
「……提督、相変わらず嘘を付くのが下手ですね」
やはり不安を隠しても古鷹にはお見通しである。
彼はいつも背中で語ることが多い、顔を見せることは余程のときしかないのだから。
「……ああ、本当は不安で堪らない」
本当ならばアメリカと戦争はしたくない。
かつての戦争の原因を起こしたのはアメリカだ。
だからいくら同盟国でも秀真は、先の大戦のアメリカがやった行為や、彼女たちを沈めたことは決して許しを与えることは出来ない。
しかし非情な運命はまたしても来たのかと、秀真は不安で堪らなかったのだ。
「私も不安ですよ、提督」
「……分かっている。俺がいる限りはそうはさせない」
「提督、前にも言いましたよね。簡単に約束しないで下さい、できない約束は」
「それでも守ると誓ったんだ。もう誰も悲しい思いはさせないとな……」
「提督、わたし怖いです」
古鷹は彼の胸元で弱音を吐いた。
「またあの時みたいに、みんながバラバラになるのが怖いんです。みんなで終戦を迎えるんだ、って決めたのに……青葉の、本当の気持ちだって聞けて、第六戦隊の絆がまた強くなったのに……」
「……古鷹」
短い会話をすると、突然と部屋の気温が急激に下がった。
ふたりは彼が、灰色服の男こと……灰田が現われるときの現象だなと悟った。
彼が来るときは必ずそうであり、次元の壁を通るときにこちらの世界の熱エネルギーが奪われるらしい。
次の瞬間、灰田の姿はおぼろかな影から実態となって現われた。
例によって灰色尽くめの服装を纏っているのは変わりない。
「しばらくですな、秀真提督に、古鷹さん。連邦国・深海棲艦との戦いは一段落しましたが、また新たな緊急問題が生じたようですな」
灰田は言った。
しかしこれは単なる言葉の綾で、灰田がそういう時はすでに全てを把握しているのである。
「まあ、そう言うことになるな」
「はい……アメリカが無理難題を持ちかけてきましたが、灰田さんは全て承知しているのですか?」
古鷹の問いに、灰田は頷いた。
「はい、むろん承知しています。あなた方が知らないことも掴んでいますよ。
三日前に秀真提督や青葉さんたち、安藤首相が行なった情報戦に負けたのにも関わらず、ワシントンでは、連邦亡命政府ととともにお仕返しと言わんばかりに強硬に国内経済封鎖と日系人抑留に踏み切るつもりです。
この強硬策の音頭を取っているのはケリー国防長官と、連邦国の秀忠副主席ですが……
彼らにしてみればこれは日本人に対する膺懲……つまり、懲らしめることですな」
「何と言う事だ。もうそれはすでに決定されているのか?」
「ここ一週間以内にそれを断行されるはずですから、在米資産や日本人駐在員の引き上げは急いだ方が良いでしょう。彼らは日系人を弾圧するつもりですが、しかし人数が多すぎて日本に引き上げるわけにはいかないでしょう。そもそも彼らはアメリカ人なのですから」
「相変わらず過去に行なった同じ方法をすれば良いのかと考えているのか」
秀真は言った。
「それでワシントンは本気なのですか?」
古鷹は尋ねた。
「むろん本気です。なにしろアメリカの助けを借りず、連邦国と深海棲艦を打ち破った日本をこのままにしておくわけにはいきませんからな。
ともかく、その牙を抜く必要があると言う理由で中岡たち率いる連邦亡命政府……元より残党軍ですが、お互いにそう考えているわけです。
日本が100パーセントの要求を受け入れなければ次に軍事作戦、最初は南シナ海域封鎖に進むでしょう。
今度は連邦国の潜水艦などではなく、アメリカ原潜に日本のタンカーは脅かされるわけですな」
「ふうむ、シーレーンを断ち切られれば立ちゆかんな。それでなくとも経済にも回復しないといけないのに……」
「これじゃあ、本当にあの時のようになってしまうの……」
そう呟く古鷹に、秀真は彼女の頭を撫でて落ち着かせた。
「ですから、お二人にお聞きしますが、アメリカと連邦残党軍がこれほど理不尽な真似をしてもじっと我慢するおつもりですか?」
灰田の問いに、秀真は迷うことなく言った。
「俺はやってやる、みんなを守ると誓ったんだ」
秀真の覚悟は変わらなかった。大切な彼女たちを守りたいと言う覚悟は揺るがない。
むろん古鷹も同じことを言った。
「私も覚悟は出来ています、提督は私たちに教えてくれました。『運命に翻弄されるな』と言って、私たちを救ってくれました。だから、こんな横車を、理不尽な運命を跳ね返したいんです!」
二人の覚悟を聞いた灰田は微笑した。
「あなた方の覚悟を承けたまりました。アメリカと連邦残党軍の鼻っ柱をへし折り、一矢報いたいと言う覚悟を聞けて良かったです。ですから私がその手助けをしましょう。
新富嶽と飛鳥にプラスして、さらに新兵器を導入して差し上げましょう」
「……しかし新兵器と言っても、アメリカに太刀打ちできるだけの軍事力を持つのは不可能と思われるが」
「私たちにも限りがありますから難しいかと思いますが……」
「こと太平洋の覇権を握り、アメリカに日本の純然たる主権を認めさせるためだけであれば、それほど困難なことではありません」
灰田は平然と言った。
「むろんアメリカは戦略核を使い、日本を滅ぼすつもりならば別ですが。しかし、いかにアメリカといえども、それほど無茶なことはしないでしょう。それこそ世界の反発を買い、この地上の孤児になってしまいますから」
「ああ……灰田の言う通りだが、具体的にはどう考えているのか?」
灰田は微笑しながら答えた。
「まず、アメリカの誇る空母戦闘群に対抗するために、ニミッツ級空母を4隻、こちらに送り込むことにしましょう。この空母戦闘群の戦力は米空母とほぼ同等、いいえ、寧ろそれらを上回っています。
なんとなれば全艦載機はステルス化し、例によって無人艦船であり無人機ですから、その運動性は米空母を上回っているはずです。
乗員は1隻につき200名ですむことにしますから合わせて800名、この程度の人員ならば海自からひねり出せるでしょう。
しかしなお通常機関とはいえ、スターリング・エンジンを用いるつもりです。このエンジンについてはご存知ですか?」
「むかし聞いたことはあるが、思い出せないな……」
秀真はどこかで聞いたことあるが思い出せなかったが、古鷹は頷いた。
「確かシリンダー内部に密閉された水素、ヘリウムに外部から加熱と冷却の交互を行ない、ピストン運動を起こさせるもので燃料効率が極めて良いものであり……
また、太陽熱や地熱、放射性同位体の放射性壊変により発生する熱や内燃機関等の廃熱などで熱源として可能な夢のエンジンですね」
「その通りです。熱源としてはそれらで利用できますから、事実上、無限です」
「ありがとう、古鷹。思い出させてくれて」
「いいえ、明石さんや夕張さん、瑞鳳さんが話していたことを思い出しただけです」
「そっか……あいつ等らしいな」
後日、教えてくれたお礼でもしないといけないなと思いつつ、秀真は聞いた。
「しかし米軍は豊富な護衛艦も大量に持っている、しかもその多くがイージス艦だ」
「私たちでもイージス艦クラスになると苦戦してしまいます」
「その点につきましては、潜水艦を多数用意することで解決したいと思います。
これももちろんロボット潜水艦で、米軍の攻撃型原潜《シーウルフ》または《バージニア》級に匹敵する性能、兵装をもち、速力はそれを上回ります。
これはごく小型の核融合炉エンジンを使い、ノイズはほとんど出さず、最大速力は36ノットを可能とします。
また水中ステルス機能、つまりソナー音波を完全に吸収する外殻を備えています。
乗員は20名程度で済むように設計してありますから、乗員は海自の潜水艦部などから抽出すれば良いでしょう。この原子力潜水艦を100隻用意するつもりです」
「空母に潜水艦、ほかにもあるのか?」
秀真は尋ねた。
「ええ、ほかにも古鷹さんたちの艤装をより最大限にまで強化にしたいと思います。
また土佐姉妹や富士姉妹たち、そして赤城さんたちの艦載機もより強力にしたいと思いますのでこちらも準備万端にいたします。
これらを新富嶽と飛鳥、古鷹さんはじめとする艦娘たちを合わせれば、少なくとも西太平洋の守りは完璧であり、米軍を東に押し返すこともできるでしょう。
それらの艦艇と艤装、そして艦載機などの詳細データを渡しておきますから、研究しておいてください。
むろん安藤首相や元帥たちなどにもわたしの分身……クローンが説明していますのでご安心を」
灰田が言うと、一枚のデータディスクを秀真に渡した。
「なるほど、凄まじい戦力だな」
受け取りながら、秀真は言った。
「そこまで好意を示されると、我々としては寧ろ恐縮ですが……」
灰田はにやりとした。
「ともかく我々、未来の日本人としては対連邦・対深海棲艦戦争にすでにコミットしてしまったわけですから、その結果生じる事態にも責任がある訳です。
アメリカがこのような態度に出ることは、すでに予測されていました……と言うより正確に言えば、我々が予知していたわけですが。むろん、我々の予知が正確なことはご存知ですな」
ふたりは頷いた。
未来人が時間を自由に操れるとすれば、予知も簡単なはずである。
「……分かった。重要なことだ。俺たちの運命であるからな」
「はい、その通りです。アメリカは連邦残党軍とともに《チェリー・プラン》と呼ばれる日本抑圧プラン、対日計画を作成しています。この中核は軍事計画です。
それがすでに動きだしているのですから急いでください。強く念じれば、わたしは現れますから」
そう言い残すと、灰田は幽霊の如く、すぅと消えた。
原作同様に灰田さんはニミッツ級空母と原潜をもたらしていますが、最初はニミッツ級空母ではなく、今年就役する最新鋭空母《ジェラルド・R・フォード》にしようとしましたが、田中光二先生の別作品『超日中大戦』では退役している通常空母ことキティホーク級空母が出ていましたから、下手にするよりはね……
ですから変更せずに、ニミッツ級空母にしました。
灰田「まあ、わたしの手に掛かれば《ジェラルド・R・フォード》並みの強さですが、ふふふ」
……そうですね、確かに。
神通「提督……おめでとうございます。今日は、大切な日。神通も……お祝い申し上げます」
ありがとう、神通さん。
秀真「おめでとう、兄弟」
古鷹「私たちを知ってから、執筆し始めたんですよね」
加古「作者も、やるときゃやるもんな」
青葉「青葉も取材しちゃうぞー♪」
衣笠「第六戦隊が大好きだもんねぇ♪」
神通「私も嬉しいです♪」
ああ、古鷹たち、神通さんに、田中光二先生作品に知ってから書き始めましたから。
出会わなければどうなっていたか分かりませんね。
この出会いに感謝です。
郡司「いろいろあったが上手くいったな、同志」
木曾「無理はするなよ、本当に」
元帥「疲れていたのであれば休めばいいのだから」
灰田「私も出会えてよかったですよ」
ああ、本当に感謝です。では予告篇に移りましょう。
灰田「承りました。では次回はこの話を聞いた秀真提督たちはどういう風に対策を練るのかに伴い、アメリカがまたどのような事をするかに注目すると良いかもしれません。果たして今後はどういう展開になるかはお楽しみに」
次回はやや短いか、いつも通りになるかは執筆中ですがお楽しみに。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十二話までダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真・古鷹たち「「「ダスビダーニャ!!!」」」
郡司・木曾・元帥「「「ダスビダーニャ!!!」」」
作者・神通「「ダスビダーニャ!!次回もお楽しみに」」