超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
大変長らくお待たせしました、では予告通り灰田さんがご用意したニミッツ級空母、潜水艦が登場いたします。
灰田「なお事情により、古鷹さんたちの未来艤装はとある話、オリジナル展開にてご紹介いたしますのでしばしお待ちください」
今回は一部変更がありますが、それでは改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
まだ生きていた米軍の偵察衛星が捉えており、日本主要軍港四箇所(鎮守府)と各地の大きな湾に空母4隻と100隻の潜水艦が出現した。
これは5月14日の出来事で、統幕長が灰田にそう指摘したのである。
あらかじめ選抜されていた乗員……空母は200人、潜水艦は20人……が、すぐさまそれらに乗り込み、灰田から渡されていた資料とのつき合わせに掛かった。
艦内の精査が済むと試験運転である。と言っても例の通り《マザー》と呼ばれる中枢人工知能が取り仕切るので、人間は一種の“バックアップ・システム”として、それをモニターしていれば良いと言うわけだ。
ニミッツ級空母の艦載機は、米海軍の持つ同艦……かつて艦隊防空戦闘機として活躍したF-14《トムキャット》戦闘機14機、現役のF/A-18E《スーパーホーネット》戦闘攻撃機36機、さらに電子戦機5機、電子偵察機5機、対潜哨戒機8機、対潜ヘリ8機など予備機も含めると90機も搭載している。その全てがステルス機体である。
ヘリのようにステルスし難い形状ものですら、ステルス素材は使われている。
これら全て無人機であることは言うまでもないが、その繋止(けいし)、発着艦、兵器搭載・換装、格納庫に入れて整備など、全て《マザー》が操るロボットが行なう。
そのために艦内の至るところに、マザーの目を務めるテレビカメラが置かれている。
艦橋には空母《飛鳥》同様に、CIC(中枢コンピューター室)がふたつある。
ひとつはマザー用で、もうひとつは人間用である。
搭載するスターリング・エンジンは三軸のプロペラを持ち、日照時間は太陽光を取り入れて稼働、夜間は重油を利用して稼働する。
そのために飛行甲板は、未知の半透明なガラス状の物質で覆われ、太陽光が透過できるようになっていた。これは曇天でも太陽光を吸収できるようになった。
日本人がかつて見たこともない……それを言うならば、全人類にとって未知の巨大スターリング・エンジンが二基積まれ、空気から燃料の水素を取り入れる水素分離装置が付いている。最大出力は30万馬力。これによる最大速度は36ノットとされている。
米軍空母より実に4ノット速いのである。
各空母の艦長として抜擢された海自の一佐たちとその部下たちが、全システムを把握するのにたっぷり24時間掛かった。
それから湾外の広い外洋に出て、慣熟訓練ということになる。
針路、速度には艦長が命令する余地がある。戦闘開始を決定するのも艦長である。
しかし、いざ会敵して戦闘になってからは、全てマザーに任せなくてはならない。
なにしろ米軍の空母であれば、3000人が乗り込んで動かしている巨大空母を、僅か200人でコントロールできるわけがない。
いわば、これは一種の強大なブラックボックスといった方が良い。
ニミッツ級空母の慣熟訓練を行なっている一方……
鹿児島湾、陸奥湾、若狭湾、播磨湾、安芸灘などに出現した潜水艦には、艦長以下それぞれ20名の要員が乗り込んだ。
これはエンジンが、未だに人類が実現していない超小型の核融合炉だというのだから、空母よりもブラックボックス化されている。
人間の居住区は中央部の艦橋真下にあるだけで、潜望鏡による索敵行動は、マニュアルに切り替えられるが、あとは全てマザーが動かす。
搭載している武器はトマホーク、ハープーン、魚雷と多彩だが……ただし弾頭は通常型だけである。
トマホーク・ミサイルの航続距離は200キロメートル。ハープーンは100キロメートル。それぞれ1トン爆弾に匹敵する弾頭を積むので、その威力は高い。
そして何よりも重要なのは、艦殻が全て完全ステルスということだ。
これは、護衛艦や艦娘たちを繰り出してのテストでも確かめられた。
これらの潜水艦はソナーをいっさい受け付けない。音波を吸収されてしまうのである。
したがって、敵が探知しようとすればパッシブ聴音に頼るほかないが、核融合炉エンジンは極めて静粛性が高く、普通の原潜とは全く違うのである。
郡司の艦隊に所属している響ですらもこの原潜を捕捉するのは難しかったと言うぐらい静粛性が高かったことも証明されたのである。
原潜と言うのは、本来騒音が高く……特にソ連原潜や中国原潜はうるさくて容易に探知できた。
しかしこの潜水艦に関しては、米軍のベテラン聴音員にしても探知は困難だろう。
艦殻はステルス性を持つと共に、未来の複合合金を使ってあるので、潜航可能限度は600メートル。さらに50メートルのマージンをとってあると、マニュアルには書かれていた。
これこそ驚くべき性能である。かつてソ連はオールチタンの外殻を持つ潜水艦を造り、それは500メートルまで潜れると言われた。
しかし、それが潜水艦としての限界だった。むろん探索用潜水艇を除いての話だが。
これはアメリカ原潜の最大潜水深度300メートルを軽く凌ぎ、それだけでもアドバンテージだった。
これら潜水艦も艦内点検を済ませた後は、外洋に出て護衛艦と艦娘たちと組み、模擬訓練をやることにした。
これらの状況を把握した後は、統幕本部では、艦名を付けると言う仕事が残っていた。
空母はともかく、原潜は100隻もいるのだから、一隻ずつの命名は不可能とすら言える。
旧海軍のようにイロハの記号と数字を組み合わせれば問題ないが、それではあまり味気がない。
統幕本部は頭を捻った挙げ句、全て名称は海龍で統一することにした。
それに伴い、数字を組み合わせる。すなわち海龍101号から200号までが艦名となる。
史実では太平洋戦争末期に開発された特攻潜水艇の名前であるが、ネガティブな名前ではなく、強力な原潜となって復活したわけである。
そこにはある種のノスタルジーがあったことは否めない。収容として死についた陸海の特攻隊員……内実はかなり荒れたのだが……彼らのための鎮魂を意味しているのである。
この勢いを駆って、四隻の空母の名前も《アカギ》《カガ》《ソウリュウ》《ヒリュウ》と名付けた。
全艦をカタカナにした理由は、赤城たちと区別するためと、統幕長は開き直ったように言った。
安藤や元帥もとくに意見は言わなかった。
第二次太平洋戦争、結構ではないかと言う勢いだった。
アメリカのやり口は目に余る。前の敗戦の雪辱を遂げたいという気持ちになっていたことは否めない。
いずれにしろ、戦争と言うのは綺麗ごとでは済まさない。
もしノスタルジーがエネルギーに変わるならば、それまた利用する必要があった。
100隻の原潜《海龍》は10隻ずつの10個戦隊に組織され、潜水艦隊司令官が把握する。
空母は《アカギ》と《飛鳥》で第一空母戦闘群。
《カガ》が第二空母戦闘群。
《ソウリュウ》が第三空母戦闘群。
《ヒリュウ》が第四空母戦闘群。
各艦隊をそう呼ぶと伴い、四個護衛艦群がそのまま付く。
海龍の10個戦隊のうち4個は、これらの機動部隊に所属する。
今まで持っていたそうりゅう型潜水艦と言った通常潜水艦は、これを補佐するが、速力の点ではついて行けないので、予備戦力として待機するのを余儀なくされる可能性がある。
これらが、空母と原潜を手に入れてからの海自のほぼ1週間の動きだった。
艦内システムの把握が完了すると、空母戦闘群も原潜も外洋に乗り出した。
いかにマザーに頼るとはいえ、マザーと人間の共同作業の部分について、すり合わせる必要がある。
高度に発達した未来の人工頭脳で感情も持っているから、乗員とのあいだに一種のシンパシーを醸成する必要もある。
つまり、信頼関係を持つということだ。
それにはやはり1週間から2週間の慣熟訓練、戦闘訓練も一緒だ。
空母《飛鳥》のときの経験が参考となった。
しかし新兵器をいかに使いこなすかと言う問題で、統幕本部ではまだ対米作戦を策定していなかった。
これは要するに敵の出方が分からないからである。
そのため第一次作戦会議は紛糾した。
まず、アメリカが太平洋艦隊の2個空母戦闘群を繰り出してくることは間違いない。
さらにおそらくバックアップとして太平洋艦隊の2個空母戦闘群も持って来ることもある。
これらの空母は全てニミッツ級原子力空母である。
これが4隻、数の上では互角だが、護衛艦は、ほとんどがイージス機能を持っている。
そして虎の威を借りるキツネのように連邦残党軍もしゃしゃり出てくるだろう。
ただし深海棲艦に関しては動きが分からない。彼女たちの場合はもはや日本と戦う気力はなく、厭戦気分が高まっている。
また灰田の情報では戦艦水鬼率いる深海棲艦たちは日本亡命をすると教えてくれた。
除外として扱うが、備えあれば憂いなしと言うように一部の深海棲艦は連邦派に残るため戦力はあると認定する。
なおこちらは、古鷹たちをはじめとする艦娘たちは172人未満。
秀真たちが乗艦しているズムウォルト級巡洋艦10隻。
海自護衛艦DDGは6隻。
こんごう型をはじめとするイージス艦6隻、ステルス巡洋艦は10隻である。
あとはフリゲートクラスのDDに過ぎない。
地方のDEは沿岸防衛用に控置しておく必要があるから、4個護衛隊群32隻しか使えない。
また速力の点で、在来の潜水艦も沿岸用しか使えない。
PMC海軍も強力な海軍力があるため、今回の作戦に参加するが、別の作戦になる可能性が高いため、どうなるかは元帥の命令で決まる。
そのために海龍で埋めなければならないが、どのように配置するのがもっとも効果的か。
幕僚のひとりが、秀真たちと同じように漸撃作戦をとるべきだと進言した。
これは主力艦の艦隊比率が10対7に抑えられているので、正面からぶつかっては勝ち目がない。
敵を大西洋から誘き寄せて、日本海軍の十八番とも言うべき夜戦で少しずつ減らしていき、兵力が同等になったところで決戦を挑むと言うものである。
時代が変わっても、太平洋でアメリカと戦うにはこれしか方法がない。
しかし、日本は偵察衛星を持たないままそれをするのは危険極まりない。
敵の衛星が故障をしない限りはこちらの行動が掴まれてしまう一方、日本は偵察衛星を持たないということであり、大きなディスアドバンテージとなった。
しかし、その会議の真っ最中に灰田が出現した。
彼の口から『たったいまアメリカの偵察衛星を全て破壊しました』と報告しに来た。
統幕会議のメンバー全員は驚くとともに愁眉を開いた。
考えてみれば、万事周到な灰田がこのハンディキャップを見逃すはずがなかった。
この敵情を掴むと言う点は、両者イープンとなったわけだ。
幕僚たちの大半は、4個空母戦闘群を東経160度のラインに並べ、ここを海の防壁とするという意見に傾いた。
矢島防衛省長官も基本的には賛成した。
しかし佐伯空幕長は、このラインの内部には米軍の海兵隊基地とともに空軍基地もある。
敵対前は戦略爆撃機が駐機しており、各深海棲艦の基地を空爆していた。
連邦国登場時には、滅茶苦茶に破壊されたが、自力か中岡たち率いる連邦残党軍が協力して復旧した可能性がある。
敵は、またしても戦略爆撃機を進出させているはずだ。
これをまず叩いておかないと、本土がいつ何時、米軍の戦略爆撃を受けるか分からないと主張した。
これはもっともな主張で、事実このとき米軍はB-1B《ランサー》30機をここに進出されていたのである。
ただし、すぐに使う意思はなかった。
ペンタゴンでは、日本の海軍力ないし艦娘たちなどを壊滅させた後、それでも日本がギブアップしなければ、これを使って主要都市ないし各鎮守府、彼らに味方するPMC社を空爆しようと考えていた。
そのときは戦術核を使うのも辞さない。
矢島は空幕長の意見を受け取り、十勝基地のZ機100機を動員、グアムを空爆させることにした。同時に、矢島はZ機を使ってのハワイ攻撃も研究させた。
オアフ島・パールハーバー(真珠湾)には、依然として太平洋艦隊基地がある。
こちらもグアム・サイパン同様に、復旧している。
再び太平洋司令部もここに置かれている。
ここを叩くことは絶大な戦略的意味がある。
もしタイミング良く、アメリカ空母戦闘群が集結しているときであれば、その効果は絶大で、アメリカはそこで戦争を諦めてしまうかもしれない。
しかし、これは甘すぎる見方もあることは、矢島はじめ幕僚たちには分かっている。
例え、4隻の空母を葬っても米海軍はまだ5隻の原子力空母を持っている。
アメリカが全力を挙げて掛かってくれば、その圧力は恐ろしいものである。
したがって、安藤首相や元帥の基本戦略は、まず太平洋において敵の進撃を食い止めて、その損害を極めて多大なものとなさしめ、この戦果をもってアメリカから和平を引き出すというものである。
この意向を向けて、佐伯空幕長はZ機によるパールハーバー空襲を検討した。
十勝からパールハーバーまでは、直線距離にしておよそ8000キロメートル。
Z機の航続距離は2万キロメートル。一応届くには届くが、ぎりぎりのところだ。
少しでも時間を過ぎると、基地まで戻れない。
空自はZ機をなるべく軽量化にすることで、これをカバーする作戦だ。
しかし護衛戦闘機を付けられないので、その代役を果たすZ掃射機改は欠かせない。
このZ掃射機改の重量がもっとも重いのである。
100基ものレーダー自動照準20mmバルカン砲を装備しているから当然だが、弾薬の重量だけでも相当なものである。
この一抹は不安があった。
不安と言えば、オアフ島は万全の防空体制を敷いているだろうから、そのミサイルの嵐もまた脅威だった。
連邦のミサイル部隊とは比ではないハイテクだからだ。
戦闘機も当然邀撃して来る。
これに対して10機のZ掃射機改がどれほど対抗できるか、やってみなければ分からないと言うのが分からないところが、本当のところだった。
空自はそのリスクを避けるため、まず100機でグアムを叩き、そののち200機全機でパールハーバーを攻撃することにした。
そうすれば20機のZ掃射機改が使え、防御力も増す。
統幕会議では、元帥たちとともにタンカーの安全性も計らなければならなかった。
すでに南シナ海域ではタンカー3隻に、病院船2隻が沈められている。
下手人はアメリカ原潜だということは明らかである。
すぐに政府は中東路線のタンカーないし病院船全てにインドネシア回りを命じた。
これは時間も燃料もかなりロスとなるが、安全のためにはやむを得ない。
同時に、このアメリカ原潜狩りに海龍1個戦隊などを差し向けることにした。
かくして、複数方面の作戦が動き始めた。
原作では改ニミッツ級空母の名前は漢字ですが、赤城さんたちと区別をするためにカタカナにしました。
なおとある同志がこのアイデアを提供してくれました、本当にありがとうございます。
灰田「今回はかなり手こずりましたが、どうにか完成しましたね」
はい、海龍はこのままで良かったですが、空母はどうしても漢字にするとややこしくなり兼ねないから時間掛かってしまいましたが(苦笑い)
灰田「まあ、そうなりますね」
古鷹たちの未来艤装はとある作戦時に明らかになりますのでお楽しみに。
こちらはしばらく掛かりますのでご了承ください。
灰田「では今回もいろいろありましたが、次回予告に移りますね」
いつもですが、お願いしますね。
灰田「次回はアメリカ視点から移り、その最中にいよいよ第二次太平洋戦争が開始されます。そして準備を終えた日本はついにグアム基地に向けて、Z機を出撃させますのでお楽しみを」
次回もまた遅くなるかもしれませんので、ご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十六話までダスビダーニャ(さよならだ)」
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。