超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告通り、アメリカ視点から移り、その最中にいよいよ第二次太平洋戦争が開始されます。そして準備を終えた日本はついにグアム基地に向けて、Z機を出撃します。
灰田「はたしてどういう展開になるかは本編のお楽しみに」
ではこの言葉に伴い、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
現代はインターネットなどのデジタル時代で、いかなる情報も瞬時に世界中を駆け巡る。
アメリカ政府が、日本の保有するアメリカ国債を無効にしたことは全世界を震撼させた。
こんな無法なことがまかり通るのなら、世界経済は成り立たない。
しかしワシントンは日本以外が保有する国債については、20パーセント価値を保証する、利率も上げると称したものの……アメリカに対する根強い不信感が芽生えたことは否めない。
この事が、のちにアメリカに大きなしっぺ返しとなって襲い掛かって来た。
またこれだけの情報がオープンになって、アメリカ以外の国が打ち上げている偵察衛星が宇宙を飛び立っている以上、米軍の動きは隠そうとしていても隠し切れるものではない。
アメリカ海軍がサンディエゴの新・第七艦隊をハワイに移したことを英仏テレビが報じ、また大西洋艦隊が移しつつあることも報じられた。
グアムに戦略爆撃機に伴い、地上部隊も配置されたことを報じられた。
各国も日本に同情し始めた。
日本は新戦力を手にして以降は、数多くの奇跡を起こし続けている。
世界を破滅にしようとした連邦国、彼らに味方した深海棲艦に勝利し、そしてアメリカのエゴイズムの犠牲になっている日本に同情し、味方をし始めた。
次第に緊張の高まる1週間が過ぎ、アメリカ大西洋艦隊の2個空母戦闘群はようやく太平洋に出て、サンディエゴに到着、補給を終えた後はハワイに向かった。
ハワイ到着後は、5月25日と見込まれた。
いっぽう、日本空母戦闘群も慣熟訓練期間が過ぎて配置に就き始めていた。
古鷹をはじめとする艦娘たちも灰田が新たに用意した未来艤装に慣れ、いつでも出撃できるように準備を整えていた。
そして原潜《海龍》の第一戦隊10隻は、南シナ海域に向かった。
空自ではZ機部隊の再整備を終え、グアム爆撃を始めていた。
ワシントン。
ホワイトハウスではマーカス国務長官、グレイ首席補佐官と広報担当補佐官が、ハドソン大統領が集まり、秘かに話していた。
強硬一本のケリー国防長官、中岡連邦元大統領、忠秀副主席は呼ばれていない。
広報担当補佐官は、シャーリー・モートンという黒人女性である。
有能なことで知られており、大手テレビ局のアンカー・キャスターから引き抜かれたのだった。
「我が国の評判は、いったいどうなっとるのだ?」
ハドソンが尋ねた。
もともと神経質な人物であり、このところの国際的論調がアメリカに批判的なことを気を病んでいる。
「素直に申し上げて、実のところあまりよろしくありません」
マーカスが答えた。
「やはり、日本のアメリカ国債を消してしまったことが堪えたようです。それに日系人の抑留もやりすぎという批判が出ています。イスラム諸国などは『鬼の首でも取ったようにアメリカ帝国主義の地肌が露出した』と、騒ぎ立てている始末です」
「……しかし、あれはケリー、中岡連邦大統領、忠秀副主席が言ったことだぞ」
「確かにその通りで、国防長官や彼らは日本にやる気を起こさせるためこういった荒療治ですが、少々やり過ぎたのかもしれません」
「確かにいささかやり過ぎましたな。日本が手に入れた新兵器は、実は強力なものです。
我が国の四個空母戦闘群と互角に戦えるかもしれません。
……これは極秘の情報ですが、連邦から入手した情報によりますと、日本空母の艦載機は全て無人機らしく、その運動性能はどの有人機よりも優れているらしいのです。
また空母ですら、完全自律性機能を持つと言う噂もありますが、こちらの方は定かではありません」
「それは何語だ?英語で言ってくれんか」
「つまりロボット艦艇だという事です。極めて高性能なコンピューターが中枢にいて、全ての機能を取り仕切っているのでしょう」
「しかし、そんな事が空母はおろか護衛艦のような大型艦艇で可能なのかね?」
「未来技術が加わっていれば、不可能ではありません。我が国や他国などでも無人偵察機や攻撃機に関しては持っていますが、ロボット艦艇も研究中です。
しかし、人間や艦娘並みの戦闘機能を持つコンピューターとなりますと、それこそ人間や艦娘たち並みの思考回路を持つコンピューターが必要でして、スーパーコンピューターをいくら並べてもそうはなりません。
あくまでも自己演繹を持つコンピューターが必要なのです。言い換えると人工知能が必要なのです」
「私としては、各国が保有する我が国債をリスクヘッジするために分散して売り出すことが心配なのです。恐らく我が国が日本に少しでも痛手を受ければ、そうなりかねません。……それでなくとも我が国の国債のクレディビリティ(信頼性)は怪しまれていますから」
「ううむ、利率をあれだけ上げたのにまだそうなるのか? ……我が国はデフォルト(債務不履行)などしないという事がまだ分からんのか?」
マーカスとグレイは顔を見合わせた。
ハドソンはアメリカ経済状況について、本当に分かっているのだろうかと、ふたりは考えていた。
双子の赤字は巨大さには凄まじいものだ。
アメリカは、つまり借金の上で成り立っている大国である。
得意の自動車産業は斜陽で、トップを走っていたIT産業はインドに株を奪われた。
食料は自給出来るが、エネルギーは輸入大国だ。
製造業もふるわず、航空機メーカーもEU諸国に押されている。
映画産業もかつてのように儲かっていない
つまり、アメリカは軍事力のほかに切り札がない。
もしアメリカの軍事力に“?”が付いたら……その結果を考えただけでもふたりは恐ろしかった。
「明日、大統領はテレビ会見を予定されておりますが、決して弱音を吐かないようになさってください」
モートン広報担当補佐官が言った。
「いつものように堂々となさり、アメリカは正しい戦いを行ないつつあると主張なさってください。
これは覇権国の野望を持つ日本と、艦娘たちを懲らしめ、アジアの安定を保つための戦いであると……かつての太平洋戦争を引き合いに出されるのがよろしいでしょう。
スピーチライターにもそのように言っておきましょう」
ハドソンは頷いた。
大統領は何人ものスピーチライターを抱え、スピーチを書かせている。
かつての太平洋戦争を持ち出すのはもっとも語りやすく、アナロジーも容易だ。
そう考えると、さすがに気の弱いハドソンでもだいぶ楽になった。
あの偉大な大統領……史上初めて大統領四期を務めたルーズベルト大統領のようなわけにはいかないだろうが、国民に耳を傾けることはできるだろう。
考えてみると、このふたつの戦争はまさに類似している。
双方ともその意図は、力をつけすぎた日本を叩くことである。
ルーズベルト大統領は大の日本嫌いであり、そしてドイツと戦いたいがために日本を戦争に引きずり込んだが、いずれは太平洋の覇権を争う運命にあった。
太平洋を挟んで退治している以上、それは避けられない運命だった。
このときペンタゴンでは作戦を練り直し、グアムに置いていた戦略爆撃機をまず使うことを考え始めた。
敵に所在が知られたら、そのまま見過ごすとは思えない……いや、もはや敵に知られたと考えるべきである。
そうなれば、先制攻撃を掛けてくるはずだと戦略空軍司令官が主張し、ヨーク参謀総長もそれを受けたのである。
その根底には、日本がニミッツ級空母4隻を持ったことが確認されたことがあり、グアム基地を叩くことを決定された。
作戦発起は、5月27日と決定された。
偵察衛星が謎のマルファンクション(機能不全)により使えなくなったため、具体的には空母や原潜、そして艦娘たちの所在が把握できない。
特に慣熟訓練を行なっていたはずの空母や艦娘たちが、いったん補給のために母港に戻る頃合いだと踏んでいた。
B-1B《ランサー》30機が全機出撃……高空から横須賀、佐世保、舞鶴、呉鎮守府や重要拠点とも言える港湾施設を空爆する。
仮に空母や艦娘たちがおらずともこれらが叩かれれば、日本は大打撃を受けるはずだ。
日本からグアムの距離は2500キロメートル、B-1B《ランサー》の最大航続距離は1万2000キロだから悠々と届く。
最初はB-2《スピリット》ステルス爆撃機で空爆しようとしたが、米軍の虎の子で修理したてでもやはり世界一高額な爆撃機を再び失えば痛いものである。
全機は本土に駐屯している。
これを護衛するのはF-15E《ストライク・イーグル》の作戦行動半径は1500キロなので、空中給油機を付ける必要がある。
小笠原諸島の西海面でまず給油、空中タンカーはそこで待機させておいて、帰路にもまた補給する。
30機のB-1B《ランサー》は7機ずつ編隊を組み、F-15E《ストライク・イーグル》10機ずつこれを護衛する。余った2機が予備機として待機しておく。
すでに日本人や外国人観光客が途絶えたグアム島では……サイパン島もそうだったが……迅速に出撃準備が進められていた。
しかし、アメリカ空軍および連邦義勇空軍の作戦変更のわずかに遅かった。
同様な作戦を考えていた日本の空自が、一足早く手を打っていたのである。
5月26日。
十勝のZ基地では100機のステルス重爆こと《新富嶽》が飛び立った。
マッハ1の速力でグアム基地を目指した。高度は1万2000メートル。
このうち10機がZ掃射機改である。
マツダ少佐率いるZ機アルファ部隊は2時間足らずでグアムに接近した。
グアム島・米空軍防空司令部では、レーダーがこれを捉えることはできなかった。
しかもあいにく低気圧が通過中で雲が多く、飛行機雲の視線も確認できなかった。
ステルス機の威力はここにあり、最大限にまで発揮されている。
しかも《新富嶽》ことZ機は米軍も持たない完全ステルス機……いわば夢のステルス爆撃機だった。
ペンタゴンでは日本と連邦・深海棲艦による戦争の経過を見て、このことに薄々気づいていたが、まさか《ミラクル・ジョージ》が完全ステルス機だとは思いも及ばなかったのだ。
したがって、グアム基地の防空態勢は後手に回らざるを得なかった。
アンダーソン飛行場には、30機のB-1B《ランサー》が引き出されて最終整備が行われていたが、ヒューと音を立てながら空から航空爆弾の嵐が襲い掛かって来た。
まさに寝耳に水である。
Z機は高度1万2000メートルの成層圏から高性能な赤外線レーザー照準《新型高性能自動全天候標準機》で滑走路を狙ったのだ。
米空軍司令官は、最初は何が起こったのかが分からなかった。
敵襲ならば、当然レーダーが捕捉しているはずである。
しかしレーダー基地は沈黙を保ち、敵の気配を感じる取ることはなかった。
そこにヒューと言う恐ろしく不気味な音を鳴り響かせながら、突然1トン爆弾の豪雨が落ちて炸裂した。
空軍基地にいた全員は、その瞬間に思考停止してしまった。
破壊力を誇る1トン爆弾は続けざまに落ちてきて、正確無比に滑走路上で爆発した。
B-1B《ランサー》戦略爆撃機もろとも滑走路を滅茶苦茶に引き裂いていく。
1機2億ドルもする貴重な機体が、自ら抱えた航空兵装……AGM-154 JSOW対地ミサイル、GBU-38 JDAM GPS誘導爆弾、機雷などとともに誘爆した。
広大なアンダーソン飛行場は、戦闘機用滑走路も持っている。
これを見て、戦闘機隊司令官はただちにF-15に出撃命令を下した。
これはスクランブル態勢をしていたので、ただちに舞い上がることができたが……いくら上昇しても敵機の姿を見出すことはなかった。
高度8000メートルにかかっていた高層雲を切り抜けると、ようやく敵機の姿が見えた。
遥かな高みに巨大な爆撃機……B-52H《ストラトスフォートレス》に酷似した戦略爆撃機が旋回している。その数はゆうに100機を数える。
この高度ならば、F-15も楽に作戦が遂行できる。
しかも腕のいいベテランパイロットたちとともに、連邦義勇空軍もいる。
相手は護衛戦闘機を持っておらず、米軍戦闘機隊長ないし連邦義勇空軍戦闘機隊長も同じくもらったと思った。
『『タリホー』』
米軍伝統の敵機発見の合図を出すとともに、全機は突っ込んで行った。
その時、10機の敵重爆が散開しつつ降下してくるのが目に入った。
米軍隊長にはその意図は分からなかった。
Z機が持っているガンシップ……Z掃射機改など見たことはなかったのである。
ただし連邦義勇空軍隊長は、この重爆《ミラクル・ジョージ》の防御能力が優れているのは知っている。
ここに何かがあるのかは聞いていたが、それを知った時には遅かった。
その10機が散開すると、F-15部隊の前に立ちはだかり、次の瞬間、胴体下部一面が真っ白な閃光が生じた。
100基すえつけられていた20mmバルカン砲が、レーダー照準により一斉に火を噴いた。
1機につき100基、合計1000基の火力が降り注いだ。
空対空ミサイルよりも濃密な火力なため、この方が遥かに強力な威力を発揮するのである。
たちまちF-15部隊この強力な火力に捉えられ、一瞬にして空中爆発を起こした機体、両翼を捥ぎ取られ落下していく機体など、悲惨な光景が現出した。
操縦不能となり、必死にベイルアウト・レバーを引っ張り、脱出を図るが、間に合わないものが多かった。
いずれにしろ、この高度からの落下したのでは、酸素不足のため失神してしまう。
パラシュートは自動開傘するが、海に落ちてしまったものも多かろう。
両軍パイロットたちが搭乗したF-15部隊は、ものの数分で殲滅した。
アンダーソン飛行場では、炎上するB-1B《ランサー》の機体を救うべく、地上要員たちが必死の消火活動を続けていたが、搭載していた兵装が次々と誘爆するため、とても危なくて手に負えない。
手に付けかねて見守っているうちに、全機炎上した。
グアム駐屯空軍司令官・スマック中将はこの結果を見てとると、オアフ・太平洋軍司令部に連絡した。
この報告を受けた太平洋司令部司令官・ディエゴ大将は驚愕した。
グアム空軍基地からの連絡では、レーダーには全く機能しなかったと言う。
レーダーそのものに故障は発見されなかったので、この敵機はレーダーに映らない……完全ステルスだとしか考えようがない。
しかし、そんな事があり得るのか。
米軍も必死に完全ステルス素材を研究してきたが、まだ発見していない。
それを日本は重爆機体に採用して得たと言うのか。
この貴重な情報はペンタゴンにもたらされた、統合参謀本部の二重の衝撃を与えた。
ひとつは、グアム・アンダーソン飛行場に駐機していた空軍機もろとも破壊されたこと。
加えて、これをやってのけた《ミラクル・ジョージ》が完全ステルス機能を持っていることである。
そのとき初めてヨーク参謀総長は、中岡たち率いる連邦国がなぜあれほど簡単に《ミラクル・ジョージ》に叩かれたのか理解した。
沿岸にいかにたくさんレーダーを揃えても、それが機能しなければ意味がない。
それにしても高価なB-1B《ランサー》が30機も失ったのは痛感である。
まだ70機あるので本土からまた送ることが出来るが……しばらく見合わせるべきだということで、本部の意見は一致した。
ヨーク大将の不安はさらに増した。
日本が完全ステルス重爆を持っているとすると、今度現われた空母に搭載している艦載機はどうなのか、これもまたステルスではないかと……
その推測は当たっていたが、まさか原潜や艦娘たちの未来艤装などにまでが完全ステルス性を持っているとまでは、到底及ばなかったのである。
ともかく十勝基地攻撃には、スケジュールに入っている。
ロサンゼルス級原潜2隻が北海道に向かい、今頃は攻撃位置に着いているはずだ。
本来、敵がグアムを攻撃する前に叩くべきだったが、全体作戦の空母戦闘群が揃うまで待つと言うポリシーだったのでやむを得ない。
この2隻の原潜には、初めはトマホーク・ミサイル……搭載弾頭は通常弾を使えと命じられていたが、ペンタゴンは急遽命令を変更した。
通常弾ではなく、グアムの報復も兼ねて、ウォーヘッド(戦術核)を使用せよと……
先手を取られたアメリカ空軍は壊滅状態になり、日本の勝利へと終わりました。
灰田「今日は皆さんご存知と思いますが、運命の戦いことミッドウェイ海戦の日であり、空母《赤城》《加賀》《蒼龍》《飛龍》率いる空母機動部隊、重巡《三隈》の戦没日でもあります。
最後まで誇りを忘れることなく戦った彼女たち、そして英霊たちのために敬礼!」
秀真「敬礼!」
郡司「敬礼!」
元帥「敬礼!」
彼女たちのために黙祷であります。
この戦い、第二次太平洋戦争は始まったばかりですが、気を引き締めて執筆します。
今日はとても大切な日でありますので、早いですが次回予告をお願いいたします。
灰田「次回はZ機によるグアム基地を空爆された報復をすべき、米海軍は原潜を出撃させます。果たしてどういう展開になるかは次回のお楽しみに」
次回もまた遅くなるかもしれませんので、ご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十七話までダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真「ダスビダーニャ」
郡司「ダスビダーニャ」
元帥「ダスビダーニャ」
ダスビダーニャ、次回もお楽しみに。